宇宙戦艦ヤマト復活篇<Side-B>

 ここからはつっこみの時間の始まりである。Side-Aを書いている途中で、何度脱線しそうになっただろう。自分を軌道修正するのに、精一杯だったのである。まあSide-Aで免罪符にはなったろう。ここまでたどり着いたのだから、このSide-Bでは盛大に突っ込んでおこうと思う。

 さて本作を見たとき、本編に入る前にまずつまずいたのが「原案 石原慎太郎」の文字である。いきなり心臓をわしづかみにされるかと思うほどの落胆である。そしてこの時点で物語の破綻は目に見えていたのである、だってこの東京都知事がかつての「ヤマト」をごらんになっているとは思えないのだ。そんな方が訳知り顔で物語をどうこうしちゃうのであるから、疑わないほうがどうかしている。

 導入はいい。羽佐間道夫氏のナレーションは「ヤマトよ永遠に」以来の登板であるから、そのイメージを考えれば決して悪いものではない。だが広大な宇宙から太陽系にクローズアップされ、気が付くと地球にパンしてみると、そこにはおどろくことにオーストラリア大陸やフィリピン諸島がはっきりと写る、実に美しい地球の姿が映し出される。待て、「ヤマト」の1作目で、壊滅的な打撃を受けた地球が復興した姿はどうなったのだ?こうなると、すでに今後の展開も怪しんで当然となる。

 現時点で地球が脅威にさらされている原因である「カスケードブラックホール」。この設定には魅力を感じるが、ブラックホールが認識として中心部に空間が存在するのであれば、その空間の反対側は別の空間に通じているというのは、現時点での宇宙学的な常識として扱っていい知識だったはずなのだ。だがそれが移動するということは、反対側に抜ける空間まで移動していることになるのか? むしろ入り口が自由に動いていながら出口が固定するというのは、どう考えてもおかしいじゃないか。ってことは本質的にブラックホールというのは動かないものだと思っていいんじゃないだろうか。ましてやブラックホールが生まれるのは恒星が消滅したときにできる超重力崩壊が原因だと思っていたが、ブラックホールが生まれて飛び出すっていうイメージには、さすがに度肝を抜かれる。

 第一次移民船団は多層式の艦艇で、窓ガラスに埋め尽くされている。当然このガラスにだって、外が見える開放感のためとかいう理由があるだろうが、この時点で地球が侵略を受けていないというだけで平和ボケしている状況が見出せる。これが突然襲撃を受けるわけだから、平和ボケした日本がいつテロの対象となるかを警告しているようにも見えるのだが、マズいのは旗艦が「ブルーノア」である点だ。原点である「宇宙空母ブルーノア」という作品をご存じない方のために説明させてもらえれば、この物語は地球が宇宙からの侵略者に支配されてしまっている地球でレジスタンス活動をし、なおかつ宇宙で敵を撃滅する目的を持っているのだが、最後まで完遂できずに打ち切りになった作品だ。縁起の悪いことこの上ないのである。しかも襲撃にあってなすすべなく、古代の嫁である雪を無慈悲に脱がす舞台にされるにあたり、まずもっていい扱いとはいいがたい。

 さて襲撃してきた星間国家連合ってのは、いくつもの星の国家が集合したものらしいのだが、登場した艦艇が統一していないということは、その武力差も埋められているとはいいがたい。そうなると連合国家間の技術協力は無いと考えれば、SUSが大国ヅラしているのがすぐに透けて見える。ほらでた。アメリカだろ、これ。この人たちはまだアメリカに対する戦闘行為をやめるつもりがないらしい。原案の石原文書にも、「アメリカの武力脅威に立ち向かうヤマト(大和)」とか書かれてそうな感じである。

 やっとキャラクターについて話そう。古代は雪と結婚し、一人娘の美雪を設けている。美雪は佐渡酒造大先生のもとで、獣医の卵をやってるらしい。しかし古代くん自身は3年間の世捨て人同然の生活。しかも辺境惑星の運び屋だってんだから、おかしなものである。いくら英雄が官職にまわされるからといって、このような不名誉職をしている理由が、まったく理解できない。これにはヤマトをアクエリアスに沈めた自分への悔恨かと考えたのだが、それだけで美雪との確執を理解するのはどう考えても不可能な気がする。むしろ古代自身が美雪に対する子育てから逃亡したと考えると、多少合点がいかなくもないが、それではあまりに古代が不甲斐ないではないか。とすればこの設定には無理がありそうなのだ。逆に雪が死んでしまって、美雪が第1次船団を指揮していたほうが、まだしもその確執を具体化できる気もしたのであるが、それでは雪がかわいそう過ぎるか。

