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声の力~超劇場版ケロロ軍曹3~

 アニメーション作品とは、かなりの数の要素が組み合わさって出来ている。例えば一口に「演技」といっても、私が考える限り、4つの「演技」があると考えている。
1.動画の演技
2.背景の演技
3.音楽の演技
4.声優の演技
 1と2に関しては、CGなどの技術的革新があった。背景はいまでもベースは手書きされることもある。しかし動画の彩色などは、コンピューターを導入し、作業を簡素化したり、書き込みを追加するなど、黎明期のアニメとは全く別物に見えるほど発達してきた。それは3の音楽の世界では、もっと先進的である。シンセサイザーサウンドは80年代に席巻したが、現在ではすでにアコースティックな音との融合がなされている。
 しかしながら4については、依然声優さんの卓越した演技に頼るほかはない。たとえ音声をアーカイブ化したとしても、その画面のその演技に当てられる人間の肉声による演技は、どんなデータをも凌駕する。テレビCMなどで時折見られる、CGによる過去と現在のフィルムの組み合わせによる、あり得ない映像などを見たときに、誰もが感じる違和感を思い出せばいい。それほどまでに、人間の肉声の力は強いのだ。

 今回取り上げる「超劇場版ケロロ軍曹3 ケロロ対ケロロ天空大決戦」は、収録時のエピソードを含めて、声の演技の比重を再確認させてくれた作品だ。

 ケロロ軍曹の劇場作品も、現在すでに4作品が公開されている。テレビ版の放映もすでに6年目である。製作会社であるサンライズの、自社作品のパロディだけでなく、古今東西のアニメや特撮のパロディに加え、典型的なギャグアニメとしての素養を兼ね備えた、優れたコンテンツであることは、いまさら語るまでもない。その上で、日本独特のメンタリティに基づいた人情話やSFなども加味している点は、もはや日本のギャグアニメが到達した、1つの頂点とも言えるだろう。

 すでに子供も大人も喜ぶお茶の間の人気者となったケロロ軍曹は、いまや立派なファミリー向けの映画として認知され、春休みの劇場作品としての一角を担っている存在だ。
 1~3までの劇場版では、ケロン星が過去の地球に送り込んだ生体兵器を、ケロロ達が起こしてしまうところから話が展開する。この生体兵器が、本作では南アメリカ、ペルーのマチュピチュ遺跡から発見される。この時点で、世界中に点在する古代の遺跡などに、宇宙人いやケロン人が、深く関与している可能性を示唆していて、今後のネタふりにもなっていることは興味深い。
 さて偶然の上に軍曹のオマヌケが重なり、本人達のあずかり知らぬところで、ケロン軍の遺産が活動を開始する。ある日、巨大な物体が上空に出現する。ケロロ小隊各員は臨戦態勢に入るも、シヴァヴァとドルルというケロン人に圧倒される。そして出現したダークケロロは、地球の支配者を名乗る。彼は世界各地にちりばめた機械からの催眠音波で、またたくまに地球を制圧してしまう。そして催眠状態の地球人は平伏し、巨大な像の建設に従事するようになる。巨大な空中都市で幾多の冒険と戦闘を乗り越えて、ケロロと冬樹たちは、ついにダークケロロの前にたどりついた。ところがダークケロロは、ケロロと冬樹の人種を越えた友情に興味を抱き、自分に従属することを冬樹に強制しようとする。しかし何者にも縛られない冬樹とケロロの友情により、ダークケロロの気持ちは千々に乱れる。シヴァヴァやドルルが、支配者である自分の命令を聞かないことに、孤立感を感じ始めたダークケロロは、ついに巨大像を起動させ、地上のすべてを焼き払うと宣言する。はたしてケロロたちは、これを阻止できるのか? というお話だ。
 
 最終的には、ケロロと冬樹の友情が、孤独であったダークケロロの凍えた気持ちを溶かすことで、他人の気持ちは力では手に入らないことや、他人を思いやる心をダークケロロに知らしめることになる。
 ラストバトルでのタママと桃華、ギロロと夏美、ドロロと小雪の共闘は、見応え十分の戦闘シーンでありながら、二人の関係性がよくわかる画面構成になっている。何度見てもここで泣けてくる。

