ウルトラマンマックス~その1 原点回帰の意味~

 「ウルトラマンマックス」は、前作「ウルトラマンネクサス」のあとを受け、2005年から2006年にかけて放送された作品である。前作「ネクサス」が不振を理由に放送期間を短縮されたあおりで、短い製作期間で製作された作品である。「ネクサス」が「ウルトラNプロジェクト」の一環として、前日談となる劇場用映画「ULTRAMAN」が制作されたのとはうらはらに、マックスを主体とした映画も製作されず、またゲームも制作されていないやや不遇の作品となった。ただしそれは本作が初代ウルトラマンへの原点回帰を目指すきっかけともなったわけであるから、むしろ結果オーライと思えばいいのかも知れない。

 ではここで言う「原点回帰」とはどういうものだったろうか。検証してみたい。
 まずウルトラマンマックス自身については、人気投票ではかならず上位にランクインするウルトラセブンをモチーフにしたウルトラマンであり、同時にやや小柄で引き締まったように見えたセブンに対して、筋骨隆々な見るからに強そうなウルトラマンを生み出す。かつて平成3部作「ティガ」「ダイナ」「ガイア」の時には、このようなストロングタイプのウルトラマンはやや敬遠されがちだったと思うのだが、本作に関してはむしろこの方がいい。

 怪獣の登場はあくまで地球環境の変化に対するカウンターの意味合いが強く、オープニングでほぼ毎回のように繰り返される枕詞からも、はっきりと「怪獣災害」という言葉と共に、自然の代弁者たる怪獣の役割が描かれている。同時にセブンでもあつかった「侵略者に狙われている地球」というスタンスももっていること、かつてのウルトラマンシリーズでの出来事は、基本的に記録として残されていることが明かされる。だから怪獣たちは同一種の別個体という認識がなされている。

 そして物語は特にシンプルにしていることも重要なポイントである。これまでの作品群が、連続物語としての構造を取り入れ、主人公たちが悩み苦しむという人間としての側面を持つウルトラマンという設定を飛躍させていった経緯で物語が複雑化していったきらいがある。「ティガ」における物語が最終三部作に集約されて成功したように、以降のウルトラマンシリーズは、基本的なテーマを設けてテーマに沿うように脚本が製作されてきた。それは先行した「平成ガメラ」における重厚なストーリーであったり、後発の「仮面ライダークウガ」が1年をかけて突き詰められたテーマ性を考えれば、至極当然の流れだったのだ。それをあたかも否定しようとしたのである。これらは「ウルトラマン」という作品が持っている魅力であると理解されたのだろう。原点回帰というからには、これらを斟酌した結果が、作品としていかに反映されているかが問題となる。

 1話では新しい怪獣を創造し、怪獣災害を展開させることで、発生する謎の災害、その原因たる怪獣の襲来、怪獣による破壊を食い止めようとする防衛チーム、そして危機迫る瞬間でのウルトラマンの登場による怪獣退治と物語の終幕まで、一気にたたみかける。その展開はたしかに王道にして正当なウルトラマンの再来を思わせる。頭で考えるよりも心で感じる事ができる高揚感。これこそがウルトラマンの醍醐味だろうと思わせてくれた。
 2話では二つ名を「放電竜」と変えたエレキングが登場する。かってピット星人に操られていた怪獣は、人間の寂しい心にとりつくことで繁殖するやっかいな怪獣となる。事件の発端から調査、真相究明にいたる一連が、ウルトラセブンにおける対宇宙人の対応に似ているし、かつての人気怪獣の再登場は、たんなる顔見世興行ではないことがわかることで、不安を払拭されることになる。
 そして3話ではウルトラマンに変身する青年カイトが、己の慢心故に変身できなくなってしまう物語であり、「帰ってきたウルトラマン」を初めとする第二期怪獣ブームの作品群に由来する話も登場する。そしてこの回の登場怪獣は「ティガ」に登場したガゾートにちょっと似ている。
 続く4話では侵略宇宙人による地球侵略が堂々と行われる話であり、どこぞのカエル軍人に見せてあげたいほどの王道っぷりをみせる。また5、6話では多々良島の再来を思わせる怪獣島が出現し、ピグモンやレッドキングが登場し、新しい怪獣と戦わせる演出を見せる連続物語となる。しかもレッドキングは爆発性の怪獣島の岩を飲み込んでおり、それを口からはき出して攻撃するという荒技を見せる。

