「電人ザボーガー」~君知るや、ピー・プロ作品の妙味~

 このところ私自身の特撮熱が再燃しており、記事も特撮作品ばかりを取り扱っている。アニメ作品を待っていらっしゃる方には大変申し訳ないのだが、もうしばらくおつきあい願うことになりそうである。ちなみに予告になるのだが、現在視聴中なのは「仮面ライダー剣」「ウルトラマンマックス」などである。いずれも近年の作品では評価が低かった作品である。お楽しみにしていただきたい。

 さて本論に入ろう。テレビ特撮はその製作会社で、ある程度ジャンル分けされることはご存知のことだろう。ウルトラマンシリーズの「円谷」、戦隊やライダーの「東映」がおおむね二大巨頭だろう。その他にも「東宝」のゴジラの流れを汲む番組や「宣弘社」などもある。今回扱う「電人ザボーガー」という作品は、「ピー・プロダクション(略称ピー・プロ)」という会社で作られている。このピー・プロ作品としては他に、「マグマ大使」「快傑ライオン丸」「鉄人タイガーセブン」「スペクトルマン」などが有名どころである。なお「マグマ大使」は、かの「ウルトラマン」よりも先に、カラー特撮番組としてテレビに登場した作品でもある。原作は手塚治虫氏であるから、「鉄腕アトム」が国産初のテレビアニメだったこと同様の先見の明を感じる(まあ新しもの好きだった可能性は否定できないけど)。

 「電人ザボーガー」は1974年4月からフジテレビ系列で放送された。放送話数は全52話であるが、2クール(26話)の再放送を含んでいる。また時間枠の移動や40話以降の路線変更などの紆余曲折を経て製作された作品である。本作はまた同時期に放送された「冒険ロックバット」とともに、ピー・プロ制作作品としては最末期の作品であり、これ以降ピー・プロとしては特撮作品を製作していない(最近になって「ライオン丸G」という作品が製作されたが、こちらはピー・プロ作品ではない)。

 物語は警視庁直属の特命捜査官「秘密刑事」である大門豊(演 山口暁)と、彼の父親である大門博士が開発したロボット・電人ザボーガーが、悪之宮博士(演 岡部健)率いる世界的な犯罪組織シグマ団や魔神三ッ首竜率いる恐竜軍団との戦いの物語である。基本的に1~2話で完結する物語であるが、その物語は大門がザボーガーと共にシグマ団を壊滅させ、その後に現れた恐竜軍団を壊滅させる話の流れになっている。実のところ物語的に、紆余曲折するような物語ではなく、各話に登場するシグマ団が繰り出すロボットや犯罪者、恐竜軍団のメカアーミーと戦う、子供にもわかりやすい話として作られている。

 特筆すべきは大門とザボーガーの関係だろう。ザボーガーはまず大門なしでは行動できない。大門は子供の頃に父親の大門博士により、心臓に電極回路が埋め込まれている。この回路に、怒りの電流が流れたときに、ザボーガーは大門の怒りに呼応して行動するように設計されている。まさにザボーガーは大門の怒りの化身である。この回路は最終回で同居している男の子の命を救ったり、すでにエネルギーがつきかけたザボーガーを起動させたりする、物語上重要なアイテムであるのだが、その細かい設定は本編中で明かされていない。
 ザボーガーはまた大門のかぶるヘルメットについているマイクからの命令で作動し、時にはバイクに変形し、移動を共にする。本来ヘッドランプがついているはずの場所に、ロボットの顔がついているバイクの、偉大なインパクトを見よ! これこそが他の会社の製作する特撮とは異なる、まさにセンス・オブ・ワンダーが結晶化した姿のように感じる。
 ロボットとしての武装は、耳についている「ブーメランカッター」、腕から拳部分を鎖をつけて放つ「チェーンパンチ」、そして口の部分から現れるのは、幾多の強敵を破壊した「速射破壊銃」である。えっ? 3つしかないの? と思われるだろう。いやほんとに、これだけで戦い続けたのである。その他ザボーガーの内部に隠されている小型の探査アイテムとして、ヘリキャット、マウスカー、シーシャークなどがある。これらはザボーガーの探知機の部分を肩代わりしていることから、ザボーガー自身は本当に戦闘と大門の移動のみを担当しているということになる。この仕事分担は見事だ。まあたまにシーシャークが飛び道具にされているシーンもあったけどね。
 
 大門自身に視点を移すと、彼は空手の達人ということになっている、これは当時に流行した「ブルース・リー」のカンフー映画に由来する。日本でも倉田保昭氏がカンフーの達人としてテレビ番組の主役を務めた作品もある。この流れにのった設定だ。だとしたらザボーガーいらなくね?と思ったあなた。そうは問屋がおろさないのである。大門の敵であるシグマ団は、犯罪ロボットと同時に人間の犯罪者も同時に現場投入するので、人間は大門、ロボットはザボーガーという役割分担ができている、
 各話終盤になると、毎回大門が放つ必殺の「飛竜三段蹴り」が炸裂する。大門役の故・山口暁氏は別にアクション俳優さんではないから、あくまで演技であるが、その子供の目にも明らかなほどの力の入ったアクションシーンは、当時の子供に大いに受け入れられたのである(引きもしたけどね)。ただ大門が人間相手に戦っている時は、ザボーガーに命令を送っている余裕がない。そういうときのザボーガーは、防戦一方になるので、見ていてもの悲しい思いをしたものだ。ザボーガーは決して大門の命令から外れた行動をとらない。けど「ファイトだ、ザボーガー!」などというファジーにも程があるような極めて曖昧な命令でも聞いてしまい、パンチやキックを放つのであるから、そのコンピューターの優秀性は世界に誇っていいと思われる。

