「仮面ライダーW」&「天装戦隊ゴセイジャー」~東映特撮の「今」~

 「むせかえるほどの栗の花香るころ、いかがお過ごしですか」という書き出しの添え状では、どうあがいても再就職できないような気がします。みなさんいかがお過ごしですか、「波のまにまに☆」でございます。
 どれだけ日本という国が不況にあっても、第一線で子供向け特撮番組の最先端を走っている「東映」という会社は、やはり素晴らしいと思うのです。本ブログでも多くの作品を扱いました。制作会社としてもあまりに多くの作品を提供している東映ですが、去年の「仮面ライダーディケイド」をきっかけにして、「戦隊は春スタート、ライダーは秋スタート」とシフトが変更になりました。また平成ライダーも10年という節目の年に送り出した「ディケイド」という作品が、良しにつけ悪しきにつけ多くの人々に受け入れられたことで、「仮面ライダーW」という新作を手に入れることができました。「時代」というキーワードや、単に「制作体制」などを含めて考えても、長きにわたり子供向け特撮番組を世に送り出す体制はやはり単発の作品を作る体制に比べて強固であることに間違いなさそうです。あしざまに申し上げるのもはばかりながら、単発でしかもウル○ラシリーズしか作らせてもらえなくなったコンテンツ不足の某会社のことを考えると、脅威であると言えましょう。
 さて今回は、東映特撮の現状として、日曜の朝に子供たちと一部の奥様方、そして特撮好きの皆さん方をにぎわせている2作品をとりあげて、その面白さを考えてみたいと思います。

 まずはすでにラストへのステップを上り始めている「仮面ライダーW」。2話完結スタイル、しかも主人公が「探偵」であるゆえにいわゆる「ディテクティブ・ストーリー」になっているわけですが、この「探偵物語」と「仮面ライダー」という二つの素材が、実によくマッチしていることは、番組をご覧の皆様なら、ご周知の通り。ではなぜか?
 昭和のころの仮面ライダーの場合、殺人事件が発生すると、それらしく警察官が現場にかけつけます。現場検証している最中に、なぜだかなんの権限も持たない一般人である本郷猛などが入り込んできて、さらっと現場を見るなり、「これはショッカーの仕業に違いない」などと言いつつ、行動を開始しますよね。これにより敵が発生させた事件を捜査する形で、仮面ライダーは敵と相対することになります。本質的には突っ込みどころなのですが、これがないと仮面ライダーは、ショッカーがライダーに向けて挑戦状でも出さない限り、敵と切り結ぶことができません。事件が敵とライダーを結ぶ重要な結節点になっているわけです。それをさらに一歩推し進めた形で、「探偵」の「捜査」という形で事件にかかわるというスタンスが無理なく組み込まれていることが、「探偵」と「仮面ライダー」を無理なくマッチさせている理由になります。そしてさらにこのマッチングを推し進めると、「仮面ライダークウガ」のようなスタイルになります。そして事件にかかわる部分を警察に依存した故に、主人公の位置づけが曖昧になってしまった例として次作「仮面ライダーアギト」が挙げられます。

 物語は劇場版での「ビギンズナイト」を経て、成長を続ける翔太郎とフィリップ。彼らハーフボイルド・コンビは新しいガイアメモリを用いることで、進化していきます。その一方で仲間でありライバルとなる「仮面ライダーアクセル」照井竜が登場。テストケース的な位置づけの刑事という役どころは、翔太郎たちを追いこみますが、彼に「復讐者」としての役割を付与することで、翔太郎たちと差別化されます。その復讐者が「風都の守護者」を名乗るためには、自身の復讐を完遂させることが必要になりますが、実際にはそれ以前に翔太郎たちの説得により改心することになります。このドラマに風都が望む者=仮面ライダーという図式をはめ込み、真に仮面ライダーになるということの意味を、照井に問い続ける展開は、実に熱い物語でありました。

