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「重甲ビーファイター」~その2・悪役冥利3 ブラックビート~

 承前

 「重甲ビーファイター」という作品が、メインターゲットのお子様たちに受け入れられた事情の一つは、キービジュアルとなっている「昆虫」にあることは前回述べた。それ以外にも多くの美点を有している本作ではある。
 たとえば敵ジャマールの組織構成が合成怪人、傭兵、ロボットという3タイプの敵を用意する3軍団構成。これはすでに「仮面ライダーブラックRX」にて行われていた。また同じメタルヒーローシリーズを顧みれば、「超人機メタルダー」におけるネロス帝国や、「特捜ロボ・ジャンパーソン」の登場する敵組織が3つ登場するなどの例がある。この組織構成に敵の懐の深さを垣間見えるし、怪人や怪ロボットの出自がはっきりするだけに、画面として説明不要になるほどの説得力が出る。また途中交代したレッドルに関しても、本作ではむしろ美人ではあるがあまり外に出ているシーンが少なくなりがちだった羽山麗よりも、陽性で明るく勝ち気、それでいて表情にまだあどけなさが残る鷹取舞が拓也たちと外に出ることで、より強力な3人のスクラムを感じさせる。そして倒したと思ったにもかかわらず、しつこく復活するガオームの不気味さと強靱さは、イヤでも「生命」という言葉に想起させる。そしてそれらの番組上のテコ入れの最上級に位置するのが、黒いライバルキャラ「ブラックビート」の存在である。

 「黒の戦士」といって思い出すのはやはり特撮世界では「人造人間キカイダー」に登場した「ハカイダー」であろう。ここではそのキャラクターを語るまい。他にも「科学戦隊ダイナマン」に登場した「ダークナイト」、「風雲ライオン丸」に登場した「ブラックタイガー」、「巨獣特捜ジャスピオン」のマッドギャランなど、強烈な個性にヒーローに匹敵する強さを秘めたライバルキャラクターとして登場する。その一方で「ブラック」をヒーローの色に採用した戦隊シリーズでは、「超電子バイオマン」に登場した「シルバ」や「電撃戦隊チェンジマン」に登場した「海賊ブーバ」など、「黒」にとらわれないライバルキャラを模索していく歴史がある。だが本作で登場したブラックビートは、明らかに「ハカイダー」のオマージュのように登場し、「黒」=「かっこいいライバルキャラ」の復活に大きく貢献したといっていいだろう。その出自、その強さ、そしてライバルをブルービート一人に決めてかかる執拗さなど、どれをとっても最高にかっこいいライバルキャラの登場だったのである。

 ブラックビートの登場は19話。意外と早い。それまでジャマール3幹部がどうやっても倒せない宿敵ビーファイターを倒すため、やっとのことで3人が協力し、1体の合成獣を作り上げる。それが17話「死闘!!合体怪人」に登場するデスマルトーである。3幹部のやる気に免じてその作戦を静観するガオームであるが、結局は3幹部の手柄への執着と不協和音によりデスマルトーが倒される。それに呼応してガオームは自ら戦線に立ち、自らの作戦でビーファイター殲滅を実行する。それが18話「大首領死す!!」である。タイトル通りに見事に首領ガオームを倒したかに見えたビーファイターだったが、なんと形を変えてガオームは蘇生し、再びジャマール軍団を指揮し始める。そしてガウオームは知ったのだ。ビーファイターの力の源が「昆虫」のパワーにあることを。「目には目を」。ガオームは新たな幹部として魔道士ジャグールを召還する。そして迎えた19話、ジャグールの策略により手を傷付けられた拓也は、ジャグールの呪術に呼応するように苦しみ始める。そして拓也の手を傷つけた黒いカミキリムシを台座に据えて、ジャグールの術は進む。そして誕生したのはカミキリムシを模したインセトクアーマーを装着した漆黒の戦士、ブラックビートであった。19話の中頃に誕生したブラックビートはビーファイターをおびき寄せ、そこで彼らを圧倒する能力を見せつける。続く20話冒頭まで続く死闘。なんとか撃退するものの、この1戦によりブラックビートのジャマールでの地位は安泰となる。

