「鋼鉄神ジーグ」~熱き魂を、あなたに~

 ゲーム「スーパーロボット大戦」シリーズが好きだ。シリーズとしては「F」および「F完結編」から付き合っており、よほどのことがない限りコンシューマーがいろいろ変わっても、付き合っている唯一のタイトルである。個人的にやりこんだと思うのは、今は無き「ワンダースワン」の「コンパクト」シリーズ、ゲームボーイアドバンスでの「A」、そして「α」シリーズだろうか。特に「第二次α」に関しては、相当にやりこんだ記憶がある。
圧倒的な強さを見せるオリジナルロボットの「ダイゼンガー」や「龍王機」もいいが、「勇者王ガオガイガー」や「ブレンパワード」、そして初参戦となった「鋼鉄ジーグ」の千両役者ぶりが目を見張る。それまで避けるわ当てるわで、激烈な強さを見せた「聖戦士ダンバイン」の「ダンバイン」や「ビルバイン」が姿を消した「第二次α」では、サイズSのロボットながら、「鋼鉄ジーグ」が八面六臂の大活躍を見せる。場面に応じて様々なパーツを操る利便性に、大型武器などのオプションパーツや、パンサーロイドとの合体で空まで飛んでくれる。改造を加えれば主役機ともども単機での突入すら可能なポテンシャルは、本当に頼もしいユニットであった。敵に回るハニワ幻人の倒しやすさもポイントが高い。
 そんな「鋼鉄ジーグ」が装いも新たに帰ってきた! それが今回ご紹介する「鋼鉄神ジーグ」である。この企画に「第二次α」での活躍が影響していると考えるのは、私だけではあるまい。地上波ではない天井での放送ながら、このどこまでも熱いロボットアニメである。昨今のロボットアニメに物足りなさを感じている貴兄にこそ、ご紹介したい。