 そして真田さんの「コンナコトモアロウカ」の精神で、ヤマトは見事にアクエリアスの悲劇的な最後からよみがえってくるのである。そして新世代のクルーの登場に、徳川太助が混じっているのが楽しい。かつてのヤマト機関長だった男の息子が、山崎機関長の後続としてヤマトの中核を担っていたというのは、実に頼もしい話ではないか。だが人材の教育にはまったく意を払っていなかったらしく、ものの見事にくそ生意気なバカばかりである。それにかつての古代を見ることができるというのは容易ではあるが、どいつもこいつもとなると、単なる世代格差に見えてしまう。そこにあるのはスタッフの若手への不信感であろう。かつての自分の面影すら信じられないスタッフで動かされるヤマトは、本当に古代の意思どおりに動くのか? ここで彼は自ら信頼する言葉と古代という名前で若手を丸め込むのである。若手ではない古代の老獪さが光るとはいえまいか?

 さて発進シーンである。毎度発進シーンはどうあがいても感動せざるを得ないのであるが、今回もそうあって欲しいと思いながら見ていると、なかなかに感動のシーンの連続で目頭が熱くなる。ガントリーロックが外れ、微速前進、そしてフライホイール接続点火で、浮き上がり、アクエリアスの氷をぶち破り、外にでるのである。そしてアクエリアスの氷原を走りつつ、艦首を上げて高く飛び立つのである。これはみなさんがおっしゃるとおり、感動的なシーンなのだなあ・・・・と思っていたら、とんでもないシーンに気が付いた。
 ヤマトは氷原を走りながら徐々にスピードを上げる。砕かれた氷犀は粉々に飛び散りつつも、ヤマトの艦首から後方に流れ出る。同時にヤマトの艦体のまわりに、まるでスターボウのような現象で七色に輝く輪が展開されるのであるが、太陽はなぜかヤマトの上方に位置しているのである。何がいいたいのかというと、光源となる太陽がヤマトの前方に位置するのであれば、完成映像のような表現になる可能性もある。だが光源である太陽がヤマトの上方にあるにもかかわらず、映像のようにヤマト前方にスターボウが展開できるはずがないのではないか。スターボウが七色に輝いて見えるのは、外的位置にいながら氷が屈折光を出しているからに他ならない。ヤマトの艦体の外側に向かって光が放たれるということは、高原は直進方向になければならないから、これは無理なのである。そして私はここで涙がとまるのを感じた。

 そして第1回のワープを終えて、2回目のワープ前の戦闘シーン。ここでまず驚いたのは、ヤマトの操舵チーフである小林が、制服まで着替えてコスモパルサーに乗り込んでしまう。なんだかもう役職と制服による分類は、あってないようなものである。これで統一が取れているとはいいがたい。しかも艦医までコスモパルサーに乗り込んでしまっては、だれがけが人の手当てを行うのであろうか? 単に女性パイロットを作りたいなら、そういうキャラクターを作ればいいのに、なんでこんな省略をするのであろうか?

 なんだかもう文句の連続である。それほどまでに穴だらけの物語であることは承知の上で見ていたのであるが、それを指摘しないままではいられない。
 少しばかり省力するが、エトスのゴルイ提督の心変わりも日本人的であるのだが、それ以上にご都合主義にすぎる。またSUS要塞攻略という展開に、要塞の攻守両面を攻撃するために、まず大村副艦長が死ぬ展開が、いまさらながら「さらば宇宙線間ヤマト」を踏襲していて気がめいる。しかも出動に際して「俺は家族がいない独り者」を主張するあたりが、独り者は死んでもいいのかという疑問に取り付かれる。大体波動爆雷はどうした! おまけに「信濃」が出てくるところがすごい。なんでこんなところに入れてるの? 地球におきざりにされそうになる間際の美雪を助ける古代にも、偶然性よりも都合のみが感じられて好きになれないし、そうした体験で父親と仲直りする美雪の、まあ簡単なこと。
 しまいにゃ、今回のカスケードブラックホールの発生は、エネルギー生命体の意思によるものだったと判明。しかもその中心に発生装置があることを説明するくだりで、驚きは唖然に変わる。おまえは、仕事人に殺される前の悪人か! 見事な説明ありがとうございました。おかげで古代くんは地球を救うヒントを得るのである。

