機動武闘伝Gガンダム~その1・Gガンダムは「ガンダム」か?~

 つい最近まで東京MXにて「機動戦士ガンダムSEED Distiny」が放送されており、過日終了した。後を追うようにしてスタートしたのは「機動戦士ガンダム00」である。せっかくスタートしたので本放送以来ちゃんと毎週見ようと思う。この時間枠では以前よりガンダムシリーズが放送されていた。なかなか再放送に恵まれない「機動新世紀ガンダムX」や「新機動戦記ガンダムW」などもこの枠で見ることができた。基本的にシリアスな物語ばかりのガンダムシリーズであるが、中でもとりわけ異彩を放っているのが今回取り上げる「機動武闘伝Gガンダム」ではないだろうか。
 問答無用に暑っ苦しく、しかも基本はガンダムによるタイマンバトル。そのガンダムは世界各国の特徴を惜しげもなくさらすユニークさ。「SEED」シリーズにもたくさんガンダムが出てきたが、単純に数で言うなら、本作のほうがはるかに上をいくのではないかと思えるほどのガンダムのオンパレードである。聞くところによると、本作を一連のガンダムシリーズとして認めていないという一派がいるとかいないとか。初めて私もこれを見たときに、「これがガンダムですか?」とつい口をついて出てしまったのは事実である。だが最後まで見切った人間にとっては、そんな話が実に些細なことに思えるほどの傑作であったことは周知の事実である。今回は「Gガンダム」に見向きもしない人々を対象に、本作が如何に「ガンダム」であったかをとっくりと語ってみたい。そしてこの作品の面白さにぜひとも触れてみていただきたい。

<作品概要>
 「機動武闘伝Gガンダム」は1994年4月から翌年の3月まで、約1年に渡って放送された作品だ。テレビ朝日系列の金曜日夕方5時という時間に放送されたこの時間枠は、前年富野由悠季監督自身が手掛けた「機動戦士Vガンダム」が放送されていた時間枠である。1995年には「新機動戦記ガンダムW」、さらに続く1996年には「機動新世紀ガンダムX」が放送され、都合4年に渡りガンダムシリーズを放映し続けた時間枠であった。そもそもテレビ朝日の週末(金&土曜)夕方の時間枠といえば、「無敵超人ザンボット3」や「最強ロボダイオージャ」「超力ロボガラット」「機動戦士Zガンダム」などが放送されていた時間枠であった。いわゆる伝統的なサンライズロボットアニメの時間枠である。まあ残念ながら「ガンダムX」後半では視聴率低迷を理由に、時間枠が金曜夕方から土曜の朝に変更されたことで、事実上のこのサンライズタイムの時間枠が消滅したことになる。

 物語は人類が地球を捨てて各国家ごとにスペースコロニーを作って宇宙に上がり、互いの国同士で戦争を行わないようにするために、4年に1度「ガンダムファイト」と称したロボットバトルを行い、勝利国がその後4年間の世界の主導権を握ることになった世界が舞台となっている。第13回大会となるある日、ネオジャパンのガンダムファイター、ドモン・カッシュが地球に降り立ったところから物語は始まる。
 「ガンダムファイト」はまず「バトルイレブン」と呼ばれる11ヶ月間の戦いが始まる。このバトルイレブンでは各国のガンダムはあらゆる場所でガンダムファイトを行う。ガンダムファイトは国際条約にのっとって実施され、人命尊重に重点を置いて制約されており、ガンダムの頭部を破壊されない限り何度でも戦える。バトルイレブンではとにかく何が何でも勝ち残ることが最重要課題であるが、国を動かずに挑戦を受け続ける者もあれば、ドモンのように世界各地をガンダムと相棒でありメンテナンス・クルーであるレイン・ミカムラとともに転戦する者もいる。そしてバトルイレブンを勝ち残ったガンダムだけが、決勝大会へとコマを進めることになる。
 ドモンはバトルイレブンにおいて様々な国のガンダムファイターたちと拳を交え、中には熱き友情で結ばれる者たちとも出会っている。だが彼の真の目的は別にあったのだ。ネオジャパンで発生した「デビルガンダム逃亡事件」。ドモンの兄・キョウジはデビルガンダムとともに地球に逃亡、この事件に巻き込まれて母は死に、開発の責任を問われて冷凍刑に処せられていた。ドモンは父の汚名をはらすべく、秘密裏にデビルガンダムを破壊し、同時にガンダムファイトにも優勝するという使命が課せられていたのである。
 ドモン・カッシュ。幼き日に家出をした彼は、コロニー格闘家である東方不敗マスター・アジアに拾われ、そのまま彼に師事。その後マスターの持っていたコロニー格闘家の覇者の証「キング・オブ・ハート」の称号を譲り受けるに至る。ドモンはその格闘家の力を持って、デビルガンダムやなみいるライバルや強敵たちにひるむことなくガンダムファイトを繰り広げる。はたしてドモンの勝利の行方は、強大な力を持つデビルガンダムを倒すことができるのか?

