銀河疾風サスライガー~箱庭宇宙の青春譚~

 やっと「銀河疾風サスライガー」のレビューをお届けできる段取りとなった。お待ちいただいた方がどれほどいるか、まったくわかりませんが、満を持してのお届けとなりました。
 さて、どうしてJ9シリーズの記事を書こうと思ったのには、実は理由がある。実に他愛もない理由であるが、この作品、前2作が異常に高いテンションで放送され、人気も高かったため、どうも飽きられてしまったようなのだ。私の記憶では当時のアニメ誌「アニメディア」でも設定などが公開されていた。同時期に「ボトムズ」や「ダンバイン」の設定も公開されていたので、この作品が1983年の作品であると思い出す。このようにロボット物が多くある時代に、ギャグに特化した「タイムボカンシリーズ」でもなく、「ダグラム」「ボトムズ」などの重苦しいリアルロボットなどとも異なる、それまでに多く存在していたスーパーロボット然としたたたずまいは、当時ですら少し古臭く見えたのかもしれない。その上でハイテンションで人気をさらった前2作のあおりを受けて、3作目のサスライガーは見向きされなかったのかもしれない。私の友人の中にも、バクシンガーまでは見ていたがサスライガーは見ていなかったとか。かくいう我が家内も、発売当時に本作のDVDを買っておきながら、いまだに見ずにいる。
 こういう見向きもされずに一方的に放置されている作品こそ、当ブログでとりあげる価値があるだろう。だがサスライガーだけを取り上げて、他2作を取り上げないのも片手落ちである。なので、ブライガーおよびバクシンガーをちゃんと取り上げた上でサスライガーを記事にしたかったのである。まあ、ずいぶんとタイミングがずれてしまいましたが・・・・・。

 さて、基本的な物語については当ブログのJ9シリーズの総括の回(http://naminomanima2.blog78.fc2.com/blog-entry-228.html)でとりあげた。ブラディー・シンジケートのブラディー・ゴッドとの大勝負として、1年間で太陽系内の50の惑星を回ることになったI.Cブルースとその仲間たち(抜き打ちロック、おとぼけビート、気まぐれバーディ)の物語。前2作が3クール(39話)であるのに対して、本作は43話となっており、本来は52話(4クール=1年)が予定されていたらしい。それが43話になったのは、まあいわゆる「打ち切り」だったらしい。つまり最初の1回と最後の1回が、実際の作品どおりだとすれば、1話1惑星として設定されたと考えればいい。1983年の作品としては、やはりざっくりとした設定だという気がするが。とりあえず1話完結の物語として、1惑星での事件を追いながら、その事件にからんだJJ9のメンバーやシンジケートとの戦いを描いている。

 これまでバクシンガーの記事でも触れたが、本作の世界観はブライガーの800年後、バクシンガーの200年後という設定になっている。面白いのはサスライガーのメインメンバーは、800年前の「コズモレンジャーJ9」にあやかって、自らを「JJ9」(ダブルジェイナイン)と呼称する。毎度のことながらこうした英雄譚はすべてこの時代に伝わっており、世界観が継続されていることを示している。このとき「J9-II」と名乗らないところが、おそらくブルースの知識がまさに勝負のゲンをかついだともいえる。
 ヌビアはカーメン・カーメンの後継者を教祖とあがめて新興宗教化しているし(25~27話)、15話では烈風隊の業績をたたえるために、崖面に彫り上げた烈風隊の彫刻を守るために、土地を荒らそうとするシンジケートと戦うサスライガーの物語である。しかもこの土地には彫刻を守るための幽霊伝説があり、その幽霊のうらみもバクシンガーの時代の戦闘が元になっている幽霊話となっいるほどのこだわりようである。

 前作「バクシンガー」がかなりしんどい話であったため、本作「サスライガー」はできるだけ陽性に出来ている。その明るい部分を主に担当しているのはナレーションそして銀河系の美形DJを担当している声優「安原義人」氏の軽妙なしゃべりであろう。毎回EDの後に流れる次回予告の「Let's get together J9!」や「Be Happy Good Luck!」などの台詞のもつ、DJらしく当時としてはハイテンションで軽妙なしゃべくりが、作品にはっきりとした軽さを印象付けている。安原氏の経歴を考えれば、ドラマ「熱中時代」にでてくる水谷豊演じる北野広大先生の行きつけになる喫茶店のマスター役などの顔出しも印象深い。何より印象的なのはアメリカドラマ「特攻野郎Aチーム」のいい男、「フェイス」役の吹き替えなども忘れがたい。こうした経歴の持ち主の確固たる演技が、本作の印象を形成している。

