映画「ゴジラVSスペースゴジラ」~俺たちのMOGERAが見たい!~

 「平成特撮世代」(中沢健著 洋泉社)を読んでいると、こういう本が書けるライターになってみたかったと、まじまじと思う。いや批判しているわけでも全肯定しているわけでもないのだけれど、少なくとも著者自身の想い出を、記録されている時代的事実を交えてルポルタージュ風に仕上げることで、読み物として成立してしまうことに、素直に嫉妬を覚えたからだ。だからって筆者がこの本が書けるかといえば、到底思えない。本を書く、もちろん同人誌ではなく一般書籍として商売を念頭においてこうした本を書くには、(たとえ企画書を著者本人が持ち込んだりする経緯があったとしても)ライターは出版社から選ばれる理由がある。こうした本を商売にするためには、

1)ライターがその筋で認められた実績を上げている
2)ライター自身が売れている
3)ライターが別の事情で著名である

などの事情が必要だ。1で認められて本を書けるならばこれ以上の喜びはなく、いっそこの1冊でライター人生終わってしまってもいいくらいだろう。だが問題は3で、実のところ送り手も読み手も、ニーズはここに集中するから、所詮辺境ブログの管理人ぐらいでは、同人誌すらも超えることはできないわけだ。「平成特撮世代」の筆者はすべての項目が満たされているので何ら問題はないが、とはいえ帯にある「平成特撮で育った世代によるはじめての本格特撮評論」は、あまりにも言いすぎな気がして、著者でもないのに気が引ける。

 まあそんな筆者の与太話は置いといて、先の本の第3章の後半で、「ゴジラVSスペースゴジラ」の名前がやたらと出てくるのだ。本文によれば、著者はちょうどこのあたりで1作目の1954年の「ゴジラ」を見てしまい、至高のゴジラ作品に触れてしまったが故に、公開前の「VSスペースゴジラ」に言い知れぬ不安を抱いたこと、そして同時期に学校でゴジラの話をする同級生がいなくなりつつあったことを吐露している。つまり過去と現実の両面で発言を封じられてしまいそうになった時期に、この「ゴジラVSスペースゴジラ」に出会っていることになる。40代の特撮ファンなら、いかにも過去に突き当たった、テーゼともいえる命題に踏み込んだ瞬間だったろう。だが著者はそれでも「ゴジラVSスペースゴジラ」を人気作と位置付けており、当時の小中学生にとっては平成ゴジラシリーズが根強い人気があったことがうかがえる内容となっている。それは間違いなく当時のオタクシーンにおける若い特撮ファン、あるいはゴジラファンの評価であって、さらに上の世代に洗礼を受けた筆者世代には導き出せない答えだったろう。筆者は「平成特撮世代」の著者・中沢健氏の文章をうらやましく思うと同時に、平成ゴジラシリーズに対する悪いイメージが払拭される未来を感じた。

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波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
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