「超電子バイオマン」~その2・科学の力で世界征服!~

 前回はバイオマン側の視点で「超電子バイオマン」の物語を俯瞰してみた。今回は逆に新帝国ギア視点で見てみたい。過去、戦隊シリーズの物語は敵側の確執が物語の終了を目安であった。ところが「超電子バイオマン」の物語は、バイオマン側よりも新帝国ギア側により比重をおいて作られているフシがある。実際物語のキー自体がギア側にあることが多い。そこで新帝国ギアを中心に物語を俯瞰すると、別の側面が見えてきた。それは新帝国ギアの世界征服作戦の全貌である(残念な)。

 「新帝国ギア」は前回も述べたように元人間であった蔭山秀夫が自らを機械化したドクターマンを頂点にいただく組織である。そしてドクターマンが作り上げたビック3、ジューノイド五獣士、メカクローン軍団、そしてメカジャイガンと呼ばれる巨大ロボットから構成される。

 新帝国ギアは軍団構成が素晴らしい。ドクターマンが作り上げたビック3は、知力と姦計に長けた「メイスン」、女性特有の残虐さをもつ「ファラ」、圧倒的な力を持つ「モンスター」という3人である。それぞれが異なるキャラクターを持つ3人である。しかもその能力はほぼ全方位である。
 さらにその下のジューノイド五獣士も素晴らしい。鳥型で空戦タイプの「メッサージュウ」、超能力でバイオマンを責め立てる「サイゴーン」、パワータイプの「ジュウオウ」、トリッキーな攻撃を得意とする「メッツラー」、水中戦を得意とする「アクアイガー」の5体である。それぞれの役割分担がはっきりとしており、ドクターマンの立案する計画遂行のために必要となる能力がすでに揃っている。それまでの戦隊シリーズに登場していた敵が、作戦立案のたびにあたらしい怪人を製造していたことを考えれば、非常に効率が良いといえる。そしてそれをサポートするビッグ3を指揮官に選択することで、作戦遂行上の問題点はほぼ解消されていることになる。

 さらには戦闘員として「メカクローン」が存在する。メカクローンはドクターマンが最初にメカ人間を作り出すプロトタイプであり、それらすべてのメカニックの元になっている。おそらく度重なるマイナーチェンジの末、大量生産を前提に改造がくり返されたにちがいない。技術的にはこれを巨大化したものがメカジャイガンでありネオメカジャイガンに発展したと思われる。しかも大量生産品である以上はできるだけ簡素なつくりであることから、人間に化ける、作戦に特化するなど使い勝手がいいと感じる。これをあの著名な世界征服組織である「ショッカー」のように、人間をさらってきて改造および洗脳する方法だと、生産のための材料はかからないものの、これほど使い勝手はよくないだろう。しかもショッカー戦闘員はそも人間であるため、上官に対して意見したり反抗したりするだろう。こうなると戦闘員を統制するための法律が必要となる。いわゆる「鉄の掟」である。それを「死の強制」という形で推し進めても、作戦が失敗すれば否が応でも死を強制せねばならず、あたら有能な人材が一方的に失われることになる。一方でメカクローンは能力が一定しており、失われても製造することができる。だが材料費がかかることは否めない。

 新帝国ギアの本部となるネオグラードは南極の奥地に居を構えている。この「南極」という土地柄がかなり重要なのである。まずこの土地が人跡未踏の地である。実際には海洋側の平坦地に世界各国が観測基地を設置しているため、まったくの人跡未踏とはいいがたい。だが各国の観測基地があるということは、観測船が接近するタイミングを襲えば、貴重な資材が手に入る。観測隊が行方不明になったというようなニュースを聞いたら、要注意だ。また南極大陸にはいまだ手つかずの自然があり、そこに含まれている資源も使い放題。大陸自体はアフリカなどと同じような地層構成であるが、より重要なのは南極大陸で発見される隕石である。あまり知られていないことであるが、昭和基地を持つ日本の観測基地周辺では数多くの隕石が発見され、日本は意外にも世界有数の隕石保有国である。また隕石には「鉄隕石」や「石鉄隕石」と呼ばれる鉄とニッケルの合金が多量に含まれるものがある。南極にいる以上、これを有効に使わない手はない。ドクターマンがこうした隕石から金属を抽出し、メカジャイガンやメカクローンを作っていただろうことは、疑うまでもない。新帝国ギアはおそらくこのような形で資材を調達していたと考えられる。←あくまで妄想

