オリジナル・ビデオ・アニメの多様さ

 前々回、「Zガンダム」を受け入れたものの、時代のフラッグを手に入れられなかった世代の話をした。けれど僕らの世代は何も手に入れてないわけではない。むしろ世代としてのフラッグを手に入れられなかったからこそ、様々な作品を浴びるように見てきた世代でもある。
 それは先達である「おたく第一世代」が、大人であることの分別のために、視聴を諦めざるを得なかった作品まで、「子供番組である」という1点のみで、無差別に、しかも無制限に視聴することが可能であったのだ。当然親や世間体との確執で、視聴を諦めた人もいるだろう。だが、オイルショックもやり過ごし、世はなべて大量消費からバブル景気の時代まででを少年期として無制限に視聴していた時代である。

 特に1970年代初頭には、「仮面ライダー」で味を占めた大人達が、低予算で多くの特撮番組をでっち上げる。そしてそれに負けじと東京ムービーや東映動画などの老舗プロダクションが、ロボットものを主体とするアニメーションを作り上げる。当時の子供達は浴びるようにそれらを見て育っていくのだった。そしてテレビの世界がある程度飽和状態になったとき、まだ効果だったビデオデッキを普及させる目的で、オリジナル・アニメ・ビデオが登場する。
 ようは、テレビでは見ることが出来ないアニメ作品を作るから、みたい奴は金払って見ろってことだ。この状況下に、レンタルビデオ屋が食いついた。高価で買えないビデオアニメを、レンタルで出来るだけ安く見る。これにより、オリジナルビデオアニメ(OVA)は、普及する。

 最初の1本目は「ダロス」という作品で、あの押井守監督作品だという。1983年の事でる。ただしこれだけでは、購買に至らない。ビデオデッキの普及が、そのままアダルトビデオの普及であったように、OVAもその手を借りることになる。「くりいむれもん」シリーズの登場となる。またテレビで人気となった作品のスピンオフものも登場する。「クリーミーマミ」などがこれに相当する。そして現在まで連綿と受け継がれる、OVAの歴史がスタートする。そしてアニメーションの世界に、テレビアニメとは異なるセンスの作品が多数登場した。分類すれば以下のようになると考えられる。

1.完全オリジナル作品
2.人気テレビアニメのスピンオフや後日談を扱った作品
3.人気漫画や小説を原作とするアニメ
4.アダルトアニメ

 有名なところでは、「超時空要塞マクロス」のスタッフが作成した「メガゾーン23」、ダロスを作った押井守の、OVA代表作となる「天使のたまご」、小説が大人気であった「吸血鬼ハンターD」、テレビ版ボトムズの前日談となる「ラスト・レッドショルダー」などがある。いやはや多すぎで書くことが出来ない。

 OVAの特徴といえば、まずテレビではたぶん通らないであろう企画をアニメ化したことだろう。原作付きの作品でも、内容的にテレビに向かなかったり、話が短すぎるため放送枠を足りにくい作品でも、OVAという媒体なら関係ない。そしてテレビでは作成時間の関係で、やりにくかった作画に時間を掛けることで、テレビ作品では味わえない、質の高い作画の作品が作られた。OVAというジャンルに関して言えば、「作画崩壊」などというのは、本来存在し得ないはずなのだ。そして視覚効果や、作画によるエフェクトの多様性が花開いたのも、OVAの特徴である。

 ロボットアニメに限定すれば、数多くの氷川竜介氏の著述にあるように、巨大ロボットの作画による巨大感の出し方や、その動きのエフェクトなど、著しい技術の進歩がかいま見える。たとえば「冥王計画ゼオライマー」に出てくる八卦ロボの戦闘シーン、「破邪大星ダンガイオー」における、ぐねぐねとしたシルエットの主人公ロボであるダンガイオーの動きや、必殺技のシーンなどは、従来のテレビアニメでは満足できなかった優秀な作画マンの、快き暴走により、現在でも視聴に耐えうるハイレベルの映像を生み出すことに成功している。

 ある程度このジャンルも飽和状態となる1988年頃になると、さまざまな試みで状況を打破しようとする作品が生まれてくる。その一つが「機動警察パトレイバー」の初期OVAシリーズだ。この作品も押井守を含むヘッドギアという集団が、企画製作した作品だ。漫画とのメディアミックスでも先駆け的な作品でもある。本作品はなんといってもビデオ1本の価格が安かったことで、さらなる購買に拍車を掛けたのだ。同じ年、GAINAXは「トップをねらえ!」を発売し、金額にたがわぬ濃密でハイレベルな作品を送り出している。

 反対にテレビアニメの世界は、徐々にその時間枠をバラエティや情報番組に明け渡し、再放送枠も少なくなる中で、その放送本数を減らしていく。これがOVAのレベル上昇を加速させる結果となる。
 テレビでの作品展開が出来なくなった作品は、自然とOVAに発表の場を求めることになる。ガンダムシリーズも例外ではない。「0080 ポケットの中の戦争」や「0083 スターダストメモリー」の成功は、ガンダムシリーズの継続と、関連商品の展開を後押しする。

 なにかと話題を振りまいたのは「銀河英雄伝説」のアニメ化であろう。その長きにわたる物語を、およそ100巻のビデオ作品としてまとめ、1巻ずつ販売していった。そしてOVA作品として忘れられない作品が「ジャイアントロボ・ジ・アニメーション」であろう。完成まで数年を費やして完成させた、今川泰宏監督作品である。そのけれん味あふれる演出、壮大な音楽、それに負けないキャラクター達による集団劇は、連続冒険活劇の面白さに、今更ながら納得できる作品である。

 他にも取り上げたい作品がいっぱいある。いわば百花繚乱の様相を呈しているといっていいだろう。こういった作品を、自分たちよりも経済力のある先達により見せて貰い、やがてレンタルビデオ店が氾濫することで、自分たちの資財でも何とかなるようになると、こぞってこれらの作品群を見ることになる。当然テレビも当たり前のように見ている。テレビの世界でも生き残るために必死に進化し続けたアニメーションは、OVAという媒体を得ることで、さらなる進化を遂げようとする。そして花開いたOVAは、多様性を持って飛躍し続ける。

 その様子は、まるで生物の進化を見るような思いだ。その証拠に、現在のOVAの状況を見るがいい。その本数は圧倒的に減り、その土壌は深夜アニメに取って代わられた。深夜アニメが、出版業界を食いつぶすかのように、作品をむさぼり、短いスパンで食いつぶしていく様は、一時期のOVAにも見られた状況だ。異なるのは主導権を握っているのが、食いつぶされているはずの出版業界の側だということだけだ。だから深夜アニメだっていずれ栄枯盛衰が待ち受けている事は、予言にもならない規定された事実だ。

 悲観していても始まらない。そういう時代に生まれついた世代なのだ。とにもかくにも、数多くのテレビ作品と共に、「OVA」という媒体と作品群を手に入れることが出来たのだ。

 本ブログでは、時代に埋もれてしまったようなOVA作品も取り上げるつもりである。もしもその目にかなうのであれば、レンタル屋にかけつけて、借りて見て貰うことができれば、再評価した甲斐があるというものだ。願わくば、私のつたない文章がその一助になればと思う次第である。
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テーマ : アニメーションの評論・感想
ジャンル : アニメ・コミック

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波のまにまに☆

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