 ここからの戦いは、ブラックビートを迎えたジャマール3幹部が、再び自分たちの地位を安定化させるため、ブラックビートと時には協力し、時には反目し合いながらビーファイター抹殺、そして地球自体を壊滅させるために動き出す。当然戦いは熾烈を極めるのである。
 そんな戦いの中で、ビーファイターは常に戦力強化を怠らない。鷹取舞の参戦とともに登場した新型装備「パルセイバー」。これをインプットマグナムに付けることでさらに強力な武器とした。そして対ブラックビート用に開発された「スティンガードリル」により、一度ならずブルービートはブラックビートを撃退する。また3台のビートマシンが合体することでより強力な攻撃力を発揮する「メガヘラクレス」の登場で、丁々発止の戦いは少しずつではあるがビーファイター側に傾きかける。また3幹部の紅一点・ジェラが連れてくる異次元傭兵の中には、人間であるビーファイターとも心を通わせる戦士が登場する。敵にも心がある。怪人であっても思考があり家族があり思いがある。熾烈を極める戦いの中でそんなささやかで暖かな心の交流を見せるのも、心優しき女性戦士・鷹取舞が登場して以降の物語の特徴でもある。
 そして謎はブラックビートの存在に繋がるのである。

 ブラックビートがインセクトアーマーであるのなら、当然その装着者がいるはずである。劇中では顔を見せず、黒の帽子と黒のマントをはおいながら登場し、その正体を見せずに話が進むのである。だが見ているこちらには容易に予想がつく。おそらくブラックビートの中の人は、ブルービートの中の人と同じではないか。
 下世話な話で恐縮であるがブルービート・甲斐拓也を演じた土屋大輔氏は双子であることが、特撮ファンの間には知られていたからだ。その双子のもう一人は、すでに「五星戦隊ダイレンジャー」のキリンレンジャー・知(カズ)としてブラウン管に登場していたし、大輔氏も「ダイレンジャー」の中で、コピー女帝にコピーされた知のコピーとして登場しているのを知られている。また「忍者戦隊カクレンジャー」においても二人で双子の忍者として登場している。だからおそらくはブラックビートの中の人は、拓也のクローンであろう。そしてファンの間の噂は真実であったのだ。
 ブラックビート誕生シーンにおいて、拓也が苦しんだのもこれが理由である。つまり悪の存在であるブラックビートの誕生は、自らの血肉で誕生させる負の因子であり、それが誕生することは自らの苦痛を伴っていたというわけだ。そしてクローンとして生まれたブラックビート自身は、やがてクローンであるが故の自分の命の短さに気がつくことになる。このあたりガウオームの能力で何とかしてやって欲しかったのだが、クローン技術は異次元科学でも現行の地球の科学レベルと同じであったらしい。違うのは運用上のモラルの問題らしい。まあガオーム自身もこれほどまでに地球での戦いが長引くとは予想だにしていなかったのだろう。結果的にブラックビートの命に関しては、ガオームもビーファイター同様の「虫けら」扱いしたことで、ブラックビートの離反を決定づける要因となる。

 そしてブラックビートがジャマールを離反するもう一つの要因が登場する。それは40話から登場し始めた「セントパピリア」である。小さな人型の体に、蝶のような美しい羽をもつ、まるで童話に出てくる妖精を模したようなセントパピリアは、ジャマールとビーファイターの戦いの行く末にしだいに関心を寄せるようになる。セントパピリアの正体は、時空の裂け目に生きる、永遠の命を持つ存在であり、その世界の滅びの瞬間に現れるといわれる伝説の生命体であったのだ。このセントパピリアにガオームは異常に執着し始める。そしてそれはセントパピリアが永遠の命を持つ故であると知ったブラックビートは、セントパピリアに与えられた自身の羽をたずさえて、わずかな命をクローン細胞の元である拓也との戦いにかけることになる。

 ブラックビートの正体がはっきりするのが43話「見た!!黒の素顔」である。それを見た誰もが驚きの表情を科kせない。そして拓也の驚きは尋常ではない。なぜなら自分の血肉が生み出したもう一人の自分が、地球の生命を脅かしていたと知ったからだ。拓也はここから長く戦線を離脱し、さすらうことになる。そして短い命の中で拓也との決着を付け、セントパピリアの命をわがモノしようとするブラックビートは、ともにジャマールを離反したジェラとともに、やはりさすらうのである。
 この時点でブラックビートのキャラクターは完全に結晶化するのである。
 生まれながらにして戦士。そして宿敵はブルービート。しかしそうでありながら、ブルービートこそは自分の宿主ですらある。だが強敵であるブルービートを倒すのに、なんのためらいもない。しかも仲間に裏切られ、腹心までガオームに利用され、傷ついたジェラとともに、互いをかばい合いながら戦うためにさすらう姿。同じ黒の戦士である「ハカイダー」や「ダークナイト」でもなし得なかった、悪のヒロイズムがここに結集していると断じていいだろう。ましてやキカイダーとハカイダーの関係を彷彿とさせる、クローンとしての宿主への反逆、自らがクローンではなく、単独の「個」としての命を獲得するために戦うという皮肉の効きすぎる設定が、敵であったはずのブラックビートに、ブルービートと同じほどのヒロイズムを感じさせるのである。

