コードギアス 反逆のルルーシュ~STAGE12「キョウトからの使者」~

<物語>
 ナリタの混乱をよそに、アッシュフォード学園はいつもどおり。父から送ってもらったコンサートのチケットで、シャーリーはルルーシュをデートに誘うことに成功する。
 一方黒の騎士団はキョウトからの招集に応じる。ルルーシュはこの機に乗じてキョウトの力を我が物にしようと画策する。富士のサクラダイト鉱山でキョウトの代表と接見する黒の騎士団の幹部たち。代表にゼロの仮面を脱ぐように言われ、「キョウト」の脅迫により仮面をはずそうとする扇であったが、仮面の下の素顔はC.C.であった。ゼロの正体が日本人でないことがわかると、手のひらを返して、取り巻きたちが彼らを始末しようとする。と、次の一瞬、1台のKMFが反乱し、キョウトの代表である桐原泰三に銃を向ける。そのKMFのパイロットはなんとゼロであった。あらためて桐原と接見し、正体を見せるゼロ。ルルーシュは枢木に預けられた8年前の過去に、桐原と出会っていたのだ。桐原はすべてを承知した上で、扇らにゼロとともに歩むことを進める。黒の騎士団は新たなる一歩を踏み出そうとしていえた。
 ルルーシュがすべてを終えて、シャーリーとの待ち合わせに急ぐ。待ち合わせ場所で雨に打たれ、一人たたずむシャーリー。そこでルルーシュは、シャーリーの父が、ナリタの土砂崩れに巻き込まれて死亡したことを知る。ルルーシュはシャーリーの求めに応じ、唇を重ねる。

<モラトリアムな彼女たち>
・本編開巻からのブリタニア側の会議より。ギルフォードによれば、地下鉄や鉱山、坑道などの所有権や戸籍管理などがあいまいなままで放置されており、それゆえに反政府活動の温床になっているという。日本(エリア11)の統治にあたり、前総督である故・クロヴィスは、実は親和政策を行っていたようである。それはいまだ姿を見せないシュナイゼル第二皇子の進言でもあったようだが、それ以上に弟であるルルーシュへの思いやりがこめられていたらしい。ただし、それこそ欺瞞であった可能性だってある。まことにブリタニア皇族は、腹が読めない。

・クロヴィスがイレブンに対して親和政策を行っていたことを考えると、武官と文官のこうした言い争いは、実のところ不毛でしかない。ギルフォードもわかっていてやっていることだろう。クロヴィスの死により、結果的にコーネリアを引き入れてしまったことで、文官たちは肝を冷やしたろうし、コーネリアがレジスタンスの掃討を行っている間に、文官は細かい仕事を片付けておくべきだろう。だが裏でこそこそ後処理をしてみたところで、コーネリアの不興を買うだけかもしれないが。そしてそれは文官たちの悪事の事実でもある。ダールトンの口から「NAC」が出た瞬間の驚きの表情が証拠だ。

・「NAC」とはおそらく現在で言う「三井」や「住友」などの財閥の集合体であり、その先には「キョウト」にたどり着くと思われる。日本解放戦線の階級形式は、一左や三尉などではなく少佐や准尉を使用していることから、明らかに自衛隊ではない軍隊が日本に存在していたことになるし、「キョウト」が表向き、ブリタニアに対してその支配を従順に受け入れていることなど、大戦後の日本の状況と同じである。

・会議のシーンの終盤、ユーフェミアのパソコン画面に移動する。ランスロットから戦没者リストを眺め、ユーフェミアは悲しげな顔をする。この戦没者の中には純血派が含まれているが、ジェレミアがこの中に含まれている。バトレーの部下である研究員に助けられながら、彼らの行動そのものが秘匿されていたため、ジェレミアの生存は公にされていないことがわかる。

