第8話「俺の妹がこんなにアニメ化なわけがない」について

 毎週「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」(以下「俺妹」)を楽しみに見ている・・・・・。いやすいません、本当のところ毎回「ムカッ」とかしながら、一度ならず切りながら見ています。「ムカッ」としながら見ているということは、結局は好きで見ているわけなんですけど、主人公・高坂桐乃の好き勝手にはほとんどあきれるし、兄・京介への高圧的な態度がひどい。世間との向き合い方についても腹の立つほどだ。いちいち甘えが目立つし、そのくせ自分自身のスキルでは問題解決すらできない。それをいいことに兄を引きずりまわすのはどうかとすら思える。まあそもそもそれが仕様の物語ですので、嫌なら見るなって話かもですが、それでも毎回京介の必死の立ち回りと周りの協力によって、ちゃんとエンディングを迎える物語そのものには感心してしまいます。
 んで、今回も放送の翌朝に「俺妹」を見ていたんですが、今回の第8話はもうなんか腹も立つしへこむんだなあ(笑)。めったにリアルタイム感想とかやらないんですが、いい感じに心揺らされたもんですから、記事にしてみようかと。

<さて、前フリ>
 「俺妹」はそもそも電撃文庫から発売されているラノベ原作のアニメ作品。物語は主人公・高坂京介の妹・桐乃がモデルであり陸上の選手、しかも学業優秀でありながら、エロゲ好きの隠れオタクであったために、兄の京介が桐乃の「人生相談」に乗る形で兄を振り回すという物語。ざくっとしてるけど、基本はこんなもんだろう。まあ二人だけでは話がもつはずがないので、彼らの両親とか京介の幼馴染の和菓子屋の家族、桐乃のモデル友達と、初めてできたオタク友達などが登場する。和菓子屋の娘であるメガネっこ・田村麻奈実が個人的にはドツボであるのだが、とりあえず置いておく。
 本作に関しては、「14歳の少女がエロゲを買って楽しんでいる」という部分に引っ掛かって、それを指摘して問題視している人々がツイッターにもいたが、そんなことを今更問題視する気にもなれない、とだけは書いておこう。

 前回7話では桐乃とそのオタク友達の黒猫のケンカを、京介が仲裁するという話である。そのケンカのネタになったのが、桐乃が書いた小説である。その内容については黒猫による寸評しかないのでなんともいえないが、どうやら携帯小説のごとき顔文字やら改行が激しいやら、慣れない人には読めたもんじゃないものだったらしい。一方の黒猫も小説を書いていたようで、桐乃によれば背景にある裏設定が山のようで、それがないと読みづらいものであり、携帯小説を読みなれた桐乃にとっては、だいぶ読みづらいものであったようで。まあこういっちゃなんだけど、どっちもどっちの小説だったようです。
 ところがそのケンカ後の桐乃は、さらに小説書きにのめりこんだらしく、どういう経緯か知らないが、いつのまにやらラノベとして出版されることになり、果てはベストセラーにまでなったようである。つまりなんでも小器用にこなす桐乃の能力が発揮された事実を示す結果となったわけだ。そして問題の第8話を迎える。なんとこの桐乃の小説がアニメ化されるというのである。

 出版社の担当からアニメ化の報を聞いて舞い上がった桐乃は、オタク友達の黒猫と沙織・バジーナの二人を伴ってアニメ化会議に参上する。だがそこで原作者である自分自身の意見がまったく通じず、現実を思い知る桐乃は、落胆の余り体調を崩してしまう。そんな中で2度目の会議が催されるが、桐乃の代わりに京介が黒猫と沙織を従えて参加することに。そこで京介は妹の意見ができるだけ反映されるようにと説得に入るが、アニメ制作という現実が、またしても彼らを阻む。その上脚本家(おそらくメインライターでありシリーズ構成)の発言は、桐乃の小説を非難し、一度はこの仕事を辞退しようとしたエピソードを披露する。ところがこれに反論を始めたのは黒猫であった。そこで黒猫の反論が功を奏し、京介は土下座までして内容の企画内容の改変を依頼する。その結果、桐乃のもとに上がってきた企画書は、桐乃の希望がかなったものに変更となっていた。それを素直に喜ぶ桐乃。だがそれが誰のおかげなのか、知る由もない桐乃であった。

