機械に心が生まれるとき・特撮編2

 前回「ジャイアントロボ」を取り上げたが、よく似たシチュエーションを選んだ作品がある。同じ東映作品で、1977年に放送された「大鉄人17」である。その35話「さらばワンセブン 不滅のナンバー」のラストにおいて、人工頭脳ブレインに体当たりして、爆発四散する。もう少し細かい話をすると、人工頭脳ブレインはワンセブン抹殺をはかり、その領域に入った機械の自由を奪う「ブレイン・エリア」を開発する。まんまとブレイン・エリアに連れ込まれたワンセブンは、ブレインのコントロールを嫌い、すべての回路を切ってしまう。ワンセブン救出に駆けつけた三郎は、ワンセブンの体内に入り、ブレインのコントロールを受けないように、ワンセブンを三郎君が主導でコントロールする方法をとる。しかしワンセブンがとった行動は、ブレインに体当たりすることだった。三郎を救うため、体当たり寸前で三郎だけ外に射出される。ワンセブンは、「さようなら」と繰り返しながら、ブレインとともに爆発するのだった。
 ワンセブンはそもそもブレインにより製作されたロボットであったため、「生みの親との相克」ともとれそうだが、それ以上に共に戦い抜いた三郎の名を呼んで別れを言ってることから察すると、むしろワンセブンと三郎の交流、そしてワンセブンと対決させるために開発されたワンエイト(彼の最期も自己犠牲であった)の存在により、ワンセブンは自己犠牲という方法を学んだのかも知れない。

 さらに時代が下がると、1984年に「超電子バイオマン」が放送される。本作は戦隊シリーズの新機軸であり、デザイン的にもドラマ的にも様々な試みがなされた作品である。新帝国ギアという敵の設定にもそれが試みられる。重要なのはギアの組織は、ドクターマンをのぞき、すべてロボットである。幹部達ですらドクターマンが人間であることを知らない。ギアの組織は、優秀なロボットこそが、この世を支配するにふさわしいとして、侵略を開始する。この設定がすでに「ロボットの反乱」であるのだが、同時に人間とロボットの越えられない壁を見いだすことが出来る。それは機械と人間が共存しながら相容れない関係であることで、描写される。

 14話「新頭脳ブレイン」では、ドクターマンに作られながら、ピンクファイブと心を通わす人工頭脳の話であった。
 そのような科学技術を持ちながら、19話「父はドクターマン」20話「プリンスの挑戦」において、ドクターマンはプリンスというロボットを完成させるが、これはドクターマンの実子にそっくりなロボットであった。これをきっかけに、ドクターマンの正体は人間ではないかと疑う3幹部の一人・メイスンは、28話「ドクターマン暗殺」にて、他の幹部と共にギアの乗っ取りを企むが、ドクターマンの陰謀により阻止され、記憶を消されることになる。

 シリーズ随一の白眉は、43話「セーラー服の戦士」44話「美しき良心回路」の2本である。メカ人間・ミキは、ドクターマンにより作られ、倒されたときに、メカジャイガン・サタンメガスに供給する役目を背負わされている。ひょんなことからミキと出会う秀一(ドクターマンの本当の息子)は、彼女を助ける。秀一が助手を務める研究所の柴田博士は、彼女にまだ未完成の良心回路を取り付ける。秀一とこころを通わすミキ。しかしサターンメガスへのエネルギー供給は止まらない。秀一と心を通わせる中で正義に目覚めたミキは、秀一に別れを告げて、サターンメガスに特攻し、爆発してしまう。

 キカイダー以来およそ12年ぶりに「良心回路」が登場する。直接のつながりは当然ないのだが、意味するところはだいたい同じだ。バイオマンでこれを開発したのは柴田博士であるが、その正体はレッドワン郷史朗の父・紳一朗であった。彼はかつて人間であったドクターマンの友である。ドクターマンの野望を阻止しようとして、良心回路の開発に着手していたのだ。しかしその研究が実を結んだのは、むしろドクターマンの本当の息子である秀一を育て、彼を正しく導いたことだとは思えないか? 未完成の良心回路は結局、ミキのエネルギー供給能力を阻害することも出来ず、メカ人間にいたずらに葛藤を与え、悩ませることになる。この2話を初めてテレビで見たとき、まったく救いが無いように思えた。だが唯一救いがあるとすれば、郷紳一郎が育てた秀一が、メカ人間・ミキと心を通わせたことにより、人間らしい経験をし、そこから学んだことで正義に目覚めたことである。きっかけは良心回路の設置であったとしても、人間らしい心を獲得したのは、設置後の「経験」であった。

 それをして、作劇上の問題だということは簡単だろう。生まれてすぐの子供は、開発直後のロボットと同じなのかもしれない。人が成長していく過程で経験し記憶される事象が、人間を成長させ育む。「心」は知識や感情の総体であり、それは経験、あるいは記憶の積み重ねにより成長させることができる。これらの特撮作品が何度も繰り返し教えてくれたのは、ロボットに託された人間の心である。人間と心なきロボットを対比させることで、人間はまだまだ成長できることを教えてくれているのだ。
 そしてもう一つは、どんなことでも経験することが大事だということだ。ジャイアントロボもワンセブンも、自分がたどり着いた正義に準じて死んでいった。たとえその結果として「死」を選択するものであっても、経験することは間違いじゃないことを教えてくれている。
 だから前を向いて生きていこう。どんなにつらく厳しい世の中であっても。無駄なことなんてありはしないんだ。(教条的すぎたな、反省。)
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ジャンル : 学問・文化・芸術

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