・なにげに雰囲気のある囲炉裏を囲んで相談している「キョウト」の面々。6人のうちの1人は、御簾の後ろで話を聞いているだけのようだが。結局彼らにとってもコーネリアの到来は望んだことではないことがわかるし、日本解放戦線あるいは片瀬少将ではなく、藤堂をそれほどまでに当てにしていたかということもわかる。彼らの最後の望みとして、黒の騎士団はキョウトの中でも無視できない存在になってきた。

・「でも私には、ルルとカレンのほうが問題なんですよ!」世界のあらゆることよりも、ルルーシュが気になるシャーリー。かわいい娘ではあるが、ミレイに言われるまでのなく、この変転する世界においては、あまりにも世界に無頓着すぎる彼女である。作劇上のバランス感覚だとは思うのだが、あまりにものんきすぎる。まあだからこそ現実に向き合わなければならなくなる、この後の彼女のストーリーに、感情移入できるのだろうけど。

・ミレイの「そういうとこ、好きよ」の言葉に反応するニーナ。この瞬間、彼女の中で恩人であるユーフェミアに、今まで以上の感情が芽生えたのかもしれない。

・ミレイの茶化しっぷりは、たぶん自分をもせせら笑っているのだろう。自分でももてあます感情があることを、彼女が知っているから、こんな台詞を言わせるのだろう。他人より少し老成した人間は、先んじて道化になるしかないのかもしれない。「居心地いいもんね」の台詞からも、自分たちが気楽な学生の身分であり、モラトリアムであることを知っている風情である。

・無表情で入ってくるルル。たいした動揺も見せないでナナリーを気遣うそぶりすら見せるシャーリーも、彼女なりの処世術を持っているのだろう。ルルが無表情なのは、どうやら集中力を欠いているようで、シャーリーのチケットを持っていってしまう。やはりナリタ騒ぎでお疲れか? ルルーシュも人の子である。

・意を決した表情で、ルルをコンサートに誘うシャーリー。それを見ているC.C.。彼女が手にしているのは、点数集めのシートだろう。「私にとってあいつは」の後の台詞は聞こえないが、もてるルルーシュに気が気ではないC.C.である。そしてそれを見ている一人の謎の男。彼の初登場のシーンである。

・「パパ」といったり「おとうさん」といったり、脚本上のミスだろうか? ルルをデートに誘うのに、いちいち理屈をこねるあたり、かわいいと思うし気持ちは良くわかるのだが、うざい。しかしその直後の携帯の着信音が、彼女を現実に突き落とすとは。

・黒の騎士団のなかでは常に玉城が言論をひっぱっている。彼がリーダーになれないのは資質の問題ではなく、基本的に秘密保持に向かないからだろう。やたらとセロの正体に固執するものそうだし、その一方で、自分にまかされた会計を私物化してしまいかねないやり方は、景気がいいときの大会社の社長が、金をばらまいているのと同じだ。

・だが黒の騎士団には彼が必要なのだ。それは彼が発言することで、他のメンバーの気持ちの風通しを良くする働きがあるからである。トップにたいして批判的な意見があっても、もみつぶすのではなく受け入れる度量、それがトップのあり方であると、ゼロが示してくれている。とはいえ、顔を見せられないゼロ側の秘密があるので、そうせざるを得ないのが実態かもしれないが。

・ああ、この話の問題シーンの登場である。これってニーナの自○行為だよなあ。気持ちが行き過ぎている感じが否めないし、本放送でも流しているとすれば、深夜の番組であったことを気づかせてくれるシーンだ。ナナリーが入ってきて、ニーナのスカートの裾が少し上がっていたり、なんでもないといって裾を直すしぐさが妙になまめかしい。表情が陰に隠れて見えないってのが、また想像力を書き立てさせる演出だ。

・ゼロやカレンのいない所での扇チームの会話は続けられている。扇という人物の求心力ゆえでもあるが、一方のカレンはC.C.の存在が気になる様子。けどそれは「ゼロの素顔」というキーワードに対して過剰に反応しているだけである。だがゼロにとっては自分自身の正体の謎が、求心力をそぐことに対して何の重きも置いていない。つまり行動とその結果こそが、人心掌握の要であると信じて疑わないからである。それはルルーシュの傲慢さがさせることであり、頭でっかちな少年の考えそうなことなのかもしれない。