 ここまで来ればおわかりだろう。物語も登場怪獣も実にバラエティに富んでいるではないか。それはかつて製作されてきたウルトラシリーズの遺産を、丁寧に拡大再生産した結果なのである。たんなる焼き直しだという見方もあるだろう。だが変に理屈をこねくり回し、大暴れする怪獣や宇宙人を目の前にして、自分の問題に決着をつけられずに悩むヒーローの姿なぞ、見ていたくはないのである。そんなもの3年に1本あればいい。
 結局こうした各話ごとのバラエティは、脚本家や監督のシフトによる副産物でしかないのであるが、それこそが初代「ウルトラマン」の魅力なら、マックスの魅力もこれに習っていると言える。まさに空想科学特撮シリーズの復活であった・・・・と思ったのだが、これがまたうまくいかないのである。端的に申し上げれば、それほど面白くなかったのである。

 この原因の一つを、本作の防衛チームである「DASH」に求めてみたい。問題は人材ではなく、装備である。
 東京湾岸に浮かぶベースタイタンを拠点とし、日本を含むアジア地域の平和維持のために存在するのが彼らである。その戦力は母艦であるダッシュマザー、その中に配備されていたり、ベースタイタンより直接発進して現場に急行するダッシュバード1および2、地上戦力としては可変特装車ダッシュアルファと特殊バイクであるダッシュドゥカがある。航空戦力としては他にUDFの戦闘機が存在する。通常活躍する装備は、おおむねこんなものである。そして23話で登場するダッシュバード3は、本来特殊潜水艇でありながら、変形して航空戦力となったり、アタッチメントをとりつけて地底戦車になったりする無軌道ぶりである。さてここで問題なのは、宇宙に出て行くための戦力がないことである。かつて「ダイナ」では、行き過ぎた科学力を背景に宇宙へ進出する人間が、「宇宙」という未知の舞台でどう活躍するかが問われる物語を紡いできたことがある。そのため無用に宇宙に出て行くことは避ける方向性で企画が成立した可能性がある。また宇宙を舞台にした派手な特撮が避けられた事情もあるだろう。だがそうした切り落としがフロンティアスピリッツをそぎ落とす結果となったのだ。

 簡単にいってしまえば、ウルトラマンにあった宇宙へのあこがれや地底や海底に潜む謎の生物といったタームが、ウルトラマンマックスには見られない。さらにいえば科学への憧憬もないのである。こうしたワクワク感が否が応でも盛り上がる物語が登場しない。そこには冒険もなければ発見もない。狭い地球に閉じ込められているように生活している人間の、小さなドラマがあるだけだ。逆にその日常描写をこそ評価することもできるだろう。実相寺昭雄監督による2先品や上原正三脚本の2作品に見られる、ノスタルジーの極地とも思える画面や構成は、たしかに何をか訴えることだろう。だがノスタルジーだけでは満足できない。ウルトラファンとは、かくも贅沢にできているのだ。

 このこと自体、科学への信頼の失墜の証であるとともに、科学の進歩が世界を明るく照らすだろうと思われていた1960年代とはことなる現在の世界では、成立しがたい条件なのかも知れない。日本人が科学の表舞台に登場することも珍しくなくなりつつある昨今、日本の科学への政府側からの支援は、事情も鑑みないお財布のひものつもりになっていうお調子者の議員のために、それ自体が無くなりつつある。前提となる政府方針がどうあるにせよ、こうした科学への無理解と日常の生活にある科学との乖離は、むしろこうした作品からも「科学」の立場を失わせてしまうことになる。

 さてこんな場所で嘆いていても仕方がない。次回はもう少しウルトラマンマックスの物語や新しい怪獣や宇宙人に関して、その魅力について切り込んでみたい。

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