 さて中盤になると、まず大門にライバルが現れる。その名は「秋月 玄(あきづき げん)」。高性能バイク マシーンホークを駆り、ザボーガーに乗る大門とバイクアクションを見せてくれる。また秋月も空手の達人である。強き者は強き者を知るというから、自然の成り行きのように大門と激しくぶつかりあうことになる。だが彼は悪之宮博士に育てられた青年であり、頭には博士の命令に背いた時に電流が流れる「鉄の輪」をつけられているのだ。サンダーパンチやハリケーンパンチを繰り出し大門を追い詰めるが、決着は大門の勝ちとなる。そして最後は最愛の妹の暮らす孤児院(博士に育てられたんじゃなかったの?)で崩れ落ちるのである。

 またザボーガーにも危機が迫る。必殺の速射破壊銃でも倒せないロボットが登場するのである。特に23話から29話にかけて登場する、車をロボットに改造したようなシグマ団ロボットたちの異形には、本当におそれいる。まず軽自動車の上に、ロボットの上半身をのっけたような姿の「デス・ガンダー」、4tトラックの前方をブルドッグ型の顔に改造し、長い手をつけたような「ブル・ガンダー」、そしてデス・ガンダーの改良型である「ヘルガンダー」である。デス・ガンダーはザボーガーをひき殺そうとするし、ブル・ガンダーの巨大さは、ザボーガーでは手がつけられないほどだった。しかもデス・ガンダーは、トンネル内でそこを通る車をおそいつづけ、トンネルの暗闇から登場するシーンは、子供心に本当に怖かったのだ。現在の大人の目で見ると、段ボールで作られてような張りぼてを想像させるような出来である。だがその巨大さ、車のボンネットにロボットの上半身が乗っているという異常さがなんとも不気味であり、このあたりのセンス・オブ・ワンダーこそが、ピー・プロ作品の味であることを再認識させてくれるのだ。それはまた巨大なブル・ガンダーの弱点が、額の赤いポッチであるというのがモロバレな件も含めての話である。

 物語は40話にしてテコ入れが入る。まず恐竜軍団の大攻勢により、ザボーガーが敵の「メカアーミー」にまったく歯が立たないという厳しい展開が待ち受ける。すると新ヒロインと共に登場した「松江健」が乗る、バズーカーを2つ搭載させたバイク、「マシーン・バッハ」とザボーガーが合体することで「ストロングザボーガー」が完成する。バイクとバイクを合体させるという、特撮技術も大して使わない映像でそれを見せきるという無茶の中で、ストロングザボーガーは完成を見るのである。これにより恐竜軍団のメカアーミーに苦戦していた状況が一転するのである。またそれ以前には大門の隠れ家となる「ザボーガー基地」も完成し、この基地の攻防もありながら、一進一退の戦いを繰り広げ、ついには恐竜軍団を倒すことに成功する。それもすでにエネルギーが底を尽きようとするタイミングでである。最終的にザボーガーは大門たちを守るように三ッ首竜とともに爆発四散し、日本の平和は守れたのであった。

 いささか茶化しながらの説明となってしまったが、この作品の本質は着ぐるみ特撮として、ある意味極限まで予算に苦しめられ、視聴率に苦しめられた結果だとも言えるところだ。だがそこに通底するのは、東映の「ロボット刑事」にも似たシチュエーションでありながら、全く新しいロボットアクションとカンフーアクションの融合を試みた製作スタッフの、努力と根性の姿だろう。
 また大門とザボーガーの関係は、ある意味でロボットと人間の良好な関係であると見ることもできる。最終回でも恐れることなく三ッ首竜と自爆したザボーガーである。大門も断腸の思いでその命令を下したに違いない(画面見るとそうでもないけど)。エンディングの歌詞には「俺とお前は兄弟なのだ」とある。作詞しているのは、初期の数話の脚本を担当している上原正三氏だ。氏が本作にこめた思いが、ここに想像できるだろう。ロボットと人間が共存するための距離感、それはこれぐらいがちょうどいいんじゃないですか?という、低姿勢の提案にも思える。だが大門は精一杯愛情をこめてザボーガーに接し、ザボーガーを信頼している。だからザボーガーは背中をあずけてバイクに変形もするし、大門をかばいながらも戦える。ちょっとだけ説教臭いことを言わせて貰えば、自分の持ち物を大事にしよう的なものいいが聞こえてくるようだ。それを決して説教に聞こえないように、王道の技楽作品として作られた本作は、人間もロボットも、そのなすべき仕事をまっとうしようとした姿を示した作品と言える。こうしたお気楽な作品は、いまどきの小難しい特撮作品を見飽きた人には、よい骨休めになるのではないだろうか? なんにせよ、おおらかな作品であった。

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波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
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ピカード艦長が大好物。
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