アイドルソングのあれこれ~好き嫌いはおいといて~

 昔からアイドルソングがわりと好きです。なぜかと言えば、「アイドル」とは「時代の代表」であり、彼や彼女たちに与えられた楽曲は、作り手が彼や彼女たちにふさわしい楽曲を提供している、つまり「時代」を切り取ろうとする作業だと思える節があるからです。特に「アイドル」という存在が激減した1990年代以降だと、その傾向が顕著に現れます。

 これからお話しするアイドルとアイドルソングのお話は、その前提にアイドルと作家たちの蜜月な関係があります。その背景だけはご理解いただきたいのです。
 1970年代というのはヒットメーカーの時代です。このころを代表するアイドルといえば、キャンディーズやピンクレディーですが、彼女たちの楽曲の多くは、その作家が固定されている場合が多いのです。例えばピンクレディーの楽曲、特に大ヒットした初期の楽曲のほとんどは「阿久悠作詞、都倉俊一作曲」です。沢田研二の楽曲もそう。これが少しだけ変化し始めるのは山口百恵のころです。いわゆるアイドル的な楽曲から、彼女の歌唱力に注目して遊び始める作家が登場します。それが「作曲家宇崎竜童、作詞家阿木耀子」夫婦のコンビです。このお二人意外なことに特撮ソングにも時折顔を出しますので、要注意です。そのころの歌謡界といえば「民謡」「演歌」「歌謡曲(アイドルソング含む)」「フォーク(ニューミュージック含む)」が主流でした。それぞれがそれぞれのジャンルの中で、ある程度作家の属性が決められていたころのことです。山口百恵に宇崎・阿木コンビが楽曲を提供したことにより、異なる畑から歌謡界に参入する事態が発生します。さらに山口百恵の楽曲には「秋桜」という「さだまさし」の手による楽曲や「いい日旅立ち」の「谷村新司」の手による楽曲をものにしていきます。これによりフォークおよびニューミュージックの世界と歌謡界は蜜月な関係を結んでいきます。さらには後年「演歌界」と「ニューミュージック」は融合を果たしますが、それはまた別のお話。

 80年代になるとある程度楽曲をこなしていく実力をつけたアイドルが、ニューミュージック畑の作家から楽曲の提供を受けることで、幅を広げて大ヒットする現象が起き始めます。その一例を以下に示します。

 松田聖子→「赤いスイートピー」(松任谷由実)、「風立ちぬ」(大瀧詠一)
 中森明菜→「飾りじゃないのよ涙は」(井上陽水)
 柏原芳恵→「タイニーメモリー」(松山千春)、「春なのに」(中島みゆき)
 河合奈保子→「けんかをやめて」(竹内まりや)
 堀ちえみ→「まちぼうけ」(竹内まりや)

 いずれおとらぬ名曲ぞろい。しかもヒットした曲ばかりです。実はこうした曲は本人カバーの楽曲も存在する場合があるので、聴き比べるのも楽しいのです。そしてそうした本人カバーを聞いていてわかるのは、作家側はあくまで自分の土俵で楽曲を制作しているのであって、それを承る形でアイドル側が花開かせていると感じられることです。

 ちょっとだけ話が脱線します。80年代にはかなりの数のアイドルが跳梁跋扈しておりましたが、その中で私がひときわ好きだったアイドルがおります。それは「伊藤つかさ」。ご存知の方がどれほどいるかは存じ上げませんが、「3年B組金八先生」の第2シリーズにレギュラー出演。その後歌手デビューを果たし若干14歳で歌番組に出演しました。当時すでに人気番組であった「笑っていいとも!」の司会タモリが彼女の大ファンであったり、漫画家・内山亜紀のいわゆるロリコンマンガでは、その名前が代名詞のように使われたこともありました。彼女のデビュー曲は「少女人形」という楽曲です。この曲も「南こうせつ」が作曲を担当されています。デビュー曲に南こうせつさんですから、彼女がいかにスタッフに大事にされてきたかがわかります。その後発売されたアルバム「つかさ」や「さよならこんにちは」の2枚のアルバムでは、細野晴臣や矢野顕子、大貫妙子などのビッグネームが起用されており、非常に豪華なラインナップとなっております。

 こんな風に時代がすすむにつれて、アイドルが多様化していくと、いわゆる「チャイドル」や「バラドル」、「グラドル」など、さまざまなジャンルのアイドルが登場します。80年代中期に登場した親しみやすさを主軸においたアイドルは、やがて「おニャン子クラブ」に代表されるようになっていきます。その反動は90年代初期に登場した女優業を主軸とするアイドルの登場と、彼女たちに提供された楽曲によって、少しずつ変化をもたらしていきます。そして彼女たちのデビュー曲や主演映画などの主題歌などが重要視されることで、名曲を生み出す流れが登場します。

