うたわれるものOVA~アニメの楽しみ方、いろいろ~

 十人十色、千差万別など、「人それぞれ」ということを表す言葉がある。ある一つの事象に対して、人が受ける感想や感動は「人それぞれ」であるから、よそ様のブログを見て、「なるほど、こういう考え方もあるのか」などと思うのは、ブログを読む楽しさにあふれている行為だといえる。中には自分の意見が絶対だという人や、いろいろなしがらみがあってそう思わなければいけない人もいるにはいる。それはそれでいい。そしてそうした個人的な見解をぶつけ合うことも、コミュニケーションだと思う。
 アニメの楽しみ方も人それぞれだろう。作画の善し悪しを楽しむ人、演出をつぶさに観察する人、表現にこだわる人、音楽に集中する人、声優さんに注目する人。アニメ作品本体だけでもさまざまな楽しみがあるが、その一方でアニメ周辺に注視する人もいる。例えば原作となっているゲームや小説、漫画にこだわる人、劇中ではほとんど使われなかったキャラクターソングに注目する人、声優陣が出演するネットラジオを楽しむ人など。続編のOVAが出れば、さらにそこに注目し、楽しみは広がるばかりである。
 個人的にはアニメ周辺素材として気になるのは、BGMやOVAが主体で、ネトラジまではなかなかフォローできずにいるロートルなので、きっとこれをお読みになるかたには、いまさらのような話かもしれない。私にとってこうした横方向に広がる最近のアニメの楽しみ方を意識したのは、今回扱う「うたわれるもの」が初めてであったのだ。

<概要など>
 そもそも「うたわれるもの」という作品は、2002年に発売された18禁のPC用ゲームとして発売された。これを原作として深夜枠のアニメとして制作されたのが2006年4月のこと。この年の秋にはプレイステーション2に移植され、18禁ではなく一般用のゲームとしてリニューアルされた。このPS2版については私も少しだけ触ったが、アドベンチャー部分と戦闘シミュレーション部分が交互にやってくる、非常に楽しいゲームであった(が、私はゲームそのものが苦手なため、クリアできず(泣))これは後にPSPに移植される。
 
 ある日大けがをして倒れている青年が発見される。その青年は決して外れない仮面をした男であった。彼はヤマユラの里の村長トゥスクルとその孫娘であるエルルゥとアルルゥに助けられ、順調に体力を回復していく。そして徐々にその持てる知識を使って村を導いていく。ところが里を含む国の王インカラの侵攻に反抗したヤマユラの里の一同は、トゥスクル亡きあとを仮面の男ハクオロに託す。そして彼を中心に新興国トゥスクルを建国する。
 その後、隣国やトゥスクルに侵攻する国家を平定し、勢力を拡大する。ハクオロは次第に自分に秘められた力を恐れるようになる。それはこの世界とそこに住む人々の発生に関与する、過去の出来事に秘密が隠されていた。その秘密が明かされるとき、それはハクオロがこの世界を去る時でもある。愛する人々に別れを告げて・・・・。

 その後、ドラマCDなどを経て、2009年からアニメ本編の幕間を作品化するOVAが制作、リリースされた。物語自体はゲームの中のエピソードであり、アニメ本編では作品化されなかったエピソードが選ばれている。

巻ノ一「望楼の子守唄」
:見知らぬ赤子を拾って育てようとするウルトリィ、それを優しく見守るカルラとの友情の物語。
巻ノ二「秘恋の処方箋」
:誘拐されたエルルゥと、クロウをひそかに慕うカムチャタールの恋の物語
巻ノ三「深山の鍔鳴」
:アルルゥと釣りに出かけたトウカのうっかりと活躍

 いずれの作品も、実に丁寧に作られており、制作スタッフ始めキャストの愛着すら感じる出来具合である。キャラクターの動きもさることながら、背景となる日本の原風景のような山野の景色は、奥行きを感じさせるほど書き込まれている。何よりアニメ本編でアニメ化されなかったゲーム部分を、改めてアニメ化するという方針が、広くファンに愛される結果につながったと思われる。もともとが18禁ゲームではあるが、PS2に移植された段階で18禁部分はほぼ解消されている。だがゲームには多くの分岐エピソードが存在する。それを丁寧にかいつまんでいく作業が、ゲームのファンに受け入れられた所以だろう。ある意味、それはアニメ本編が愛される意外の理由が存在するからだ。

