「破」の前に~エヴァンゲリオン新劇場版:序~

 今月末に公開を控えている「エヴァンゲリオン新劇場版:破」。その直前に、日本テレビが深夜枠でテレビ版の再放送を決定してるそうだ。そもそも今を遡る10数年前に、テレビ版のエヴァが真相を闇のままに終了して物議を醸したが、それを受けて劇場版にて、真のラストが描かれることになった。これにあわせてテレビ東京の深夜枠で、テレビ版を再放送したことが、現在に連なる深夜枠アニメの進出を促すきっかけとなった。最近ではネット上で氷川竜介氏や藤津亮太氏が、今回の日本テレビでの再放送を契機に、「アニメの再放送」について、その歴史的な意義について書いている文章が散見される。再放送に関する私的な意見については、また今度(彼らがアニメについて語るなら、私は特撮作品を扱おう)。

 さて、「序」はまだ会社勤めをしていた頃に、定時退社して見に行ったのだが、劇場での初見では、デジタル処理による再生された画像に、目のちらつきを覚えたし、後半はナイトシーンが多いため、暗い絵が多く、戦闘シーンとの明暗のコントラストが厳しかったので、決して目に優しいとは思えなかったのであるが、第6使徒攻撃時の変幻自在っぷりに、目のくらむ思いがしたし、作り直して面白かった、よかったというのが正直な感想であった。まあ1回見たぐらいではよくわからないので、DVDになるのを楽しみにしていた。

 DVDの何が腹立つかって、同じ作品を、画像処理の関係からか、ヴァージョン違いのものをいくつも発売するのには、現行のデジタル機材にあわせてのことだろうが、よりよいものを求める以上に、「商売」の文字がちらついてしまうことがいただけない。結局自分が「ストーリー」を重視し、画面をあまり意識していないことが原因だろうが、どうにも。

 さて「破」の公開前に、見直しておこうと思い、一番最初に発売されたDVDを引っ張り出して見直した。本作はテレビ版8話までの再編集となってるいる。あの8面体の使徒がネルフ本部を強襲するのを、シンジとレイが協力して撃退する「ヤシマ作戦」までだ。
 例によって数多くのガジェットをブラフとしてちりばめながら、様々な点が改訂されている。話の根幹に絡んできそうなところで言えば、「使徒の番号」の件。ネルフ本部の地下に幽閉されているのは第2、そしてカヲルくんが目覚めた時にそばにいたのは第3。カヲルくんが目覚めたときに、棺桶のようなものが横一列に配列されており、カヲルの左隣は蓋が開けられ、右側はまだしまったままだ。ゼーレが順に棺桶を開けている可能性がかいま見える。

 けどね、こういうのって本作に関して言えば、次へのあおりみたいなもんであり、とりあえずこの話についてはおいておきたい。重要なのはシンジがこの物語が進行する中で、いかにまわりの人々との「絆」を紡いできたかだ。
 その最たるシーンは、ヤシマ作戦開始直前に、手をつなぎながらセントラルドグマへ降りていくシーンだ。ただミサトに引きずられるままに手を握るシンジが、ネルフ職員の覚悟を語るミサトの手を握り返すシーンに集約されていくと言える。
 またトウジとケンスケが、シンジに向かってネルフに伝言を残したり、シンジが一人でさすらった後で、自分の意志でネルフに戻ってきたことなど、テレビ版とは異なる展開で随所に見られる。詰まるところ、テレビ版とは異なる解釈により、追加されたシーンであろう。そしてとどめがシンジとレイによる最後のシーンだ。

 テレビ版では、どうにもシンジが積極的に他人と関わりを持たないようにしている様が見られる。むしろ他人からの押しつけられるままに関係を持っている様にしか見えない。そんなシンジが、ミサトに関する限りは、「自分ばかりが危険なめにあって」と本音をぶつけるさまを見せる。その意味ではシンジがミサトに信頼を寄せていることがわかる。これ以前にミサトが本気でシンジの胸ぐらをつかむように怒りをぶつけているシーンがある。第5使徒との戦いに、辛くも勝利した後である。このときミサトは本気で怒っており、部屋をシンジが出て行ったあとで、ミサトが自分を平手打ちしていることから、それが見える。これはミサトが自分の責任を果たそうとしているシーンであり、ミサトがシンジに対して「大人である」ことを放棄していない証拠だと思える。そうした本気のぶつかり合いがあるから、シンジはミサトを信用したのだろう。

 濃密に時間を重ねることで生まれる人間同士の絆。それはそのままレイにも通じる。このシーンについてはテレビ版と変わらないので、ここで改めて取り上げないが、まったくレイの声が入らない戦闘シーンのあとで、あのようなセンチメンタリズムを見せつけられると、この感動のまま、人間同士の絆を信じられる気がしてくる。

 以上の点を考慮すれば、シンジを中心とした人間同士の絆が、この劇場版では色濃く作画されている。それは総監督である庵野秀明氏の生活感が変わってきたことの証だろうと思いたいが、出版されているムック本などのインタビューなどを見ると、どうも監督・鶴巻和哉氏など、庵野氏以外のスタッフの試行錯誤の結果のようだ。絵コンテの段階での足し引きや、作画マンによる斟酌のようにも見える。少なくても元のテレビ版を再構成するにあたり、あらたな解釈を加えた結果だろう。ということは「エヴァンゲリオン」はメンタリティの上での成長が見られたということかも知れない。

 だが、これでこのままシンジが周囲の人々との絆を深めていくドラマにはならないだろう。すでに「序」の巻末についている「破」の予告編によれば、シンジがもうおかしくなっていくことが予告されている。あらためてアスカを迎えいれ、複数のエヴァが稼働して、使徒と戦う中で、シンジがすり減って行くのかも知れない。いずれにしてもこの映画で得られた「シンジが紡ぐ人との絆」という感動は、この後から裏切られる結果になることが予想される。旧映画とは異なるラストになることは決まっている。しかしせめて「序」の話の中だけは、シンジに人との絆を信じていて欲しいと願うばかりだ。
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テーマ : 新世紀エヴァンゲリオン
ジャンル : アニメ・コミック

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