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機動刑事ジバン~その4・ホンネとタテマエ~

承前
 少しだけ本作の音楽について触れておきたい。本作のBGMを作曲したのは、名匠・渡辺宙明氏。DVD3巻のブックレットには考察が残されているので、そちらも参照いただきたい。日本コロンビアから発売されていたANIMEX1200シリーズでCD化された楽曲を聞くと、本作のために宙明先生が書き下ろした楽曲は、劇中でほとんど使われていない。この件については多くの憶測も含めて、様々な言説もあるが、現実にはこれまでの宙明サウンドの流用によって賄われており、その後、東映特撮作品から渡辺氏は距離を置くことになる。CDを聞く限り、特撮ヒーローらしい打楽器を多用した音楽でありながら、宙明氏の都会的センスが凝縮されたサウンドとなっており、音楽的な面でも「あぶない刑事」などの都会的な印象を目指したことが伺える。結果的には後半3クール目あたりから少しずつではあるが本作用の楽曲が使われ始めることで、多くのファンは溜飲を下げることになる。反面、劇中で使用されているかつての宙明サウンドが作品の印象を損なうことはなく、往年の東映作品のファンは様々な作品の楽曲の使用によって耳を楽しませることになる。

 一方の劇中曲については、番組当初より使用頻度が高いのは「吠えろジバン!」と「GOYOだ!」の2曲だ。「吠えろジバン!」は洋子ら人間たちがバイオロンに人質にとられ、間一髪という時に流れ、ジバンの登場を音楽で印象付ける力強い1曲。「GOYOだ!」はジバンの捜査開始に合わせて流れる印象が強いが、その一方で直人や洋子が捜査を始める際にも流れるので、捜査開始のイメージが去来する楽曲になった。また「ジバン3大メカの歌」も含めて、各曲のイントロ部分などもジバンの登場ブリッジや戦闘開始を告げるファンファーレとして使われていた。35話でパーフェクトジバンが登場すると、その登場や活躍に合わせて流れるのは「パ―フェクトジバン」という曲である。ジバンの新装備を紹介しながらその力強さを串田アキラ氏の声に乗せて押し出してくる。後半のバトルシーンを飾った名曲だ。

面白い楽曲の使用を紹介しよう。42話「怪物ロックンロール」では洋子が応援するデビュー前のロックバンドが歌う曲が、なぜか「バイオロン軍団現わる!」なのである。歌うは「超新星フラッシュマン」でブルーフラッシュ・ブンを演じた石渡譲だ。物語は恐竜型のバイオノイドを生み出そうとするギバの命令を受けて、必要となる電気を盗み出すナマズノイドの作戦を挫く話なのだが、バイオロンを称賛するこの歌を、なぜかナマズノイドはギバをバカにしたといってロックバンドを襲うのである。しかも「下手くそ」とこき下ろしてまでw
 清志郎の妹が上京するタイミングで時計が狂いだす事件に巻き込まれる40話、洋子の後輩婦警さんが奮闘する41話と、「機動刑事ジバン」最終第4クールは、こうして幕を開けたのである。

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機動刑事ジバン~その3・バイオノイドの可能性~

承前
 18話にて消息を絶ったまゆみ。19話ではまゆみへの想いが強すぎたために、せっかく手に入れたバイオノイドの怪物の元を、わざわざ警察の研究所に忍び込んで奪い返すほどの狼狽っぷりを見せるジバンであるが、その狼狽を微塵も感じさせることなく、ジバンの行動をとがめる柳田に向かって、これまでジバンが語ってこなかった対バイオロン法第3条に示されている「人命の尊重」を持ち出してくる。怪物の元の分析によってバイオノイドの弱点が解れば、ジバンにとって有利に戦えるはずだが、第3条を追加項目としたのは柳田自身であり、柳田は自身の信念をジバンという他人から教えられることになる。戦いの帰趨よりも人命の尊重。これが欠けてしまった戦いは、どこまでも転がり続け、やがて取り返しのつかないことになる。柳田の生まれがいつなのかは劇中判別できないが、少なくても日本がかつて経験した悲惨な戦争の経験が、こういうところで顔を出してくる。こんな形でしか戦争を伝えられないのかもしれないが、こんなやり方もないよりははるかにましだろう。