 さて新帝国ギアの何が素晴らしいかといえば、すべてをドクターマンが一人で作り上げたことにある。一切の反抗勢力を生む要因がないのである。どんな組織であっても同じ目標のもとに集まる人間の集団であれば、意思統一が欠かせない。もしも意思統一がなされていなかった場合、当然のことながら組織は対立する意見により二分されることになる。最近になって政権が揺らぎ、離脱して新しい政党を築いた例を見れば明らかだろう。それをさせないためには、組織を統率する者が必要以上にカリスマ性を持つか、あるいは一つの意思に統率するために全体を洗脳する方法しかない。

 ところが新帝国ギアはドクターマンの作り上げた機械人間のみで構成されている。ドクターマンが己の言葉のみを真実と受け取るようにプログラムすれば、洗脳などという無粋なことはせずとも、一つの統一された意思とともに統率されていることになる。ここには一片の裏切りもなければ、背徳もない。まことドクターマンの世界征服の意思を達成するにふさわしい組織形態なのである。

 さてここまで新帝国ギアの魅力を語ったところで、実際の物語における新帝国ギアの世界征服戦略を見ていこう。
 それはいきなりカウンターとして発動したバイオ星の科学力により阻止される。初めて出撃し日本の都市部を襲ったメカジャイガンは、バイオロボとバイオマンの抵抗にあい、あろうことか撃退されてしまうのである。もちろんこんなカウンターの発動などドクターマンにとっては予想だにしない出来事である。そしてここに新帝国ギアとバイオマンの戦いの火ぶたは切って落とされた。

 そこからの戦いはバイオマンたちが結束力を高めていくにしたがい、バイオマン優勢で進んでいく。初めてギア側が優勢に立つエピソードが10話「さよならイエロー」である。前回も書いたがドクターマンが開発した「バイオキラーガン」により、バイオマンの持つバイオ粒子と反対の性質をもつ「反バイオ粒子」がイエローフォーに打ち込まれてしまう。そしてイエローフォーの尊い犠牲を払い、バイオキラーガンの反バイオ粒子は尽きてしまい、使い物にならなくなってしまう。
 ドクターマンが気まぐれに作ったとしか思えないバイオキラーガンであるが、バイオマンにこれが有効な兵器であることは、初代イエローの死により明らかである。しかしドクターマンはこの兵器を主軸にしてのバイオマン抹殺を考えないのである。天才とうたわれたドクターマンに最初の失敗があるとすれば、まずここがポイントだろう。

 その後バイオマンと丁々発止の戦いを続ける両勢力であったが、またもや何を思ったのか、ドクターマンは自分の息子そっくりのメカ人間を作り、自分の後継者とでもいわんばかりに「プリンス」を前面に押し立ててバイオマンに戦いを挑む(19~20話)。一見するとこれはビック3の不甲斐なさに苛立ったドクターマンのテコ入れのようにも見えるのであるが、実態としては自分の息子の想像を具現化したメカ人間であった。しかしプリンスはメカ人間であることがばれた上で、ブルースリー・南原竜太の説得から母親の存在を求める行動をとるようになる。その結果、ドクターマンはプリンスをただの兵器として改造してしまう。その後実際のドクターマン・蔭山の息子である秀一が登場(25話)することになるが、ドクターマンはこの一件で、自分がもともとは人間であったことを吐露してしまう。
 この事件自体は全く問題がない。ドクターマンが自然発生的に生まれたわけがない。だとすればドクターマンにも生みの親がいるわけだから、それを想像するのはメイスンたちですら難しくないはず。ただ彼は脳科学者としての自分の研究を信じ、自分の脳細胞を活性化させた結果、世界は機械に支配されたほうがよいという妄執に取りつかれてしまったわけだ(26話)。ところがこの事実が、新帝国ギアという組織に初めて亀裂を入れることになる。

 26話「恐るべき父の秘密」でドクターマンは息子と決別し、人間の心を捨て去るために自分自身に再改造を行い、新たなコスチュームとなる。そして28話「ドクターマン暗殺」にて、メイスンらビッグ3がドクターマンに対するクーデターを発生させる。メイスンはプリンスの一件で、ドクターマンがもとは人間であることを知り、新帝国ギアの「世界は機械により支配されるべき」という設立理念から、本当の機械人間であるビッグ3のほうがドクターマンよりも首領にふさわしいと考えたのである。一度はドクターマンの暗殺に成功し、メイスン、ファラ、モンスターはギアの実権を握る。ところがこれあるを予想していたドクターマンは、メカクローン1号をキーにした罠をしかけ、さらにはバイオマンをも巻き込むことで、このクーデターを利用しようとしていたのである。結果としては暗殺されたドクターマンは影武者であり、再びドクターマンはギアの実権を取り戻すことになる。

 あれ? ドクターマンが作ったギアのメカ人間たちが、ドクターマンに反抗?

