「ヤマトよ永遠に」~その3・さらば愛しの・・・・~

承前

 さて「ヤマトよ永遠に」もここからはひたすらドンパチである。物語らしい物語はなりをひそめ、ヤマトの活躍が描かれる。同時に雪の地球での様子がインサートされ、雪は地球のため、愛する古代のために一つの決断を迫られる展開となる。

 まずは本ブログではしつこいくらいに名前が登場する、故・金田伊功氏によるコスモタイガー隊による中間補給基地襲撃シーンである。氏は数多くの傑作OP映像を世に送り出しているのだが、その本質は(研究家・氷川竜介氏によれば)エフェクト・アニメーターということになる。そのエフェクトの数々をまずは堪能していただきたい。
 たとえば古代が登場するコスモタイガーのコックピットにおける絵の極端なパースは、偶然の産物ではない。古代の腕の長さを劇場のスクリーンの視野におさめ、なおかつコックピット内であることを絵として表現するための、苦肉の策としての画面構成である。
 またコスモタイガー1機ずつを、つぶさに観察して欲しい。人間のモブシーンは数あれど、戦闘機のモブなんか、ヤマト意外で見ることは滅多にないだろう。しかもコスモタイガーの先端をアップにしたパースに、折れ曲がらんばかりの機体と翼。実際にこんな風に見えるかはおいといて、そこにあるという存在感こそが、このパースの意味である。
 補給基地内での襲撃では白銀の壁面を滑るように降下するコスモタイガーのスピード感と、見事にパースが付いたコスモタイガーのふわりとした移動の軌跡。また敵小型戦艦を破壊するコスモタイガーのミサイルの弱々しい軌跡と直後の大爆破のコントラスト、発進するコスモタイガーから放たれるうねうねとした煙の軌跡など、金田氏のなしてきた仕事の集大成とも言える数々のエフェクトの博覧会のようなものである。ヤマト下部から発進するコスモタイガーが、離艦する際に少しだけ下に下がるなどの芸も細かい。

 この中間補給基地襲撃シーンには、実に戦闘シーンを彩る3曲もの名曲に支えられている。まずコスモタイガーの活躍を盛り上げる「コスモタイガーIIのテーマ」、そして古代隊がドーム内に進入しようとしたときに逆に反撃をくらうあたりから、戦況がやや変化するのを受けて、「未知なる空間を進むヤマト」という本作のために書き下ろされた曲が、事態の緊迫度を盛り上げる(一瞬写るコスモタイガーの翼に「NO STEP」とあるのを見逃すな!芸が細かい)。そして補給基地が実は一つの巨大空母であることがわかった瞬間に、山南艦長の号令のもと、主砲の正射三連で止めを刺す。このときに勝利を盛り上げる「元祖ヤマトのテーマ」の3曲である。かつてこんなにも胸のすく一方的な戦闘はなかった。だからこそヤマトの強さが引き立つ序盤の戦闘シーンに、ファンは心から勝利に酔いしれる。もう何も言わん、君も泣け!

 そして待望の連続ワープの先に「暗黒銀河」が横たわる。
 作戦司令室ではこの暗黒銀河をどのようにわたるかという会議が行われている。一見実に民主的な会議のように思われるが、この会議の結果だけを見れば、第1艦橋で真田さんが一人主張するだけでも同じような気がするのだが。心配なのはこの「暗黒銀河」の捉え方が、どうも渦巻き型の銀河とブラックホールを勘違いしているように感じられてならない。

