「最強武将伝 三国演義」~スタッフのパワーバランスが鍵?~

 この4月から日曜9:30より放送されている「最強武将伝 三国演義」が、ずいぶん前から気になって仕方がありません。「三国志」あるいは「三国演義」自体は、お好きな方ならご存知の物語でしょう。紀元前からの中国を舞台にした戦国絵巻。多くの武将が覇を競い合い、やがて魏・呉・蜀の三つの国に分かれて国取り合戦になり、戦いは熾烈さを増していく。あるものは戦いに敗れ、またあるものは病に倒れ死んでいく。そして三国の時代が終わりを告げるまでの物語です。登場人物も多く、また人物ごとにエピソードもてんこ盛りです。そのため人物ごとの細かいエピソードを追いながら、中国の歴史をなぞることができる物語なので、多くのファンがいるわけです。特に日本での人気は高く、パソコンゲームはいうまでもなく、漫画にも多くの素材を提供していますし、かくいう私もかつてはSEGAの「三国志大戦」シリーズのプレイヤーでありました。
 三国志を素材にしたアニメは、過去にも存在します。日本テレビ系列の映画放送枠で放映されたものや、テレビ東京系列で放送された「横山光輝 三国志」、そして新しいところでは「蒼天航路」もあります。いずれの作品も三国がなくなって新しい国が建国されるところまでは至っておらず、中途半端な印象の物語ではあります。しかし日本人が制作した三国志らしく、情緒的でもあるし、戦の場面も迫力があるし、各武将の死は特に時間を割いて演出されたりしています。
 ところが現在放送中の「三国演義」。なにかこう様子がおかしいんですよ。

 Wikipediaによれば、日本と中国の合作として作られ、2009年には中国で放送開始。日本でもNHKでの放送を予定していたらしいのですが、結果的にはテレビ東京での放送になったようです。52話が予定されているそうですが、現在は10話まで放送中です。 
 以前「青田買い」の記事でも書きましたが、このアニメ「三国演義、」、物語の展開があまりに速いのです。どのくらい早いかというと、ちょっと他の三国志アニメと比較してみましょう。
たとえば後の蜀を治める劉備・関羽・張飛の3人が誓いを立てる「桃園の誓い」のくだり、「横山光輝 三国志」では1話のエンディングになりますが、「三国演義」では1話のほぼ中盤になります。また王允が娘・貂蝉を使って、横暴極まりない董卓と呂布を仲たがいさせる「連環の計」のくだりまで、「横山光輝 三国志」では14,15話ですが、「三国演義」では4話になります。ワンエピソードにかける時間も、そのエピソードに至る時間も、短いのが「三国演義」の特徴だといえます。ではエピソードを短縮しているかといえばそうではなく、むしろ一つ一つのエピソードはきちんと取り上げた上で、ものすごく圧縮して見せてくれるのです。

 んで、この圧縮感、なんかこうこれを見ていると何かを思い出すのですよ。
 圧縮されたエピソード、あまりにも早い展開。それも転々と変わる場面。もう落ち着きないったら。お、そうそう「戦え超ロボット生命体 トランスフォーマー」に近いんですよ! あのサイバトロンとデストロンのエンブレムマークの回転を挟んでシーンが入れ替わりながら、とんとん拍子に話が勝手に進行する感じに近いんです。
 よくよく考えると、「トランスフォーマー」を含むアメリカ産のアニメ、特に「マーベル」や「DC」などのアメコミヒーローたちが活躍するアニメの多くは、こんな感じかもしれません。子供のころからアメリカ産のアニメにも親しんだ私たちにとって、「三国演義」のあの速い展開が多少の抵抗感もありながら見れてしまうのは、わりと当然のことだったかもしれません。あらためて「トランスフォーマー・ザ・ムービー」などを見てみれば、舞台を転々と変えながら、敵味方入り乱れて話を紡ぎ、同時にバトルバトルの連続で見せていく。飽きっぽいアメリカ人たちには、ぎゅうぎゅうに詰め込んだこういう作りが必要なのでしょうが、日本人の目にはどうしても情緒的な何かが不足気味に思われます。

 「三国演義」では、その情緒的な部分を、取り上げるエピソードの膨らませ方で表現しているようで、戦にまつわるエピソードが本当に一瞬で終わり、曹操ですら思考を短縮しているように見えて一見短慮にも見えてしまうのですが、その一方で貂蝉と呂布の話はけっこうひっぱります。日本と中国では三国志内の好きなエピソードに差があるのかもしれませんが、群雄割拠する英雄たちのさまざまなエピソードがある中で、このエピソードに着目するのはいかがなものでしょうか? こうなると日本側スタッフと中国側スタッフの温度差も、相当のものがあるのではないかと思われます。

