2010年3月期アニメ最終回総括(その2)

 承前

 はっきり申し上げるが、このブログに書かれている私の意見は、めっちゃ私見です。よそ様のブログや感想などを見ていただければ、より短く、より的確にことの真相を突いている感想や批評はたくさんあります。そしてそちらの思考のほうが至極まっとうであり、それらを否定する気持ちは全くありません。当ブログが目指しているのは、そうした意見や感想、批評のすきまをぬうように、「こんな見方もありまっせ」という、すきま産業的なものの見方の一端を提示しているだけであり、この考え方はまったくもって主流になりえません。某巨大掲示板あたりで主張すれば、かならず無視されるタイプの意見のはず。うっかりそれらしいこと書いているように見えますが、まさにうっかりそう見えるだけですので、皆様には皆様の考えを主張していただき、場合によってはコメント欄などで反論いただければ、これにまさる幸福はないと考えております。
 
 ってなことで、残り3作品の総括、いってみよう!

<ひだまりスケッチほしみっつ>
 新房監督×シャフトによる3シーズン目。実は前2シーズンはまったく見ておらず、今後も見る気がありません。が、この作品、非常に楽しんで見ていました。それはおもに演出面です。細かい話は例によって氷川竜介さんが、以下でお書きになっていらっしゃいますので、あわせてご覧下さい。

http://blog.b-ch.com/blog/info/archives/125

 ひだまりスケッチに限らず、新房監督作品には必ずといっていいほどの特徴的な表現が出てくる。たとえば完全な赤コマや黒コマ、キャラクターを意匠化した絵、リアルに見えるけどなにか違う背景、物語を誘導する情報をもった止めコマなどだろうか。「化物語」のときにも指摘したが、これ自体に意味を持たしているわけではなく、むしろ物語のリズムを作るような形で挿入されているところが見事。「ひだまり」の場合には、キャラクターごとに意匠化されたアイテムがあり、物語の話題の中心がその娘に移動する際には、かならず直前に「×」や「メガネ」などが入り込むことで、4コママンガが持つネタ同士の切れ間を明確にし、次のネタの主役を示すというタイミングに使われます。またひだまり荘が6部屋あって、それぞれのポストが実際の部屋の配置といっしょになっており、やはり話題の中心人物を、ポストを白抜きにして名前を表記するなどして、導入をしやすくしているなどの表現が多用されている。

 また背景についても、一様に通常のアニメ同様な背景ではなく、むしろデザイン的なものが多い。アニメという媒体の場合、キャラクターの陰影、背景の陰影などから少しでも立体感を出すように絵を描くのであるが、「ひだまり」に関しては、キャラクターについても陰影はごくわずかであるし(入浴シーンの凹凸のなさを見よ)、背景は前述の通りにデザイン化されているから陰影はないに等しい。

 すると面白いことが浮かび上がってくる。このアニメ、通常通りのアニメを作るつもりがないってことだ。しかもそうしたこれまでのアニメの文法がなくても、十分ほわほわして面白いし、楽しめるのである。4コママンガのアニメ化作品という区分の中で、これほどまでに4コママンガという原作のテイストに沿った形でアニメ化されているのを、私は知らない。つまるとこ、本作は4コママンガをアニメ用にトレースしたような作りに、新房監督×シャフトなりの視線や物語誘導のアクセントをプラスしたものだと思えばいいのかもしれない。原作マンガの味わいを殺すことなくアニメ化する手法として、こういうアプローチもあるのだなと、いまさらながらに感心した。

<ダンス・ウィズ・ザ・ヴァンパイヤ・バンド>
 さて、この作品も新房監督×シャフトによる作品であるのだが、こちらの作品はまた「ひだまり」とは似てもにつかないダークな印象を持つ作品となった。物語に関しては8話までに原作のアキラとミナの絆を中心に据えたエピソードでまとめ、1回の総集編をはさんで、残りどこまでやる気なのかと思ったら、詰めに詰め込んだ急展開でした。まあ、序盤にあったわずかな中だるみを見るまでもなく、最終回になだれ込んだので、緊張感を保ったまま、最終回まで見切ることができたといっていいだろう。オリジナルのドロップ少女がどう最終回に絡むのかが、原作既知のみなさんいは気になるところだったかも知れませんが、フタをあければ至極納得。OPとEDの緊張感もそのままに、アキラとミナの絆で最後まで押し込んだラストシーンのおだやかさも、涙腺を刺激するシーンだった。
 しかし全体的に尺が足りてないイメージが強い。特に8話のミナとアキラのバトルシーンは、もう少しタメが欲しかったし、バトルシーンらしくもっと派手に動かしても良かったとなと残念に思う。原作通りに作っても、尺が足りない印象なのに、さらに9話以降は話を詰め込んでいるので、やや窮屈な感じが否めない。

