J9シリーズ総論~キャラクターの作り方~

 先週末からいろいろあって、ちょいとお休みさせていただきました。あい、すみません。
 さて今日から再開するわけだが、今回はこれから扱う3作品「銀河旋風ブライガー」、「銀河烈風バクシンガー」、「銀河疾風サスライガー」、いわゆる「J9シリーズ」を点々と取り上げるにあたり、まずは1回総論としてまとめておこうという趣向である。
 この「J9シリーズ」が、ロボット・アニメのジャンルでありながら、ロボットの活躍よりも、主役機に登場するメインメンバーの4人のキャラクターが俄然注目され、キャラクターの人気主導で名をはせた作品である。これに類する作品は、「戦国魔神ゴーショーグン」、「魔境伝説アクロバンチ」、「超獣機神ダンクーガ」などぐらいだろうか。いずれもロボットの活躍以前に濃い搭乗者により、ロボットの存在すらかすんでしまうほどのキャラクター人気を得た作品である。だがこうした作品群にはいずれも共通した特徴がある。特にアニメのキャラクターを作りこむことに関しては、今回取り扱う「J9シリーズ」などは、ある意味で非常によいお手本だと思える。そしてこうしたキャラクターのなじみ方が、最近のアニメでは成立しなくなっている事情まで垣間見える。そこで今回は「J9シリーズ」の総論としてキャラクターの作り込み方に注目して見たい。

 「J9シリーズ」は1979年(S.54)に製作された「くじらのホセフィーナ」でアニメ製作を開始した「国際映画社」という製作スタジオの作品である。さて「J9シリーズ」をご存じない方のため、例によって基本的なデータを示しておこう。

「銀河旋風ブライガー」(1981年10月 - 1982年6月)

モチーフは「必殺シリーズ」。全39話。
 西暦2111年、時代はすでに宇宙時代。人類は太陽系の各惑星にまで進出し反映しているかに見えた。だがその裏で、惑星開発に関わる莫大な利権とむずびつき、「コネクション」と呼ばれる巨大な裏組織が乱立しはじめる。そんなヤクザまがいの連中がはびこる世界で、哀しみに傷つき倒れる人々からの依頼を受ける「宇宙の始末屋」コズモレンジャーJ9の4人が、巨悪の前に立ちはだかり、報酬を得て悪を裁いていく。そして彼らの戦いはやがてカーメン・カーメンを筆頭とするヌビア・コネクションによる「大アトゥーム計画」を知り、カーメンと対立する。


「銀河烈風バクシンガー」(1982年7月 - 1983年3月)

モチーフは「新撰組と日本の幕末」。全39話。
 時は前作より600年後の28世紀。カーメンのおこなった大アトゥーム計画により、地球軌道上にできた新しい35個の惑星上で暮らしはじめ、その管理は太陽系管理機構ドメスティック・バクーフにより管理されていた。だが人間の生活領域が広がり、外宇宙からの異星人による圧迫がかかることで、バクーフの組織は弱体化していることをさらしてしまう。このことに反発を覚えた各惑星の反体制派が台頭しはじめる。そんな折、J9にあこがれるドン・コンドール率いる仲間たちと共に「銀河烈風隊」を結成し、バクーフの警護隊にのし上がっていく。しかしバクーフが倒れるのも時代の流れとなるにおよび、烈風隊もバクーフと共に消えていくのである。


「銀河疾風サスライガー」(1983年4月 - 1984年1月)

モチーフは「80日間世界一周」。全43話。
 時代は前作よりもさらに200年語の30世紀。人類の宇宙進出はさらに進み、管理下の惑星の数は50を越えていた。だが大戦後の混乱の中で、やはり利権に絡んだ「シンジケート」が台頭し、世界に腐敗は目に見えて深刻となる。そんななか最大の「ブラッディ・シンジケート」の大ボス、ブラディ・ゴッドと世紀の大勝負を行った一人の男がいた。その名は「ICブルース」。彼と彼の元に集まった若者たちは、シンジケートがおくりこむ邪魔者の手をはらいながら、1年間で太陽系内のすべての惑星を回るという勝負をはじめる。彼らはJ9にあやかって、J9-IIを名乗り、愛機サスライガーを駆って、アステロイドを駆け巡るのである。



 また本シリーズの最大の特徴は、それぞれの作品の主人公チーム4人の声優を、塩沢兼人、曽我部和恭、麻上洋子、森功至らが専属でおこなっており、基本的な性格設定はほぼ同じようなキャラクターに設定されている。まあバクシンガーは比較的ハードな物語であったため、若干の違いはあるものの、1作目の「ブライガー」で登場した4人が、ほぼ立ち位置を変えずに、2作目、3作目に登場するのである。人間関係や立ち位置が変わらないということで、視聴者側が初めて接する初めての作品に、まったく違和感なくストーリーに入り込めるための措置である。これほど説明無用なキャラクター設定があるだろうか。