 そう、おかしいのである。原因がドクターマンが人間であり、ギアの設立理念とかけ離れているとはいうものの、本来なら反乱など起こすはずもないメイスンたちメカ人間が、なぜ反乱を起こしたか。その秘密は翻ってドクターマンの優秀性にある。先述の通りドクターマンは別にロボット工学の権威ではない。むしろその領分は脳科学である。彼はメイスンたちを作るにあたり、脳科学の権威らしく人間並みの思考ができるコンピューターを開発したらしい。14話「新頭脳ブレイン」に登場したブレインも、そんな彼の理想を具現化した脳科学の集大成だったようだ。したがってドクターマン=蔭山博士の優秀性は、自分の作るメカ人間にも非常に優秀なコンピューターを備えてしまった。その優秀なコンピューターは、ドクターマンとまったく同じ思考をたどり、新帝国ギアからドクターマンを排除する答えを導き出したと考えられる。つまりドクターマンは自分の優秀性ゆえに反乱されたことになる。もしドクターマンが慢心し、反乱など想像だにしていなかったとしたら、ドクターマンは暗殺されて、ギアはメイスンたちの牙城となっていたのである。だがその一方で、自分たちを修理したり、新しい武器を開発することができなくなったメイスンひきいるギアは、やっぱりバイオマンたちに勝つことはかなわない。そしていずれ自滅する運命にあったはずである。おそるべしドクターマン。

 その後、メイスンらビック3の記憶を抹消し、再度ドクターマンへの忠誠を上書きし、ギア崩壊の危機は事なきを得る。そしてドクターマンはさらなるギア強化のために、まず31話でネオメカジャイガンを誕生させる。ネオメカジャイガンの猛攻でバイオマンは一気に劣勢に立たされる。31話ではジューノイド5体を総動員し、その上でネオメカジャイガンで攻撃を仕掛ける総攻撃に打って出るギア。激しい戦闘と身内も顧みない戦闘はジューノイドのほとんどを失ってしまう。しかも続く32話ではビック3を再改造して再び強化を図る。またジューノイドのうち、あの熾烈な戦いに生き残ったサイゴーンとメッツラーを修理・再改造し、またモンスターの肝いりでジュウオウを再生させることで、ギアは新生することになる。その一方でバイオマンは己の肉体と強化スーツの再改修に加え、新しい技「スーパーエレクトロン」や「バイオ粒子切り」を会得することで、劣勢を強いられていた戦いを再び拮抗させる。このあたりは機械化を推し進めたギアと、鍛練で肉体を強化させていったバイオマンの対比が面白い。肉体を鍛練し機械的な強化を乗り越えるという図式は、やや教条的な匂いがしなくもない。また「ウルトラセブン」のころからのテーゼでもある「血を吐きながら続ける苦しいマラソン」と同じ意味を持っている。いずれにしろバイオマンの活躍により、どれだけギアが強化を図ってもドクターマンは世界を支配することはおろか、バイオマンに勝ちを収めることすらできなかったのである。

 そして現れた第三勢力により、バイオマンとギアの戦いはさらに展開することになる。37話で現れた反バイオ同盟のアンドロイド・シルバはただひたすらバイオ粒子反応をもつものを敵として認識し、それを抹殺するためだけに存在する。その「反バイオ粒子」の持つ能力はバイオマンを追い詰めていく。またシルバの持つ強力なロボット・バルジオンは、バイオロボすら退けるほどの能力を持つという。物語が「メカにも心を持つことができるか」という命題を追うようになると、表面上はバルジオンの争奪戦の様相を呈しながら、徐々にバイオマンたちはドクターマンを追い詰めることになる。

