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「ブラック★ロックシューター」~傷つけあう少女たちの物語~

 世の中何が起こるかわからない。今回のお題の作品については、実に不思議な感じがする。本作の購入経緯といえば、書店にて「メガミマガジン」9月号を購入しただけである。それに本編DVDおよび詳細なブックレット、およびパッケージ用のジャケットが付いている。これを適当にあいているトールケースに入れれば出来上がる。詳細は後にまわすが、本編にしてもその出自が特徴的である。そして出てくる人物はたった3人の少女である。だが少女たちは全員2面性を持っており、学校にかよう普通の学生の姿と、どことも知れぬ空間で黒い衣装を身にまとい、激しく戦う姿の2つが、交互に登場するのである。そしてどこかシックにまとめられた映像は、なぜか多くの人の心をつかんだようなのだ。この異常性が理解してもらえるかどうか、正直わからない。けれどこの作品が尋常ではないことだけは確信的に理解できる、そんなアニメなのである。今回はたった1枚の絵から始まった不思議な成り立ちのアニメ「ブラック★ロックシューター」を取り上げてみたい。

<概要と物語>
 詳細はwikiでも調べてもらえればすぐにわかるだろうから、ざっくりと説明をしておきたい。「ブラック★ロックシューター」は、とあるイラストレーターが、絵画イラスト系SNSである「pixiv」やご自身のブログで発表した1枚の絵からスタートしている。漆黒のボンテージ風を身にまとい、髪も黒髪で左右で長さの異なるツインテール、そして右手には岩を打ち出す大砲を装備した少女の絵である。この絵にインスパイアされた人物が、「初音ミク」を使って作詞作曲をおこない、さらにその音楽に絵をつけてニコニコ動画にて発表したところ、2008年末までに100万回の再生数を記録する大ヒットとなる。これを契機にキャラクターがフィギュアなどの商品展開が行われ、そうした人気の延長線上でのアニメ化となった。こうした商品展開による売り上げがあるものの、基本的には非営利の同人活動が元になっている。アニメにしても雑誌の付録として配布冴される形式をとっており、ホビージャパン、アニメディア、メガミマガジンの付録として配布されている。
 いずれにしてもネット上に掲示されたたった1枚の絵が、口コミで広がりを見せた結果が、アニメになるところまで到達したのだから、本当に驚きである。既存にアニメとして存在するものが、ネットの口コミで広まったような形式とは全く違う成り立ちが、やはり目を引くのである。だから、この後に書く物語にしても、もともとはないものを、絵や音楽にインスパイアされたものとして成立している。物語ありきではないことに、驚きを隠せない。

 物語は主人公・黒衣マトが同級生となる小鳥遊ヨミと出会うところから始まる。積極的で明るいマトと引っ込み思案なヨミ。対照的な二人は新しく始まった学生生活を二人で過ごすうちに仲良しになる。けれどほんの些細な出来事が二人を徐々にすれ違いさせる。一方別の世界では、マトとヨミによく似た少女たちが武装して戦いに明け暮れている。その戦いはまるで互いが互いを求めあうように、ただひたすら戦いあうだけだ。
 ある日、ヨミが行方不明になったと母親から聞かされるマト。最近になって二人はまったく連絡を取り合っていない様子だ。いったい仲の良かった二人に何があったのか、そして別の世界で戦っている二人は誰なのか。孤独な二つの魂が叫び、呼び合う。

<エキセントリックな少女たち>
 先述のとおり、本作には本来物語が存在しない。だからこれはイラストやそれにインスパイアされてつけられた音楽をベースにして組み上げられた新規の物語なのだ。ということは、そもそも原初となる1枚の絵から想像する物語は、人それぞれによって異なるはずである。この物語に対して異を唱える人がいてもいいような気がする。とはいえ、注目すべき絵の部分については、そもマト(ブラック★ロックシューター)やヨミ(デッドマスター)の戦闘シーンでの黒衣の戦士のイメージしかない。この姿がまずもって興味をそそられる。ややゴスロリチックでもあり、ボンテージ風でもあり。キャラクターの体の凹凸は抑え目で、むしろチラリズムすら期待できないにも関わらず、どこか挑戦的で扇情的な雰囲気を持つ。そして手には大型の大砲や剣や鎌で武装する少女たち。ヴィジュアルとしていままでありそうでなかったセンスである。そしてこの二人の少女が、理由はともかく全力でぶつかりあうのである。その戦闘シーンは、戦闘空間の不思議さをともなって、実に充実した見ごたえあるシーンとなっている。

