ルパン三世、思いで語り(テレビスペシャル編)

 先週「ルパン三世」について、実に思いついたことを書いたのであるが、「パートIII」を視聴している間に、テレビスペシャルについて日本テレビの「SS(スーパーサプライズ)」という番組において、テレビスペシャルおよび劇場用作品の視聴率ベスト15が発表された。せっかくだからこれに乗っておこうという、これまた安易な記事である。以下に示すランキングは、いずれ番組の公式HPにも掲載されるだろうが、とりあえずここにも示しておいて、話をしてみたい。

1位  燃えよ斬鉄剣        (24.9% 94. 7.29)
2位  炎の記憶          (24.1% 98. 7.24)
3位  カリオストロの城      (23.4% 99. 2.26)
4位  アルカトラズ・コネクション (22.8% 01. 8. 3)
5位  ルパン暗殺指令       (22.0% 93. 7.23)
5位  お宝返却大作戦       (22.0% 03. 8. 1)
7位  ワルサーP38       (21.8% 97. 8. 1)
8位  盗まれたルパン       (21.1% 04. 7.30)
9位  ハリマオの財宝を追え    (20.6% 95. 8. 4)
9位  ファーストコンタクト    (20.6% 02. 7.26)
11位 愛のダ・カーポ       (20.0% 99. 7.30)
12位 1$マネーウォーズ      (19.7% 00. 7.28)
12位 ルパン対複製人間      (19.7% 99.11.19)
14位 ヘミングウェイ・ペーパーの謎(19.6% 96. 3.15)
15位 ルパンvsコナン      (19.5% 09. 3.29)

 さて、このランキングいかがだろうか?
 とりあえずこのランキングに関しては、1つの問題点があることだけは指摘しておきたい。それはそれぞれの作品が初回放送にそろっていないことである。特に劇場用作品としてランキングしている「カリオストロ」と「複製人間」については、地上波初オンエア時の視聴率で比較すべきである。また「ヘミングウェイ・ペーパー」も同様に2度目の放送時の視聴率である(初回放送は90.7.20)から、本来は他の作品と一緒にしてはいけないのである。ただしいずれももっとも最近の放送時の視聴率とした場合には、それぞれが最新であることは否定できないので、あしからず。とはいえ、基本的に1回の放送であるのだから、初回放送を基本とするべきではなかろうか。番組構成上の思惑を感じる。

 劇場版についてはあらためて語るとして、今回はテレビスペシャルを語ることにしよう。とはいうものの、これらテレビスペシャルに関しては、私個人としては、あまり良い感想を持っていない。実のところテレビスペシャルの第1作である「バイバイリバティ危機一髪」と「ヘミングウェイペーパー」、そして「ルパン暗殺指令」などの一部作品を除いて、私はあまり楽しめなかったというのが本音である。その原因を脚本家や作画スタッフ、監督や声優の交代などに求めるのは、あまりに酷である。特にルパン役山田康雄氏の死後を引き受けた栗田貫一氏の並々ならぬ努力は、作品を貶めるものではない。むしろ1年1作として夏の風物詩にまで、このコンテンツを育て上げた日本テレビや製作会社関連の人々に敬服しているぐらいなのである。であるが、その反面作品の質、特にトリックやお宝の謎などの大どんでん返しの部分に目が行きすぎて、肝心のルパン一家の人となりが、おぼつかないイメージがある。はっきりいえば、ルパンはルパンであるのに、ルパンでない気がするのである。これはルパン作品があまりに多く作られすぎた弊害とも言える。