<アニメ化会議ってこんなもん?>
 桐乃の小説の内容に関しては知ることができない。どうやら主人公の少女に複数人の妹がいて、それぞれが主人公と物語を繰り広げるというものらしい。完全にエロゲである。だいたいにしてこんなものがお話になるのかと本気で疑いたくなるが、それ以上に冗談ではないのが、自分の嗜好が商品価値を持っていると思っている桐乃の頭の中身である(笑)。それが桐乃特有の「世間との付き合い方」であることは百も承知であるが、高圧的で世間が基本的に自分の味方であるとでも勘違いしているような彼女の言動の数々は、兄・京介の涙なしには見られない努力によって、世間的に認知されることになる。桐乃をつけあがらせているのは京介自身であるのだが、世間の誰が敵でも俺だけは味方という「兄妹」の絆が、これをよしとしている作品なのでしかたがない。

 今回の話はネタは2つ。桐乃がアニメ化に対して、異常なまでにテンションを上げ、あまつさえ企画の趣旨を聞きもしないで、自分の意見を並びたてる点。もう一つは桐乃に「現実」をつきつけるかのごとく立ちはだかる、監督らスタッフの語り様である。

 それにしてもこのアニメスタッフの言いようはあんまりである。スタッフとして登場したのは4人。おそらく両脇の二人は出版社等のスポンサー側のプロデューサー、そして監督と脚本家である。今回のアニメ化に際しては監督のポジションがあまりにも権力がなく、脚本家が強権を発動しているように見える。初回の会議の段階で、桐乃に対して高圧的に挑んでいる表情(眉がつりあがっている)を見せているのは脚本家だけである。もしかしたら監督はそれほど桐乃に興味がないとも考えられるが、矢面に立ってしゃべるのは脚本家なのである。しかも2度目の会議での桐乃に対する批判は、まことに真っ当ではあるのだが、さりげに自分の立場を桐乃よりも上においての発言をする。桐乃に対するカウンター的な発言であることも考えられるが、それ以上に自分の主張を正当化するために、相手を貶めるやり方を考えれば、この脚本化にははじめから会議をするつもりがない。またまわりのプロデューサーにしても、桐乃に都合のよいことを言ったすぐ後で脚本家になびくという、どっちつかずの発言をしている。この場を丸く収めたいという気持ちは痛い程解るのだが、それでどうなる現場でもない。「会議」といいながら「確認」の場であることが多いのは、どこの社会でもよくあることである。それがクリエイティブな現場であっても、主導権を握る人物の確認作業になりがちなのかと思ってしまうほどである。これもいたしかたなしか。

 この話がひどいと思うのは、桐乃の小説がアニメ化された事情にもある。放送開始まで5カ月しかなく、しかも別の企画が進行中に頓挫してしまったために、急きょ白羽の矢が立ったということである。最近聞いた話ではテレビ東京系で放送された「ソラノヲト」が、次回作「閃光のナイトレイド」の制作が遅れて制作された経緯がある。放送枠である「アニメノチカラ」は原作を持たないオリジナル作品の時間枠であるから、今回のような話とはちと違うのだが、書店で見かける本の帯やネットの情報などで、「アニメ化企画進行中」などというヴィジュアルをふと思い出す。企画が上がってもなかなかアニメ化されない作品もあることもある。そう考えると、あの脚本家も原作つきの作品の脚本に、飽き飽きしてたのではないか。
 面白いのはこの話では、あくまで脚本家を悪人に仕立て上げていることである。本作のシリーズ構成は倉田英之氏がやっているので、倉田氏が監督やプロデューサーに気を遣っていることも想像できるだけに、微笑ましく思える。逆説で考えれば、監督やプロデューサーがこうした役を引き受ける場面も、当然ながらあるのだろう。しかもある意味で本音が透けて見えるだけに、決して本話が空想だけの産物ではないことをほのめかしているようでもある。

<クリエイターとして・・・>
 本話での白眉は、脚本家の言いように腹を立てて反撃する黒猫の台詞である。そこに込められているのは物を作りだそうとしている人間の真摯な思いであり、その思いを理解できるだけに黒猫は桐乃を擁護し、脚本家は黒猫の言わんとするところを理解した点である。しかも有能な人間、人気のある人間を羨みねたむ気持ちという、人間が持っていて当たり前の気持ちに根ざしているだけに、説得力をもって聞こえるのである。どこまでも有能で小器用な桐乃に対して、黒猫の嫉妬も脚本家の嫉妬もまったく等価であり、その上で兄・京介の嫉妬までひけらかしてしまう。そこにもう一方の桐乃の側の気持ちなど、それらの嫉妬の前では雲散霧消してしまうはずだ。そしてそこにある嫉妬は、ネットに批評や小説、イラストや漫画を上げている人間たちの総意である。岡田斗司夫氏はこうしたネットに作品を発表することで、多くの人がクリエイターの予備軍になっていることを、「プチクリ」と名付けたが、こうしたプチクリな人々にとって今回の物語は、大きな痛みを伴った話になっていたのではないか。だが一方で、桐乃に突き付けられた「現実」すら、そうしたクリエイターの嫉妬が原因であるという落とし所なのである。この物語の白眉はここである。