<作品概要>
 「鋼鉄神ジーグ」は2007年4月からWOWWOWのスクランブル枠で放送された作品で、全13話。本作のタイトルを見ると、東映制作のアニメ「鋼鉄ジーグ」のリメイクかと思われそうであるが、1話冒頭で説明されるように九州が完全に雲に覆われ、劇中で「ゾーン」と呼ばれるエリアとなっており、「鋼鉄ジーグ」が50年前の戦いで、ゾーンの中に行方不明になっているという状況からスタートする。アニメ「鋼鉄ジーグ」は邪魔大王国を(主題歌の歌詞通り)全滅させて終了している。続編なんておかしいじゃないの?と思うだろうが、本作は講談社「テレビマガジン」にて連載されていた安田達矢作画による漫画版が下敷きになっているという。
 舞台は2025年の下関。草薙剣児は幼馴染の珠城つばきとともに地元の高校に通い、日々を謳歌していた。かの地では50年前の戦いで鋼鉄ジーグは行方不明となり、九州は暗雲たれ込める「ゾーン」と呼ばれるエリアの中に隔離されていた。この九州を見守るため、新生したビルドベースはこの地に置かれた。基地の指令になっているのは、かつての鋼鉄ジーグの良き相棒であり、つばきの祖母である珠城美知であった。
 そしてある日、ゾーンに異変が生じ始め、ゾーンの雲の中から巨大な怪物・ハニワ幻人が出現する。高校生ながらビルドベースの職員であるつばきと同級生である美角鏡(みすみきょう)は、ビッグシューターに乗り込出撃する。一方の剣児は美知の指示で、麻布都珠勾(まふつくす)神社に納められていたバイクを駆って出撃する。そのバイクは剣児の両親の遺産であった。そして美知から与えられた手袋に秘められていた力を解放し、剣児のバイクは変形する。さらにビッグシューターから放たれたパーツと合体し、「鋼鉄ジーグ」になった。剣児は鋼鉄ジーグの力と、共に闘うビルドベースの仲間の助力を得て、初陣をモノにしたのである。こうして再び九州を舞台とした邪魔大王国との戦いがスタートする(1話)。
 2話からしばらくはハニワ幻人とジーグによる熾烈な戦いの中で、剣児はジーグのパイロットとして成長する。同時にジーグの新パーツが使用されることで危機を乗り越える物語が連続する。また謎の巨大生物・破瑠覇(バルバ)が7話から登場し、ジーグの敵とも味方ともつかない行動で、剣児たちを翻弄する。
邪魔大王国の女王・妃魅禍(ヒミカ)は、前作同様に銅鐸を手に入れることで、地球上を支配する力を欲していたが、銅鐸の力で動くジーグある限り、その宿願を達成できそうにない。部下を使ってジーグを無きものにしようとするのだが、作戦はいつも失敗ばかりとなる。だが妃魅禍は、かつての戦いで行方不明となった先代の鋼鉄ジーグに隠されていた銅鐸に思い至る。時を同じくそれに気付いた美知たちビルドベースの面々も、邪魔大王国の本拠地とともに、九州で行方不明になったジーグの捜索を開始する。だがビルドベースの面々がようやく発見できたのは、朽ち果てたジーグのボディのみ。ジーグの心臓部とも言える頭部は、すでに妃魅禍の部下によって持ち去られていたのである。残されたジーグのボディに触れたつばきは、不思議な光に包まれ、過去の戦いの真実を知ることになる。それは力尽きるまで戦い抜いたジーグが、銅鐸の力を解放させて邪魔大王国を封印した過去であった(8話)。この光の現象を冷やかに見ていたのは妃魅禍である。
そして9話においてビルドベースを全滅させるため、邪魔大王国が全力を持ってビルドベース攻略を開始する。その真の目的は、銅鐸の巫女であるつばきの誘拐であった。ビルドベースを守りながら、どうにかハニワ幻人たちを撃退した剣児たちであったが、結局つばきを奪取されてしまう(9話)。剣児はついに邪魔大王国の本拠地へと向かい、つばきを救出する作戦を開始する。だがそこで剣児が見たものは、巫女の力をつばきから妃魅禍に移すための怪しげな儀式であった。しかも先代ジーグの銅鐸も抜き取られ、その力を利用して剣児のジーグすら圧倒する力を見せる妃魅禍。その時、剣児たちを助けたのは本当の姿を現した鏡であった。そして鏡は人類創世にまつわる真実を告げる。そしてつばきと剣児にこそ、古代人の力が最も強く受け継がれている血筋に生まれたことを告白し、鏡は邪魔大王国との戦いでその長い一生を終えるのであった。しかしその戦いの中でジーグになるバイクに隠されていた銅鐸まで抜き去られ、妃魅禍は2つの銅鐸の力で大銅鐸を起動させ、巨大な母艦で虚空に消え去っていく(10話)。
 戦いの結果、ゾーンから解放された九州ではあったが、ビルドベースも破壊され、銅鐸の力を奪われた剣児たちにはなすすべがない。だが先代ジーグである司馬宙が蘇生し、つばきの無事も確認されたところで、国防軍の総力を結集して反撃に出ることになる。地球周回上で建造されていた巨大戦艦を使い、月に潜み隠れた邪魔大王国を追って宇宙に出るビルドベースの面々(11話)。敵の攻勢にはばまれつつも、ビッグシューターで突入した剣児とつばきは、互いが持つ太古から受け継がれた力を解放し、2つの銅鐸を取りもどす事に成功する。新旧2体の鋼鉄ジーグにより戦況は好転し始める(12話)。だが最後の戦いに賭ける邪魔大王国の反撃も手ごわい。二転三転する戦況の中で、銅鐸の真の力を解放させた剣児は、加勢に来た破瑠覇と融合・合体し、白き巨人・「鋼鉄神ジーグ」となって妃魅禍たちを滅ぼすことに成功する。そして戦いを終えたつばきや剣児たちは、おだやかな日常へと戻っていくのであった(13話)。

