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「けいおん!」と「のだめ」~ダメ女子の系譜~

 倉田真由美著「だめんず・うぉ~か~」によれば、だめな男ばかりと付き合ってしまうクセを持つ女性を、タイトル通り「だめんず・うぉ~か~」と呼ぶのだそうだ。これの連載により、男性主体だった読者層の雑誌を、女性が読むようになったと言うから驚きである。ただそこにあるのは、そんな社会的にも個人的にもダメな男でも、愛してしまえる女性の存在が浮き彫りになるのであり、そんな男性諸氏を受け止める女性礼賛の風潮にも見えてしまう。そう、「こんな男を愛せるのはあたしだけ」的な快楽の感じ方が、すけて見えてしまう気がするのである。ただ作者・倉田真由美自身をテレビで拝見する限りでは、マンガで表現されているような印象はあまり受けない。だから余計に、かのマンガがネタであると割り切れて見えるし、女性礼賛という感じ方の方向性は、間違ってはいないと思えるのだ。

 その一方で、男性はどうよ? と聞かれたら、男だってダメな女、好きなんじゃないだろうか? 酒宴の場で、少し抜けてるぐらいの女性のほうが魅力的に見えたりするし、その後の展開を期待してしまうのも、男の性であろう。いやいや、最近流行りの女子って、むしろ少しダメな女性なんじゃないだろうか? それにはたと気づかせてくれたのが、「けいおん!」と「のだめカンタービレ」の2作品である。ところがいろいろと考えているうちに、その系譜をたどると意外なキャラクターに行き当たってしまったのである。

 仮に「ダメ女子」というネーミングにしておくことにする。この「ダメ女子」を検証するサンプルとして、今回は「けいおん!」の平沢唯と、「のだめカンタービレ」の野田恵にスポットを当ててみたい。

 「けいおん!」は現在第2期絶賛放送中の人気深夜アニメであり、主人公・平沢唯を含めた5人の女子校生徒による、「軽音部」ひいては「放課後ティータイム」というバンドのにおける音楽活動や日常の学生生活を主軸にしたアニメである。その主人公・平沢唯という人物は、耳が良く、技術的な裏付けもなく完コピできるほどの絶対音感の持ち主。しかしながらギターの練習を含め、勉強もなにもかもが中途半端であり、むらっ気が多い。そのため何をやっても長続きしない。おまけに基本的にはめんどくさがりであり、日常においては生活無能力者ですらある。妹の憂の存在無くしては、日常生活すら危うい少女なのである。はっきり言ってダメ女子であるのだが、再度確認するが、音楽の才には一角ならぬ物があり、また誰よりもチームの和を重んじているのも彼女である。したがって「放課後ティータイム」というチーム構成から見る場合、非常に重要なキーマンでありながら、いの一番に脱線したがる問題児でもあり、そのむらっ気がそのまま自身の活動の根拠になっている。それ故に裏表のない人物として描かれており、誰からも好かれ、なおかつ唯はチームの中心人物なのである。

 一方の「のだめ」の野田恵であるが、こちらも音楽・ことにピアノに関しては天才的な才能の持ち主である。その才能を見いだした千秋真一にとっては、導くべき女性でありながら、自分の岐路には必ず存在するという大事な女性なのである。生活無能力者は唯と同様であり、千秋が掃除をしなければ一方的に部屋は汚れていくレベルである。また恋愛に関してはまったくデタラメであり、「手順を踏む」という考え方が、すでに頭の中にない。それはそのままピアノに対しても同じであり、まわりが手順に沿わせようとすればするほど、そこからはずれるように行動しがち。それゆえ、ピアノの技術は高いにもかかわらず、頭で考えることを嫌がり、理論ではなく感性で訴えるタイプ。基本的に変態であり、愛する千秋に対しては、臭いフェチである行動を見せる。努力を惜しむわけではないが、唯同様むらっ気が多く、周りが導いてやってもうまくそれに乗れない。だが常に千秋のそばにいて、千秋を気にかけ、千秋を愛し続けながら、自分の音楽を見つめることで、総じて千秋との距離を詰めていく過程が、マンガでの白眉となっている。