 なんにせよ、ヤマトは未知なる暗黒の空間に進み入る。そして出口を探すのである。暗黒だった空間はやがて濃密なガスが充満し、緑色を帯びてくる。レーダーは無力化される、有視界航法に切り替えたとたんに、敵艦隊と交戦に入る。古代が雪と澪を間違えるという小ねたを挟みながら、ここで活躍するのは、艦隊戦に慧眼を発揮する山南艦長の手並みである。濃い雲にまぎれる戦場の把握といい、転回したままの発砲といい、それに答える古代の攻撃準備の手際といい、まったくプロの手並みである。これに地球を包囲していた敵艦隊が追いついてきて混戦となる。攻撃を逃れてたどり着いたヤマトの先には、ゴルバ型浮遊要塞が待ち受ける。それも前作では結局イスカンダルの暴走でしか止めをさせなかったゴルバと同型機である。この苦難を、真田さんが準備した「波動カートリッジ弾」と新装備「波動爆雷」を使用して乗り越えるヤマトであった。

 それにしてもこの波動カートリッジ弾の破壊力は抜群である。たまさか暗黒星団帝国の持つなにかしらの成分が、波動エネルギーと反応する性質を持っていたのが幸いしたとしても、波動砲のエネルギーの100分の1を主砲の弾に詰め込んで、弾の破壊力に波動エネルギーの破壊力を加えるものであり、波動砲が使えないタイミングで使用される、小規模な波動砲だと考えればいいのかもしれない。
 こうなると、いろいろなものをつめて発射してみたくなるのが人情というものである。アニメ界に巨大なエネルギーといえば「イデ」があるが、子供の純粋な防衛本能にしか反応しない「イデ」では、破壊力が一定に保てない。ビムラー第3段階のゴーフラッシャーなんて、敵メカが自己破壊してくれるたりしていいかもしれない。いっそライタン軍団を入れて、敵の中から巨大化させるってのはどうだろう。あ、それはアポロン・デストロイか(お願いですからついてきてください・・・)。

 古代とサーシャの心温まるシーン。ああ、サーシャがかわいい。ここで古代が雪の生存を危ぶみながらも、彼女が生きていることを信じて疑わない古代が男らしい。だが私は告発する。その状況を作り出した3分の2は古代、お前の責任である。しかもサーシャのような娘に悲しい思いをさせて、この男は。この時点でサーシャの想いが古代に届かないということを示す短いながらも重要なシークエンスである。

 さてドレスなんか着せられて、生き残っちゃった雪は、アルフォン少尉に囲われていたりする。どうやら暗黒星団帝国の皆さんは琥珀色のお酒をたしなむようであるが、どのような酒なのか、酒好きとしては非常に興味がある。ほら、パズーのパンはうまいのかとか、そういう感じ。
 少尉になぜここから逃げないのか問われて、「助けてもらった恩があるから」と答える雪。だがそんな恩は微塵も感じていない目をしている。それではアルフォン少尉どころか小学5年生男子(おれ)もだませない。しかも「重核子爆弾の機密を教えてもいい」とか言われて目の色を変えるようでは情けない。こういう女性だと、古代をベッドへ誘うのに、演技が丸見えで、さぞかし古代も興が冷めたことだろう。こうなると結婚しない二人の事情は、得てして雪の側にあるのではと疑ってしまう。

 全天球レーダー室から、暗黒銀河の中心部通路発見の報。そしてそこにむかうヤマト。実に今回出番の少ない島が、ここぞとばかりに声を張っている。
 レーダーも利かない、視界も悪い。この状況下で岩塊が流れる中を、ヤマトは傷つきながら進む。ヤマトが岩塊にぶつかったショックで倒れるサーシャと古代。これまたうれしそうな表情のサーシャである。う~んキュートだ。そしてサーシャのイスカンダル人としての能力により、ヤマトは岩塊を避けるようになる。このサーシャの能力、南部は呑気に「透視」とか言っているが、透視よりは「近未来予知」に近いかもしれない。肩をすくめておどけてみせるサーシャがまたかわいいではないか。ところがさっきまで前方から流れてきた岩塊が、後ろから流れてヤマトの行く先へと流れ込んでいる。いいかげんだなあ。