 19話でキーとなる少女・まなみは、たまさかバイオロンの運び屋にぶつかりそうになり、その時の落し物が「怪物の元」だったわけだが、この「怪物の元」がまなみの言葉通りに変態していく。ギバの言葉によれば「怪物の元」にギバ自身がなんらかの手を加えることにより、バイオノイドが誕生するのだが、この「怪物の元」が海底工場によって生産されていることも明かされた。これを先のジバンの示す「人命の尊重」との対比と考えると、バイオロンの研究やその成果とは、地球上の動植物の生命の神秘という方面ではなく、いたずらに他者の命を弄び、ギバの思い通りにその命を利用する方面となり、明らかな「人命軽視」なのではないかと思われる。

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機動刑事ジバン~その2・2つの母性の物語~

承前
 以前の「その1」で、「いくつかのエピソードを除けば、だいたい同じ話が繰り返されている。」と書いてはみたものの、そんなことは百も承知で観ている特撮ファンとしては、それでもワンパターンに陥らない脚本上の努力が、初期1クール+αには垣間見えることを指摘しておくべきだろう。
 バイオロンの作戦自体は、劇中を見る限り同時多発的ではなく、単発の犯行が繰り返されていると見るべきだろう。その作戦でイニシアティブをとるのは個々のバイオノイドなわけだが、このバイオノイドがおおよそ人間に化ける能力をすべからく持っており、人間社会の中で準備を行い、人間社会に紛れるように暮らしている。ギバの命令一下で作戦が実行に移される段階で、バイオノイドはその正体を現して行動を始めるが、そこをセントラルシティ署の面々やジバンが発見し、事件が明るみに出るわけだ。2話ではバイオノイドの変身能力をフル活用した犯罪だったし、3話でおばけ野菜を作っていたドロノイド、恐竜の卵のありかをずっと探し続けていた6話のハゲタカノイド、土地の買い占めを行っていたのは8話のモグラノイドで、彼らは巧みに社会に紛れ込んでいたのだ。 一方で要人誘拐を担当した5話のタコノイドといい、7話でギバウイルスをまき散らしたのは、ある少女が大事にしていた人形が人間化したものだった。そうかと思えば、他人の研究を横取りしたり邪魔したりといった、子供じみた作戦もギバの犯行には多く、10話や16話などがこれにあたる。こうしたそれぞれの作戦を担うバイオロンのバイオノイドであるが、作戦とバイオノイドの素体となるモチーフの動植物にはこれといった関連性はないあたりも、バイオロンの作戦の特徴といえるだろう。

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機動刑事ジバン~その1・僕たちの東映ヒーローが見たい!~

 一人語りを許してもらえるなら、筆者は東映特撮ヒーロー作品を愛しているといっていい。円谷巨大特撮ヒーローも好きだが、自分たちが暮らしている空き地や造成地といった場所で戦う等身大ヒーローの作品は、自分たちの世界と地続きである感覚があるからで、その線引きを自分の中にどうやって持ち込むのかという命題は、子供のころからずっと自問自答し続けた命題だったからだ。不思議なことに、作品中で明らかに「今から何年先の未来」とか、「ここではないどこか」とかいわれても、撮影地が小田舎の造成地であれば、錯誤感はどうしようもない。「ウルトラファイト」の不可思議さもこのあたりだと気づけば腑に落ちる。

 現行の東映ヒーロー作品はライダーとスーパー戦隊であるが、「仮面ライダークウガ」によってライダーが復活するまでその位置にいたのは、1982年以降であればメタルヒーローだったのだ。結果論だが、その座はライダーに明け渡したものの、戦隊とのコラボ作品によって「宇宙刑事ギャバン」が復活を遂げ、世代交代を果たした上で、さらにコラボ作品が継続中である。かつて当ブログでも扱った「キュウレンジャーvsスペーススクワッド」でも「世界忍者戦ジライヤ」が実に地味に活躍したり、ニンニンジャーにおいてジライヤが共演したりと、メタルヒーローの復古はもはや“アリ”となったのが、ギャバン復活以降ここ数年の東映ヒーローのトレンドでもある。

 だったら「世界忍者戦ジライヤ」を書け!とおっしゃるのも無理はない。事実筆者もその流れを想定して「忍者キャプター」を書いたのである。またすでに作品内で告知されているように、2019年のスクワッドシリーズでは、レスキューポリスシリーズの登場が決定している。それならレスキューポリスを書きなさいよ! 「特警ウィンスペクター」から3作品書き始めなさいよ!とびびる大木さん並にお叱りを受けること請け合いであるが、ちょいと忘れちゃいませんか? ジライヤとウィンスペクターの間に挟まれて、その橋渡しをしていた作品があることを。そんなわけで、今回は年をまたいで、「機動刑事ジバン」を扱います。えーっと、いろいろ能書き垂れましたが、要はうっかり見ちゃった、てへっ!