 その一方で物語の最後のキーマンとして蔭山秀一が再登場する。そして彼は柴田博士に同行し、彼の良心回路の制作を助けることにより、悪となったドクターマンを蔭山博士に戻そうとしていたのだ。柴田博士とはドクターマンの人間時代の親友であった郷紳一郎博士であり、レッドワン・郷史朗の父親であったのだ。そして43,44話で良心回路は一つの光明を見出す。ドクターマンが作ったメカ人間・ミキ。柴田博士に良心回路をつけられたミキは秀一と心を通わせていく。そして人の心をもったミキは自分が悪事に加担しているのを悔いて死んでいくのである。
 シリーズ中で最も悲しく印象深い物語であるが、同時にそれは「良心回路」という新帝国ギアのテーゼを覆す存在の登場でもある。だからドクターマンは柴田博士を執拗につけ狙い、シルバをけん制しながらバルジオンを強奪しようと企むし、さらにバイオマンの抹殺も計画せねばならなくなる。どれほど有能な人間でも、これほどの難事をいくつも抱えたままでは、本来の目的である「世界征服」などおぼつかない。案の定、ドクターマンの世界征服はそのままバイオマンの抹殺にすり替えられていく。

 けどさあ、ギアのバルジオンの強奪戦略って、ドクターマンの科学力がバイオマンに勝てなかったってことですよねえ。戦って傷ついて再改造しても勝てなくて、結局よその星の科学力を頼っちゃったってことでしょ。
 バイオマンにバルジオンを奪われないために、ドクターマンは郷紳一郎博士を人質にとりバイオマンをけん制する、あからさまにありがちな作戦にでる。だがバルジオンと一緒に拿捕したシルバも、ネオグラードから脱走する。もうこうなるとぐっだぐだである。終いにゃ、ひん死の郷紳一郎にまで親子の絆を諭されて、バイオマンの反撃を許してしまう(47~49話)。

 50~51話のギア最後の作戦は、バイオマンをネオグラードに引き付けての本土決戦である。またシルバはプリンスのコピーでネオグラードに侵入し、バルジオンの奪回を企む。だが秀一がプリンスと入れ替わっており、秀一も郷紳一郎の救出に来たのである。だがドクターマンの罠にはまり、閉じ込められるバイオマンたち。それを助けたのは自爆した郷紳一郎であった。バルジオンはメイスンを倒したシルバによって奪回され、バイオロボとバルジオンの決戦が開始される。バイオロボはピーボと合体することでバイオ粒子を倍増させ、バルジオンとシルバを葬り去ることに成功する。
最後のネオメカジャイガン・キングメガスでバイオロボとの決戦に挑むドクターマン。だが再びピーボの活躍によりキングメガスを破る。だがドクターマンは、キングメガスの爆発とともに地球を破壊する反バイオ爆弾のスイッチが入ってしまう。このままでは地球はバイオ星の二の舞になってしまう。ネオグラードに突入するバイオマン。そこで見た光景は、ドクターマンが秀一の持つ家族の写真を頼りに、人間の心を取り戻そうとする光景であった。そしてドクターマンの破壊とともに、反バイオ爆弾が現れ、間一髪爆発を免れるのであった。

 結局最後まで人間の心を失ったような振りして、秀一いわく「最後に人間の心を取り戻した」かに見えるラストであった。まあ秀一が正しかったのか、そうでないのかは置いておくが、いずれにしても新帝国ギアの侵攻は、バイオマンの勝利という形で幕を閉じた。

 ここであらためて、ギアの何がいけなかったのかを考えてみれば、ケチのつき始めはやはりビック3のクーデターだろう。事実上見せかけのクーデターで、バイオマンたちを罠にかけるほどの念の入りようであったが、ここで組織が一度ならずひっくり返ったのは、決していい方向に働かなかったろう。その後記憶を消したり、再改造を施したりしたが、それもバイオマン側の強化の呼び水となり、逆効果であった。問題点のほとんどは「ドクターマンは人間であった」という1点に集約されてしまう。

 私は記事の最初のほうで、「新帝国ギア」がもっとも世界征服に近しい悪の組織であると断じたが、それがこのような残念な結末を迎えた理由は、「悪」に徹しきれないドクターマンの弱さ、人間の心にある。だが同時に本作でのテーマである「機械にだって人の心は宿る」という内容からすると、「新帝国ギア」ですら世界征服は難しいという結論になる。そしてもう一つの欠点は、最後の最後で自分由来の科学力を頼るのではなく、バイオ星由来の科学力を頼ってしまったことだ。これも悪い言い方をすれば人間の弱い依存心が、ドクターマンにこうした決断をさせた可能性がある。
だが一番問題なのはそんなことではない。50話のラスト付近で、誰もいなくなった指令室で語るドクターマンのセリフにその理由が隠されている。