<物語、やや詳細>
本作は便宜上、以下のような物語構成になっている。

(1) バトルイレブン編(#1~11)
地球に降り立ったドモンが、世界各地を転戦する物語。この戦いを経てドモンは多くのファイターたちと戦い、友情を確かめ合った。なお6話でデビルガンダムとの因縁が明らかになる。

(2) 新宿編(#12~17)
 廃墟となった新宿ではデスアーミーと呼ばれるロボット群に人々が襲われていた。人間の抵抗活動を指揮していたのはかつてのドモンの師匠であるマスター・アジア。だがデスアーミーを指揮していたのは、マスター・アジア本人であった。ドモンはかつての師と敵対する道を選ぶ。そしてマスターに操られた4人のガンダムファイターは、ドモンとともに「シャッフル同盟」の称号を受け継いでいく。

(3) ギアナ高地編(#18~24)
 ネオドイツのガンダム・シュピーゲルとの戦いに敗れたドモンは、自らの弱さを知り、思い出の修行の地であるギアナ高地で再び修行に入る。だがそこにもデビルガンダムの魔の手が。修行と数々の戦いを経て、ドモンはついに「明鏡止水の境地」にたどり着き、マスターの駆るマスターガンダムと勝負する。だが刻一刻と決勝大会のタイムリミットが近づいていた。ドモンはデビルガンダムとマスターガンダムを倒して、決勝大会に間に合うのか?

(4) 決勝大会(#25~45)
 ネオ・ホンコンで行われる決勝大会。新たにゴッドガンダムを愛機とし、決勝大会を勝ち進むドモン。そしてシャッフルの仲間たちとも再び国を背負って戦い競い合う。だがその背後ではデビルガンダムをつかって世界の覇権を握ろうとする、ネオ・ホンコンの首相ウォン・ユンファがマスター・アジアと手を組んでドモンを叩きつぶそうと画策する。そしてついにランタオ島における最終バトルロワイヤルで、ドモンは再びマスター・アジアと対峙する。そして激しい戦いの中で、デビルガンダム事件の真相、ネオドイツのファイター・シュバルツ・ブルーダーの正体、マスター・アジアの真の目的が明かされる。

(5) デビルガンダム最終決戦編(#46~49)
 第13回ガンダムファイトを制したドモンであったが、数々の謎の真相を知ったドモンの表情は浮かない。しかしドモンの指揮を執り続けたウルベ少佐は、デビルガンダムを手に入れてネオジャパンのコロニーで再び復活させることに成功する。それはドモンに別れを告げた傷心のレインをコアに組み込んでの復活であった。やがて世界規模で被害を出し始めるデビルガンダムは、ついにその巨大な真の姿を現した。はたしてドモンは、シャッフルの仲間たちはデビルガンダムの魔の手から地球を救い、愛するレインを救うことができるのか?

<Gガンダムらしさこそガンダム!>
 気がつけばすべての文末が「?」で終わっているが、未見の方に向けて少しばかり気を遣ってみました(意味なしかもw)。
 さてこのロボットバトルばかりの本作であるから、「別にガンダムでなくても」と思われる方々も多いことだろう。それは現在の「平成ライダーシリーズ」を見て、「別に仮面ライダーって言わなくても・・・」と思うのとまったく一緒。ってことはそこにはなぜ「ガンダム」なのかという理由があるのだ。
 本作では「戦争」の代わりが「ガンダムファイト」というロボットバトルになっている。ちょいと考えてみてほしい。そもそも「機動戦士ガンダム」という作品が「戦争」を描いたのは、ロボットによる戦闘に意味を見出したからだ。ロボット同士の戦闘を「戦争」の一こまに落とし込むことにより、それまでロボットバトルと呼ばれたロボットアニメに戦争を持ちこむことに成功した。これ以降国家間の戦争を背景としたロボットアニメは総じて「リアルロボットアニメ」といわれることになる。本作ではこのロボットバトルをして再定義し、まるでオリンピックのようなスポーツマンシップにあふれる設定を持ち出して、代理戦争を描いている。これはまさしく「戦争」なのだ。その意味ではまさしく「機動戦士ガンダム」の直系に等しい設定なのだ。その上で見た目はあくまで古式ゆかしいロボット同士のガチバトルである。まさに換骨奪胎というべき絶妙な設定ではないか。

