涼宮ハルヒの振れ幅~ハルヒのスピンオフ作品群~

 現在放送中の「涼宮ハルヒの憂鬱」で、「エンドレスエイト」が、まさにエンドレスで、まったく同じ話を複数回繰り返していることが話題になっている。端で見ているとどうしてこうも騒ぐのか、理解に苦しむ。正直言ってこれだけ騒げば、京アニの予想通りだと思うと、騒ぐに騒げない冷めた視線が、自分にあるのを確認できる。
 よくよく「エンドレスエイト」を見返せば、基本的な台詞回しや構成は同じであるものの、それぞれの回でのキャラクターの衣装や、カメラアングル、プールでハルヒが連れてくる小学生のお友達など、細かい違いが目につくことがわかる。私は、なにかこう、同じ作品で作画スタッフやスタジオの違いで、絵が変わることのパロディのように見ていた。しかしある日、mixiに寄せられている意見などをみていると、この繰り返しの元ネタは「プリズナーNo.6」であるとの意見があった。「プリズナーNo.6」とは、「村」と呼ばれる場所に軟禁された主人公が、「村」の秘密にせまろうと、何度も脱走にチャレンジするが全くぬけられず、何度も脱走を繰り返す話だ。なるほど、こういう見方もあったのか。まあ解釈はひとそれぞれであるから、本当にそうだという確証もないのだが。

 それにしても本編である小説は完璧に停滞し、小説のネタのストックを用いてテレビ版が放送されているが、「エンドレスエイト」でこちらも停滞気味だ。そんな中、エンドレス騒動とは別に、スピンオフ作品が活況を呈している。
 YouTubeで断続的に放映されていた「涼宮ハルヒちゃんの憂鬱」と「にょろーんちゅるやさん」はDVDで発売、それぞれの漫画版は好評連載中であり、角川書店からはコミックアンソロジー本まで出版されている。みんな好きだなあ。買ってる自分も人のことはいえないけど。

 さてこれらスピンオフ作品群の中で、アニメ版「ハルヒちゃんの憂鬱」は群を抜いて面白い。DVDでは「ちゅるやさん」とのカップリングもうれしい。そしてなにより、ハルヒちゃんたちのはじけっぷりは、心から楽しませてもらっている。
 「ハルヒちゃんの憂鬱」の中で、キャラクター達は2~3頭身のデフォルメされたキャラクターとして登場し、さまざまなギャグをかましてくれる。そのギャグセンスは、本編である「ハルヒの憂鬱」のキャラと同じ地平上にありながら、拡大解釈により本家の面白さを逆手にとっている。ハルヒちゃんのいきあったりばったり具合はさらに拡張し、無論理ぶりに拍車がかかる。みくるはどじっこメイドの属性を持たされており、必要以上にハルヒちゃん達にいじられまくっているし、長門にいたってはゲームオタクとしての属性を持たされており、もはや事態に無関心ではいられないよう、再設計されている。また本編ではすでにお亡くなりになっている朝倉涼子にいたっては、ちびキャラ「あちゃくらさん」として登場し、長門の身の回りのお世話をしている始末である。

 お話などあってないようなもの。いつものとおりハルヒちゃんの無理難題に、SOS団の面々が引っ張り回されるだけだ。原作のネタに準拠した話もあるにはあるが、ある意味でこれも別の側面を見せているだけである。いわゆるギャグ方向での拡大解釈ってことだ。昨今のメディア事情からすれば、同じような展開はいくらだってあるし、ハルヒだけが特別ではない。けどハルヒがこれだけ支持されて、商売となっている事情はどこにあるのか。

 「涼宮ハルヒ」というキャラクターは傍若無人でありながら、常識的な人間性も垣間見せる。そもそもが振れ幅の広いキャラクターである。「涼宮ハルヒシリーズ」という物語の幅は、まさに彼女に起因しているといって言い。頭身を縮めてもハルヒの物語が、ギャグとしても成立している理由は、小説本編上のキャラクターが、まことに大きい受け皿であることを証明していることに他ならない。それはその他のキャラクターにも言えるのだが、唯一キョンだけは立ち位置もキャラクターを変えずに、あらゆるスピンオフ作品に登場する。つまりキョンという一軸により、スピンオフ作品がすべて紡がれてると説明できる。どこまでいってもキョンという枷をもっているかぎり、どれだけストーリーや設定が逸脱しても、キョンというキャラクターが、作品の一貫性を醸し出す役割をになっているということだ。

 このキョンというキャラクターを決定づけたのは、原作におけるあらゆる場面での突っ込みの役目であるのと同時に、その多彩なつっこみを表現した杉田智和氏の、幅広い演技によるところが大きいと思う。氏のアドリブかと思わせるような台詞回しは、おそらく多くの脚本家を刺激し、さらなるアドリブで杉田氏は応えるのだろう。

 さて角川書店が発売している「コミックアンソロジー」シリーズも、すでに2冊目に突入した。基本的なスタンスはどれも一緒であるが、なにより「ハルヒ」という物語が有している要素の、何を拡大解釈するかが、各作品のミソである。ハルヒとキョンのささやかな恋愛模様も、少なからず含まれているのだが、もう少し見てみたいと思うのは、私だけだろうか? だがやり過ぎないということも、重要なことである。ささやかな恋愛要素というタームを考える上で、この「ささやかな」の部分が重要である。だがこの二人の気持ちがこのあとどう展開するのか、やはり本編の小説の続きが気になることはいうまでもない。一番の問題は、いっこうに再開しない本編だろう。その飢えや渇きを癒すために、これらスピンオフものに群がっているというところが、真実に一番近い事情だと思える。
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テーマ : 涼宮ハルヒの憂鬱関連
ジャンル : アニメ・コミック

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波のまにまに☆

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