フミコの告白~齢40歳のアニメ好きの悪癖~

 「フミコの告白」は、最近になってmixiや氷川竜介さんのブログでも取り上げられ、話題になっている作品だ。「Tete」さんというアニメーション関係の就職を希望されている学生さんがお作りになった作品だとのこと。とりあえず以下のアドレスにて、ご覧下さい。

http://d.hatena.ne.jp/Tete/

 いやあ、楽しい作品である。「おばか」とでも言えばいいのか、「ばかかわいい」とでも申し上げるべきか。短い作品であるから、詳細を説明するのは反則だろう。いつものようなネタバレは控えますが、女学生のフミコちゃんが男子学生に告白するけど断られちゃって、なぜか勢い余って・・・・という、いわばシチュエーションコメディのような短編アニメである。この勢い余っての部分のきっかけが、あまりに細かすぎて伝わりにくく、1度見ただけだと急にアクシデントが発生したように見えるが、そこがまたどうでも良くなるほどおもしろい。最後のオチまで秀逸なので、ぜひ見ていただきたい。
 氷川さんのブログでは、「アニメーションの面白さの本質はかわらない」とおっしゃっている。確かに短い時間の中で起承転結があり、物語の面白さもさることながら、絵として書かれたものが、めまぐるしく変化し、風景としての背景も、フミコ自身も刻々と変化していく様子は、アニメーションとしての「動」を担う部分を楽しむ感情を喚起させる。なによりフミコの動きが単調ではなく、徐々にスピードアップしているのがまたいい。漫才やコントでも、観客が面白がる部分をピックアップして、何度も繰り返して加速させる手法(品川庄司の漫才に特有)があるが、まさにあれである。また「こうはならないだろう!」という映像を見せている驚きもある。それこそは「アニメ」としての領分だろう(「ここが」と書けないのが悔しいが)。とりあえずフミコの「スカート」に注視してほしい。

 と、まあアニメーションとしての面白さにあふれ、久しぶりに爽快感を味わえる作品に巡り会えた充実感もある。だが同時に2つの悪癖に気づかされた。今回はそこに注目してみたい。
 まず一つは、この作品を見て、まず自分の記憶に照らしてしまったことだ。いうなればこの作品の面白さは、手塚治虫氏のアニメーション作品「ジャンピング」という作品と、面白さの質が似ていることなのだ。同時にこのフミコのスピード感は、「ルパン三世 カリオストロの城」の中盤に出てくる、カリオストロ城の屋根でのルパンの一幕によく似ていると思ったことなのだ。
 人間誰しも、自分の記憶の中にあるアーカイブを検索し、より似通ったデータを探し出して参照するシステムを持っている。当然その参照のための記憶を持っていることが前提なのである。だが私はこの作品を見て、即座に上記の二つの作品を想起させた。この時点で、私はこの作品に驚きを感じないだろう、面白いとは言えないのではないかと疑念を持ったのだ。だがそれはこの作品のオチの部分で払拭されることになるのだが、こうした参照機能、あるいはすでに記憶している映像が、こうした負の感情を喚起させることに、いらだちを覚えたのだ。どうしてもっと虚心坦懐にこの作品を見ることができなかったのだろうと。この一点だけで、私はこの作品の面白さを、見失ったのではないかと思えたのだ。何かあたらしい映像を見たときに、「これは~と同じだね」という置き換えの作業を、無意識にしている自分が、なんとも情けない。それをして新味がないといいはなち、新しい作品を否定する輩がなんと多いことか。まあ長いこと生きていればこうなるさとの諦めも含みつつの反省ではある。

 そしてもう一つは、「フミコ」自身についてである。最近のアニメシーンの問題点は繰り返しになるのでやめておくが、ラノベや漫画に原作が求められる作品が多いことは、周知の事実である。だからアニメを見るときは、すでにそこに存在している人物を「キャラクター」として認識する。その情報は、好きな作品なら当然、アニメとして動く以前に知っている場合が多い。だからアニメ作品の中の人物は、すべてが「キャラクター」として知っている情報が、いかに動くかということが、かなり大きなウエイトを占めることになる。だが「フミコの告白」は、まったく知らない人物が、物語を作り出す。そして走り出し、転げ落ちていくという、それだけのものである。そこには「フミコ」のバックボーンなど、知る由もない。ということは、アニメーション本来の楽しみとは、そこに「キャラクター」として情報が制限されていても楽しめるものだということだ。最近の商業アニメになれきったためか、こうした「アニメーション」本来の楽しみ方を忘れているような気がした。

 私は以上の2つを「悪癖」と呼んだ。それは「フミコの告白」を見て気がつかされた、長いこと映像媒体を見ている人間の傲慢だと思ったからなのだ。だが本来的な「オタク」の楽しみ方というのは、こうしたアーカイブ化された情報を、多様に楽しむことなのではないのかとも思うのだ。だからそうした参照を否定はしない。ましてや好きな原作がアニメとして動くことの愉悦だって悪くはないはずだ。けれど「フミコのキャラが立ってない」などという輩がいるとしたら、それはなんか違うと思うのだ。アニメーションの中に潜むエモーションは、そういった類に限定されるべきではないと思うのだ。

 ん~、ちょっとマジになっちゃったかな・・・・

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