 演技部分で言えば、より重要なことは、メインキャラとなるJJ9のメンバーの声優4人のチームワークであろう。
 これで3作目になる4人のチームワークは、作画を見て奮起した1作目、ぎりぎりのしんどい物語である2作目を経て、完全に消化されてこなれた演技を見せてくれる。本作では「ブライガー」にあやかってか、合言葉が「イェィ!イェィ!」と繰り返すのであるが、このタイミングのよさは「ブライガー」の時の比ではない。またロック、ビート、バーディの3人の掛け合いのテンポのよさも、作品の軽妙さを増す効果をあげている。この掛け合いのよさも4人の声優のキャリアが物をいうし、なにより3年も一緒に演じてきたチームワークであろう。
 つい最近NHKの番組「こころの遺伝子」を見ていたのだが、三宅祐司に受け継がれる伊東四郎のコントへの愛着について放送されていた。その中でコントの本質的な作り方はト書きにまでこだわった脚本が必要なのだそうだ。その上でリハーサルを重ねることで良質のコントが出来上がるという。そこにはアドリブやハプニングなど必要ない。昨今のテレビでもてはやされる使い捨てのお笑い番組とは異なるのである。そうした良質のコントに匹敵する面白さが、本作の4人の掛け合いには感じられる。それは3年という時間を経て作り上げられた、技能と信頼があってこその、一つの話芸の形なのであろう。

 ロボット物としての評価で見れば、J9シリーズの流れからいってロボット戦闘に重きを置いていないことはわかりきっている。だが特筆すべきはそれまでのブライガーとバクシンガーが剣を武器としていたのに対し、サスライガーでは「銃」を中心とする飛び道具が中心となっている。これは当時のロボットアニメの潮流が、いわゆスーパーロボットではなくリアルロボトットものに傾いていたことを示す端的な例であろう。
その一方でこのサスライガー、変形ロボットおもちゃとしてタカトクトイスから発売されていたが、放送終了後発売元が倒産して以降も金型が改修されて、様々なおもちゃが派生している。その優秀さゆえに、サスライガーの変形シーンは実に完成度が高いし、その変形には無理がない。

 本作の物語は、太陽系の50の惑星を1年間で回りつつ、自分たちの食い扶持を稼ぐために、JJ9メンバーが各惑星でさまざまなミッションを行うという1話完結の話が主軸となっている。その一方でサスライガーではこれまでのシリーズの決定版とするべく、恋愛の要素が加わっている。たとえばそれはビッグゲームの監視機関である「ソーラープラネットポスト社」の女性カメラマン・プチロッジとビートの恋物語が18話から明確にスタートしたり、ロックとバーディが付かず離れずの微妙な関係だったりすることに現れている。しかもJJ9の整備とまかない担当のジミーとスージーの二人は最終回で結婚式をあげるのである。こうした恋愛要素はかつてのシリーズになかったわけではない。ブライガーの追記でもしたように、エンジェルお町のベッドシーンなども、これに類するものであるが、より以上に注目すべきはメンバー内での恋愛をきちんと描いている点にある。
 いわば「JJ9の旅」とはビッグゲームに踊らされたお調子者の旅ではあるが、その一方で今流行りの「放課後部活アニメ」と同じ様相を呈しているともいえる。まるでモラトリアム的に青春時代を謳歌する彼らの姿は、むしろ「俺たちの旅」などのドラマに近いかもしれない。そうした青春ドラマでは「恋愛」の要素も決してはずせない。だから彼らは当たり前のように身内にいるメンバーとの恋愛に興じながら、同時にロボットアニメのお約束である戦闘をもこなして見せるし、キャラクターを掘り下げるためには、太陽系にいる自分の家族や縁故者ともぶつかったり和解したりして見せるのである。しかもこの太陽系50個の惑星はバクシンガーの時代からたった400年程度の歴史しかないのであり、彼らの縁故者が住む世界としては、とても狭い箱庭的な世界なのである。そこをすべて回るというゲームなのだから、いやでも縁故者に出くわすし、そこにドラマが生まれるではないか。よく出来た箱庭宇宙なのである。


 結果的に「銀河疾風サスライガー」という作品は、J9シリーズの決定版として製作された。そのためにシリーズ初期のブライガーのストーリーフォーマットを生かしながら、前2作では描ききれなかった要素を盛り込んで、JJ9のメンバーの箱庭的宇宙における青春譚として完成させた物語であったと見ることが出来る。それゆえにかつてのシリーズの支持者たちが、本作を敬遠した可能性も否定できないが、3年という長い時間をかけてスタッフとキャストが育て上げた作品を、私は素直に楽しむことができた。作り手は出来上がった作品を顧みず、新しい作品を目指す。その繰り返しと発展の面白さがJ9シリーズの白眉であろう。シリーズを愛しながら本作だけ敬遠した人々にぜひ見ていただき、J9シリーズをあらためて振り返っていただけたらと切に願う次第である。

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