CYBORG009 CALL OF JUSTICE~加速装置が見せる世界と戦う理由~

 前回の余勢をかって行ってきました「CYBORG009 CALL OF JUSTICE」。正直申し上げてこの作品の最大の難関は、009たちサイボーグ戦士たちのビジュアルであることは、ここでいまさら申し上げることでもない。CGによってキャラクターを作り、それをCGで書き込まれた背景の中でぐりぐりと動かす様は、どう見てもゲームの中のキャラクターをコントローラーで動かしている感じによく似ている。敵の攻撃にやられて地上をころがる009を見て、ゴムが伸び切って関節が緩んだミクロマンが転がる様を思い出したのは筆者だけではなかっただろう(どんな遊び方をしてるの!とはいわないでw)。はっきり申し上げて、前作「009RE:CYBORG」以上の抵抗感は、その比ではない。CGアニメとして名高い「ファイナルファンタジー」や「アップルシード」シリーズでも、キャラクターのデザインには十分気を払われてきた経緯があるし、それでも批判は絶えないCGキャラクターによるアニメーションだが、これほどまでに抵抗感があっても「サイボーグ009」というコンテンツにはあまり関係ないのだろうか? 実は筆者が劇場にこれを見に行ったとき、妙齢の女性たちが多く押しかけていた事実に愕然としたのだ。つまり「サイボーグ009」というキャラクターが前提にあれば、それがいかなデザインのキャラクターとして作られていたとしても、集客してしまうのである。それは物語やキャラクターの設定に難があった「キャプテンハーロック」にしても同様だったのではないか、という懸念が生まれた。つまるところ、たとえどんなキャラクター設計であっても、周知の物語やキャラクターであれば、楽々とCGで作られているハードルを超えることができ、原典となるビジュアルからかけ離れても、商売が成立してしまう可能性がある、ということだ。いやまて、そもそもの漫画やアニメの実写化という流れそのものが、これに当てはまるとしたら、我々はこうした流れをあきらめながらも絶対に否定する言葉を持てないのかもしれず、そこを製作者たちに見透かされていると思うと、背筋が寒くなる。と、ビジュアルに関しての話はここまでにして、ここからは本作の物語やテーマ的な話を中心にしてみたい。

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サイボーグ009(新・1979)~“神”を巡る思考実験~

 当ブログをご覧の方にとって“またか”と思われそうなほど、これでもかと何度も扱っている作品である「サイボーグ009」。故・石ノ森章太郎氏のライフワークでもあった作品である一方、TVアニメに映画にと、現在でも材を振りまく作品である。最近では奇跡とも思える永井豪作品とコラボレーションを果たした「サイボーグ009vsデビルマン」という作品があるし、「攻殻機動隊」のTVシリーズを作った神山健治氏による「009RE:CYBORG」という劇場版を経て、現在は「CYBORG009 CALL OF JUSTICE」が劇場公開中である。筆者が009が好きだということは置いておいても、作品がこれだけある以上、触りたくなるもの必然だとご理解いただきたい。
 さて現在CSアニマックスにおいてHDリマスターされた「サイボーグ009」(1979)が放送中。実は深夜4時台では「機動戦士ガンダム」のリマスターと続けての放送になっているため、1時間まるっと録画して、毎日楽しんでいる。現在は序盤を過ぎ、話が展開し始めているところだが、新たな展開を前にちょっとだけ引っ掛かってしまった。それが序盤9話までの「宇宙樹編」である。

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劇場版「たまこラブストーリー」~地方・商店街・幼なじみの3コンボ~


 筆者が「たまこまーけっと」が大好きだった最大の理由は、この物語が現在ではほぼ絶滅しかけている「ホームコメディドラマ」の枠内に当てはまる作品だったからだ。
 テレビ黎明期にドラマの1ジャンルとして誕生したホームドラマは、スタジオ内にセットを組んで作る、いわゆるスタジオドラマであり、あまり外でのロケを行わない。それだけにスタジオ内に作られるセットにも限界があるから、自然とシチュエーションが限られる。それだけに割と安価に作られるコンテンツジャンルであった。かつてTBSが制作していた「ありがとう」などのシリーズはまさにこれに当てはまる。TBSはホームドラマが強いと後々まで言われるようになる所以だ。その正当後継が「渡る世間は鬼ばかり」なのだ。

