コードギアス 反逆のルルーシュ~魔人と童貞のはざまで~

 今回から「コードギアス 反逆のルルーシュ」を取り扱うことにする。実はここで紡いでいた文章そのものは、同人誌として準備していたものであったのだが、再就職活動がおもわしくなく、金銭的な理由で同人誌とすることを断念していたものである。各話単位で突っ込みどころやポイントとなる点を指摘しながら、近年珍しく面白いと思えた作品を徹底的に分解してみたいと考えていた。さらにまったく同人活動とは関係ない友人との座談会形式の記事や、古い友人の嫁さんに依頼していたイラストを乗せて完成させるつもりであったのだ。まあおかげで長いことほったらかしたのであるが、このたび日の目をみさせてやることにしようと思う。

 とはいえ、単なる虫干しでは終われない。1度書いたものを改めて1話ごとに見直して、リライトすることを前提に書き始めようと思う。各話単位で感想などを書いていくのは初めてであるし、何よりうちのブログでは例がない。しかも新作ではなく旧作である。さらに付け加えるなら取り扱うのは第1シーズンのみとする。うまくいくか、受け入れてもらえるかどうか不安ではあるのだが、お付き合い願えれば幸いである。

<序論>
 ルルーシュ・ランペルージが目指す世界は、妹であるナナリーが安心して、幸せに暮らせる世界だ。決して自身が王として君臨し、すべてを支配する世界ではなかったはずだ。だが彼がその世界を手に入れるには、普通に生活していても手に入らない世界であることは誰の目にも明らかだ。しかし彼は、偶然とはいえ「絶対遵守」のギアスを手に入れる。同時に持って生まれた才能を遺憾なく発揮し、レジスタンスをチェスの駒のように動かすことで、たびたびレジスタンスを勝利に導くこと数回、その結果として、自らの力で「黒の騎士団」を手に入れ、仮面をかぶって「ゼロ」と名乗り、神聖ブリタニア帝国の支配下に置かれたイレブンと呼ばれる日本を舞台に、彼は孤独な戦いを開始する。
 戦いの狭間、同族を殺し、自らの仕掛けた戦いの結果で、ルルーシュ自身を愛した少女の父親を死に至らしめることにより、自分の正義に迷いを生じる瞬間があったが、ギアスの力を与えた「C.C.」の助言と自らの意思により、自分の手を血に染める決意を固める。その一方で、彼の親友である一人の男、枢木スザクは、ゼロが親友であるルルーシュとは知らないまま、彼の敵として、あくまでもブリタニアの戦士として戦い続ける。激突する親友同士。彼らの運命はいかに・・・・というのが、この話の大まかな骨子だ。
 この物語は、一見すると昨今のアニメ作品には数少ない「ピカレスク・ロマン」であり、どちらかといえば、悪人側の視点から物語が成立している。ここが重要なポイントだ。通常であれば、神聖ブリタニア帝国を敵とし、それに対抗する手段として正義が機能する。帝国の支配下に置かれた日本は、まさに正義のよって立つべき背景となるべきだろう。しかし本作品では、日本は舞台装置でしかなく、正義のよって立つべき国ですらない。正義を行使する方法論は、レジスタンスによる正義の戦いではなく、テロリズムそのものであり、外見からしても決して正義の戦いなどではない。この作品を見る誰もが承知している事実、それは、この物語は正義が悪を倒す勧善懲悪の話ではないことだ。また日本が正当な権利を取り戻す話ですらない。「宇宙戦艦ヤマト」のころの日本の扱いを考えてみれば、この違いは歴然だ。敗戦国家であり、被爆国である背景をもった日本は、世界に対して戦争に対する平和を声高に主張することすらできる国であったが、時代も変われば変わるものである。しかもこの「コードギアス」の物語のひどいところは、当の日本を舞台に、たかだか17歳の小僧の夢想に、まんまと利用されてしまうのだから、とんだお笑い種だ。まあナショナリズムをおもちゃにするのはこのぐらいにして。
 とにもかくにも、深夜に放送を開始した本作品は、漫画家集団「CLAMP」の手によるキャラクターと、魅力的なロボット「ナイトメアフレーム(以下、KMF)」とケレン味のある演出、複雑に錯綜する人々の物語により、放送開始より瞬く間に人気作品となる。第1シーズンである2クールを消化した後、半年ほどの空白の後、時間帯を変えて第2シーズンが、人気もそのままに放送を開始。そして衝撃の結末を迎えるに至る。錯綜するキャラクターの心理、謎の伏線など、1ストーリーを追うのに、情報量がかなり詰め込まれている本作では、一つ一つを丁寧に読み解く面白さにあふれている。確かな力量に裏打ちされた情報がそこにある。せっかくなので、とことん楽しんでみたい。


STAGE1「魔人が 生まれた 日」

<物語>
 神聖ブリタニア帝国に侵略され、名前を奪われた日本。現在の名は「イレブン」と称される辺境の租界で、物語は始まる。
 ブリタニア貴族であるルルーシュ・ランペルージは、偶然事故に巻き込まれる。その事故は、ブリタニアとその支配を受け入れないレジスタンスとの小競り合いが原因であった。その事故の最中、彼は自らの命が脅かされる事態に直面する。死を覚悟したその刹那、ルルーシュはレジスタンスに奪われたカプセルの中から現れた一人の少女から、おのが運命を左右する強大な力を得る。その力の名は、「ギアス」。現状に絶望し、絶望のふちで手に入れた力で、彼は幼き日の志を胸に、ブリタニア打倒のため、行動を開始する。

