侍戦隊シンケンジャー~最後の大まとめ~

 本日2/7をもって「侍戦隊シンケンジャー」が終幕した。とはいっても銀幕版のリリースもあるし、DVDのリリースは続くし、来年は「ゴセイジャーvsシンケンジャー」が控えているし、まだまだファンを楽しませてくれることは間違いはないのだが、一応ここで本編終幕ってことで、まとめておきたい。

 前作「ゴーオンジャー」がかなりリベラルな空気感を持った作品であった。それは戦う理由を自分自身の思いで勝ち取ることが、ゴーオンジャーの基本スタンスであったからだ。戦う理由が自分自身に内在している場合は、キャラクターは非常に強い。それはどんなときでも初心に返ることで、自分を見失わずに戦えるという証である。たとえその力は外的要因に頼っていても、その力がキャラクターにそっぽを向く事でもない限り、常に戦うことができる。「ゴーオンジャー」という作品には、そうしたストーリーライン上の頑強さがあった。
 今作「シンケンジャー」のミソはここにある。ストーリーライン上の強さがない。侍の家系に生まれついた「宿命」という名の鎖でがんじがらめに縛られた、不自由な5人が登場する。その宿命を否定してしまえば、いとも簡単にストーリーが破綻する。事実シンケングリーン千秋は、初期5人の中で最初から宿命に批判的である態度を隠そうともしない。しかも殿である丈瑠との関係性すらよしとしないキャラクターに設定されていた。揺るぎなかった戦う理由が完全に揺らいでしまうとき、それぞれのキャラクターが生きた人間として動き出す。これこそがシンケンジャーを楽しませた最大の理由だと、私は考えている。

 それぞれ侍としての修行をしながら、来るべき外道衆との戦いに備えていた若者は、殿・丈瑠のもとに集う。そして納得できない宿命を背負いながら、徐々に丈瑠との信頼を得ていくことにより、話が進むにつれて徐々に結束を固めていく。序盤の展開は敵をほったらかしながら、そこに注力した物語になっている。自分の中で納得できない家の宿命。それを自分自身で戦う理由に変える事で、若き侍たちははじめて侍として自覚をもって、丈瑠とともに歩みを合わせ始める。そしてそのために丈瑠は多くを語らない。丈瑠が言えるのは、誰よりも先頭に立って戦い傷つく背中を見せるだけ。ものを言わぬ背中であらがうことと戦う事の2択を強いることは、若いみそらでおいそれとできることではない。そして2択から自分自身に戦う理由を見つけたものだけが、丈瑠のもとで戦うことの意味を見いだしていく。そのドラマにひたすら感動した1年であった。

 唯一そうした宿命から逃れているのがシンケンゴールド・源太の存在である。だがそこにも小さな約束があった。当初登場時より、あまりのオールマイティーさにあきれてしまうほどの大活躍を見せる源太であり、ゴールド寿司という屋台すし屋という、意外なほど「江戸」を思い出させるしかけで、存外に早く5人に馴染んでいく。それは単に源太の人柄であるのだが、丈瑠との約束が源太を育て、成長させた。その事実は看過し得ない。あなたにはこんなにも些細な約束のために努力する幼なじみがいるだろうか? 常人ではないそのバイタリティが、いつしか侍の宿命を背負った5人の心を癒す立場になってくれる。そして侍である5人を圧倒的な力でサポートする源太。まさに「一心太助」であろう。

 宿命という言葉は敵である外道衆にもまとわりつく。特に薄皮太夫と十臓にいたっては、外道に落ちた理由ゆえに、現世に執着することで外道におちた人間である。だがそうした人生は宿命という名の戦う理由に縛られている5人の若き侍すらも、ひとたび心の隙間の慣性おちいれば、またたくまにこうなるという生きた実例でもある。
 だがドウコクもシタリも、筋殻のアクマロも、その出自がはっきりしない者たちはどうなのか? ドウコクもシタリも生きることにのみ執着し、その強さや生命力をのみ頼りにして三途の川で生きているとすれば、人間との関係性(結婚や戦い)に執着した太夫や十臓とは異なる要因で外道衆となったように感じられる。彼らが強いとすればおそらく外道に落ちてすら生きることに執着した、自分自身への執着が強さの原因だろう。他者を必要とした太夫と十臓がドウコクほどの力を持てなかった理由がそこにあるのではないかと私は読んでみた。そしてその裏に暗躍していたアクマロの存在に戦慄を覚える。