 どちらの作品にも共通していることは、このどうしようもないダメ女子二人が、周囲の人間にとってまったく嫌われておらず、むしろ積極的に愛されている事である。だがあなたのとなりに彼女らのような人物がいたらどうだろう? かなりいらいらさせられるし、生活無能力者であり、才能を持てあましているような人間を、決して好ましいと思えはしないのではないだろうか? マンガの主人公だから嫌われたりしたら困ると思うだろうが、スポ根物にありがちな「ライバルキャラ」すらいないのである。ということは先天的に二人のキャラクターは、登場人物たちに積極的に好ましく思われており、嫌われる要素としては上記のダメ女子ぶりは、考慮に入っていないのである。存在自体が愛される。それがこの作品世界の中の、マンガの構成上の彼女たちの位置なのだ。

 このような主人公が「ダメ女子」っていう構造、遡ると意外に多いことがわかる。以前本ブログでも紹介したことがある「ケメコデラックス」のエムエム。彼女は日常生活に関する情報がないのであるが、普段「ケメコ」というパワードスーツに身を包まれていなければ、普通に行動すら出来ないところを見ると、ダメ女子の香りがぷんぷんする。また「かんなぎ」に登場した「なぎ」はまさに「神」であるというアイデンティティすら持ち合わせていない、無自覚な神であり、生活無能力者をよそおって何もしない人物である。料理すれば出来るが味の保証が出来ない以上、彼女もダメ女子の可能性は高い。
 そしてまたこのダメ女子に完全に合致するキャラクターを知っている。その名は「月野うさぎ」。平成の世に大ヒットした「美少女戦士セーラームーン」の主人公である。ドジでマヌケな中二の女の子が、地球の平和を守るために戦う月の世界の女王様という設定である。だが彼女たちが作中で、登場するキャラクターに嫌われたりしたことなど一度もないのである。

 そして「月野うさぎ」というキャラクターを軸に考えれば、どうして彼女たちが作品中でこれほど愛されるのか、理由はすぐにはっきりする。彼女たち「ダメ女子」の皆さんは、他のキャラクターたちにとって「母性の象徴」だからである。端的に言えば、劇中にはっきりと登場しない周辺キャラクターに対する「母親」の役割を担っているのが、彼女たちだからである。月野うさぎについては劇場版「美少女戦士セーラームーンR」を取り上げた際に、すでに説明している(http://naminomanima2.blog78.fc2.com/blog-entry-23.html)。平沢唯に関して言えば、後輩である梓をかわいがるあまり、彼女に抱きつくシーンが度々登場する。また梓があまりに練習をしない唯達にキレたときには、率先して梓の頭をなでにいっている。こうした行動がいくら奇異に見えても、劇中での他のメンバーがそれを良しと見ている。またよりはっきりと唯がチームの中心であることを端的に示したのは、第1期の事実上の最終話「冬の日」であり、それぞれがそれぞれの休日を過ごしながら、結局は自分のペースで仲間を一堂に会させ、鍋に誘うのである。これこそ唯がチームの中心であり、また団らんの象徴である「鍋」によって「和」を保とうとしてる図である。そしてその発想こそが、チームにとっての「母」「母性」の存在を唯に認めざるを得ない。

 「のだめ」については、もっとより直接的である。のだめは常に自分のためだけに行動している訳ではない。物語の多くが千秋の成長物語の側面を持つ「のだめカンタービレ」という作品において、のだめの手を引くはずの千秋にとっては、のだめこそが「母」であると思わせるシーンがいくらでも指摘できる。もっとも端的なシーンは千秋が眠るときに、彼の頭を抱いてのだめが眠るシーン。またのだめを九州の実家まで迎えにきながら、同時に自分が海外に留学することを決めるシーンは、結果的にのだめの存在こそが千秋の問題点を霧消させた理由であるのだから、のだめの存在は千秋にとってただの「恋人」ではなく、「母」として千秋の背中を押す役目を果たしていると言える。しかも千秋は自覚的にのだめをその位置に追いやっている傾向がある。世界中のどこにいても、千秋が疲れてかえるところはのだめがいる場所である。のだめに対して、暗に「そこにいて俺の帰りを待て」と言っているのである。また千秋の母親の存在は、イコール幼少期の飛行機事故に繋がっているため、千秋にとっての正確な「母性」は、事実上存在しない。とすれば千秋がのだめを求める理由は、単に「母性」としてののだめをほっしているに他ならない。同時に「父」とも千秋は疎遠であるが、この部分は多くの音楽家や音楽そのものが引き受けている構造になっている。