公開収録などで行われる「8時だよ!全員集合」などのようなイベント性やライブ感が人気となる70年代になると、こうしたホームドラマにもコメディ色が強くなる。「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」など、毎回のパターンとしての親子喧嘩やギャグが展開され、世間に認知されていく。ホームコメディドラマはどんどんバラエティ化し、その極致のような「ムー」や「ムー一族」という作品が登場する。とんねるずが主演した90年代の「時間ですよ」シリーズはこれの正当後継である。

ところがドラマのTBSは80年代に「3年B組金八先生」や「金曜の妻たちへ」シリーズ、「男女7人」シリーズなどによっていわゆるトレンディドラマに先鞭をつけると、こうしたホームコメディドラマに見向きもしなくなってくる。「刑事ヨロシク」や「おヨビでないやつ」、「ママはアイドル」などに、わずかに痕跡が残るだけだ。90年代には先述のとんねるず主演の「時間ですよ」や「谷口六三商店」があるだけで、その後こういう作品はほぼ登場していない。筆者はこの手のホームコメディドラマが大好きでよく見ていたから、同じ匂いのする「たまこまーけっと」は本当に楽しめたのだ。

そしてほんわかでかわいい本作の主人公の「たまこ」と、たまこに想いを寄せるお隣さんで幼馴染の「もち蔵」のその後が描かれると聞いて、心はやったのである。けどなんとなく見逃していたので、この際にやっとレンタルの準新作のシールが外れたのを機に見てみました。んで、もう大変満足いく出来であったので、うれしはずかし、こうして感想をばしたためているのですよw

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宇宙海賊キャプテンハーロック~その3・マゾーンという母性と松本宇宙~


<物語の行方>
 物語が大きく展開するのが2クルー目の最後の話となる26話「はるかなる長い旅」である。もちろん展開するのはハーロックではなく、女王ラフレシア率いるマゾーン側だ。あまりにも長い旅路の中で、マゾーンの中には造反者が続出する。マゾーンの民衆は長旅に疲れ、旅程にある手近な星への移住を渇望するものも出てくる。ラフレシアはこの旅を決めた時、マゾーンの全人民のすべてを救うことを念頭に、文官主導による移住計画を進めていたのだが、その一方で移住先に思わぬ敵が現れた、誰あろう、キャプテンハーロックとアルカディア号である。軍人たちはハーロックを亡き者にすれば地球の占拠や移住は簡単であると踏んだらしく、ハーロックに対する攻撃に躍起になっていたが、それもままならない。そんな袋小路の状況の中で、民間人が暴発し始めた。文官の代表であるテシウスですらそれを押さえることができずにいる中、武官の代表であるカサンドラは、ハーロックが民間人に手出しできないことを見込んで攻撃をしかけてくるものの、その戦いでカサンドラは戦死する。また民間人と一緒に脱走した罪でテシウスを自殺に追いやったラフレシアは、もはや両翼をもがれた状態となる。この状況を打破するため、ラフレシアはキャラバンを地球へと進める一方で、ハーロックとの徹底抗戦を決める。だがハーロックがマゾーンと戦う理由について測りかねるラフレシアは、一抹の不安を抱えたまま、残った武官・クレオを頼みに歩みを進めるしかなかった。

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宇宙海賊キャプテンハーロック~その2・キャラクターの掘り下げとマゾーンの母性~

 前回までは物語の最序盤だけを取り上げて、作品の方向性であるハーロックのシブさや大人っぽさについて書いてみた。結局のところそれ自体は作品自体のカラーであり、ある意味で松本零士作品の門戸としてハードルの高さでもある。このシブさについてこられないなら、見なくてもいいからね、といっているようなもので、玩具売らんかなの当時のアニメとしては、なかなかにチャレンジングな作品といっていい。もちろんこうした嗜好の問題は先人たる手塚治虫や石ノ森章太郎、赤塚不二夫の仕事の数々を見れば、商売として当然であったマーチャンダイジングを否定して見せているわけで、松本の反骨精神の表れでもあるだろう。とはいえ、「宇宙戦艦ヤマト」という先達があったとしても、宇宙戦艦や宇宙戦闘機の玩具は、なかなかに難しい商売だったろうことは、想像に難くない(そういえばミクロマン的なハーロックや台羽の人形がついていて、戦闘機に乗せるプレイバリューの高いおもちゃがあったことを思い出す)。

