「救急戦隊ゴーゴーファイブ」~その2・兄貴ばんざい!~

 承前
 
 前回も書いたとおり、ゴーゴーファイブの面々は戦闘のプロではないので、幾度となく新装備に頼っては窮地を脱しているエピソードがある。実はこうした彼らの危機が、本作の大きなターニングポイントになっている。それを順にざっと並べてみよう。

・首都消防局長官より、ゴーゴーファイブの出場停止命令(8話)
 →ゴーゴーファイブの活躍で長官と巽博士が和解

・2大災魔獣の猛攻(11、12話)
 →2号ロボ「グランドライナー」で逆転

・ジルフィーザ、三魔闘士召還(19~22話)
 →3、4号ロボ「ライナーボーイ」「マックスビクトリーロボ」で逆転、ジルフィーザ死亡

・グランドクロス完成により大魔女グランディーヌ復活、サラマンデス降臨(25、26話)
 →ゴーゴーファイブ、気合いで逃げ切る

・小惑星グランデ召還によりグランディーヌ完全復活を目論む(29、30話)
 →5号ロボ「ビクトリーマーズ」でグランデ粉砕

・無限連鎖カードにより、5人の攻撃が封じられる(37~39話)
 →兄弟、気合いで勝利!

・幽霊災魔獣軍団の猛攻(クリスマス決戦 42、43話)
 →兄弟、気合いで勝利!サラマンデス死亡

・ラストバトルの総力戦(47~50話)
 →気合いと「マックスビクトリーブッラクバージョン」にて勝利!

 ほぼ10話ごとにイベント編を持ってくる構成になっていることがおわかりいただけるだろうか。それほどピンチの連続だったのである。その他にも強引すぎるマトイ兄ちゃんに、弟たちが反乱する13話「弟たちの反乱」や戦いの中で子供にケガを負わせてしまったダイモンの決意を描く27話「イエロー戦線離脱」、災魔獣の罠にはまった5人のぎりぎりの選択を描く34話「死さもなくば破滅」など、見応えのある物語が続出するのである。

 そうした物語を牽引するのは基本的に長兄マトイの「気合いだぁ~っ!」の一言である。だがその裏には家族や兄弟への愛や信頼があってこそ、初めて成立する。27話でダイモンが失敗したとき、マトイは戦士としての責任をダイモンに説くのみで、彼をかばったり慰めたりはしない。またいきすぎた愛情故に、末っ子マツリのあこがれの男性を、結婚詐欺師とまちがえてしまう32話「ウェディングベル」という話もある。マトイは常に兄弟達の中心にいるし、37話や41話のように、マトイをおとしめるような話があっても、決して兄貴としての尊厳を失わない男なのである。それが迷惑になろうとも、常に兄弟達を叱咤激励し、両親不在の家庭環境で支え合って生きてきたのである。そうしたマトイの根性と努力は、最終回で最大限に報われるのだ。

 こうした物語を紡いできたのは、メインライターの武上純希氏であるが、他にも小林靖子嬢や山口亮太氏など複数人によって執筆されている。面白いのはメインライターの武上氏の脚本で、上記に示したイベント編は必ずといっていいほど武上氏が執筆しているのだが、連続話数の前半を書いて、後半の締めの部分を他のライターに回しているのである。ベテランライターならではのローテーションであろうが、ネタを用意して締めを他人に譲るとは、なかなかできることではない。また災魔一族が「カード」を使って災魔獣を呼び出すあたりは、当時人気があった「遊戯王」などのカードゲームの影響が見て取れる。「無限連鎖カード」なんていう設定もそうだが、こうしたアイデアは、当時武上氏が執筆していたアニメ「遊戯王」から借用したアイデアなんじゃないかと思わせる。
 翌年「未来戦隊タイムレンジャー」でメインライターとなる小林靖子嬢も、本作ではかなり過激で過酷な状況を兄弟達に用意した。8話「救急戦隊活動停止」や19話「完全なる敗北」、34話「死さもなくば破滅」などの話がそうである。兄弟をとことんまで追い詰めた物語は、彼らが戦闘のプロではない設定をいかしつつ、その復活までの道のりと逆転劇としての鮮やかさで記憶に残る物語である。