<多様なメディア、それぞれの楽しみ方>
 さて話はさかのぼるのであるが、「うたわれるもの」アニメ本編が放送されていた2006年の夏、ネトラジ界隈ではちょっとだけ面白いことになっていた。
 この年の4月から放送された「うたわれるもの」本編におくれること3カ月後に、インターネットラジオステーション音泉にて「うたわれるものらじお」が放送を開始する。7月7日の七夕の日のことである。パーソナリティはハクオロ役の小山力也とエルルゥ役の柚木涼香の二人。はっきり申し上げてすでに妙齢である二人のラジオなど、本来ならそれほど話題にならなかったろう。
 ところがである、第1回のラジオ放送を契機に、ラジオ界隈を始めアニメ本編も盛り上がりを見せる。それは第1回の放送時、ラジオ本編にて柚木涼香が小山力也を口説き落とすと宣言したことに端を発している。それ以降、ラジオでは柚木涼香が小山力也にデレまくり、どうにか小山力也を口説くようになる。毎回毎回エスカレートする柚木涼香のアプローチに、小山力也がタジタジとなるようすが、ほぼ1時間にわたって放送されることになる。しかもこの盛り上がりには、「うたわれるもの」本編に出演する他のキャストに波及する。例えばキャスト・スタッフによる箱根温泉旅行での出来事や、その後の飲み会でのエピソードなどもラジオで紹介されるにおよび、キャストの公式HPやブログのアクセス数に影響する。果ては柚木・小山二人だけの写真集が発売され、ラジオ本編を収録したCDまで発売されることになる。
 さらに付け加えれば、こうした声優陣のはちゃめちゃなノリが本編に浸食しだす。こうしたフィードバックは特にドラマCDなどに遺憾なく発揮される。またキャスト小山剛志が遊び半分に鼻歌で歌った歌をベースに、本人歌唱によるCDが発売され、ヒットチャートを少しだけ賑わしたこともある。そうしたお遊びは同人誌にも展開し、アニパロ作品も数多く散見された。テレビやゲームの二次創作にもかかわらず、エルルゥがフォークを所持していたり、「エルンガー」「エロルゥ」とか呼ばれたりするのは、これに起因する。またエルルゥのキャラクターが不必要なほどやきもち焼きになっているのは、「らじお」のフィードバックでもある。
 こういうことはそれこそ過去の作品である「キャプテン翼」や「聖闘士聖矢」などの人気作品でも見られたことであるので、いまさら取り上げられるまでもない。こうした周辺状況を見るに、スタッフもキャストもファンも巻き込んでの、一大ムーブメントであった。とにかく「うたわれるもの」という素材を、よってたかって楽しんでいたのである。

 個人的な話で恐縮であるが、私は「らじお」を聴くことで多くの声優を知ることができた。それゆえに、たくさんの関連する声優さんを契機に、別の作品を見ることになる。もちろんネットラジオにも手を染め始め、気になる声優さんのネトラジを探し出しては、聞いていた。さらにラジオCDを購入し、iPodにつっこんでは会社の行き帰りにヘビーローテーションで聞いていた。「らじお」の公開収録はチケットが取れずに無念であったが、翌年の「アクアプラスフェスタ」に友人と参加し、生で柚木涼香と小山力也のご尊顔を拝したものである。ネットでの広がりも実に楽しく、1回ごとの「らじお」の感想をアップするHPにも出会い、会社にいながらにして「らじお」を間接的に楽しんでいた。この時期、会社の仕事も忙しかったが、日々充実した毎日であったことは疑いえない。私は間違いなくアニメの楽しみ方の多様性を実感したのである。

<メディアミックスに完敗で、乾杯!>
 それまでの人生でこれに近かったことがなかったわけではない。大学時代には「美少女戦士セーラームーン」が大ブームであり、同時に女性声優ブームの真っただ中であった。このときにもセーラームーンをはじめとする関連商品をあさりまくり、さらに同じ声優が出演する作品をあさってビデオレンタルをくり返していた。当時発売されていたカセットテープでは、素の声優さんのコメントが聞けたりして、楽しかったのである。このころ、女性声優によるヴォーカルアルバムなども積極的に発売されており、かなり多くのアルバムを拝聴していた。三石琴乃、久川綾、篠原恵美、折笠愛などなど。実は今でも彼女たちのアルバムを一部愛聴しとります。