 物語は拓也不在のビーファイターが、ジャマールと戦いながら、その裏で進行する巨大なブラックホールにより地球を飲み込む作戦を進めるガオーム。そしてそのための礎となって死んでいく覚悟を決めて決戦に挑む幹部たち。自らの戦う宿命にあらがえないと悟った拓也は47話で戦線に復帰し、ジャマールとの最後の戦いに挑む。同時に進行するブラックビートとの最後の戦いは、一瞬も目を離せない手に汗握る戦いだ。ジャマールホールを壊滅させて救われた地球に戻った大作と舞の見たものは、果たして相打ちとなって果てた拓也の姿であった。地球は救われた。確かに救われたのだ。だがそのために地球という重い命のために、一人の若者がその命を散らせてしまったのである。その哀しみと怒りを、天に向かって叫んだのは、誰あろう彼らの良き上司である向井博士である。大作も舞も哀しみの涙に暮れる。だがその時、セントパピリアの奇跡が、拓也に命を吹き込み、よみがえらせたのである。こうして異次元からの侵略者ジャマールとの戦いは終結し、地球に平和が訪れるのであった。

 って、おい、セントパピリオよ。ブラックビートの命はどうして助けなかったのよ! まあそれまでの非道を考慮すれば、こうなっても仕方ないだろうとは思うのだけど、あまりに雑すぎないか、セントパピリオ。
 まあ結局ブラックビート目線で話を進めるなら、同士討ちでは命はやれんよって事になるのかもしれない。だがその戦いのすさまじさは、是非ともDVDでも借りてご覧いただきたい。1対1のタイマン勝負。実力伯仲の二人の昆虫戦士ならではの激烈なアクションシーンが、あなたに襲いかかるのである。まさに平成の名勝負。見ているこちらの手にも汗がにじむほどの迫力ある戦闘シーンである。そしてその戦いこそは、二人が望んだ死闘であり、ブラックビートの悪のヒロイズムを完成させるための「死」でもあるのである。かのハカイダーにも匹敵するほどのキャラクター性を持ち、その背景に抱える問題は、人間が持つ科学への倫理に基づくというギリギリの線。そんな悪のキャラクターなかなかお目にかかれない。最近悪役がぬるいとか言っているあなた。そんなあなたには、ぜひご覧いただきたい、ブラックビートの悪のヒロイズムである。
 

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セントパピリオは続編である本作にも登場します。
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コメント

非公開コメント

No title

ガウオームになっている個所をガオームに訂正して貰えますか。

ブラックビートはオリジナルの拓也に劣等感を抱いていましたけど、
その点はライバルキャラとしては異質ですね、たいていは同格か見下しぎみになるものですが。
だからこそ決着がついた後の拓也の言葉が嬉しかったのでは。

No title

なお様

 ご指摘ありがとうございます。修正いたしました。

 おっしゃるとおり、ブラックビートは拓也自身の存在がなければ、そもそも存在しない人物ですから、彼の持つ劣等感はしごく真っ当な感情です。ですが拓也とは異なる使命をもって生まれ、拓也とは異なる仲間(ジェラ)を持ち、拓也とは異なる"個"を獲得した段階で、本来なら彼の生きる目的は達成しているように思えます。残念なのは彼の命が短かったことと、闘いによってでしかその命を長らえる方法を知り得なかったことでしょう。

 拓也の最後の言葉が嬉しかったのは、仰るとおりかもしれません。他にもその心境は複雑だったはずです。ですが、最後の最後で彼の中に去来した想い、それは死ぬことでしか自身の生きた証を立てられなかった、その厳しすぎる運命から逃れられた安堵だったかもしれません。なおさんのコメント見て、私はふとそんなことを考えてみました。

 コメントありがとうございます。
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
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特撮は主食、
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