・ドアが開いただけで兄の到来を見ぬくナナリー。体調不良を自分のわがままのせいであるという。考え方がけなげであるが、そのけなげさが兄の気を引くことを十分知っての上での物言いである。たぶんそんな自分を恥じているからこそだろう。それを見て「ナナリーのために」と誓いを新たにするルルーシュであるが、決意を揺らがせる事実が、この後に発覚する。

<キョウトとの接見>
・キョウトに乗り込むにあたり、C.C.に助力をたのむルルーシュ。でもこの言い方は、居丈高に女性を口説いているようにしか見えない。こういうことがわかってないでやってるあたりが、ルルーシュが童貞である証拠だと思う。この後、C.C.がすねるように話す理由もこのあたりにあるのかも知れない。

・そのころ特派のみなさんは、ナリタの事後処理に追われている。スザクもランスロットで出勤中。あの白と金のド派手なKMFが倒壊した家屋のかたづけるとか想像すると、むしろ嫌味なんじゃないかと思うけど。C.C.に見せられたイメージが、過去のトラウマを呼び起こしたようで、いまだ本調子ではない様子のスザク。しかし「死体発掘」とは、やはり言い方がひどいロイドさん。まあ取り繕うなどの全うな思考がない人だということがよくわかる。ロイドと正義についてなど語ってみてもしょうがないだろう。軍人であることを差し引いても、まともな思考による回答など期待できないだろうから。

・セシルとロイドの会話から、どうやら紅蓮弐式の輻射波動機構がはっきりとバレたようである。どうやらKMFにも飛行機同様にレコーダーのようなものがついているらしい。それもロイドの知り合い(ラクシャータ)の手によるものだとか。戦争という特殊な状況下で科学が奇形的に発達することは、もはや常識である。一般の手に渡る科学技術のほとんどは、すでに軍事技術として成功しているものがほとんだという。そしてコードギアスの世界は、軍事技術が行き過ぎた世界であり、同時に「ギアス」という不思議な力が、平行して存在する世界である。この両方を所有しているルルーシュが、この世界ではきわめて有利に立つはずであるが、そう簡単にいかないのが現実であるとでもいうように、物語はルルーシュを裏切り続ける。

・キョウトの老人がいう「山紫水明、水清く、緑豊かな霊峰」と説明された富士山であるが、その富士山のふもとの地下には、廃棄物最終処分場があるのをご存知だろうか? 処分場自体が富士の景観を損なわないために地下に隠されている。ここに廃棄されるごみは、すでに焼却処分などがなされ、汚染物質などが出ないようなごみが捨てられている。老人がいうほど美しくはないのだよ。

・姿を見せぬキョウトの老人、やはりゼロの正体を欲するか。さてトリック自体は、ゼロのギアスの能力をもってすれば、問題なく遂行できる。老人たちのやり方や考え方を「古い」と指摘するゼロ。そしてゼロは自分が日本人ではないことを明言し、仮面をはずして桐原老人に顔を見せ、その正体を明かす。ルルーシュがすでに皇位継承権を失っているとはいえ、ルルーシュの周りには、後にルルーシュの力になる人間が幾人も配置されている。はたしてこれは偶然か、はたまた皇帝の罠なのか。いずれにしても、ルルーシュは自分の人脈を目いっぱい使うことでしか、勝ち残れない。そういう意味では、ルルーシュの日本行きは、今日のための布石であった可能性が高い。

・はずされたゼロの仮面の下にあったのはC.C.。しかも彼女は目の前の人物が「桐原泰三」であることを知っていたのはなぜか? 騎士団専用車での一幕で、ゼロはある程度「キョウト」の主要人物を絞り込んでいた。だがその実これだけの資材や投資を行える人物はさらに限られる。この場でC.C.が別の名を呼んでもかまわない、いずれにしても中心人物として「桐原」なる人物がいるだろうことは、ゼロにとっては明白であり、接見時に誰が出てきても、「桐原」の名前をほのめかすことで、場の主導権を握ることが可能だろう。ゼロとC.C.はブラフをかましたに過ぎない。たまたま桐原本人が出てきていただけではないだろうか。