 さらにWは「エクストリームメモリ」を手に入れることによりさらに進化します。その一方で敵である「ミュージアム」側も霧彦、井坂、そして長女・冴子から次女・若菜に至り、組織が流動的に動いていくことになり、さらにミュージアムの上部組織である「機関X」とか出てくるようになりました。残念なのは、翔太郎たちが目の前の事件を片付けるのが精いっぱいで、「ミュージアム」にたどり着こうとかしないあたり、少し物足りない感じがしますが。

 翔太郎が「章太郎」だったり、フィリップがレイモンド・チャンドラーの探偵小説に出てくる探偵の名前だったり、本名の来人がライト=right=右だったりと、いろいろと出典元はあるんでしょうが、本作の全体的なつくりでもっとも参照されているのは松田優作主演のテレビドラマ「探偵物語」や萩原健一の「傷だらけの天使」ではなかろうかと思います。ともに探偵を職業とする主人公ですが、一つの街を拠点とし、多くの友人たちに囲まれながら、街で起こるもめごとを解決したり、時には犯罪に手をそめる仲間を更生させるなどの熱いドラマが展開される作品です。ちょっとだけ気になるのは、両方のドラマとも最終回はかなりさびしい展開になるのですが、「W」は大丈夫でしょうか?

 「W」というキャラクターを見てみると、ものすごいシンプルなデザインでありながら、立体にしたときの見事な凹凸が、シンプルさを感じさせないようになってます。基本形態である「サイクロンジョカー」の黒と緑というカラーリングは、最初の「仮面ライダー」の1号や2号のカラーリングに似ている感じです。また翔太郎が変身するとき、一瞬だけ顔に傷のようなものが浮かび上がります。これも石ノ森のマンガ版「仮面ライダー」における、改造時の傷を隠すためにライダーのマスクをかぶるシチュエーションによく似ています。こういうことすべてが「オマージュ」だとかいうのは簡単です。また依頼人やドーパント役で登場する俳優さんに、特撮作品でよく見知った人を配役するなども、面白いとは思うのです。けれど「仮面ライダーW」という作品の面白さ自体は、シンプルな謎解きの物語の面白さであり、それを抵抗感なく導入するためにセットされた設定の妙だと思います。また箱庭的な「風都」という街は、そこに生きる人で特徴づけられる「人が生きる」街です。はたして主人公たちは「風都」という街を脅かし、街の存在を揺るがす敵を相手にしながら、何を考えるのでしょうか?

 さて一方の「天装戦隊ゴセイジャー」ですが、最近までどうにも展開がぬるくって見ていられなかったんです。戦隊フリークとしては非常に困ったもんで、例によって“好きなのに嫌い”が出てしまい、しばらくほったらかしてました。ですが、なんで自分にとってこの好ましくないのかを考えておこうと思いました。
 一番最初に引っかかったのは、彼らが「天使」、それも「地球を守る」ための護星界の天使だということです。つまりね、「天使」なんていう、なんとも「人間」という清濁あわせもった存在からかけ離れたキャラクターを持ってくることが、どうしても私には魅力的に感じませんでした。ところがいざ1話を見てみると、その天使たちはみな「見習い」さんだそうで、なるほどここが彼らの成長のしどころなんだとわかりました。とはいえそれならなんで「天使」なの?と思うわけですよ。こうなると人間と天使である彼らに、なんの隔たりがあるのか、というのが理由がわかりません。こうなると「護星界」という世界設定ありきという設定になりますよね。それが最初に登場した敵組織に攻撃されて、逃げ出てきたっていうのがまた、心配の種ですわ。こつらほんとに勝てるのかいなって。

 その敵である「宇宙虐滅軍団ウォースター」ってのが、またねえ・・・。一応真面目に「超星神シリーズ」を見ていたせいで、ウォースターがあの宇宙人軍団とあんまり大差ないような気がしてました。案の定5月いっぱい、おおむね1クール13話で敵組織が交代するという一大事。まあ、最初からなんか構成員が少ないなあとか、半裸の女性幹部もいないなとか思っていたので、その意味では最初っから1クールで消える予定だったんですね。1クールごとに敵が入れ替わるのは戦隊史上初ですが、思い返せば「アイアンキング」や「忍者キャプター」が似たような展開だったような。でもですね、宇宙せましと暴れていたウォースターが、たった12話で倒されるって、あまりに弱すぎやしませんか? とすれば、ほとんどパワーアップもせずにバンリキ魔王まで倒したデンジマンに謝れ!と言いたくもなります。そして1クール直前で登場したデータスハイパー、そして新たな敵「幽魔獣」、そして地球の守護者「ゴセイナイト」が登場し、盛り上がっているようにみえるのですが。