 そしてスクリーンが広がり、暗黒銀河を脱出し、光り輝く白色銀河へ到達するヤマト。ここはあくまで未だ人間の知りえない未知なる宇宙の、その劇場の効果とともに堪能するシーンである。光り輝く銀河中心部。そしてまるで夕焼けに雲がかかったような美しさを見せる背景美術。しかもどことなく黄昏にも似た印象の光と青を基調にした白とのコントラスト。深遠なる宇宙の神秘をまざまざとみせつけようとする。
 ヤマトが宇宙を旅する物語という設定の奥には、こうしたまだ誰も見たことがない宇宙の神秘を見せるということが、一つの「売り」になっている。しかもこの白色銀河が先ほどまでの暗黒銀河と重なって、「二重銀河」となっており、地球からは暗黒銀河が邪魔して発見できなかったという説明なのである。センス・オブ・ワンダーここに極まれり。

 古代が気付いたとある光点に向かって小ワープすると、そこには地球が! それより私が気になるのは、古代の画面左に立つ大田の立ち位置である。先行するシーンではすでに立っており、そのあとで「地球だ」と叫ぶシーンでは立ち上がっている。セルあるいはシーンの使いまわしの悪い例である。結果的にこの地球はまさしく彼らが目指した敵母星であったのだが、ガミラスが破壊する以前の文明の地球の都市に似せて作りあげた地球を、なぜ彼らは「未来の地球」と呼ぶのかがまったく理解に苦しむ。島が指摘するまでもなく都市には人がおらず、ランドマークとしての遺跡だけが点在する。これでは「東武ワールドスクエア」といい勝負である。彼らは地球に対する外見上の知識しかないから、細かいこだわりがないのだろう。そういう芸のなさが、徳川太助が発見したロダンの「考える人」の左右が逆転していることにもつながるのだろう。

 上陸した古代たちメインメンバー。そこへ副官のサーダが登場し、彼らを賓客として招く。それにしてもこのシーンのサーダの表情はすばらしい。ここもほぼフルアニメで作画されており、鼻筋の通ったデザインが踏襲されている。サーシャとの差別化をねらったデザインだったのだろう。

 この敵母星でのシーンは、実に意味不明なシーンが連続する。先のスカルダートと古代のやり取りも、会話しているようでちっとも話がかみ合っていない。スカルダートはここを200年後の地球といっているのに、現在占領されている200年前の地球に重核子爆弾を送っている。古代はいい気になって自分たちの祖先を殺すようなことが出来ないと断った上で、重核子爆弾を使わないと判断している。これがまず早計だ。未来は自分たちの手で変えてみせると言い切ったからには、スカルダートが重核子爆弾を起爆させることも可能なはずで、古代は現況の地球をさらに危ない方向に追い詰めたといってもいい。しかも敵母星が地球であるという壮大なでたらめを、古代自信が信じてしまっており、スカルダートの換言を受け入れる体制が出来上がってしまっていることになる。こんなむなしい反論はない。つまるところ、古代はたった一人で地球の命運を握っているつもりらしい。横暴にもほどがある。

 そして悲しい別れがやってくる。このサーシャの別れのシーンも、その会話だけを聞いている限りでは、サーシャはまったく誰も説得できない。主張しているのはあくまで「未来の地球のほうが自分は暮らしやすい」ということなのである。しかもこれではこの年まで育ててもらった真田に申し訳が立たないではないか。せっかく影響がなくなるまでかくまわれていたにもかかわらず、嘘をかさねて惑星に残るのである。結果的にこのサーシャの決断が、ヤマトと地球を救うキーになるのだけど。まあそれでも「私が好きなら、追ってこないで」という言葉は重い。ここで急に古代とサーシャのラブストーリーが始まりと終わりを告げるのである。こんな強引な展開ってありだろうか?だがサーシャの一途な想いと、決して報われない恋は、当時の僕らの胸を熱く打ったのである。