 今回、スターシャやテレサのような地球を救う女神の役がいなかったので、これはどうあっても奇跡に頼ることなく自分たちの力で事態を打開するのであろうと思っていたのでるが、その実、電子の妖精・真帆さんがこれに相当するとは驚きであった。しかもその職場が第三艦橋って、過酷すぎる。真田さんはなぜこれまでの第三艦橋の受けてきた数々の仕打ちを思い返さなかったのだろう。信濃を入れる場所に電算室を入れてやっても罰は当たらないだろう。それゆえに、真帆さんの生死は不明のまま第一部完となってしまうのである。第3移民船団が地球を離れるときに、あれだけしつこくさようならを告げたにもかかわらず、地球を生き残らせるとは、おれたちの感傷を返せといわれても、古代くんは返す言葉もないのである。
 
 また中盤でのヤマトの戦闘では、艦首ミサイルに防御バリアが展開する能力があることに驚かされた。そこまでなんの説明もないのである。真田さんが準備してくれていたものであろうが、ヤマトの強さが尋常ではない。蹂躙されてあちこちから煙を吹いているヤマトという名物的な風景がほとんどないのである。重厚な艦色がまさにその強さを表現している感じだが、その理由も説明されていない。理由は簡単だ。ヤマトに真田さんが乗っていないからだが、今回大村副艦長がお亡くなりになったので、第二部で乗り込む可能性が残されている。

 はっきり申し上げておこう。これでもまだ書き足りないのである。だがこれ以上説明しなくても、本作がいかに穴だらけであるのかはすでにご理解いただけると思うのだ。だがしかしこの穴だらけであっても、私はSide-Aに書いたような感想も持っている。どれだけ穴があっても、この復活してきた「ヤマト」を完全に否定する言葉を持てずにいるのだ。このアンビバレンツな感想こそが、ヤマトファンの心根の代表的な思いではなかろうか。プラスもマイナスもすべてないまぜのまま、かつてのヤマトを想起させるオマージュシーンなどもあるので、それをダメとはいえないのである。だって佐渡先生や真田さんが地球と命を共にすると決めた表情の穏やかなこと、そしてその真田さんがあの「英雄の丘」に立つ姿で、目頭が熱くなるのであるし、氷を割って飛び出してくるヤマトの雄姿にかける言葉は、「おかえり」しか思いつかないのである。あの直情的な古代くんが、アマールとの関係を案じて艦長室で悩む姿を、だれが予想したろうか? そんな時間の流れを感じさせる出来事は、先行の作品との整合や辻褄よりも、見ているこちらにきちんとなじむ感覚すらあるのである。ここまであれこれ書いてはきたが、すまん、私はこれが好きだといわざるを得ない。これはもう評論どころではない、時代を生きてしまった人間の感性の部分である。
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ジャンル : アニメ・コミック

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キラリーーンの正体

今日はもうひとつ。久しぶりにトラックバック記事を。ヤマトの話題では初めてだ。 それも、超ニガテ分野のひとつ、科学的考察(笑)。 復活篇の、新生ヤマトが発進するシーンで、ヤマトが虹のような輪っかをキラリーーンとくぐるところを みなさんは覚えていらっしゃる...

コメント

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TBさせて頂きました

こんにちは。
少し前の記事で恐縮ですが、虹色の「キラリーーン」についてTB記事を書かせていただきました。
復活篇のDVD発売も決まりましたね。
また家で、じっくり復活篇の興奮と駄目さ(笑)を味わえるのが楽しみです。

No title

77maru77 さま
TBならびにコメントありがとうございました。
それにしても、あらためて自分の文章読み返すと、乱反射とスターボウをごっちゃにして書いていることがよくわかりました。反省します。いや猛省します。こんな読みにくい文章を解読下さり、ありがとうございました。またもうおひとかた参考にされたかたの文章も拝見いたします。ありがとうございました。

作品の穴、自身の考えが書いてあり、「ヤマト」に対する気持ちがよく分かりました。

しかし残念ですが、誤字脱字酷すぎます。
一度書き直してはいかがでしょうか?
読んでいて恥ずかしかったです。

No title

通りすがりさま

えー、めんぼくない。
直そう直そうと思いながら、放置してました。
申し訳ありません。

勢いに任せて書きっぱなしです。
せっかくおいでくださったのに、不快な思いをさせて申し訳ないです。
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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