 なんだかきな臭いのは、13話で登場したヘドロを吐きつける怪物により、地球の汚れが幽魔獣を強くし、護星天使たちを弱めるという設定です。これ、いわゆる「エコ」ですよね。なんでまた戦隊シリーズを使って「エコ」やらなければいけないんでしょうか。しかもね、「地球の汚染」とか「人間同士の絆のなさ」とか言い始めたらきりがないほど、護星天使に不利な条件しか浮かばないんですよ、今の地球は。そうなると予想できる展開は、ゴセイジャーの大苦戦しか思い浮かばないんですよ。大丈夫かゴセイジャー。

 なお特筆すべきは主役の5人。特にゴセイレッドのアラタくんは、看板に偽りなしの「天使」かと思うほどの配役ぶりです。男の私が見ても「うむ、かわいい」と思ってしまいます。いや、その気はまったくない私ですが(笑)、それでもそう思わせる、童顔でいながら目に力があり、そして何より不思議ちゃんな雰囲気が、まさに「アラタ」だと思います。他の4人、特に女性2人、エリとモネも十分にはまり役。特に12話でのモネのチアダンスは、嘘偽りなく本物でした。

 もうひとつ文句があるとすれば、巨大ロボ「ゴセイグレイト」ですかね。「ゴセイヘッダー」という設定がなんともきつい縛りな気がします。かつて「超力戦隊オーレンジャー」に登場した1号ロボにはヘッドのかぶり物を交換するシステムが付いておりましたが、それが活用されることはありませんでした。同様にゴセイヘッドの交換が、能力変化を伴わないということに加え、全体にわらわらとくっつく「ハイパーゴセイグレイト」が、どうにもかっこよく見えないんですよね。全体にコネクターがもろ出しになっているのも、個人的にはおもちゃを露骨に意識させてしまい、どうにも好きになりづらいです。まあ、こうなると単に好き嫌いの問題で、申し訳ありませんが・・・・・。

 そうは言いながらも、やはり気になるのは戦隊フリーク。見続けちゃうわけですよ。たとえば悪役の声優さんが悪ふざけしないかなあとか、ゴセイナイトがお笑いやらないかなあとか、まあいろいろ見どころはあるのですよ。ま、あんまりいい趣味とはいいがたいですが。

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No title

今にして思えば、『ディケイド』の2話完結という構図は『W』の2話完結という構図の為の実験だったのではないか?というような気がします。
ちょくちょく昭和ライダーっぽいネタなんかもあったりで毎週楽しく観ておりますが、最終回が近づくにつれでやっぱりラストが悲劇的な終わり方になるかも知れないという不安が過ぎって堪らんのですよ。

『ゴセイジャー』は、もう完全に天然が入った戦隊であると思って観ています(笑)。
流石にウォースターが壊滅した時は「アレ!?」と思いましたが。
「ドレイク様!巨大化は駄目だ!」と、テレビの前で叫んでしまいました(笑)。

No title

ぴよさま
 コメントありがとうございます。
 「クウガ」のころから、2~3話完結でしたから、「W」では進化したといえますでしょう。
そもそもこれは1話1体の制作費を安くするための方策でもあるのですが、いまではこれが当たり前になってますよね。
ラストが悲劇的になる可能性は、今が楽しければ楽しいほど、気になります。
「ゴセイジャー」、まあ天然なのはアラタたちスカイックコンビでしょうけど。
巨大化は敗北への一本道ですもんね。ウォースターの怪人は、かなり珍しい動物をキャラクター化してますね。しかも能力とモチーフになんの脈絡もないのが、ミソだと思います。
だって、敵の大将が「蛾」って、なんかせつない。
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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