 そしてキャラクターの作り込みで有効に働いているのが、彼らの出自を最初に語りすぎないことである。これにより、物語が進むにつれて、各キャラクターを順に彫り込むようなエピソードを重ねるのである。たとえば塩沢兼人が演じたブライガーのキッドは銃の名手でありながら、軍の脱走者である1話の登場シーンと、エンジェルお町、飛ばし屋ボウイとの気の合いようで、ひたすら軽い人物に見えながら、2話目でいきなりキッドの過去に絡んだ女性キャラクターを登場させ、キッドは自分の過去を断ち切るのである。またエンジェルお町の父親に関するエピソードでは、お町が結構いいところのお嬢さんだったりするエピソードも出てくる(34話)。こうした個人的なエピソードを重ねながら、各キャラクターを徐々に把握するとういうのがいい。

 さらに各話に主人公が立ち、そこで見せるパーソナリティがまたキャラクターを際立たせる例もある。キッドやボウイが明るさの中に見せる依頼人への情を見ると、やはり少しほろっと来たりする。しかも他のメンバーは知らない、実に局所的な場面である。こうした登場人物の誰も知らないキャラクターの感情を、画面から垣間見せる手法により、各キャラクターがさらに掘り下げられるが、決して語りすぎないという案配なのだ。当時の同人誌に想いをいたせば、きっとキッドやボウイの過去話を掘り下げたものが多かったに違いない。キャラクターの愛され方愛し方とは、結局同じなのではなかろうか。その展開の仕方が昔と違うだけなんだと思うのだが。

 またこれは結果的な話であるのだが、彼らが使用しているロボットは、一応のワンオフものではあるのだが、その取り扱いはきわめて「道具」的な扱いである。通常のメインパイロットである塩沢兼人や森功至のキャラクターは、それなりに愛着をもって接しているように見えるが、それは自分の命を守るための保険でしかない。ボトムズのスコープドックほどではないけれど。バクシンガーにいたっては量産が前提とされているロボットであり、一人乗り用のバクシンガーも登場していたり、バクシンガーの売買により金銭を得ていたシーンまで存在する。これほどぞんざいに扱われたロボットもそうはない。そしてロボットによる戦闘も、それ自体が目的ではないため、物語的にも意味がオミットされるような戦闘もまま見られるのだ。そうなると、結果的に搭乗者に目が行くではないか。これはロボット戦闘の作画に問題があった製作スタジオの、苦肉の策でもあったのである。事実、戦闘シーンの惨状を見たキャストが奮起したというエピソードは、そそらく事実だろう。

 そして何よりもこのメンバー構成には、いわゆる「ルパン三世」という偉大な先人がいることも、忘れてはいけないだろう。「ゴーショーグン」もそうだし、「ダンクーガ」も男3人に女一人の構成である。これが黄金比率だといわんばかりだ。そして4人の揺るぎない結束、そして表面上の圧倒的な軽さ。これが深刻な物語を受け止める土壌になっており、そんな素っ頓狂な展開の話でも、容易に受け止めるのである。それは「ルパン三世」という155話も続いた作品のバラエティが実証しているのである。そう、シリーズの長短も、重要なファクターである。ルパンほど徹底できないが、それでも3クール(39話)もやれば、いやでもキャラクターは生きてくる。一人で歩き始めようとする。そこまで作り手も演じても、また受け手もゆっくり時間をかけて育てる余裕があるからこそできる、共通認識の中でできた遊び、それが「キャラクター人気」の秘密なのかもしれない。
 結論から言えば、現行のアニメがすでに原作を持って登場することは、キャラクター人気を短命にさせている原因であるし、人気のサイクルが早く感じるのも嘘ではなく、事実手変え品変えで数を押し立てて出しまくるしかない。これでは長くキャラクターと付き合おうという心構えが成り立たないではないか。そして古い物はダメと断じてしまう風潮が、これを後押しする。ゆっくりと振り返るいとまがないのである。

 だがそんなサイクルでも長く愛されるキャラクターは生まれてくる。人間とは誰かが作り上げたサイクル通りでは、やはり動かない生き物なんではないかと、ふと思う。だからこそ、ゆっくり愛してやりたいキャラクターが生まれたときには、じっくり愛してやりたいのであるし、時間の流れにまかせて新しいものを流してしまうこともまた、必然となる。流れが速いのが悪いのではなく、自分のスピードを忘れなければいいだけの話なのだけど。
 さて、そんなことをぼんやりと考えていながら今日はここまでとし、今後はキャラクターだけではない「J9シリーズ」の楽しみ方をゆっくりとご紹介していきたい。

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(2009/03/25)
塩沢兼人森功至

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あるんだよね、こうゆうの。サスライガーいらねえとか言うなよな(笑)!
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波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
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戦隊シリーズをこよなく
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後期必殺を好み、
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ピカード艦長が大好物。
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