 90年代のアイドルといえば、まず思いだされるのは「宮沢りえ」でしょうか。このころのアイドルの多くは、CMで注目され、ドラマに起用、ドラマで主演をはり、歌手デビューとなるパターンが多い傾向があります。同時に「とんねるず」や「山田邦子」などがメインのバラエティ番組に登場し、人気は加速していきます。「宮沢りえ」もそのルートをたどった一人です。


http://www.youtube.com/watch?v=JH72rx4iIlU

 この「ドリームラッシュ」でデビューした彼女。楽曲は小室哲哉の手によるもの。この曲のプロデュースは、彼自身にとってもターニングポイントになった曲となっているようです。また彼女と一緒にいわゆる「3M」と呼ばれた牧瀬理穂、観月ありさの楽曲だと、こんな感じになります。

http://www.youtube.com/watch?v=d4uLvfv1flE

観月ありさの楽曲「風の中で」は主演映画「超少女REIKO」の主題歌であり、松田聖子にも楽曲を提供した尾崎亜美の手による曲。観月ありさに無理強いをしない音と詩で組み上げられた曲は、映画のエピローグにマッチングした、しっとりとしたバラードです。彼女の3曲目のシングルになる曲ですが、非常にいい曲となっています。

http://www.youtube.com/watch?v=lPytUr3Hp0I
http://www.youtube.com/watch?v=Lo3Ro_eoR5g

 牧瀬理穂の曲ですが、竹内まりやの手による楽曲です。前述の二人に比べるとややおとなし目の曲ではありますが、それまでの竹内まりや産の楽曲の延長線上にある曲として作られており、アーティスト竹内まりやのファンでも親しみやすい楽曲です。なお編曲の小林武史氏はMr.ChildrenやMY LITTLE LOVERのプロデューサーの人です。そして広末涼子のデビュー曲「majiでkoiする5秒前」も、竹内まりやの曲です。これは本人カバーはありえないでしょうねえ。

http://www.youtube.com/watch?v=TRiV--Trb8U

 グラドルも歌手デビューしたりします。面白いのはこういった方々には、あまり歌唱力を求められていないってことです。その上で、選択したジャンルは、なぜか「テクノポップ」。現在の「パフューム」や、その背景となる「初音ミク」の登場の背景には、こうしたアイドルのテクノポップがあったことは、忘れられない事実です。しかもこの曲の提供者はピチカートファイブの小西康陽、「慎吾ママ」の楽曲などを提供したかたです。

 男性アイドルについても1曲だけ触れておきます。
 80年代以降の男性アイドルは、結局のところ「ジャニーズ」につきます。彼らのデビュー曲を思い起こしてみてください。田原俊彦の「哀愁でいと」、近藤真彦の「スニーカーぶるーす」、少年隊の「仮面舞踏会」、光Genjiの「ガラスの十代」など、いずれの楽曲も少年から青年への過渡期における、彼ら自身のパーソナリティにスポットを当てた楽曲、しかも曲調としてはマイナーでありながらアップテンポの曲が選ばれています。歌詞自体もキャッチーであり、恋に破れて傷ついたナイーブな少年像を前面に押し出して、彼らの架空にパーソナリティを誇張します。同時期に存在する女性アイドルが声高に「恋愛に夢見がちな少女」という空想をモチーフにしたのとまったく異なるベクトルで、楽曲が構成されているのです。
 これらの楽曲を経て作曲された次の曲は、山下達郎提供の曲は、間違いなくこれらの系譜の延長線上にあり、かつ歌唱する彼らの年齢的、過渡期的な不安定さを見事に表現した曲だといっていいでしょう。この曲に匹敵するのは、かの舟木一夫の名曲「高校3年生」ぐらいのものです(笑)。


http://www.youtube.com/watch?v=6PW5nzGdu4U&feature=related

 この曲に関しては、現在は芸能界を引退された上岡龍之介氏が、男性アイドルソング、それもデビュー曲としては完成形であると、「パペポテレビ」の中で笑福亭鶴瓶氏に語っていたのが、私は今でも忘れられません。

 現在の男性アイドルソングも、SMAPなどの曲は特別さまざまなジャンルの人々から楽曲提供を受けている傾向があります。こうした傾向は今後も続くのでしょうが、残念なのは受け皿となる女性アイドルの存在がいないことです。現行の女性アイドルの多くは、なぜかバラエティか劇場映画、ドラマを主体としていることがあり、「歌」の売り上げを過信していないスタッフのしたたかさがうかがえます。またハロプロやAKB48のように、グロス売りやプロデューサーによる完全プロデュースが定着していることがあり、よその手は借りない状況にも追い込まれています。
 ある意味でこれは、旧来型の「アイドル」が終焉を迎えているといっても過言ではないでしょう。しかも現行の女性アイドルに関しては、申し述べるほどの楽曲の面白さもなし。センター争いなどというグロス売りにしか適応できない生存競争を課せられる始末であります。私はいまどきのアイドル事情を楽しんでいる状況にないため、これ以降のアイドルについては考えることを止めます。そしてネットの中でしか動かない、目に見えない「日本歌謡界」の動向には、まったく興味を示すことができません。だからといって旧来型に戻るわけでもなし。どうりで古いCDばかり買うわけだ。
 ところが2Dの世界や、ゲームの世界には、なぜか旧来型のアイドルが、まだまだいるんですねえ。この話についてはまた改めてしようかと思います。