 そして最終決戦の幕が開く。それは敵対する家族同士の総力戦であるのだが、それゆえに壮絶な戦いの連続となった。災魔一族はついにマトイ兄ちゃんの「気合い」の力の目をつける。その力を逆に利用して、長兄ジルフィーザを復活させようとするのである。そして復活したジルフィーザと戦うマトイを欠いた4兄弟。逆転の一撃はジルフィーザをかばったディーナスを直撃する。ディーナスは寄生獣パラサイトの能力により、自分の最後のエネルギーをジルフィーザに与えて美しく散っていく。ディーナスはジルフィーザへの兄弟愛ゆえに死んでいったのだ(47話)。
 ディーナスはサラマンデスが一族の指揮を執るころから、長兄ジルフィーザへの思慕を明らかにしていた。そこには悪人であっても兄弟愛があることがわかるのである。だが何より酷いのは、こうした兄弟愛やジルフィーザの忠誠心まで利用していた大魔女グランディーヌの存在である。グランディーヌは大地のそこにたまったマイナスエネルギーを取り込んで、本来の姿を取り戻そうとしていた。なんだかそれまでの物語をおもいっきり破綻させる物語であるのだが、なんにせよそうなっているのだから仕方がない(泣)。グランディーヌはその強大な魔力によって4兄弟を炎の中に封じこめる。だがグランディーヌはその魔力を高めるためにコボルダやジルフィーザの力を利用し続ける。なぜ愛しいはずの子供達を死に追いやるのか。そんな疑問をグランディーヌになげかけるジルフィーザであったが、その答えはあくまでグランディーヌにとっての利用価値でしかないという。その卑劣さを知ったジルフィーザは、マトイに災魔城への道を示して死んでいくのである。そしてマトイの活躍とロボ戦によって、大魔女グランディーヌを倒すのである(48話)。
 ところがグランディーヌは地球そのものをとりこんで、さらに復活を遂げる。しかも死んだはずのサラマンデスとジルフィーザを「終末の破壊神」として復活させ、ふたたび猛攻を仕掛けてくる。ゴーゴーファイブも最終決戦として戦いに挑むが、どんどん追い詰められていく。しかも首都地域での被害は甚大であり、戦いと同時に救助もこなさなければならない。兄弟達はそれそれの立場で、それぞれの場所で自分の役目を果たしていく。マトイの兄弟たちが一人立ちしていく瞬間である。そのころ戦いの場とは離れたところで一人の妙齢の女性が、8年の昏睡状態から目覚めた。マトイ達の母である。その報を受けて窮地に追いやられたゴーゴーファイブは、父の残した最終決戦用のマックスビクトリーで勝利を収める。激闘のあとで母親と再会する兄弟達。そして災魔一族が滅びた世界で、家族をとりもどした兄弟達はもとの職業にふたたび戻るのであった(49、50話)。

 戦い自体は例年の最終決戦でしかない。それをそれほど奇異とも思わないのだが、ことは救急戦隊である。炎と災害の演出が並外れてひどい。そんな非常事態の演出もさることながら、その中で演出される兄弟達の一人立ちが見事である。それまでマトイという強烈な個性の影に隠れてしまいがちな4人が、それぞれの場所とそれぞれの職責をまっとうする姿に涙を禁じ得ない。「人の命は地球の未来」、そして「信じ合うのが家族です」という言葉と共に綴ってきた50話という物語が、十分と言えないまでも「家族再生」という形で収束していくのがよくわかる。
 しかも最後の最後で、母親と再会する兄弟達であるが、ここでマトイにとってはとんでもないサプライズがあるのだ。車椅子に乗った母親に涙ながらにかけよる4人。少し離れたところで見つめているマトイであったが、それを見て父モンドは静かに語り出す。「この情けない父親にかわって子供達を育てたのは、マトイだ」と。その言葉に導かれるように母は「大変だったわね」とねぎらいの言葉をかけるのである。マトイは兄弟達に背中を向けて、夕陽にむかって泣くのである。もう大泣きだ。そして涙を振り切るように、「気合いだっ!」と叫ぶ姿で物語は終幕するのである。

 このシーン、私は本当に泣けて泣けて仕方がない。なにをこんなちっぽけなドラマに感動しているのか、自分でも不思議なのである。だがこの物語は1999年を起点にして10年前から始まっていたドラマだと言える。通常こうした作品は1年間の放送期間であるから、1年を通じて若手俳優の成長を踏まえながら楽しむものである。だが本作はすでに10年前からスタートしており、その10年という歳月の締めくくりの1年であったことがわかるラストシーンに、ゴーゴーファイブ5人の物語が集約していることになる。1年ではなくて10年なのだ。その時間の重さが十分に伝わるラストシーンだったからこそ、私はこうして本作を取り上げ、再見してまたもや涙することができるのである。

 先にも書いたが、本作が「家族愛」や「兄弟愛」をキーワードとしながら、そのテーマが完遂できたかといえば、そうではないだろう。また「レスキュー」を主眼におくところが、結局は「バトル」に始終したあたりも、「救急戦隊」として疑問符がついてしまう物語ではあった。けれどこの家族が積み上げた10年の物語の最後の1年は、それをカバーしてあまりある魅力を携えているとわかる。特に最終回のマトイの涙は、雄弁にそれを語っていると、私は思う。これは残念ながら私の意見でしかないが、本作の魅力を知る人には当たり前の内容だったかもしれない。現在でもレンタルで並んでいる作品であるので、なにかの機会に触れていただければ幸いである。あたりまえの説教のような顔をしてそこにいるDVDなのである。もしかしたらあなたが家族との距離に迷ったときには何かのヒントになる、そんな物語だと思う。

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そういえば声優・宮村優子が顔出しで出てます。本編では取り上げませんでしたけど。
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