 本作に関しては、「絶望先生」や「化物語」のような、いつものような新房監督×シャフトっぽいイメージが少ない。顕著に出ているのは開幕直後のタイムカウントぐらいか。ゴシック超でまとめられ、シルエットのみのミナが印象深い。だがそれ以外にあの独特の黒コマの使用も少ない。どうやら新房さん、本作では本当に名前貸しだけかしらと思わせるが、実は「画面の舞台化」については、きちんと引き継がれているように見受けられる。
 「化物語」において、ガハラさんの家がまるで舞台のセットのような状態になっていたり、阿良々木くんの部屋が意匠化されたデザインのセットのように見えたのを覚えていらっしゃる方もいるだろう。あれです、あれ。ただ今回は少しだけわかりづらくなってまして、今作では「スポットライト」という形で舞台化をしているように見えた。簡単にいえば、全体に光が当たっているように見えて、背景と対象物の手前に黒い物体を置くことで、演技している人物を浮かび上がらせて、まるでそこにスポットライトが当たっているように見せている。特に屋内のシーンではそうした例がいくつか散見されている。単なる遠景で人物を描くのではなく、そこのいる人物を際立たせるために、人物より手前になにかをおく手法である。あなたが画面を見ていて手前の物体が邪魔に思えたらしめたもの。それぐらい中央にいる人物に入り込んじゃっている証拠である。
 なお絵コンテで漫画家「MEIMU」氏が参加しているなど、少しいつもとはアプローチが異なる新房監督×シャフト作品である。1話のバラエティ番組を模した導入も、賛否両論あったけど、今期には少ないハードな展開の物語であったので、余計に楽しめた。何より正当派ツンデレであるミナの気っぷの良さには、それだけで頭が下がる。これほどの民を愛する為政者がいるだろうか。そんなくだらないことを考えてしまえるほど、楽しい作品でした。掘り出し物!

<君に届け>
 2クール消化して終了。原作既読者にとってはいったいどこまでアニメ化するのかやきもきしていたが、原作既読者にとっては最もやきもきするところで終わっちゃいましたね(笑)!
 なにかの原作者インタビューで読んだら、この人、「きれいごとしか書きたくない」って言ってました。もののみごとにその通りになってる作品である。けれど、みんなそんな「きれいごと」が見たいんだよね。少女マンガの王道ってきっと「きれいごと」なんだと思うし、それでもきれいごとから始まって、多少なりともどろどろしてても、少女マンガの独特な「甘美な毒」の範疇でおさまっているから、みんな楽しめるんだと思う。今回「君に届け」を見ていると、はかない飴細工を食べているような感じがしていたのも、きれいごとと甘美な毒の絶妙なバランスだったんだと思う。こういっちゃなんだけど、「風早」はないよねえ。その風早でさえ、きちんと欲望を持って、爽子と接している部分の引け目が、このアニメの見所になっているわけで。
 それにしても「ちず」と「あやね」最高です。しかも「ちず」の恋物語には本当に泣かされました。
 絵的にも特筆すべきことあんまりないんだけど、本作は爽子、ちず、あやねの3人の声優さんには、本当に頭が下がる。あの演技されたら文句の付けようがない(えらそうですが)。またOPとEDの曲の本編とのシンクロ率がすばらしく高い。これもまた評価が高い。しかも発売中のDVDは、他作品よりも1話あたりの単価が安い。やったねVap。「ノイタミナ」につづけ!

さて、4月からも新番組が始まりつつあるわけで。今期も楽しいアニメに出会えるといいなとおもいつつ、ここで持ってねーけど、ペンを置くことにする。ではまた3ヶ月後。

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