 さて物語に目を移すと、ぶっちゃけてしまえばすれ違いによって二人の少女が互いを求めあった結果、戦うことになってしまった物語である。マトの明るさはまた新たな友人を作ることで、ヨミとの仲が疎遠になってしまう。ヨミとしては自分の一番の親友と信じていたマトとすれ違うことによりマトの心すら見失うことになる。ヨミはマトを自分に取り戻すべく、別の空間で戦うことを選択する。マトはヨミを助け出すために、ヨミと戦わねばならなくなったということだろうか。フックが効いていると思うのは、マトがヨミを取り戻すことで、今度はマトの新たな友人の心にも、闇を生じさせてしまうというラストシーンである。これではマトは常に友人を作るたびに戦いを繰り返す、堂々巡りを演じることになる。

 この物語を目のあたりにして、ふと「少女革命ウテナ」を思い出した。それは戦闘空間の不可思議さのせいだったり、旧知の人物同士が心の闇を突かれて、主人公・ウテナに戦いを挑んだりするところが似ていると思わせたのかもしれない。「ウテナ」では戦うための理由付けとして、「姫宮アンシーを守る」とか「世界を革命する力を欲する」などの理由付けがなされているのだが、その実ウテナたちが戦う理由は、人間としての根源的な欲求にさかのぼったり、やむえない理由だったりと、理屈付けのパラドックスが起こっている。しかもこのパラドックスさえブラフであるのが、「少女革命ウテナ」という物語を彩る重要なエッセンスである。

<二人の気持ちを救うもの>
 だがこの「ブラック★ロックシューター」の物語は、もっとむき出しの、生々しいレベルの欲求がなせる、少女たちのエキセントリックすぎる願いによって成立している。主人公・マトが戦闘時の左目は青い炎をともしている。一方でヨミにはこの炎はない。マトの瞳の炎の正体は人によってさまざまだろうとは思うが、マトがこのバトルの勝者に与えられる「もの」という存在ならば、あの瞳の光こそ二人の友情の象徴なのではないかと、私はかってに考えている。ヨミの戦い方は、この世界で互いに死なないことを前提として、何度もマトを殺そうとしているように見えるのである。そして死なない世界で二人で死ぬほど戦いあうことで、ヨミはマトを手に入れようとしていたのではないか。同時にマトはそもそもヨミを生きてこの世界から解放したいがために、絶望しないままヨミに戦いを挑んだのかもしれない。その意思がマトの左目に宿る炎なのではないだろうか。いずれにしろ、ヨミとマトの二人はエキセントリックで壊れそうな心のまま、互いを傷つけあうことで解りあおうとしたように、私には見えた。それがどれだけ寂しい物語に見えたかは、ご理解いただけるだろう。映像の素晴らしさの反対側で、胸を締め付けられるような想いで戦いあう二人の姿は、悲しくて切ないものに私には見えたのである。

これまた偶然ではあるが、一つの歌を思い出した。以下に歌詞を引用する。

http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=3880

 この曲は浅香唯の「Believe Again」という曲である。ヒットした「スケバン刑事III」のテレビシリーズの好評を受けて制作された劇場用映画「スケバン刑事 風間三姉妹の逆襲」の主題歌として劇中のラストに流れたものである。この歌詞によれば人同士が語り合い理解するためには、傷つけあうこともいたしかたないことであり、それを恐れては人同士はわかりあえないことを、胸をはってうたったメッセージソングである。
この歌詞にたどり着いた時、もしかしたら少女たちの戦いとは、常にコミュニケーションではなかったかと思い当った。「スケバン刑事」しかり、「セーラームーン」しかり、「ウテナ」しかり、本作「ブラック★ロックシューター」しかり。少なくてもこの歌詞と本作に関しては、まったくもってリンクしているような気がしてならない。たとえマトという陽性のキャラクターが事件の中心を握っているにしても、三代目スケバン刑事であった風間三姉妹の末っこである唯のキャラクターとかぶったのは、偶然ではない気がするのである。それはまあひいき目ではあるだろうが、私の中で本作を理解する上で、役立ったのは事実である。

 とはいえ、戦闘美少女の系譜が、すべて同じ思考で作られているとはいいがたい。それについては、あらためて今後の研究課題としてみたい。私としては街中で見かける少女たちに、魂をぶつけ合うほどの仲の良い友人たちがいようがいまいが、関係ない。だが創作の中で表現される少女たちですら、こうして魂が叫び出すほどの焦燥に駆られていたりすることは、現実の世界でもありえるのだろうかと、ふと切なくなってしまう。実際に傷つきやすいのは少女たちだけではない。やわらかい心で常に他人の爪で傷つけられているのは、男女や年齢も関係ないだろう。それを救うために、本作のようにはおいそれとはできない気がするし、結局は自分で耐久力をつけるしかないのではないか。人の心の弱さを人のやさしさが救うような、優しい時代はくるのだろうか。

追記
 本作もじきに通常販売のDVDとしてパッケージ化されるらしい。記事の雑誌に間に合わなかった方々は、こちらをご参照ください。雑誌のほうは、現在やけに高価格がついております(泣)


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テーマ : ブラック★ロックシューター
ジャンル : アニメ・コミック

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Author:波のまにまに☆
東京都出身
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