<ジーグ、ビルドア~ップ!>
 なにはさておき、注目は大活躍の鋼鉄ジーグについて語ろう。旧テレビシリーズの基本デザインを踏襲しながら、現代風にアレンジされた鋭角的なデザインは、2000年代に甦ったジーグ像を見事に見せてくれる。ビッグシューターからのパーツ発射もつばきの力が思いっきり入った作画であり、剣児の「ビルドア~ップ!」の掛け声からジーグ誕生のシーンまでの一連の合体シーンは、何度見てもほれぼれする。ビッグシューターからのパーツ発射にもこだわりがあり、本来のマグネ・ロボらしくリニアカタパルトになっているようで、青と赤の電磁石が動き出してパーツが射出されるシーンが説得力を持たせる。興味深いのはジーグのパーツ分割で、胸部のパーツは射出時からさらに変形して胸部になったり、射出されたパーツが分割合体をしながらジーグに合体していく。これによりパーツサイズを変更しており、ビッグシューター内部でのパーツを圧縮していることがよくわかる。こうした変形・合体などのバンクシーンはやはりロボットアニメの「華」である。カッコよくてなんぼの話だからして、このジーグの合体シーンは比類なきカッコ良さである。
 ジーグの千両役者ぶりはこれだけではない。主要関節部に球状マグネットを使っているジーグは、旧ジーグ同様にさまざまなパーツを取り付けては、TPOに合わせて戦闘を展開する。巨大なバズーカを取り付ける「ジーグバズーカ」の、冗談にも似た巨大さを見よ! 強固な外殻のハニワ幻人に対抗するために使用したマッハドリルの威力を見よ! その他に空を飛ぶ「スカイパーツ」や地中に潜るための「アースパーツ」などが登場し、毎回の剣児のピンチを救うことになる。こうしたパーツは通常ビッグシューターから射出されるのだが、ビッグシューターが使用不可能な場合には、「ギガシューター」と呼ばれる列車砲から打ち出される。この列車砲のデザインが第二次大戦中に使用されたイメージの、無骨なデザインを踏襲している。ビッグシューターやジーグのデザインセンスと列車砲のデザインセンスは全く異なるものだが、一つの画面の中できちんと収まりがいいあたり、見ていて妙に心地いい。
 一方でジーグに敵対するハニワ幻人であるが、こちらもさまざまなモチーフでデザインされており、岩をごてごてくっつけたようなものや古代の戦士のようなシンプルなもの、馬型のハニワをモチーフにしたものから、人形の大黒天をそのまま巨大化させたようなものまで多岐にわたる。すべてのハニワ幻人には名前が付いており、登場時には漢字3文字の名前が派手に画面に現れる。この文字も勢いのある書体で、ハニワ幻人登場の演出として実に小気味いい。こうしたデザインセンスの異なるジーグとハニワ幻人が、画面狭しと大暴れするのである。しかもジーグの戦闘スタイルは基本徒手空拳であるから、ガチバトルになる。ここも本作の熱さの一端が示されている。そして戦闘中のみならず、常日頃から勢いのいい台詞を吐き続ける主人公・剣児が物語を牽引する。そんな熱き魂ほとばしるロボットアニメが、面白くないわけがない!

<カメオ? オマージュ?>
 話はそれるが、そもそもの「鋼鉄ジーグ」が永井豪原作の作品であることはご周知の通りだ。本編にはまるでスターシステムのように、永井作品の常連となっている多くのキャラクターが登場する。1話だけでもモブシーンに登場するのはデビルマンやポコイダーやらアルフォンヌ先生が登場する。ビルドエンジェル隊の3人の女性はいずれも「ガクエン退屈男」や「ハレンチ学園」の主役級の登場人物である。また剣児が物語終盤で装着するヘルメットの形状を良く見ると、旧ジーグのサイボーグ博の頭部にそっくりとなっている。果ては最終決戦に登場する地球側の母艦が「Xボンバー」であるし、新旧ジーグのそろい踏みで邪魔大王国を蹴散らすのだ。
 こうしたカメオ出演?ともとれるおなじみのキャラクターの登場であるが、それ自体が作品の見せどころではない。むしろ味付け程度のおまけに過ぎない。だが彼らの客演がどういった効果をもたらすかを考えてみる。あくまでこれらをスターシステムと理解すれば、そもそもの作品と関連性がないことは明白だが、本作が「永井豪作品」としてのカテゴリーで括られることになる。そうなるように作られたとすれば、それは「永井作品」への愛といっていいだろう。

 本作の監督である川越淳氏は、永井豪作品特にダイナミックプロのロボットアニメには縁が深い。「真(チェンジ)ゲッターロボ 世界最後の日」では今川泰宏氏よりバトンを受け継いでの登板であったが、この作品で勢いあるゲッターロボの動きを見せてくれた(特に旧ゲッターチームとゲッター開発チームの白熱バトルに心躍る!)。さらにOVA「真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ」でも旧作のゲッターロボに登場したキャラクターを使って、新しい物語を紡ぎあげた。またさらに「新ゲッターロボ」の監督まで務めており、都合3作品のゲッターロボに監督として参加している。そのケレン味あふれる演出、勢いのあるセリフ回し、豪快なまでのロボットやキャラクターの動かし方には定評がある。その川越監督が満を持しての登板となった本作である。監督の永井豪作品への愛もここに極まれり。ゲッターOVAに比べると比較的カメオ出演の多さも際立っている本作であるが、そこはやはり川越監督以下スタッフがもつ、永井豪作品への愛着あってのことだろう。