 どうやら「ダメ女子」にはかわいがられる条件としての「ダメさ加減」と同時に、だれもを引きつける「母性」としての魅力を兼ね備えた存在であると推定できるのである。現在のこれらの作品のファンの皆さんは、こうした部分だけを気に入っているわけではないだろうが、物語の展開上、彼女たちの「母性」がキーになる展開は、いくらでも出番がある。いやでも目につく彼女たちの「母性」は、やはり「草食系男子」と呼ばれる現代の男性諸氏にとって、魅力的に映るのかもしれない。そして「だめんず」をどうしても愛してしまう女性も、結局は自覚的な自分の母性を、「だめんず」を愛することで確認し、自己満足しているに過ぎないように見えるのである。それは幸せの価値基準を自分で決めたがり、他人との比較で語りたくない上に、不幸自慢してしまいマンガのネタにしてしまうほどなのだからである。

 ここでこれらのダメ女子の系譜をたどるとき、「かんなぎ」のような「ある日突然日常に迷い込んだ非日常」という存在にたどり着く。つまり日常の生活に足りない物を補おうとする心がそれを求めた結果、突如主人公の日常に迷い込んだキャラクターが、それを補完する物語構成に通じるのである。マンガでは「みゆき」や「あねどき」などの恋愛物を主軸にしたものにも、このパターンは多い。そして「日常に迷い込んだ非日常」というファクターだけでたどるとダメ女子の系譜の一番最初にいるのは、「ドラえもん」や「怪物くん」、「おばけのQ太郎」などの藤子不二雄氏のキャラクターにたどり着くと思われるのだ。そう、おばけでありながら人を脅かせる能力がなく、たいした変身能力もない。ましてや大飯ぐらいのくせに役立たずの「Qちゃん」。だけど誰からも好かれるお人好しときてる。「Qちゃん」などはまるで「ダメ女子」のプロトタイプであるかのように、共通項が多い。おばけには性別もはっきりしないので、女子認定も難しいところであるが、これ以上はたどれなさそうである。唯だ、なぎだ、のだめだといってはみても、元をただせば「おばけのQ太郎」とは。唯は愛せてもQ太郎をそこまで愛せるだろうか?

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コメント

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No title

普通に 「なるほど!」 と思ってしまった件。

他にあるとすれば唯、のだめ、うさぎのもう一つの系譜
つまり冴羽リョウやヤン・ウェンリーといったような
一芸に秀でた天才というステロタイプという評価軸との兼ね合いぐらいでしょうね。

しかし「母性」とはwww なるほどー。

うーん、「母性」ですね。考えると色々出ます、先ずは「姉萌え」ですが、母を求めるとマザコンのレッテルが貼られてしまうので面倒見のよい「お姉ちゃん」に逃げているといえるのでこれ「母性を求める」行為です。

「妹萌え」や「駄目な子」も系統的には子どもの面倒を見なければという内なる母性をくすぐるのでこれは「母性を満たす」という見方ができます。

ペットを可愛がるという行為も自分が世話をしなければ生きていけないから守ってあげなければという母性を満たす行為とも言えるかも知れません。

まぁなんでも無理矢理母性に結びつけられる気がしますが、見た目も大事ですよね。
Q太郎ももっと可愛らしい見た目だったら母性愛の対象になったかもしれません。
しかし、蛇や虫をいとおしく感じる方もいらっしゃるので一概には言えないかも知れないですが…。

No title

「ダメなひと」を見ることで己が優越感を得られる、というのは
ちょいと意地悪に過ぎるでしょうか?

No title

がたがたさま
 ご納得いただけて幸いです。私自身は、こういうダメ女子って、けっこうイライラしちゃうタイプなもので、現在放送中の「WORKING」なんかだと、こういう女性がいない感じなので、わりと好きです。まあ「のだめ」も「けいおん」も好物ですけど。

とぴろさま
 「母性」の捉え方が広すぎますね。おっしゃるとおりです。難しいんですが、「母性」の解釈範囲を広げないと、「Qちゃん」にたどり着かなかったってのが、実は真相だったりしてます。かんなぎの「なぎ」がもっとも「Qちゃん」に近いのですが、なぎ→Qちゃんのラインと唯&のだめ組み合わせをつなぐためのキーが「母性」だと思っておいてください。

うめさん
 また殺伐方面に・・・・
 いや、そういった感情は否定できませんよ。とはいえ、そのためだけアホばかりつくっても、話が進まないじゃないの。むしろ「WORKING」のように、一癖も二癖もあるというキャラ作りの一環が、「ダメ女子」と理解していただきたいですね。
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
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後期必殺を好み、
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