 外道衆の作戦の要は、あくまで人間の哀しみにより三途の川をあふれさせ、地上に出ようとしている。これは一種の領土拡大が狙いである。地上までも三途の川の世界でおおってしまうというのが作戦の骨子なのだ。だが果たして外道におちることで三途の川にとどまったドウコクたちが、地上世界のみに領土を広げたところで満足できるのか。また地球上以外の世界を知っていたとして、そこに出られない外道衆は、やはり自滅するしかない一族に思えたのは、私だけだろうか? 世界が真っ赤にそまり、海も地上も区別がなくなったときに、そのすべてに満足せずに自滅する姿が私には見えるようだ。だとすれば外道衆の戦う目的とは、外道に落ちた戦士たちができることは、もはや戦うだけに思える。そうだとすれば外道とは本来生物のあり方として死ぬことができなかった生物たちの安住の場所なのではないのか。あたかもバイストン・ウェルのように。

 そうした外道衆との戦いの日々が、ある日突然のように破綻する。それは脚本家初めスタッフがあらかじめ用意していた破綻である。丈瑠が実は影武者だったという事実、そして本当の志葉家頭首が可憐な少女であったことだ。これには本当に驚いた。どうも当初からなにか隠し事をしているらしい丈瑠であり、殿という立場にも歯切れの悪さを感じていたのだが、それがいざこれから決戦という時に、こんな裏切りに会うとは、想いもしなかった。
 そう思ったのはモニターの中の人物はいわんをや。丈瑠は本物の頭首が登場すると、役目を終えて退場するしかない。だがその退場を追っていたのは、丈瑠との主従の結びをかわした4人である。こういうとき源太はそのありようがすでにフリーダムな位置にいるから、本物の頭首とも丈瑠とも、緩急自在な距離を測ることができるのである、ほんとうに流ノ介以上に千両役者だと言える。そしてその絆が、すべてをなくしたと思っていた丈瑠の背中を押し始めるのだ。ここのドラマは1年の集大成となる迫真のドラマであり、例年になく見応えのある作品になった。最後に力技で押し切るという丈瑠の作戦にも、涙ながら納得して見ていたのである。

 正直言って、あのどんでん返しのドラマは、もう少し早めにあって、薫と丈瑠がふたりそろって戦うシーンも見てみたかったし、影武者の力を認めた薫が、自分の婿養子という形で決着をつけることを夢見ていたのだが、物語は丈瑠を養子として扱い、十九代目頭首という肩書きを丈瑠にあたえることで決着がつく。これもまたよきかな。最後の最後で姫様お付きの人が、丈瑠に渡したディスク「双」ってのがミソ。あれ、影武者を立てた「ダブル」って意味だもんねえ。それが烈火大斬刀二刀流につながるし、最後のトドメを流ノ介に任せるあたりの、丈瑠と流ノ介の信頼関係も垣間見える。なにより最終回における丈瑠を囲んでの敵陣突破。あの陣形そのものに、各人の力量があり、それを互いに認め合っての形であったことに、ただただ感動した。1年という期間を見てきて本当に良かったと思える戦闘シーンであった。

 ごてごてくっついて、終いにゃ小林幸子の紅白衣装みたくなったロボットもまあ許そう。途中までは鎧の亜種のようにくっついていくのが、面白かったが、横に広がったデザインにはやっぱりなじめず、違和感を覚えたし、牛さんにもいまいち乗り切れないところがあったが、ロボットについては最初のシンケンオーにつきる。最終回でサムライハオーから身ぐるみはがされて、シンケンオーでトドメってのに、シンケンオーへの思い入れもあるから、気持ちよく見れた。
 今作ではインロウマルによるパワーアップが全員ではなく一人だけというのが特にお気に入り。ゲキレンジャーがスーパーゲキレンジャーに3人ともなってしまう展開には、やはりいまさら無理を感じるから、むしろこのほうがいいし、それがドラマの中心を担ってきたキャラクターの役割を際立たせるのも、展開上好ましいと思えた。
 なにより「モヂカラ」という設定がすばらしい。古来日本にある「言霊(ことたま)」という言葉があるように、言葉や文字には力が宿る。だから念じた文字が書かれたお札やお守りに効力があるわけで、そのモヂカラが体をなしたスーツの圧倒的な文字の迫力は、まさにシンケンジャーの本気が形になって現れたといっていいでろう。

 いやあ、思い返しても少し涙が出てくる。1年を戦ったかれらの足跡が、やはりうれしいし楽しかった。いい1年だったなあ。今年はあの6人が本当に好きになれたし、6人のチームワークが画面からあふれんばかりであった。だから今年を忘れない。どうやら新しい展開も控えているようで、まだまだ楽しみなシンケンジャーであるが、まずはこれまで。

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