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2018見逃し映画考・その3~彼方の銀河と未来の東京と~

「スターウォーズストーリー ハン・ソロ」
 2018年の6月に公開となったスターウォーズ・シリーズのスピンオフ作品。スピンオフとしては「ローグ・ワン」に続いて2作品目となるが、「ローグ・ワン」がエピソード4の前日談で、直接エピソード4につながるように作られているのに対し、本作はエピソード7にて息子に殺害されたハン・ソロのルーツにふれる物語となっている。

惑星コレリアンを脱走したハン・ソロが、相棒チュー・バッカと出会い、愛機ミレニアム・ファルコン号を手にするまでの物語だ。文章にすればたったこれだけ。だが故郷を脱出して、偶然とはいえ帝国軍の歩兵となり、そこで偶然出会ったチュー・バッカや盗賊たちとさらに脱走し、エネルギー輸送列車を襲って一儲けを企むものの失敗。その失敗を取り返そうと、やはり思い付きのようにエネルギー採掘惑星で精製前のエネルギーを盗むついでに反乱を起こし、持ち帰ってエネルギーを精製した場所で、反乱勢力に遭遇。帝国側への叛意を含まれたハン・ソロは、帝国に連なる雇主への反抗作戦を企てることになる。

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2018見逃し映画考・その2~アメコミヒーローたちの去就~


「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」
 日本では3月に公開された、マーベル・シネマティック・ユニバースに連なる作品である「ブラック・パンサー」を未見のまま、本作に進んでしまった。正直に告白すれば「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」2作品についても未見なので、本作の最凶の悪役であるサノスやガーディアンズに登場するガモーラとサノスとの関係性など、細かい点はよくわからないけれど、それ以前のシリーズの知識を総動員してみる分には、十分に楽しめた。

 筆者はマーベルやD.C.のアメコミヒーローの実写映画を見るたびにいつも思うのだが、こうした映画を見ていると、つい声を出してしまいそうになる。本作でも終盤にソーが地球に帰還して参戦するシーンではやっぱり声が出たし、物語やアクションの盛り上がりを見ては声が出る。ハルク・バスターが攻撃を受ければ痛みでうめき、サノスの軍隊にやられたマーベル・ヒーローズを見れば涙する。そんな感情を掻き立てられるシーンが連続するこの映画を、もし劇場で見ていたとしたら、まわりの観客に奇異な目で見られることだろう。海外の劇場では観客の心の赴くままに歓声を上げたりするらしいが、日本ではそんな風習はない。だからこその家庭用視聴環境なのだ。遠慮なく声を出すことができた。それは本作の楽しさの本質であると思う。

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「地球戦隊ファイブマン」~その3・喪失感と補完、そして選択~

承前

 「サメギンとアリジゴクギンを合体させたサメジゴクギンは、人間を缶詰にすることができるのさ」とシュバリエがのたまう34話「人間カン詰」の冒頭。この説明しているようでまったく説明になっていない見事な台詞回し。サメジゴクギンの利も非もない攻撃と、地上にいる以上餌食になる運命という、割と単純な怖さそのものが前半の引っ張りどころだし、後半は赤のロングスカートでパンチラ全開のレミの活躍によってサメジゴクギンを一本釣りして大逆転するという一大娯楽編。なのにどこか悲壮感漂うのは、物語冒頭でトイレ掃除に格下げされたガロアの悲哀からスタートするからだろうか。しかもバルガイヤー内のガロアいじめもさらに増していく。この話の娯楽要素とガロア降格による状況の変遷という連続話、内容よりも勢いを重視する台詞回しなど考慮すれば、このあたりの話が前回説明した80年代的な作劇と90年代的作劇の転換点における要素の複雑なせめぎあいが見て取れる内容だ。

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プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
50歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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