2009年の特撮を総括してみた

 総括するとはいっても、2009年の特撮といえば、テレビでは「仮面ライダーディケイド」「仮面ライダーW」「侍戦隊シンケンジャー」、映画では夏の「ライダー&シンケンジャー」「大怪獣バトル劇場版」「ディケイド&W」ぐらいか。海外の作品で言えば、「T-4」「トランスフォーマーリベンジ」「ヤッターマン」ぐらいかな。あ、「サラ・コナークロニクルズ」は少し見てましたか。

 さて少ない作品数でも2009年を代表する出来事をいえば、「仮面ライダーディケイド」になるだろうか。夏に全ライダーが勢揃いし作品世界の無茶ぶりを示し、秋口のテレビ作品で終了したものの、閉じていないような作品の終結に加えて、年末の劇場版が告知され、まるで「完結は劇場で」といわんばかりの結末に、視聴者からのおしかりの声が聞かれたという。こうした話は2009年のトピックであるし、時代を切り取って固定化するための記憶材料である。当事者以外にとっては実にほほえましいエピソードであろう。

 ただし「ディケイド」という作品単体を見れば、それまでの平成ライダーを、「リ・イマジネーション」の名の下に再構成し再活用できた事について、まずは賞賛したい想いである。使い捨てではなく商品価値があるものとして、過去作品を扱うことよりも、すべてを”あり”と認めた上で、それまでの流れや物語を総括して内包しようとする運動は、これからもその他のシリーズ物に採用される流れであると思わせる。それは先頃公開された「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説」や「ウルトラマンメビウス」という円谷が仕掛けたシステムを、東映らしく再活用したまでである。たとえきっかけがカードを用いたゲームバトルを軸として展開させたマーチャンダイジングだとしても、過去作品に焦点を当てた作品作りは、過去に「テレビマガジン」や「テレビくん」などの雑誌が担当していた記事と同様の輝きが見いだせたことになる。それをメディアミックスとは言わないのであろうが、雑誌媒体がテレビと連動し、過去の作品を単に振り返るのではなく、現行作品にとりこんでいく貪欲さは、この世界に長く滞在するファンにとって、けっして不快なものではない。それはメビウスを経て「ディケイド」が人気であったことからも、わかる話である。

 毎年のモノでありながら「戦隊シリーズ」は「シンケンジャー」のモチーフを「侍」とし、「殿と家臣」という限定状況を作り出しながら、キャラクターがその枷を取り払う動きを見せることで、これまで以上に強く個性を出してきて、好評を博している。過去の戦隊シリーズでファンの心に残る作品の多くは、主役5人ないし6人の個性が十分に発揮されている作品であることに気づかされる。キャラを区別することと、個別にキャラが立つことは、受け手にとっては天と地との開きがある。たんなる区別だけでは作品を楽しめないことを知る。それが某巨大掲示板でアンチスレが散見されたにしても、記号としてのメンバーではないことが、アンチを増やしているのであろう。そして敵味方いりみだれたドラマが展開されるにおよび、本作の評価は固かろう。

 状況を限定することで面白さを増したのは「仮面ライダーW」でも同様である。翔太郎やフィリップの設定や、探偵という職業の自由さと不自由さ、そして2人の意識があって成り立つライダーなど、設定に枷をはめることで、それまでのライダーとの差別化を故意に作り出したことに起因すると思われる。この枷はライダーの中身を演じる人間にも試練となり、2人で1人のライダーとは、結局誰でもないということになり、素の役者を模倣しても意味がない。ここにライダー役者10年目の真価が問われる。

 「大怪獣バトル」に関してはテレビ版を含めすべて今年に視聴したのであるが、ウルトラマンがメインを張らない人間模様と怪獣をメインに据えたバトルに、これほどまでに感動させられるとは思いも寄らなかった。年末の「ウルトラ銀河伝説」も、M78星雲ウルトラの国をメイン舞台として展開するが、これこそメビウス当時よりファンが見たかった映像である。そして上下左右のない縦横無尽の多角的バトルは、見応えたっぷりの映画で充実していた。今後このような路線が続く可能性が高く、しかもオリジナルで制作されているメビウス外伝では「アーマードダークネス」などという万能アイテムまで出てくる始末。ベリアルの悪さ加減がこれと結びつくことを想像しないモノはいないかろう。今後も楽しみは尽きない。