追記
 ちょっと一休みしていたら、「キカイダー01」役の池田駿介氏がお亡くなりになったようです。あまりにショックに声も出ません。明日は「キカイダー01」をひたすら見ます。そのうち記事が上がるかも。
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コメント

非公開コメント

実はアイドルにハマるキッカケは「ミンメイ」なんていったら呆れますかね(汗
ミンメイの曲ではサンセットビーチが特に好きです。
アイマスメドレーで本格的に聞くようになり、CDが見つからないものはレコード漁っています。 (仁藤優子など)

しかし、皆さん思い入れがあるみたいで、昭和アイドルレコードはピカピカか、擦りきれてるかどっちかです。

作詞家さんと言われていたので気にしてみたら、自分のよく聞く曲の作詞家さんは松本隆という人が多かったです。

池田駿介さんのご冥福をお祈りいたします。

No title

とぴろさま
 「ミンメイ」がきっかけなんて、それは幸せな出会いですよ!
 当時の飯島真理は嫌がってましたけど、ぶりっぶりのアイドルソングは傑作です。実はこの話の続きは、ミンメイからスタートします。
 中古でも仁藤優子は見つかりにくいんじゃ・・・・?
 松本隆氏といえば、その代表作は松田聖子の楽曲です。同時に80年代のアイドルソングの多くは、氏の功績です。サンミュージック系(松田聖子~早見優)や堀ちえみなどに多くの楽曲を提供している方です。その詞の世界観は、当時の片岡義男と近しいものがあり、やはり時代性を感じさせます。ぜひいろいろ探してみてください。

No title

波のまにまに☆さん、こんにちは!!

e-420 ア イ ド ル e-420大好きです!!

アイドルは「ジャニーズの某タレントのお嫁さん」になるのが夢だった私にとって、人生に欠くべからざる存在ですよ(笑)

記事はとっても楽しく拝見しました。
山口百恵も松田聖子も今でもレコード持っています。
河合奈保子、大好きでした。
伊藤つかさ、大場久美子・・・ポスター貼ってます。
宮沢りえ・・・最近リンク先で「サンタフェ」論争しています。
斉藤由貴、原田知世・・・お金使いました。
広末涼子・・・実はけっこう歌いました。
深田恭子・・・とらえどころのない楽曲が結構ツボです。

女の子だけ書きましたが、アイドルについてなら結構語れますよ♪
「つづき」が待ち遠しいです!!
それからずうずうしいのですが、↑の赤字のアイドルについて波のまにまにさんの一言が伺いたいと思います。
リクエストのような事をしてスミマセン。

最後に「キカイダー」大好きでしたので驚いています。
まだそんなお年ではなかったのでは?
ネットの片隅より、ご冥福をお祈りいたします。

No title

ローガン渡久地さま
 楽しいコメントありがとうございます。リクエストいただきましたので、お答えします。

大場久美子といえば、2代目「コメットさん」。そしてディズニー映画「ダンボ」のダンボ役。楽曲を聞いていた記憶がはっきりしないのですが、なぜか「スプリング・サンバ」だけはよく覚えています。たぶん山田邦子がマネしてたせいでしょう。まったく似てませんでしたけど。はつらつとした笑顔のかわいらしく、八重歯が魅力なアイドルでした。八重歯がなぜか重要なアイテムだったころのお話ですね。

斉藤由貴といえば、「青春という名のラーメン」。楽曲でいえば初のアルバム「AXIA」からの大ファンであります。表題作の「AXIA~かなしい小鳥~」を聞くと、今でも泣けます。また「初戀」や「情熱」も好きです。すでに「スケバン刑事」は取り上げましたが、斉藤さんの魅力について書き足りなかった気がしてます。デビュー当時からなぜか女性にもファンが多い方だった記憶があります。

原田知世。実は多くの著名人がおっしゃるように、私も「時をかける少女」から入ってます。ですが彼女主演の映画で最も好きなのは「早春物語」。林隆三さん演じる中年男性と恋に落ち、キスシーンを演じた映画です。この映画を監督した「澤井信一郎」監督は薬師丸ひろ子の「Wの悲劇」を監督したかた。女優を成長させる映画をとることで、有名な監督でしたが、後年「宇宙刑事シャイダー」の1,2話も監督されています。彼女のアルバム、それも最初期のものはどうしても松任谷由美の影響が色濃いため、なかなかなじまなかった記憶があります。

深田恭子ですかあ。実は「神様、もう少しだけ」と「ヤッターマン」ぐらいしか思い出がありません。ましてや楽曲についての知識がまったくありません。そうですか、とらえどころがないと・・・。探してみようかと思います。ぽっちゃりしていて好きなタイプです。あ、思い出した、たしか「フードファイト」にヒロイン役で出てましたね。ごめんなさい、そのぐらいです。

以上、取り急ぎお返事まで。
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
Twitter再開しました!

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