・ゼロが「キョウト」のやり方を糾弾するシーン。それは「古い」ことはダメだと言わんばかりの主張である。ゼロ自身が現在の世界における「新しい風」を自負しているからこそ、「古い」ことを糾弾する。それは改革を目指すものが使う論法である。だが「古い」ものを否定することに、なんら意味はない。新しいものが必ず良いなどと誰が決めたわけでもない。これは場を制するための詭弁である。

・ゼロの言葉による「桐原」の紹介がつづく。「売国奴の桐原」とはひどいいいようである。「るろうに剣心」ではないが、明治維新は勝つことで新しい日本を作り上げた倒幕派の人物がいるのと同様に、負けることによって同じように日本という国を作り上げた幕府側の人間がいる。戦争とは常に勝者と敗者がいて、勝者の論理が新しい時代を開くと同時に、負けたものも役割を背負って新しい時代を開いてきたのである。「桐原」がのうのうと生きているのも、「売国奴」と呼ばれることを甘受する度量ゆえの判断があってのことである。事実、ブリタニアに対しては面従腹背でのぞみ、ブリタニアの文官を裏で買収することで、内部崩壊を期待した様子もある。彼ら「キョウト」の戦い方は、一般人には想像もつかない苦難の道である。

・ここで初めてゼロが「日本人ではない」ことがはっきりする。ゼロの素顔を見て、その真意を悟ったのは桐原だけである。だがその決意が本物であることを知った桐原は、扇たちに進む道を示し、ゼロを支持することを表明する。「ゆくか、修羅の道を」「それが、わが運命ならば」とのやりとりは、ルルーシュの覚悟だが・・・。

<雨、そしてシャーリーの涙>
・どこかの体育館での死体照合の現場。こういうことにも付き合わされるのは、ヴィレッタも下級士官である証であるが、居丈高ではなくこのように普通に他人と接しているヴィレッタは、それなりに美しい。日本の災害史上、これをイメージさせる情景といえば「日航機墜落事故」だろうか。小林泰三の空想怪奇小説「AΩ」にも似たようなシチュエーションが登場し、多くの死体のかなから光の巨人が現れるシーンが登場する。

・雨の中のシャーリー。ルルーシュは己のとった行動の果てに、その結果の残酷さを知る。父にぶたれたことすらないシャーリー。だから本当の意味で人の痛みを知らなかったし、世界を見る視野すらもてなかったんだろう。ご令嬢ならそれもいいけれど。悲しみや寂しさを口にしてキスをねだるやり方は、どうしても甘やかされて育った子供にしか見えない。やっぱり好きになれないな、この娘は。

・シャーリーの独白から、父親の死因はどうやら窒息死だったようである。土石流が土砂と水からなることは前回の記事でも説明した。この土石流に巻き込まれるということは、水以上の体積を持つ流体に押しつぶされることであり、呼吸もままならないであろう。日本での土石流被害でも、直接的な死因は窒息死であることがあるらしい。その遺体は水ぶくれのように体が膨れ上がっているとも聞く。

・このラストで語られるのは、ゼロの正義がゆらぐ瞬間である。しかも黒の騎士団の体制が固まりつつあるという絶好のタイミングでである。攻められるべきはルルーシュであるが、このことにより、ルルーシュは事態のさまざまな側面を知ることになる。事の善悪ではなく、行動の果てに得られた結果がどんな意味を持つのかを知らされたのだ。ルルーシュが果たすべき責任の重さは、そのまま人の命の重さであることを、彼は初めて友達であるシャーリーの父の死によって知ることになる。悲しい涙の記憶とともに。


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福山潤櫻井孝宏

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テーマ : コードギアス 反逆のルルーシュ
ジャンル : アニメ・コミック

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