 さてこんなこと、ここで改めて述べるまでもないとは、先述の通りである。すでに齢40を超えた私ですら、このようにしてアニメ周辺を楽しんでいる。アニメに限らず、オタク産業の多くは、こうしたさまざまなメディアから成立している。例えばアニメを中心にして小説や漫画、ゲームなどに展開することをいわゆる「メディアミックス」というが、現在こうした展開をしない作品のほうが珍しいほどである。原初的なメディアミックスに、漫画を原作とするアニメ化作品を含めれば、テレビオリジナル作品が少なくなった昨今では、ほぼ100%に近い。アニメ作品を見て原作漫画の購買が好調になる。それが正しいメディアミックスの在り方とすれば、まあ自然の流れである。それをして商売上手というのは簡単だが、売り出すほうも楽しげに作っている以上、買うこちらとしても楽しめないはずはない。それも自分が好きな作品や声優さんならなおのことだ。

 そんなわけで、私をはじめとするオタクなみなさんは、働き、稼ぎ、そして買うのである。そしてこれを「貢ぐ」というのは、家族には内緒の話かもしれないw 私にしてもとうとう「化物語」「傷物語」の後日談である「偽物語」「猫物語」を購入して読んでいる。こうなれば「毒を食らわば皿まで」である。好きな作品とはとことんまで付き合う。これが小金を持ったオタクなおじさんの矜持である。
 最近になって発売された「グレートメカニックDX14 」に掲載されている富野由悠季監督のインタビューを読むと、「アニメを中心とする文化は、若者向けのカルチャーと呼ばれて久しいが、その実体は「ガンダム」などを支持する40代以上を中心とするカルチャーに変貌しており、決して若者文化とは言えなくなってきた」というようなことを言っている。まあ自分を振り返れば、監督のおっしゃるとおりである。
 あんまり胸をはって書く話ではなかったような気がしてきた(笑)。

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コメント

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「貢ぐ」いい響きですね。
しかし友達にDVDや原作を買っている言うとネットでタダで見れるのにとよくやるよと馬鹿にされます。

そこでファンとして買い支えているんだよと力説してもやはり理解できないようで馬鹿にされます。

今はアニメを見ている若者の大多数はこういう考えです。

まぁ、最近のCDとかはすぐなくなっちゃうのでコレクション感覚で買っちゃうんですけどね。

No title

とぴろさま
 コメントありがとうございます。

 "ネットでタダで見れるのに” まあわからないでもないんですが、ネットで楽しくしている人にとって、ネットの世界の悪口を言われないためにも、非合法なものに関しては多少なりとも抵抗感を示していただきたいとは思うんですよ。とはいえネットの画像にお世話になっているので、強く主張することも出来ないわけで。

 まあ私としては、買える年齢や小金を持ったらでいいとは思うんですよ。だからこそ、年長者のオタクを巻き込んでコミュニケートしたほうが、お若いうちは絶対徳だと思うんですよね。私には出来ませんでしたので、一人で身銭を切るしかなかったんですけど。

 最近は本もCDも店頭から無くなるのが早くって、困ります。おかげでAmazonさんにはだいぶお世話になってますし、最近では「聖闘士星矢」のCDを探して、中古店を探し回っています。結局空振りすることも多いけど、別の掘り出し物を見つけては、小金使って楽しんでます。

 お金を使えっていう話じゃなくてですね、楽しみ方も人それぞれなら、お金の使い方もそれぞれでしょうから、いいと思うんです。けど楽しませてもらった事に対しては、相応の対価を支払うことは、エンターテイメントが成立するための基礎だと思っています。でないと、自分たちが楽しんでいたものが無くなっていくだけですし、すたれたり無くなったりするわけですよ。

 変な話ですけど、子供の頃「プロレス」が好きでよく見てたんですけど、今は見る影もないほど凋落してますでしょ。テレビでタダで見るものだと思っていた私には、あれはお金を払って見るもんだと思っていなかったんですよ。その意味では、プロレスの凋落ぶりには、心を痛めているわけです。アニメや特撮もそうならなきゃいいなあと、切に思うんですよ。すいません長くなりました。
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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