所信表明のようなもの(長文)

1.アニメ作品、多くないですか?

 現在放映されているアニメ作品の本数をご存じだろうか? 少し古い話になるが、「Newtype」3月号によれば、2月に放送されるアニメ作品の本数は96本であり、このうち「サザエさん」や「ドラえもん」に代表される、1年以上のロングランを続けている作品は12本もある。残りの84本のほとんどは1年未満の放送期間であり、放送時間が夜11時以降の深夜の時間帯となる。
 この深夜の時間枠で放送されているアニメ作品は、おおむね1クール13話で終了すると、新たなアニメ作品と入れ替わる。1年4クールとして、先の84本の作品の半分がこの深夜枠だと仮定すると、1年間に制作されているアニメ作品は12本+42本+42本×4クール=222本となる。さらにNHKなどで放映されている15分の作品などを含めれば、さらに多くのアニメ作品が1年間に制作されていることになる。これは多い。ちなみに「アニメージュ」82‘11月号を見ると、この年の10月期に放映されているアニメ作品の本数は37作品であった。
 このような状況となった背景には、
 ①放送時間枠として深夜の時間帯のアニメ作品が増えた
 ②放送局として、U局、衛星放送、ケーブルテレビなどの多チャンネル化
 ③短期クールの作品が増えた
などが考えられる。他にも事情はいろいろとあるだろうし、何よりこれだけ多くの作品が作られている事情に関する問題については、とりあえずおいておくことにする。そうはいうものの、月に100本にならんとするこれらのアニメ作品を、すべて見ることは事実上できないだろう。
 このような百花繚乱とでもいうべき状況を呈しているアニメ業界ではあるが、その一方で気になることもある。最近大ヒットした作品ってあるだろうか。
 かつてアニメ業界は、何度かのアニメブームを経て、社会現象までに至った作品があった。「宇宙戦艦ヤマト」や「機動戦士ガンダム」しかり、もっとも最近のもので、90年代の「新世紀エヴァンゲリオン」がそうであろうか。アニメファンだけでなく、普段アニメなど見ないような人々をも取り込んで大ヒットし、かつての時代を象徴する作品が確実に存在していた。しかし作品数が多くなってきたにもかかわらず、最近の作品ではこれに準ずるほどのヒット作は存在しない。いやもっと端的に示せば、日常の会話の中で、共通の話題となるような作品は現れていないのではないだろうか。
 
2.みんなで語り合おうよ

 同世代の人間があつまれば、自然と話題になる事項を、ここでは仮に「共通言語」と呼ぶことにする。かつて「ヤマト」や「ガンダム」は、共通言語だった。ほかにも「とんねるず」や「夕やけニャンニャン」なんかもそうだ。いまでも飲み屋に行けば、ついその話題で盛り上がってしまう。簡単言えばそれが「共通言語」だ。
 こうした同世代の「共通言語」が生まれる土壌は、その時代がかなりの確率で、みんなで同じ方向性を向いており、同じ感性や時代に対する不安などの共通認識の上に成立するものと、私はとらえている。別にアニメ作品に限った事じゃない。人によっては「あぶない刑事」だったり「月9」に代表されるドラマだったりするだろう。人が集まり、その話題が出れば、自然と語り合ったり議論したりする土壌となるもの、それが「共通言語」だ。
 ところがこの「共通言語」に相当することが、近年失われて久しいと感じているのは、私だけだろうか? 最近の20代の若者は、何について語り合ったり議論しあったりしているのだろうか? 大きなお世話かもしれないが、40歳代に手がかかろうとしているおじさんとしては、同年代の友と、語り合ったり議論したりする土壌となる「共通言語」すらないのでは、語りようがないのではないかと心配なのだ。それはコミュニケーションの否定だし、社会性の欠如だし、議論しないことからは、新しい何かは生まれない。何も生み出さない社会は停滞し、衰退していくだけだ。これだけはなんとか避けたい。

3.アニメ業界には批評が足りない
 アニメ業界は批評に耐性がないということが言われて久しい。「アニメージュ・オリジナル」における東裕紀と山本寛との対談や、「季報 唯物論研究 第104号」の特集記事でも繰り返されている。要約すれば、アニメ業界は批評を受け入れるだけの許容量がない、脆弱な業界であり、それゆえに文化としてレベルが低いということだ。
 アニメ業界に批評が根付かない事情はいろいろある。その最たるものは、必要とされていないということだ。
 現状のアニメ誌を見て欲しい。これらに必要なのは、個々の作品の批評ではなく、グラビアと作品の情報だ。しかもアニメ誌に批評や議論を行うページがほとんどないことは、これを端的に証明している。実際、批評をしたところで、一度制作された作品が、作り直されることはない。つまり批評には何かを正す効能はないってことだ。
 じゃあ、批評などそもそも必要ないんじゃないかいうと、個人的にはそんなことはないと考えている。絵画でも文壇でも映画でもいい、「文化」と呼ばれる一翼を担う各々のジャンルに、批評が存在しないなんてこと、一つもありはしない。アニメだって立派なサブカルチャーであるからには、やはり批評が必要なんだと、あらためて気づく。あとは批評が存在するための場所さえ確保すればいいことなんだ。

4.批評が必要だと思うわけ
 ではあらためて、何ゆえ批評が必要なのか。私が考えるに、議論をするための土壌を作りたいからだ。前述の「共通言語」がなくたって、人々が議論をするための口火をきることぐらいはできるのではないか。誰かの考え方に対するアンチテーゼを提示することで、議論を展開させ、新たな思考にたどり着く可能性があるんじゃないか。その意味においては、アニメ業界には、議論を行う土壌となる批評が、まだ足りないのだろう。
 またその効能はきわめてささやかながら、批評によって「いままでだれも光を当てなかった作品に光をあてる」ことができる。これはもっとも意義深いと考える。作品数にまぎれてしまう作品が再評価されて、ソフトの再発売につながったりするならば、その批評は商売としても意味があるといえる。
 アニメでも特撮作品でラノベでもなんでもいい。それを見終わったときに、自分の内側に生じた感動を、だれが止めることができるだろう。その感動は、一度は心のうちに消えていくかもしれない。それがあるとき何かのきっかけで他人との共通言語となって話題となったとき、再び頭をもたげるその感動と向き合うことは、決して悪い気のすることではない。私はこの場を借りて、堂々と批評を展開していこうと思う。
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波のまにまに☆

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