 さて本作の主人公がまごうことなきハーロックであるならば、本作の物語はハーロックのカッコよさだけを際立たせればいいはずだ。ところが本作にはもう一人の主人公ともいえる青年がいる。名を台羽正。ペナントの地球飛来やマゾーンの地球侵略をいち早く予測し、地球人類の中で数少ない良識ある大人であった台羽博士の一子である。博士は侵略を始めたマゾーンによって殺され、それ以前に母親は事故により宇宙で亡くなっているのだが、事故原因を隠ぺいした地球政府によって、事故の責任者として見殺しにされている。地球政府の腐敗と堕落、そして両親を見殺しにされた事実から、地球を見放してはいても、父の予見したマゾーンの侵攻の事実を突きつけて、父を迫害した地球政府を見返してやりたいと願うのも当然である。だがそれだけを行動動機としてハーロックと行動を共にするには、あまりにも子供じみている。そんな台羽正がハーロックの背中を見つめながら男として成長する話が物語のもう一つの主軸となっている。今回はそのあたりにスポットを当ててみたい。

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宇宙海賊キャプテンハーロック~その1・シブいとはこういうことさ~

 ずいぶんと長い時間をかけたが、満を持して今回より取り上げます。時間がかかったのは相変わらず筆者が別のことで時間を取られていたせいだし、執筆自体もその間まったく進んでいなかったので、全面的に自身の責任です。お待ちいただいていた方々、本当に申し訳ありませんでした。ただ本作について筆者が反論をするならば、まず第1に2話の時点までまったく物語が始まらないこと、そして第2にこの最初の2話に本作のテーゼがすべて凝縮されているため、見ごたえも満足感もあって、本作の肝であるはずのハーロックら海賊たちと地球に侵攻しつつあるマゾーンとの戦いがどうでもよくなってしまうため、2話以降がなかなか進みづらいことが上げられる。まずここのハードルを超えていかないと、先に進まないのだ。そしてここからがまた問題なのだが、謎の敵・マゾーンの正体があまりに小出しで出てくるため、物語の進行速度がものすごく遅く感じられてしまう点も加えておきたい。言ってしまえば、この作品は成熟した大人に向けてのSFファンタジーなので、ゆっくりした物語運びもそのためにある。70年代の生き馬の目を抜くようなアニメシーンの中で、よくぞこの作品はこれほどの成熟さを維持して放送し続けられたものだと、いまさらのように感心する。

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OVAクラッシャージョウ~劇場版で物足りなかったあなたへ~

 過日、なんとな~くネットを徘徊しているうちに、久しぶりに「WEBアニメスタイル」の腹巻猫さんの記事にたどり着いた。すでに過去の記事で、劇場版「クラッシャージョウ」の音楽集について言及しておられる回(http://animestyle.jp/2013/10/22/6394/)だった。念のため書いておくけれど、腹巻猫さんは、本邦におけるアニメ・特撮音楽に関する研究者であり、その研究の成果は現在のアニメサントラ盤の解説を務められるほどの大御所さんである。腹巻猫さんが不定期に開催されていらっしゃる「サウンドトラック・パブ」に、10年ほど前に一度だけ飛び入りで参加したことがあった。他にお集まりのサントラ強者を知りもしないのに、夫婦でひょこっと顔だけ出して、流れる音楽を楽しむだけ楽しんで帰っていたのが、今もって緊張感を思い出させる記憶である。その時の温和で優しそうな語り口と、ご自身で運営されているサイトの掲示板でも、いくつかのサントラに関する疑問にお答えいただいて、後日大変恐縮した思い出がある。さてそんな腹巻猫さんが、「クラッシャージョウ」のサントラについて、どのようなお話をされるのかと思い記事に目を通すと、大変興味深い話が載っておりましてね…。

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プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
Twitter再開しました!

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