「あくまでも、歴史は私をヒーローにしたいようだな。バイオマンを倒し、新帝国ギアを築いたのは偉大なるドクターマンであると。ギアは私一人の、私だけの帝国。」

 う~ん、自己顕示欲ってやつかあ。これで世界征服をなしとげたやつを、私は世界史で見たことがない。結局のところ、彼には支配するビジョンがないままに、世界征服という「お題目」にあこがれていただけなのである。

 岡田斗司夫氏の著書「世界征服は可能か?」にも書かれているが、世界征服が目的ではなく手段になってしまい、世界征服後のビジョンのないものに、世界征服は実現できないのである。ドクターマンの信条は「メカ至上主義」とでもいうべきものであり、世界に人間など不要という考えである。つまり彼らが行動するのはあくまで人間をメカ人間にして、世界をメカ人間で覆い尽くすか、人間をすべて抹殺して、そのあとでメカ人間の世界を構築するかのどちらかになる。確かにギアの作戦を見ると、子供や幼稚園バスを襲って金品を強奪するような作戦は少ないが、科学力を追い求めるために、似たような手を使うこともある。はっきり言えば、目標を見失っているとしか思えない。また途中からバイオマンを抹殺することが至上の命題になっていき、目標がすり替わっていることにも留意したい。「ギアの作戦にバイオマンが邪魔」というのはいいわけである。なんのために複数の幹部がいるのだろう。ギアはこつこつ人をさらっては、メカ人間と入れ替えていき、人間を抹殺することをくり返すだけで、いつの日かドクターマンの野望はかなうはずである。またメカ人間が国家を形成した後も、政治をメカまかせにすればいい。エヴァンゲリオンに登場する「MAGIシステム」なんか、採用すればいいかもしれない。だがマギには赤木ナオコ博士の3人の人格が移植されたコンピューターであり、人間としてのジレンマをわざと残したという。これはドクターマンには採用されないかもしれない。

 新帝国ギアの最大のパラドックスは、メカを至上とする考え方に、なぜか人間がいたってしまったということにつきる。通常機械に対して人間は「不気味の谷」のような感情を抱いたり、粗略に扱いすぎる。それは機械が人間の制御下にあることが前提にあるからだが、この前提をひっくり返そうとして自分の中に存在する原初の矛盾に気がつかず、足元をすくわれたのがドクターマンという存在であったと考えることができる。すべてを自分に忠誠をつくすために作り上げたドクターマンはやはり天才であり、新帝国ギアはもっとも世界征服に近い組織であったが、ドクターマンの原初が人間であるという犯しがたい事実に勝てなかったといえる、なんとも切ない夢物語であった。
 では人間の感情をもし廃したとしたら、本当に世界征服ができるだろうか? それはその時に敵対する正義の味方によるかもしれない。カーレンジャーぐらいになら勝てる気がする。


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No title

総統ドクターマンは新帝国ギア=自分の理想の世界を作るのが夢のようなところがあったので、そもそもその時点でもう目的は達していますね。
(ヒトラーが壮麗なドイツの首都建設を計画したのと同じような機械都市ネオグラードを建設していますし)
あとは世界=他者に対する自己顕示欲とか世間に認められなかった恨みとかで行動してるようですし。
そうなると、自分に敵対するバイオマン=自分を認めない世界という図式もあってムキになったんでしょうか。
しかし、家族団欒のちゃぶ台のような司令室だとか(たしかにドクターマンは
自分だけ高い所にいたりしないんですね)、
自分を裏切った部下たちを結局処分せずに再改造するだけだったり
(まあ効率を求めたのもあったんでしょうが)、ジュウオウを再生したり、
人間の家族を捨てた男が結局自分の手で「家族」を造ってしまうとは…
泣けます。

No title

うめさん
 コメントありがとうございます。
 ってことはさ、ファラ=お母さん、メイスン=お父さん、ドクターマン=長男、モンスター=二男か?

 あるいはファラ=お母さん、ドクターマン=お父さん、メイスン=長男、モンスター=二男か?