 そう、「トランスフォーマー・ザ・ムービー」にも多くの日本人アニメーターやスタッフが参加して作られています。本作の面白さについては、別途論じたいと思いますので、詳細は譲りますが、精緻に書き込まれたメカニック、特にサイバトロンシティーやユニクロンの移動時のアップ絵など、指先のでかいアメリカ人には書くことさえ難しそうなカットの数々、そしてメガトロンとコンボイの決戦シーンのあおりのコンボイや飛び上がって体をひねりながら攻撃するコンボイのトリッキーな動きのシーンなども、ロボットアニメ好きにはたまらない作画が飛び出します。そしてマトリクスをコンボイからウルトラマグナスを経由して、若き戦士ロディマス・コンボイに継承される、やがてユニクロンすら倒してサイバトロン星を救うという展開も、どこか日本のアニメ的な情緒すら感じさせます。

 そう考えると、「三国演義」でもどのくらい日本人スタッフが参加しているかが、今後の展開や我々視聴者を引き付けられるかのカギになるような気がします。
EDのスタッフロールを見る限り、作画スタッフには日本人の名前はほとんど見かけませんが、絵コンテには毎回10人近い人間がクレジットされ、そのほとんどが日本人で構成されています。こうなると疑問は、絵コンテに従ったタイムシートよりも時間を詰めて作画されている感じがあることに思い当ります。いや、これは決して中国側スタッフを非難しているわけではなく、アメリカ的なアニメを見ていれば、そうならざるを得ないとも思えます。かつて私が社用で香港に滞在したときには、普通にアメリカ産のアニメを見ることができましたから。まあ、同時に日本のアニメもたくさん見られましたが。彼ら中国人スタッフにとっては、日本のアニメもアメリカ産のアニメも同価値でしょう。中国の作るアニメやアメリカ産アニメが悪いと言っているのではなく、単に日本人がなじんでいるアニメの「間」や「情感」が好みだ、と言っているに過ぎません。

 かつて中国中央電視台制作のドラマ「三国志」は大変な人気ドラマだったそうで、日本でもBSや地方局で放送されました。放送期間の2年余、この作品で名だたる武将を演じた俳優さんたちは、その後の活躍を約束されたのみならず、現在でも英雄扱いだそうです。アニメ「三国演義」は中国で放送されて人気を博したそうです。日本ではそのあまりに速く息もつかせぬ展開と、サクサク進みはするけれどエピソードをさらっとなでているだけのように見える感じが、三国志をよく知る人はおろか初心者まで受け付けないのではないかと、ちょっと心配です。一応放送期間は1年という契約になっているようですが、場合によってはどうなるかわかりません。テレビで放送する三国志としても、「晋」の建国までたどり着く作品は稀ですので、ぜひとも最後まで完走していただきたいというのが、私の偽らざる本音です。そして完走のためには、ぜひとも日本人スタッフの多くの参加が、作品の質を決める手がかりになると思われます。ま、でも、すでに制作は完了している作品なので、いまさらどうにもなりませんが・・・・。

<追記>
「電人ザボーガー」が板尾創路を主演に迎えて映画化するそうです。

http://movie.goo.ne.jp/contents/news/NFCN0024949/index.html

 以前、原作の特撮作品については本ブログでも扱いました。こういう微妙な作品をリメイクすることが、吉と出るか凶と出るか。今後の続報を期待します。に、してもリメイクされたザボーガー、なんかかっこいいんですが・・・。白タキ、大丈夫か?
スポンサーサイト

テーマ : アニメ
ジャンル : アニメ・コミック

コメント

非公開コメント

No title

日本のアニメの間のとり方って、本当に独特なものですよね。
逆に、海外産の作品は、間のとり方よりも言葉のテンポというかリズムというか、そういったモノを大切にしているようなイメージがあります。
それにしても、今年の4月期開始アニメは、三国志モチーフのアニメが多かったですね。

・・・・えーと、最後に持っていかれました(笑)。
ついにザボーガーリメイクですか・・・。前々から噂は聞いていましたが。
とりあえず嫌な予感しかしないのは気のせいだと思いたいです(笑)。

No title

ぴよさま
 三国志がらみといえば「SDガンダム三国伝」ですね。こちらも見てます。
 こっちの楽しみは、やはりどのMSが誰に当てはめているか?
 張飛がZガンダムってムリあるわあ。

 そしてそちらのブログでも話題にしていらっしゃる、「ザボーガー」。
近年DVDで見直して去年の11月ごろに記事にしましたが、あの微妙な作品がリメイクって、
大丈夫なんでしょうか? 心配しかないですよ。
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
Twitter再開しました!

カレンダー
03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
namima2のつぶやき
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

FC2カウンター
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
リンク(リンクフリーです)
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
FC2 Blog Ranking
フリーエリア
blogram投票ボタン
ブロとも一覧

あにめにゅ~す の あににゅ

分水嶺

素足のアイドル達

有名人の珍言・名言集

宮廷アリス

TOY BOX
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

[FC2 Analyzer] http://analyzer.fc2.com/ -->