<熱き、熱き、熱き展開>
 前半は剣児の熱さが物語を牽引していたが、物語の終盤になると剣児の熱に浮かされたように話が加熱しだす。その物語はついに民族創世に関わる真実にたどり着く。鏡の正体は「タケル」という太古の昔に地球に移住しようとしていた宇宙人であり、妃魅禍たちは鏡たちが生み出した人工生命体であったという。妃魅禍たちはいつしか反乱をおこして地球支配に乗り出したが、鏡たちはそれを封印するために戦ったのだ。そして鏡とその姉の血を色濃く受け継ぎ、銅鐸の力を制御する力を持った者こそ、つばきと剣児であったというのだ。主人公の力の秘密、そしてそれを支えるヒロインが物語のキーになるという展開。物語の冒頭で司馬博士が発見したものは、古代の銅鐸ではなく、封印の力で眠りについていた鏡たちであったという驚愕の事実が視聴者に突き付けられる。

本作の面白さの一端は、本来ならとっくに完結したはずのアニメ版「鋼鉄ジーグ」のリメイクではなく、多くの謎を残したままとなっていた漫画版「鋼鉄ジーグ」をモチーフとして、その解答を模索したことにある。アニメ版の旧ジーグでは、銅鐸は強大な敵の封印の鍵とされていたが、本作では妃魅禍たちがあやつる巨大な力とされ、その力は使い方次第で敵も味方も滅ぼすほどである。その力の制御こそが戦いの鍵となる。しかもヒーローとヒロインの設定として付加されている。たった13話ながらも物語終盤のオチとなっているのだから、この展開が熱くないわけがない。戦いも13話の中でも何度も展開し、ジーグの力ですら絶対ではない状況下で、ついに鏡とともに戦っていた破瑠覇と合体し、タイトル通りの「鋼鉄神ジーグ」となって妃魅禍たちを葬り去る剣児はつばきとともに、「伝説」のような存在となって戦いのフィナーレを高らかに歌いあげるのである。

熱く、どこまでも熱い物語。それを作り上げたのは川越監督らスタッフの熱量のたまものであるが、同時にその作画に突き動かされたように草薙剣児役を熱演した小野大輔氏の演技も声を大にして褒め称えたい。「涼宮ハルヒの憂鬱」の古泉や「黒執事」シリーズのセバスチャン・ミカエリス役など、どちらかといえば静かな役柄が目立つ声優さんであるが、本作ではまさかここまで?と思えるほど、声を枯らさんばかりの熱い演技を見せてくれる。まさに神谷明さんの叫びよろしく、スーパーロボットを支える縁の下の力持ちとして、ほぼ全編で叫んでいた。劇中「バカ剣児」とまで言われる下品な剣児も素晴らしい。古泉やセバスチャンしかご存じない方にも、ぜひとも小野大輔氏のキャリアの一つとしてご覧いただきたい。すでに「スーパーロボット大戦」シリーズにも参戦している本作であるから、そちらでも小野さんの熱演が聞かれるここと思う。もしスパロボで本作に少しでも触れたのなら、原作である本作のDVDも合わせてご覧いただくことを切に願う。ゲーム攻略のネタだけではない、熱き展開のドラマがここにある。

川越監督の最新作は「マジンカイザーSKL」だそうだ。またしても永井豪作品のOVAである。なんでも最近になって発売前に先行上映されたそうで、本作でも見られた熱い演出も健在だそうだ。永井豪作品と川越監督の組み合わせは、まだまだ楽しませてくれそうである。スパロボユーザーも遅れることなく楽しみにしていただきたい。

鋼鉄神ジーグ Blu-ray Disc BOX鋼鉄神ジーグ Blu-ray Disc BOX
(2009/03/18)
小野大輔、植田佳奈 他

商品詳細を見る

鋼鉄神ジーグ Build1 [DVD]鋼鉄神ジーグ Build1 [DVD]
(2007/07/18)
小野大輔、植田佳奈 他

商品詳細を見る
スポンサーサイト

テーマ : アニメ
ジャンル : アニメ・コミック

コメント

非公開コメント

プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
Twitter再開しました!

カレンダー
01 | 2017/03 | 06
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
namima2のつぶやき
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

FC2カウンター
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
リンク(リンクフリーです)
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
FC2 Blog Ranking
フリーエリア
blogram投票ボタン
ブロとも一覧

あにめにゅ~す の あににゅ

分水嶺@53.8

素足のアイドル達

有名人の珍言・名言集

宮廷アリス

TOY BOX
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

[FC2 Analyzer] http://analyzer.fc2.com/ -->