 そして雪がとうとう決断を迫られる。アルフォンの思いを受け入れる覚悟をしつつ、爆弾の機密を知ったあとで、古代の愛に準じて死ぬつもりだという。それをもって彼女は「地獄に落ちる」と表現して泣き崩れる雪なのである。そう、考えてみると決断しているのはすべて「女」なのである。ここに本作の時代を感じさせるではないか。時代を切り開くためには男の剛性の考え方が必要であるが、それを切り開くのは女性のサポートであるということか。現状の世界を顧みれば、ずいぶんとアナクロであり男尊女卑に近い。

 それを本音として語ってしまうのが、スターシアの魂である。自分の星を壊した張本人の星の上で、娘の背中を押してやろうというのである。この母親もたくましい。そして美しく涙をながしながら、ヤマトと古代に別れを告げるサーシャの切ないこと。彼女を「悲しい運命の子」といってしまう母親が哀れですらある。なんと厳しい母親の愛であることか。これほどの好意に甘えていいのであろうかとすら思う。こんな美しくはかない少女の命と引き換えにして、地球なんぞ救うことに、どれほどの意味が見出せるのだろうか。

 ヤマトが敵母星を旅立つと、スカルダートは虎視眈々とヤマト撃滅を画策する。新登場の巨大戦艦がヤマトを襲う。ここまでは先ほどのヤマトの歴史同様の映像である。それにしてもこの巨大戦艦、ここで初登場してからあとは波動砲に蹂躙されて終わる。その間、芝居がばれて沸き立つヤマトの諸君。でも真田さん、指紋がないので彼らは人間の未来ではないってのは、どう考えても辻褄があわないよねえ。

 そのころ地球では、復帰した森雪の参戦で沸き返る地球軍。それまでよっぽどいい展開がなかったと思われる。森雪がきただけでそんなに喜ばんでも。そしてすぐさま行動開始し、アルフォン少尉と対決する森雪。この引きのシーンは、「ヤマト2」に出てくるデスラーと古代の対決の焼き直しである。オマージュというよりは「森雪」という人を、キャラクターとしてピックアップしたかったと捕らえたほうがいいかもしれない。「古代の隣にいる女」ではない「森雪」というキャラクターの真価が、このシーンが成立している背景にある。
ここでアルフォン少尉より衝撃の事実が! なんと彼ら暗黒星団帝国の人々は機械化が進み、首から上だけが本物で、あとはサイボーグだったのである。しかも地球侵略の目的は地球人類の健康な体だったという。ってことはやっぱり重核子爆弾を使うつもりがないってことだ。最後の最後で馬脚を現すとはこのことである。ただし起爆装置の解体の秘密を、実に丁寧にお話しするアルフォン少尉。このときどう見ても少尉は地球の味方なのである。

 さて、あれほど恐れた波動砲が襲ってくるというのに、「無限ベータ砲」などというとってつけたような適当な名前の兵器に期待する聖総統は、実に呑気ものと言わねばなるまい。そして真田さんの予想は大きく外れ、敵戦艦の撃破が思いもよらない形で敵母星を焼き尽くすのである。いくらダミーとはいっても、真っ赤に燃える地球を見た古代も、あまりいい気持ちがしないだろう。これも第1作目の真っ赤な地球のオマージュである。
ここで赤黒く変色した母星表面に、女性の顔が浮かび、叫び声をあげて老婆の顔に変わる。公開当時からこのシーンが不気味で怖かったが、あの女性は髪の長さから「雪」を模したのだろうか? サーシャにしては髪が短すぎる。また第三者的なイメージだとすると、あのシーンの意味がよくわからない。美しい女性の裏の顔は醜悪な老婆(敵母星の正体)という意味なのかもしれないが。

 出現した敵母星「デザリアム」。星というよりは星型の要塞である。それを一目見て、「新波動砲でも破壊できない」と見破るのは結構だが、ぜひとも解決策を示していただきたい。真田さんと会話すると、時折こうした現実を指摘するだけで、建設的なことがいえなくなる彼に、イラッとさせられるような気がする。事実、このときもどーすんだ!と思ったのはヤマトクルーだけではない。