 もう少し説明しよう。テレビスペシャルは故意にさまざまなスタッフを引き入れて製作されている。「暗殺指令」では大隅正秋氏が旧ルパン以来の登板で、実に渋い物語を展開し、コメディ色に彩られがちだったルパンに、ハードボイルドのカウンターを決めた作品だった。その一方でワタナベシンイチ氏は「愛のダ・カーポ」にて、一途に不二子を守り求める男を見せつける演出で、軟派なイメージのルパン像の半分を引き裂いて見せた。いずれのルパンもかなりの力業でそれまで追求されなかったルパン像の一端を見せようとした野心作である。だがその一方で声優ブームにのるように、「炎の記憶」や「トワイライトジェミニ」、「ワルサーP38」などを作り、アニメファンにも迎合してみせる。それもいいだろう。時代と心中するように時と場所をわきまえないほどの、はっきり言ってスケベ根性丸出しの作り方はルパンの特徴でもある。だがそれが本当にファンの見たかったルパン像であるかは、スタッフの間にも祖語があったのではないだろうか? 物語のアクセントとして銭形が死にそうになってみたり、ルパンが死にそうになってみたりするのはいい。だがそこからの復活劇が、あまりにも芸がない。ルパン三世の作品でありながらルパンが死ぬなんてこと、本気で信じてテレビの前に座っている奴なんか、いるわけがない。だとすればキャラクターの生き死にで物語が作れると思っているスタッフに、ルパンという存在がきちんと説明しきれていない、ファンほどわかっていないんじゃないだろうか? つまりあまりに数多いルパン作品は、それぞれのスタッフの中に、それぞれのルパン像を結んでしまっているため、各作品としてのルパン像を造れないだけでなく、本来ファンが見たいと思うルパン像すらぼやけてしまっているのではないか? それでもスタッフが自分が見たいルパン像を造り続けていけば、「コナン」くんといっしょくたで丸められるしか道はない。それは山田康雄氏が望んだ、モンキー・パンチ氏が望んだルパンではないし、ファンが望んだルパンでもないのではないか。

 ランキングを見ていて気づかされるのは2000年以降の作品でランクインしている作品が少ないことだ。特に05年以降の作品である最近の作品は、ファンが見放している状況が手に取るようにわかるではないか。あきらかに制作者側とファンの間に祖語が生じているということだ。また鬼の首でもとったかのように、番組ではルパンや銭形の死ぬ場面をトピックとしてあげているが、ルパンの話の根幹は泥棒なのである。どうしてその根幹となるトリックやどんでん返しにスポットをあてずに、細かい話にスポットをあてるのか。逆接で見ればそれぐらいしか取り上げる内容がないからではないかと疑ってしまう。事実そうだろう。そんなもの、誰が喜ぶのか?

 ランキングには見事なほどに人気の低い作品は視聴率が悪い。たとえば「ナポレオンの辞書を奪え」や翌年の「ロシアより愛をこめて」などがランキング外になってる。この2作については、「ナポレオンの辞書」があまりにも作画がひどかったため、放送途中で視聴を打ち切った人も多かったのではないか、それゆえに翌年の作品までそのあおりをくったと考えている。なお「ナポレオンの辞書」放送時には、サントラがCDとして販売され、「ルパン三世のテーマ89’」は、このCDで初パッケージ化された。この1曲を欲しいがために、こんな作品のサントラを買わされた身にもなってほしい。ちなみに家内は「燃えよ斬鉄剣」で視聴を途中で中止したそうな。

 またトリックや大どんでん返しのオチに、SF的要素が少なくなってしまった。「複製人間」の時のクローン技術、「バビロンの黄金伝説」の宇宙から来た黄金など、SF的な要素のあるお宝というのはほとんど登場していない。現行のSPのルパンでは、地球上の歴史の暗部に隠された、著名人の隠した財宝というのが定番になっている。これは歴史や陰謀史などに造詣が深い脚本家なら書くことができる、だがSFはやはりSFに関する知識が必要だろう。SFである以上、科学的根拠にはったりが効けばそれなりに面白いはずなのだが、世の中の傾向がSFから遠ざかっていることも手伝って、ルパンはこうした少し不思議なSFにすら興味を持てないようだ。なにもロケットに乗って宇宙に出ればSFなわけではない。それはSFマインドを忘れかけている劇場用長編「ドラえもん」の近作にも影響している。ファンタジーではなくSF。そうした領域に足を踏み込むスタッフがいなければ、これら定番の作品には、袋小路しか用意されてはいない気がするのである。

 そうはいっても面白いと思ったSP作品は人それぞれだろう。私にもどうしてもゆずれない好きな作品がある。だからこそこれからも1年1作のペースで作り続けていってもらえれば、その中から佳作が生まれてくるやもしれない。そんな期待を込めつつ、これからの新作を期待しながら、たまには旧作をレンタルで見て楽しむのもいいかもしれない。
 ちなみに私のお気に入りは「暗殺指令」「ヘミングウェイ・ペーパー」「バイバイリバティ」「ワルサーP38」、次点で「ファーストコンタクト」「燃えよ斬鉄剣」である(奥さん、ごめんね)。

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(2010/03/17)
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BDですが、TV-SP全部いりだそうです。全部欲しい人、いるの?
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DS ? ???