<日常と非日常の始まり>
・賭けチェスに興じるルルーシュ。現況でイレブンと名前を変えた日本に在住するブリタニア人貴族が、世俗にまったく興味を示さないお気楽さ。対比するルルーシュの頭の切れ具合は、逆転不可能と思われる状況からひっくり返して賭けに勝利する。ルルーシュ自身が語るように「貴族はぬるい」を画面で見せつけている。加えてクロヴィスの放送と、放送直後のクロヴィスの物言いが、さらに貴族のぬるさを過剰に演出する。

・ルルーシュは、かつてブリタニアを追われて、日本に人質として送り込まれた。スザクの回想で、戦乱をかいくぐった後に、「ブリタニアをぶっ壊す!」の言葉は、賭けに勝った後の「それでも世界は変わらない」という、彼のあきらめに直結させる。子供が大きくなるってことはこういうことだと示しているようだ。あれ?これって「銀河英雄伝説」のラインハルトとキルヒアイスじゃないの。しかしラインハルトがキルヒアイスを失うタイミングよりずっと以前から、ルルーシュはスザクを失っているのだ。

・クロヴィスのシーンにはすでにディートハルトが顔見せしている。テレビクルーであるディートハルトは、取材対象であるブリタニア帝国を、「素材」と言い切り、すでに批判的ですらなく、眼中にないとうそぶく。物語後半の、熱くゼロを説得する表情とはまるで裏腹の、やる気のない表情を見せる。

・そしてストーリーと同時進行していた事件が展開する。無気力な登場人物たちが、レジスタンスによるブリタニアの機密の奪取という、たった一つの事件に巻き込まれる形で、急激に物語が進行する。カレン、ジェレミア、ヴィレッタ、ロイド、セシルが相次いで登場。かなり顔見せ興行に近いか

・ロイドたちが事件の収拾に首を突っ込むに段階になっても、強奪されたものを「毒ガス兵器」と言い張るバトレーが、事の隠密性を物語る。その秘密とは・・・?

・傲慢極まりないブリタニア軍人。名誉ブリタニア人として、スザクは軍人として、ルルーシュと唐突に再会する。たった一事の混乱で蹂躙される新宿ゲットー。その強者の理論で世界を踏みにじる大国ブリタニア。子供や老人を殺して功を誇るか。ジェレミアが前線における優秀な指揮官であることを垣間見せる。彼はすこし戦闘狂なのかもと思わせる。

・傲然と日本人を「サル」と言い捨てる士官。証拠隠滅のために容赦しない覚悟よりも、強者の傲慢さしか感じられない。それは同じ側に立てば安心であり、敵の側に立てば脅威に変わる。ルルーシュは自分の居場所を改めて確認することになる。ブリタニア人でありながら、自分は境界に立たされている異邦人であることを。

・カレンの仲間が自爆する。その傍らにある家族の写真。生活感が垣間見える

・そして開始される新宿壊滅作戦。クロヴィスの判断は完全に日本人をなめきっているし、その判断は実に短絡だ。

・シャーリー、お前のせいでルルが見つかっちまったじゃないか! 「切っちゃったよ」じゃねーよ! でもこの錯綜ぐあいこそ、コードギアスという作品の面白さの一端かと。

・そしてルルーシュとC.C.の契約。ルルーシュが、己の無力を自覚した刹那の契約は、力を受け入れるに十分な説得力を有している。物語冒頭のシーンから登場し、ルルーシュとスザクを見つめていたC.C.の存在、C.C.の「やっと見つけた」の台詞のとおり、C.C.にとってこの出会いは必然であったのだろう。絶対遵守のギアス。ギアスを使うとき、ルルーシュは本名を名乗る。それは絶対の自信の表れであり、本来の自分の目的を思い出したこと。現状に絶望したものが、絶望のふちで手に入れた力は、彼の表情をゆがませる。これは正義を行使する者の表情ではない。

・C.C.のたった一つの願いとは、永遠を生きる自分とともに生きてほしいという願いだったのではなかろうか? それは「ギアス」という能力の特徴の一つ「孤独」に由来するのかもしれない。

・名言来ました!「打っていいのは、打たれる覚悟のある奴だけだ!」この言葉の本当の意味を、わが身をルルーシュが知るまでには、これから4クールもの時間を必要とする。はたしてこの時点でルルーシュはこの言葉の意味を理解できていたんだろうか?

・物語の展開の速さ、その怒涛さは瞠目に値する。2クールの物語が1話でこれほどテンションの上げ下げはいまどき本当に珍しい。これが漫画原作のアニメだと、1話でのつかみが重要になるので、当たり前のように盛り上がるのであるが、テレビオリジナルの物語だとなかなかこうはいかない。しかも本作はさらに怒涛のような展開が待っている。まさにジェットコースター・ムービーなのである。


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コメント

非公開コメント

お~~!

やっと始まるんですね。コードギアス!
お待ちしておりました。

初の1話別コメント(ツッコミ・笑)。25話は長いですよ~。
楽しみにしてます。

しかし、オーディオコメンタリー風なんですね?(なるほど...)
これから、記事に合わせて1話づつ見直したいと思います。

No title

おか~さん
 コメントありがとうございます。
 そうです、今回は1話単位、しかも以前「ヤマトよ永遠に」でやった、コメンタリー風突っ込みテイストでやってみます。
 ぜひ、本編を見ながら、あわせて読んでいただくと、今までとは違った味わいが楽しめる・・・かもしれません。
自信はないけどw。

 長々とやりますので、お付き合いくださいませ。
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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