 その時、敵母星に残ったサーシャから通信が入る。彼女はこのときのために残ったのである。それがわかり複雑な表情を見せる古代。そしてサーシャを救い出してから敵の本隊を撃滅しようなどと都合のよいこといいはじめる。けなげなサーシャは自分の命にかかわらず攻撃するようすすめる。パネルに写った彼女の小さな左腕がひたすら愛らしい。すかさずヤマトのパネルに写る素顔をさらしたスカルダート。どうでもいいけど、ヤマトの通信はあまりに簡単に割り込める。昔からよくあるネタで、モニターがONになっていないのに、デスラーの笑い声が聞こえるってやつ。まさにあの状態である。そして雪からの起爆装置解体の報告に後押しされ、決戦に赴くヤマト。とはいえ大写しになった雪の映像までスカルダートに傍受されているとは、相原通信長の仕事はなんなのだろう?

 そしてサーシャの命を心配しながらの戦闘を強いられるヤマトクルー。すべてのお膳立てはそろった。あとは目の前のスカルダートと要塞を破壊するだけである。そして南極側から侵入したヤマトが見たものは! 水晶のように光り輝く人工都市である。しかもその水晶のビルは大型ミサイルとなっており、容赦なくヤマトを襲い、ついに山南艦長が戦死する。それにしてもなんと小仕掛けの多い映画だろう。どうやっても「さらば」のしつこい白色彗星帝国が頭にあるので、ちょっとやそっとでは驚かないとわかっているからだろう。小仕掛けのインフレ状態なのである。

 決死の覚悟で山南艦長の命令に答えようとする古代であるが、ここにこの映画最大の人間ドラマが胸を打つ。古代はサーシャの身を案じて波動砲の引き金が引けない。それを真田が撃つという。こんなに声を荒げた真田さんを見たことがないし、ここの真田と古代のやり取りだけは、やはり涙腺に来てしまうのである。
ところが、どこにでも空気が読めないやつはいるもので、ちょこちょこと邪魔をするサーシャに止めを刺しにやってきたのは、敵のトップのスカルダートである。火に油を注ぐとはこういうことだ。ぎりぎりの選択を迫られた古代は、たぶん最初で最後の怒りにまかせた波動砲を発射するのである。このあたりの流れは、実に感慨深い。それは相手を殺すとわかっていて、その命を奪ってまで求める幸せの存在について、古代は一つの答えを出そうとしているということだ。

 北極出口より逃走するヤマト。デザリアム星の崩壊が大爆発を誘発し、さらに白色銀河と暗黒銀河を完全破壊し、なおかつ新しい銀河を誕生させるにいたるのである。これってもしかしたら、ビッグバンに近いエネルギーなのでは? 大体「星の一生」で超重力崩壊したって大爆発したって、星が1個の消滅にそれを含む銀河まで崩壊させるエネルギーがあるとは思えないのだが。だれか教えて欲しいものだ。

 さてクロージングでは自分の戦いを振り返って嘆く古代を、天に召されたサーシャが諭す場面である。何気に地球を賛美し、そこにすむ地球人類を賛美するサーシャ。でも生活環境としては受け入れがたいものだったにしても、この賛美のしかたは尋常ではない。こういうところに制作側のメッセージが載ってくるのだが、この美しいサーシャの言葉に耐えられるほどに、自分たちはすばらしい存在であろうか、彼女の言葉を聴いて私は未だに反省することしきりである。人間、簡単に自画自賛できるほど大人にはなれそうもない。そして帰路についたヤマトは、空を見上げて古代を待つ雪のいる地球へ帰還する。