???Ū??Υ????о?

コメント

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ルパンと聞いてきました

おはようございます。
波のまにまにさん、昨日は奥様からあま~いチョコを貰いましたか?
それとも本場のように、花束とチョコをプレゼントしましたか?
ルパンなら何を贈るのでしょう、お宝の地図かしら・・・

ルパンのテレスペに関し、若いファンではない者が大なり小なり抱いている事を書いて下さってありがとうございます。

ルパン一家vs敵・・・と言うのが観たいのに、若いヒロインと分散した敵の為に、ストーリーが薄っぺらい感じがしていました。

ゴエモンファンの腐女子的見方をすれば、サービス満点の「The Last Job」はおいしかったのですが、『ルパン三世』の作品ファンの見地からすると、またか・・・でした。
(いいのか悪いのかどっちやねん!)

「BLEACH」では作者の意向より購買者であるファンの望むようにしろっ・・・なんて事を叫んでいるのですが、「ルパン」はそれをしないでほしい。

そんなに若い世代に媚びなくても、数年もすれば彼らも大人になって質の高い作品に触れたくなるし、その時には収入もあるから儲かる・・・んじゃありませんかねぇ?
製作サイドからすれば。

目先の売り上げだけを見ていたら、50万台もリコールしなきゃならないどこかみたいになりそうです。
(創業者の、お客様に満足して頂こう・・・という理念は何処に行ったのでしょう?)
話が逸れました、すみません。
もし、あの会社の関係者の方でしたら、なおさら申し訳ありません。
すごく腹がたっているので、あの社長の会見を見て・・・

ルパンは本当に大好きだから、今一度初心に戻って、大人の魅力あふれるハードボイルドで、
ニヒルで、駆引きもアクションも満載で、お色気もある作品を作って頂きたいと思っています。




No title

ローガン渡久地さま
 コメントありがとうございました。
 意外なほど同意いただけてうれしく思います。いやほんと、質の悪いルパンSPやたちの悪い深夜アニメは、テレビ局にリコール請求できないもんでしょうか(無理っすね)。いま毎日のように「パート3」を見ていますが、意外なほどにアダルトな内容で、今更ながら驚きます。家内の言によれば、今のSPを見るぐらいなら、2時間、昔の傑作選を見た方がマシとのこと。

 そんな厳しい意見の家内からもらった今年のチョコは、5cm角の「月からみた地球」のレリーフのチョコでした、月も地球もデジタル転写できれいに印刷されたもので、食べるのがおしくて、まだ冷蔵庫の中です。あ、デレてしまった(恥ずかし)。

ルパンは何処へいくのでしょう?

1989.04.01  バイバイ・リバティー・危機一発! 不明
1990.07.20  ヘミングウェイ・ペーパーの謎 19.1%
 *1996.03.15 再放送時 19.6%
1991.08.09  ナポレオンの辞書を奪え 17.6%
1992.07.24  ロシアより愛をこめて 18.8%
1993.07.23  ルパン暗殺指令 22.0%
1994.07.29  燃えよ斬鉄剣 24.9% (テレスペ最高視聴率)
1995.08.04  ハリマオの財宝を追え! 20.6%
1996.08.02  トワイライトジェミニの秘密 16.8%
1997.08.01  ワルサーP38 21.8%
1998.07.24  炎の記憶~TOKYO CRISIS~ 24.1%
1999.07.30  愛のダ・カーポ~FUJIKO's Unlucky Days~ 20.0%
2000.07.28  1$マネーウォーズ 19.7%
2001.08.10  アルカトラズコネクション 22.8%
2002.07.26  EPISODE:0「ファーストコンタクト」 20.6%
2003.08.01  お宝返却大作戦!! 22.0%
2004.07.30  盗まれたルパン ~コピーキャットは真夏の蝶~ 21.1%
2005.07.22  天使の策略(タクティクス) ~夢のカケラは殺しの香り~ 19.0%
2006.09.08  セブンデイズ・ラプソディ 17.7%
2007.07.27  霧のエリューシヴ 17.0%
2008.07.25  sweet lost night ~魔法のランプは悪夢の予感~ 14.4%
2009.03.27  ルパン三世VS名探偵コナン 19.5%
2010.02.12  ルパン三世 the Last Job  17.6%
2011.12.02 血の刻印 〜永遠のMermaid〜 14.0%