 2度目の会議の前半で、脚本家が言っていたこと(桐乃の小説の問題)は多分真実であるし、それは黒猫も指摘している。本当なら脚本家はたとえ兄の願いがあったとしてもその企画を曲げることなく、原作者である桐乃をへこましたとしてでも、自分が作った企画書のままで制作させたほうが良かったのではないか。しかもこうした事象は実際によくある話だとすれば、現実として桐乃の案を採用することが、「アニメ制作の現場」としてよいものであるとは到底思えない。そうやって勘ぐっていけば、本作の落とし所は脚本家の希望だと思えなくもない。だが企画を練り直して桐乃の原作に準拠し、あまつさえ桐乃の案を取り入れる企画に練り直すラストは、どう考えてもやりすぎである。結果として桐乃のわがままが、桐乃の努力なくして受け入れられた物語になっているところが、なんとも始末に負えない感じがして、後味が悪い。誰もかれもなんでこんなに性格の悪い小娘に甘い顔をするのだろうと、不思議でならない。

 「俺妹」の第8話は、アニメ制作の現場の事情という現実と、そこにあるものを作る人間の嫉妬がぶつかるという物語であった。あまりの現実のひどさと、本作の脚本家の透けて見える思いがなんともいただけない話であった。本話が原作にあるエピソードかどうかは、原作を読んでいないのでわからない。だが本作の最大のポイントは本来そこではない。京介がなぜ妹である桐乃を嫌っていたかの答えを導き出すためのエピソードであり、桐乃の本当の想いがどこにあるかを気付かせるためのポイントを示している物語である。物語の根幹がそうなってはいないのだが、兄妹の仲を再構成させる一つのきっかけになるエピソードには違いない、そこまで理解していながら、読後感がよくないのも事実である。結果的に兄の努力を知らずにいい気になっている桐乃には腹立たしいだけだ。
 物語は残り数話を残し、佳境に入ろうとしている。しかも今回の物語の引きが桐乃の「最後の人勢相談」だという。なんやかんやいいながら、やっぱり次回を心待ちにしている自分がいる。桐乃への文句はさておき、最終回まで見守ろうと思う。

追記
 なんと申しましょうか、桐乃役の竹達彩奈嬢の演技は、立派なものであるがちょいとやり過ぎな感じがする。これが演出側の意図であり、桐乃がああいうテンションのキャラだとしても、ちょっと引くわ(笑)。

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コメント

非公開コメント

ち・が~う!

第8話の白眉は、エンドロールでの黒猫の「…うらやまし…」だ~~!
はいココ、花澤さんに拍手!
まさに、「キター\(^o^)/ 黒猫フラグ立った~~!」てな感じ。
ここから黒猫ルートへ分岐だよね。

竹達桐乃については、嫌われてナンボなのであれでよしかな。
それよりも生天目のエンディングちゃんと聞きたかったです。
電波ソング臭いけど。

そうなんすか・・・

おか~さん

 またコアなところを・・・・(笑)
 今回は桐乃よりも黒猫の回でしたからね。

 「俺妹」のネトラジも聴いていますが、ここでも竹達より花澤さんかなって。

 今期のアニメはEDの曲が変わるタイプが多いので、「神のみ」とか「そらのおとしもの」とか、
1枚にまとめられたCDが出るのが楽しみです。生天目さんの曲もいずれ収録されるでしょうから、楽しみにしましょうよ。

・・・・あ、「俺妹」のゲーム出るみたいですけど、買うのね?

名無し改め

この記事を読んで、ますます続きが楽しみになってまいりました。

No title

白黄屋さま

 コメントありがとうござます。そういっていただければ嬉しく思います。
 よそ様のブログを拝見するに、さまざまな意見があるようですが、それでも本作の視聴を打ち切るという話を、私はよんでいません。なんだかんだいいながら、皆さん楽しんでおいでのようです。私もその一人にちがいありません。これもお祭りだと思えば、あと残り少ない話数を楽しんでいきたいと思います。

 また別の記事でもお付き合いいただければ幸いです。
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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