 海外物で言うと、T-4、トランスフォーマーリベンジ、ウオッチマンなど、なにかこう集大成的な作品が顔をそろえている。当然前作よりもパワーアップしたり、見せ方を変えることによりレベルアップしている様子は、見ていて気持ちがいい。だがT-4のタイムパラドックスをどう処理するのかや、今後も人間たちと共闘するトランスフォーマーなど、やはり今後の展開に不安を覚える足かせ設定が多く存在する。これを2010年以降の企画でどう回収するのかが、楽しみなところである。「ターミネーター」は映像技術の向上と時代背景が逆転している状況下で、あえて原初の核戦争後の世界を見せた判断は正しかろうが、これ以上突っ込みどころがなくなってしまう状況をいかに打破するのかが鍵である。またトランスフォーマーはアニメ版同様に同じような話を幾度も続ける事は、本来のファンにはうけても、新しいファンの拡大には寄与できない。こうした基本的ジレンマをどうするのかが課題となる。「スタートレック」に触れたいのだが、未見であるため触れられない。

 その一方で友人評によれば2009年のベストバウトになりつつあるのが「ヤッターマン」だという。その発言も驚きであったが、彼は2度見たというから3度驚きである。DVDで見直すと、これでもかと細かい背景のこだわりが見えてくる面白さは、たしかに何度劇場に足を払っても見たい映画ではあるが、それは映画としての面白さとは別である。だが本ブログでも取り上げたように、監督自身が観客に向き合ってこだわって作られた本作は、演じる役者のテンションをいかに逆用してヤッターマンのテンションに持ち上げることができるかという、かなり際どい勝負に、勝ちを収めた映画だと言える。だいたいデザインからしてドロンジョ様の深田恭子だけでも見る価値が高い。映画の花となる女優の価値をこれでもかと繰り出す手法は、日本映画の古典芸能に近い。正しく継承された手法がきちんと結実している感覚がある。それもこれもヤッターマンという素材のゆるさが、作り手と観客の幸せな共犯関係により成立しているため、「キャシャーン」や「キューティーハニー」、ましてや「デビルマン」などのアニメの実写映像か作品の中で群を抜いた完成度になっている。

 2009年は映画でもテレビでも話題に事欠かなかった1年であった。そしてそのどれもが集大成的な意味合いを持たせた集客術であったことが共通している。これはむしろ2009年の流れであったのかも知れない。2010年と次の10年のためのステップとなるためのまとめの時期、それがまさしく2009年という年の役目だったことが、特撮作品からは伺える。本編では扱わなかったが、「トミカレスキューファイヤー」などのオリジナル作品も存在する。こちらは2010年に新作が作られれば3作目となるから、こちらも集大成ぎみになる可能性も高い。またターミネーターシリーズもテレビシリーズや劇場版の続編が準備中であるから、きっとその都度私たちを楽しませてくれるに違いない。
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テーマ : 特撮・戦隊・ヒーロー
ジャンル : 映画

コメント

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No title

ヤッターマンを2度見に行った人です。
この間の話ではヤッターマンを一押しにしましたが、「スタートレック」を見に行ったのに
忘れていました。邦画では「ヤッターマン」、洋画では「スタートレック」ですね昨年の当たりは。
是非DVDを借りてスタートレック見てください。

No title

mineさま
 コメントありがとうございます。今年はヤッターマンにレッドクリフ2、そして年末のヤマトと、ずいぶんご一緒していただき、ありがとうございました。なにより鑑賞後のお酒のおいしいこと。これがあかんねん(笑)。たまにはいいよね。
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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