 布施明の名曲「愛よその日まで」をバックに、EDである。そしてそこに写る黄色のシルエットのヤマト関係者の故人たち。このくだり、やはりすでに「さらば」のEDに登場したシークエンスである。ここに本作でなくなった人間だけではなく、それ以前の作品でなくなった「沖田艦長」をはじめ斉藤、加藤、山本、徳川などまで登場する。ということは、これにてシリーズは完結を迎えるといっているようなクロージングではないか。まさに同様のシチュエーションで本気で終わろうとしてると見て取っていい。例によって西崎プロデューサーの、ありがたいようで中身のない訓示までついて、「ヤマトよ永遠に」は一巻の終わりとなる。

 さあ、ここまでお付き合いくださった方に、感謝申しあげる。ってか、おつかれさまでした。
 だが本作には非常に見るべき美点が多い一方で、物語の辻褄合わせに明らかに失敗しているし、行動に対する因果関係が不明瞭な場合が散見される。まあこれがヤマトの「味」ともいえるのだが、これをもって「ロマン主義」とはもう言い難い。
 だが少なくても、本作を制作したスタッフの気持ちは、これが最後の「ヤマト」だと思って作っている。そして見るべき美点の多くは、そうした最後のヤマトへのレクイエムともいえるスタッフのがんばりの結果だと思える。そうでなければ背景動画のような労作のシーンも、気の遠くなるようなコスモタイガーの作画も、こめられる力が半減するに違いない。「ヤマトよ永遠に」という映画を当時の傑作たらしめている主な要因は、このスタッフと観客の「ヤマトへのさよなら」感の集積だといっていい。
 ただしその半面で、次回作がまだあるのではという下世話な思いもあるから、「ヤマト」はその時々の最新のアニメ手法に従い、新たな物語をつむぐのである。昨年の「復活篇」もその延長に過ぎないのである。

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発売延期になりましたが、楽しみですね。
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コメント

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No title

ヤマトに対する愛憎があふれていますね
私はDVDも持っていないし、そこまでヤマトにこだわりは持っていませんでしたが
この文章を読んで見てみたい気になりましたよ。

そうそうダイアポロンとゴールドライタンは余裕でついていけますよ。

No title

mineさん
 コメントありがとうございます。
 「愛」っちゅうか、ある意味で自分の人生狂わされたも同然なんで、死なばもろともって感じの方が強いかも。

 ただ今回は、映画の時間経過にあわせて好き勝手に、構成もなく書いてます。こういうやり方のほうが、伝わるのかなと思ったからです。しかも1回目からこれをやろうとしたら、やり損ねちゃいまして。その1を改稿して、助走をつけてから走りきった感じです。しかも「評」にすらなってない。酒場のだだしゃべりなんだよねえ、これ。

 これを書くために、大好きな本作を嫌いになるかというほど、見直しながら書きました。たぶん向こう2年は本作を見返さないような気がします。「復活篇」のDVDがでるまで、ヤマトはおいておきます。

No title

熱い。これは熱い。
最後の

>次回作がまだあるのではという下世話な思いもあるから、「ヤマト」はその時々の最新のアニメ手法に従い
>新たな物語をつむぐのである。昨年の「復活篇」もその延長に過ぎないのである。

これはヤマト独特ですよね。
なんだろう、明らかに製作サイドのどす黒い部分が毎度毎度顔を出してるのに、それでさえ魅力的に映るという。

荒廃した地球でボロボロに汚れた大和からヤマトが発進するシーンが象徴的に思えてしまいます。

No title

がたがたさん
 コメントありがとうございます。
 「お家芸」なんだと思うんですよ、すでに。

 「復活篇」に関して、作画監督を担当した湖川友兼氏のブログで、制作状況を後日談的に語られていますが、これがすごかったです。かなり、というかものすごく抑えた筆致で書かれていますが、制作状況のむちゃくちゃさや、プロデューサー(兼監督)の方の横暴さ加減を堪能できます。

 以前、そちらのブログで紹介されていた「ヤマト」評を、あらためて読みました。

 あの文章、私にはマネできません。
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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