 無理あるわ、この疑似家族(笑)。いや、いわんとするところはよくわかるんだ。
あてはめてみたら、妙におかしかったので、例をあげてみました。

No title

マッドサイエンティストは父であり母であるので(自らの創造物に対して)
、母不在でもいいのです。
やはり科学者は創造物に(歪んだ)愛情がありませんと。プロフェッサーKや
アトムの天馬博士を見てください。
このあと戦隊シリーズで登場する敵・機械帝国バラノイアがいまいち物足りないのはそういった人間の妄執というか情念が無い為だと思うのです。
しかし機械であるバラノイアが家族を構成しているというのは皮肉です。

No title

メカ人間・ミキのエピソードも「人の心を持つからこそ悪をなす」という
アトムやロボット刑事やキカイダーのテーマと照らし合わせるとまた皮肉に感じますね、そうするとまさにドクターマンの創ったメカ人間たちほど「人間らしい」
ものはいないと思います。
「良心回路」というのもひどく悪い冗談のように思えます、この上なく人間らしいものに「良心回路」なんてくっつけてどうするんでしょうね。
なんか「すごくいいひとなロボット」ができるだけのような…
あれ、これは「キカイダー」の結論ですか?
「不完全でもいい、完全なロボットなんかになりたくない」という…

No title

うめさん、そりゃおかしいよ(笑)。
だって、本来「悪」を植え込まれたメカ人間だから、「良心回路」がきくんでしょ?
ミキに関して言えば、よりつよく良心回路が働いたのは、ミキが自分のしている行動に、
疑問をもっていたからでないの?
ギアのメカ人間が人間らしいとするならば、それは「悪」という概念が先にあって、それを自己否定したり疑念を持ったりするからなんじゃないかなあ?

一方でキカイダーは前提が「善」と「悪」の2項対立が自己の中に存在することを理解している、それが「揺れる」ことで青年期の若者との対比が可能になるわけで、「良心回路」でくくると、前提条件がおかしくなるんじゃないかな?

キカイダーってさ、良心回路が不完全であることが、揺らぎの中の「善」に近づけるっていう意味じゃなくて、「悪」にあらがえる「力」なんじゃないかな。

No title

「へ、へへ、完全なものは悪いものですぜ」byスカンク草井

なんて引用してしまいましたが、
ギアのメカ人間たちは「悪の心」が与えられたわけではなく
「メカ人間が至上」という「価値観」だと思うのです。
彼らは彼らの正義に忠実に動いたわけだと思うのですが
(第三者から見てどうかはともかく)、
まあ自己の行動や正義や「価値観」に疑念疑問を持たないというのは
頭が悪いということでもありますが、己の「価値観」に従うのも
同時に人間らしいとも思うのです。バイオマンたちもあまり疑念疑問を持たず
瀕死のドクターマンに「良心回路をつけるんだ!」なんてやってますしね。
あ、そうなるとミキは「メカ人間至上価値観」に疑問を持ったことで
疑問を持たないバイオマンたちより上なのですか…
ミキの反抗に関しては善悪だけでなく秀一に対する気持ちとかも
あったんでしょうか

あと原作キカイダーは最後に「己の悪の心に従う」行動をとったように見えて、
ちょっと薄ら寒く思ったりしました。

どうも上手くまとまりません。
ロボットには「善」と「悪」と「自由意志」も持ってほしいですね。

No title

ってことはさ、バイオマンにでてくる良心回路はあくまで「ギア」の価値観に対するアンチテーゼであり、
キカイダーに出てくる良心回路とはちがうってことじゃない。

いずれにしてもバイオマンとキカイダーに出てくる良心回路は似て非なるものだということがわかったよ。
同列にかたっちゃいけないんだね。反省。

客観的にみると、ギア=悪の図式が見えるから、悪に対するアンチテーゼで良心回路に見えるけど、
二つは別物だと。

こまけえことはいいから、そろそろうちにおいで(笑)。
朝からでもみっちり話しこもうよ。

No title

キカイダーに比べて、バイオマンにでてくる良心回路が薄っぺらく感じるのは
そこなのじゃないかと、ミカもビッグ3もジューノイドも自分の意思と価値観で
行動しているようですし。原作版のダークロボットなんか命令に従うだけで
(一部除く)頭悪いですしね。
考えてみると「善悪」はその人の「価値観」によって違うというあまりにも
当たり前なことにいまさら気づきました。
メカ人間には「慈悲」が必要ですね。

この問題はいずれ色々改めましてお話を。

No title

政界制服となっている個所を世界征服に訂正してもらえますか。

確かに世界征服を目論む組織って征服した後の事をほとんど考えてないような。

また、シルバとか良心回路とか色々詰め込み過ぎた気もしない事ないのですが、
ドクターマンを主体にした話が進めていけば良かったのに。

No title

なお様
 ご指摘ありがとうございました。修正いたしました。

 コメントいただいたとおり、ドクターマンというキャラクターはかなり興味深いキャラでして、
 友人とも彼についてはよく話しています。それでもドクターマンは世界征服できなかったわけで。
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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