 繰り返しになるが本作の主人公はドモン・カッシュという「格闘家」である。本作でいうところの「格闘家」というのは、作中では実に不器用で言葉足らずな人物として描かれている。その代表がドモンであるわけだが、幼馴染のレインですらドモンとのディスコミュニケーションに悩まされている。だがドモンが唯一人間を理解する方法、それは「拳を交える」ことだけなのである。ドモンは幾度ものファイトを通じて、多くのファイターと心を通わせていく。シャッフルの面々にしても、アレンビー・ビアズリーにしても、そして最終バトルロイヤルにおけるマスター・アジアとの戦いでも、ドモンの壁として立ちはだかった師匠ですら心を通わせるのである。
 ここで思い出してほしい。「ニュータイプ」という概念が、「よりよく理解しあえる人々」だとすれば、本作中で繰り返される「拳を交える」とか「拳で互いの魂で語り合う」という表現は、ディスコミュニケーションな人間たちがよりよくわかりあえるための手法なのではないか。格闘家が戦いあうことが互いを解りあうことならば、「ニュータイプ」という新しくコミュニケーションと人のあるべき姿と合致する。

 以上のように、GガンダムのGガンダムらしさの部分は、まさにオリジナルの「機動戦士ガンダム」から引き継がれている、基本設定が新しい装いで劇中に隠されていたものである。しかもこの2点は「機動戦士ガンダム」という物語の根幹をなす重要な設定である。そう考えてみると本作が歴史を同じとしないガンダムシリーズではあるが、思いのほかちゃんと最初のシリーズの設定を引き継いだ作品だと気がつくはずである。その意味においてこの「機動武闘伝Gガンダム」という作品は、間違いなく「ガンダム」なのである。

 とはいいつつも、本作がガンダムという物語を逸脱した作品であることはいうまでもない。その部分こそは「Gガンダム」という作品の本質である「熱さ」なのだ。シャッフルの仲間たちや師匠マスター・アジアと繰り広げる熱きドラマなのである。次回はこのドラマ部分について語ってみたいと思う。

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ドモン・カッシュ:関 智一、レイン・ミカムラ:天野由梨 他

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コメント

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熱血!

いやぁ、懐かしくて思わずコメント書きます。
放送当時はガッツり見れなかったんですが、後にビデオで一気に見ました。

確かにこの作品を「ガンダム」というかどうかは意見分かれますよね。
ただ、Gガンダム以前のガンダムはストーリー的には大人向けで、
当時は子どもが楽しむアニメのほうが多かった中で、
Gガンダムは子どもも楽しめるガンダムとして製作されていると思います。

私は当時はまだ中学生とかそれくらいなので、ガンダムって何が面白いの?というレベルでしたが
Gガンダムだけは純粋に面白いと感じました。
戦闘に関してもビームやサーベルではなく、
拳や技、わかりやすい必殺技とGガンダム以前のガンダムが好きな方には異色だったでしょうね。

個人的にはサイサイシーと土門の最後の戦いは印象に残っています。
サイサイシーのドラゴンガンダムがボロボロになりながらも命をかけて戦う姿は
「息を飲む」という言葉がふさわしいほど白熱でした。

ただ、それまで真面目?だったのに最後の「石破LOVELOVE天驚拳」で
作品全体をギャグで片付けられてしまった感も否めませんけどね(笑)
何度見返しても、別にあそこは普通の石破天驚拳を二人でやるだけでよかったのでは・・・と思ってしまいますw

ではでは、今後も記事楽しみにしています。


No title

笠希々さま
 コメントありがとうございます!

 私、なぜか大学院の2回生のころに、鹿児島で1話を見ました。何が起こっているのかわからないうちに、なんだか楽しくなってきたのを覚えています。その後高知では放送がなく、卒業をして社会人になるまで全部みてなくて、LDで全部見ました。今回もLD→DVDの過程で本文を執筆しました。なんにせよ楽しいんですよね、これ。

 最終回はなぜか実家におり、リアルタイムで見ておりまして、一瞬「ラブラブ天驚拳」にはわが目を疑いました。
でも次の瞬間に、一人で大爆笑したんですよね、これ。ありかなしかっていうよりも、作品の質として「最後になんだかんだいっても、こういうエンターテイメントですよ」という意思表示だと思っています。

 現在体調を崩しており(去年もそうでしたが)、次回分の執筆がとどこおっておりますが、年内にどうにかしますので、気長にお待ちください。
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
Twitter再開しました!

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