波のまにまにさん、はじめまして。

>ランキングを見ていて気づかされるのは2000年以降の作品でランクインしている作品が少ないことだ。特に05年以降の作品である最近の作品は、ファンが見放している状況が手に取るようにわかるではないか。あきらかに制作者側とファンの間に祖語が生じているということだ。

そうですね、こうやってリストを見ていると、グングン落ちていきますね。
私としては視聴率の低い「トワイライトジェミニ」や昨年の「血の刻印」も好きですが。

>ルパン三世の作品でありながらルパンが死ぬなんてこと、本気で信じてテレビの前に座っている奴なんか、いるわけがない。

まさにおっしゃるとおりです!
ここ十数年のテレスペは、こういった「悪い意味で先の読めてしまう演出」や、やたらと過剰な見てられんようなクサイ芝居--例えば、「天使の策略」の後半とか--が目に付くようになりました。

>つまりあまりに数多いルパン作品は、それぞれのスタッフの中に、それぞれのルパン像を結んでしまっているため、各作品としてのルパン像を造れないだけでなく、本来ファンが見たいと思うルパン像すらぼやけてしまっているのではないか?

いっそのこと、OVAかなにかで「初老になったルパン三世」なんてのをやってみたら面白いかもしれませんね?(笑)

>だからこそこれからも1年1作のペースで作り続けていってもらえれば、その中から佳作が生まれてくるやもしれない。

そうですね、個人的には昨年の「血の刻印」は結構いい線いってたと思います。お茶らけもやりすぎず、落ち着いた雰囲気で最後まで見れましたし(笑)。
現在放送中の「峰不二子」は、どうなんでしょう?私の住む地方では放送されてませんので(苦笑)。

・・・しかし、ルパンファミリーも考えたら気の毒ですよね、声優さんが何度も交代しようが何しようがこれからもずう~っと色々なお宝を盗み続けなければならないんですから。
きっと、「ルパン三世の真の最終回」なんてのは望むべくもないんでしょうね。

はじめてだというのに、長文失礼しました。

ルパン愛、人それぞれ

いんふぉめーしょんさま
 コメントならびに詳細な視聴率データ、ありがとうございました。
 データを見る限り、なんとなく思っていたことですが、個人的に出来が良かった次の年の視聴率が結構良く、その次の年の作品の視聴率が割を食うという状態に気がつきます。この視聴率が「瞬間最高」なのか「番組平均」なのかはわかりませんが、作品の頭でちゃんとつかんで、そのあとも飽きさせずに物語が展開している作品はいいのですが、頭のつかみで失敗してその後ずるずるしちゃう傾向があり、そのために瞬間も平均も上がらずに終わってしまう感覚があります。

 本文内容におおむね同意いただけたようで、ホッとしている半面、お若い方にとってもルパンは「カリオストロが最強」といって他の作品をかえりみないかたもいるようで、ファンとしてはとりあえず見てほしいという想いがあります。それは他のアニメでも同じことですが。

 個人的には「ルパンの最終回」は見たくありません。わたしたちが死んでも、原作者が死んでも生き残るしぶとさ。それがルパンの本性じゃないかと思うからです。

 あ、個人的にはTV-SP最初の2本を除けば、「暗殺指令」や「ワルサーP38」「ファーストコンタクト」が好みです。
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
Twitter再開しました!

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