 ここで正直に告白する。わりと「ダメ絶対音感」を持っている私であるが、ダークケロロの声が誰だか、当初全くわからなかった。あるいは観覧中に気がついた方もあったであろう。だから劇中でありながら、最後のスタッフロールが楽しみで仕方なかった(パンフレット見とけよというつっこみは、無しの方向で)。だからスタッフロールで、ケロロとダークケロロで、ダブルカウントされている「渡辺久美子」さんの名前を見たときには本気で驚いた。事前情報を全く持っていなかった私の落ち度はあるだろう。また偽物を本物が演じるなど、初歩的な話であることを理解していたのだが、ケロロとダークケロロは、私には全く異なる声優の声に聞こえていたのだ。

 渡辺久美子さんといえば、富野由悠季作品である「機動戦士Vガンダム」のカテジナ・ルースや、「ブレンパワード」のクインシー・イッサーなど、どちらかといえば、エキセントリックで、キレたら怖いと思わせる女性キャラクターの声が有名だろうか。またテレビ版の「ぼのぼの」では、かわいくてまぬけなラッコ・ぼのぼのの声を演じている。こちらは純正の脱力系の声である。これらの作品でもわかるが、まなじりをつり上げるような演技から、どこに力が入っているのかわからない演技までこなせる声優さんである。

 ケロロの声の質は、おそらく本人の女性的な声を男の声として発声している。女性声優さんが少年の声を当てるときによくやる、声を太く出す発声方法だ。今回ダークケロロを演じるにあたり、さらに声のトーンを落とし、邪悪な方向性で発声することで、ケロロとは似て非なる声を出していると思われる。
 このトーンの落とし方が絶妙なのである。ダークとはいえ、ケロロであるという前提があるため、低すぎるとかえってギャグの部分の演技で、面白さが半減してしまう。もちろんトーンを高めにすれば、ケロロとの差異が無くなってしまう。孤高の支配者であるダークケロロというキャラクターへの理解力と、発声の微妙なさじ加減こそ、渡辺久美子さんという声優の力量である。

 私はこの劇場版のDVDを毎度購入するのだが、今回は特典の小冊子に、渡辺久美子さんのインタビューが掲載されている。その記事によれば、一度アフレコをしたものの、ダークケロロの台詞についてはすべてリテイクし、何十回となくやり直したのだそうだ。そのきっかけは、彼女自身のダークケロロというキャラクターの捉え方だったという。侵略しか教えてもらえず、他の感情も知らずに、強制的に成長させられたダークケロロを、「かわいそう」な役どころだと感じていた彼女は、アフレコ当初、かなりウエットな芝居をしていたそうである。それは「悪役」というキャラクターに、渡辺さんの思考を加味した結果できあがったダークケロロ像だったのだ。しかし完成したフィルムとはニュアンスが違うことを、すぐに悟ったそうだ。そこで録音スタッフにお願いをして、ダークケロロの台詞を録音し直したのだという。その結果が、劇場公開版でのダークケロロの演技である。1回の本番で決められないことを揶揄する考えかたもあるだろう。しかしダークケロロというゲストキャラが、本作の鍵であることを理解し、主役としての責任感を果たそうとして、リテイクした彼女を誰が責められようか。その結果はこの作品を見た誰もが理解しているだろう。インタビューでは謙遜した物言いをされている渡辺さんである。だがあえて言わせてください、あなたはまさに「宇宙渡辺久美子」であると。

 このように、声優さんの力量が、作品そのものの原動力になってることも、ままあることだ。キャラクターの声は作品のもう一つの顔である。だから原作付きのアニメーションや、オリジナルの作品とにかかわらず、絵としてのキャラクターと声が合っているかどうかは、見ていることら側でも、重要なファクターである。キャスティングされている以上は、そこに求められている演技があるはずだ。スタッフからも、そしてファンからも、その期待に応えて演技している彼らに、ただただ感服することしかできない。だからこそ素晴らしい演技を見せてくれたのならば、大いに褒め称えたいと、心から思う。
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テーマ : 映像・アニメーション
ジャンル : 学問・文化・芸術

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