「仮面ライダーOOO&W MOVIE大戦CORE」~人の欲望、ライダーの悲哀~

 やっとのことでこの映画を見てくることができました。同時に「ウルトラマンゼロ THE MOVIE」も見てきましたが、こちらの感想はまた別の機会に。
 さて本作は“おやっさん”こと鳴海壮吉主演の「仮面ライダーW feat.スカル」、「仮面ライダーオーズ」そして「MOVIE大戦CORE」の3本が、絡み合っている物語。例によって「W」のラストが「オーズ」のラストにかぶる形で「コア」につながる構成になっている。今回のライダー映画、なんといっても一番目立つのは鳴海壮吉こと吉川晃司である。申し訳ないが、彼の前では1年間「W」という人気番組を牽引してきた翔太郎、フィリップ、照井の3人の存在感を完全に食っているし、いやもう3人の存在感が霞む霞む(笑)。「オーズ」が始まってもその余韻が強すぎて、「W」の物語がやや中途半端に終わっているだけに気になって仕方がない。この際映司もアンクもおまけっぽい。ま、そうはいっても2つの物語が最後で1つに重なる面白さは、前年の「ディケイド&W」以上に面白く、地球の記憶が形となった「仮面ライダーコア」という存在が、実に興味深い存在であったので、予想以上に楽しい作品となっている。

<欲望という名の罪>
 本作の物語に関しては、現在発売中の雑誌もあることだし、なにより現在公開中であるので、ぜひともその目でご確認いただきたい。以下、断片的に物語に触れるかと思うが、その詳細まで書くつもりはないので、ご容赦いただきたい。私もウルトラ映画同様に、今回は事前に情報を仕入れていったので、物語的にはほぼ知っていた。まあ実際に聞くと見るでは大違いだったので、やっぱり劇場に足を運ぶのはいいなあと、ごく当たり前のことを思った次第。
 さて、「W」については本ブログでも2回に分けて取り上げて、「W」の本質に人間の欲望が絡んでいることを示した。次作である「オーズ」についてもメダルは「人間の欲望」が変化した形として登場する。オーズに登場する怪人「グリード」も「人間の欲望」を利用してメダル集めをしている一族である。つまりどちらの作品も「人間の欲望」がキーワードとなっており、ドラマを紡いでいるシリーズであることになる。振り返れば「欲望」といえば「仮面ライダー龍騎」でも大きなキーワードであったが、仮面ライダー龍騎のプロデューサー・白倉紳一郎氏から交代していることを考えれば、現スタッフの「龍騎」への意趣返しと見ていいかもしれない。
 「W」における「欲望」は、壮吉の相棒(これも東映の人気番組の影響?)・マツ(トミー&マツか?)の内なる欲望が、ガイアメモリ事件第1号の犯人としてしまう。だがこの話にはその奥があって、マツがメリッサに向ける欲望、メリッサが壮吉に愛されたいと願う欲望、壮吉が娘と暮らしたいと願う欲望という3つの欲望が醸し出す物語という構成なのだ。しかもこの3つの欲望はすべて一方通行である。そのうえ成就しない。マツの愛情はメリッサに届かず、メリッサの想いは壮吉に届かず、壮吉の思いも子供の亜樹子には届かない。しかも愛すべき相棒であるマツの想いを壮吉は知らずにいて、そのことを己の「罪」であると断じたのである。「W」の決め台詞「さあ、お前の罪を数えろ!」には、こんな意味が隠されていたのである。「欲望」は「罪」なのか? 人の欲望がかなえられない時、それを動機に罪を犯してもいいのか? 「W」の物語の根幹である「人間の欲望」というキーワードは、こうして原初となるさかのぼった時間の物語で完結した。「W」が1年をかけて紡ぎあげた物語は、欲望と罪の関係を暴いたが、そのかなえられない願いを持つ生き物こそがまぎれもなく人間であることをくり返し見せつけていたのである。

 一方の「オーズ」は人間の欲望を、史上もっとも欲深き人間として「織田信長」を引っ張り出してきた。しかし「織田信長」という人物は、どうしてこれほど創作物にネタを提供するのだろうか。マンガ「孔雀王」では「第六天魔王」と呼ばれ「サタン」の化身と称された。これと同じような扱いをされた創作物は意外に多い。ゲームのボスキャラとして登場したり、ゲーム「サクラ大戦V」にも第六天魔王として登場する。面白いところでは映画「戦国自衛隊」では、千葉真一演じる伊庭三尉が映画のラストで燃える寺を背景に死んでいくシーンがあるが、これが織田信長がなくなった「本能寺の変」のエピソードをなぞっており、「織田信長」という人物が現代からタイムスリップしてきた自衛隊員であったという謎かけを残して幕を閉じる。戦えば連戦連勝。天下に号令を下し、比叡山を焼き打ちし、絶頂を極めようとしたその時に、明智光秀の謀反によって本能寺で死んだ武将は、森蘭丸と一緒に焼ける本能寺を脱出して大陸に渡ったなんていう話まであるほどだ。とかく創作意欲を掻き立てる人物であるのは間違いない。そんな信長を引っ張り出してきて、「オーズ」のテーマである「人間の欲望」と結び付けるのは結構であるが、現代に甦ったノブナガが、経済的に世の中を平らげるというのはどうだろうか? 金は力だとでもいいたげな物言いは、ヒーローものとしていかがかとは思うのだが。そしてその魂の欲望は果てしなく、ついには地球を平らげようとする。メダルとメモリをきっかけに、凶悪の仮面ライダー「コア」が登場する。

<仮面ライダーは悲しい?>
 「オーズ」編になると、オーズのさまざまなフォームを見せたり、テレビに先行で登場した「仮面ライダーバース」の登場など、なんというか見どころばかりが優先されている。「W」がドラマで見せた分を補って、「オーズ」ではアクション重視で作られている。それだけにやや子供向けに出来ているのは否めない。私が見ていた時には、吉川晃司目当てのお姉さんがいるのと同時に、お子さん連れの家族が混在する劇場となっていた。
 「仮面ライダーコア」の設定をパンフレットで確認すると、「過去の仮面ライダーたちの記憶を利用し、暗い闇の心を糧として戦う戦士」と書かれている。その登場の瞬間で過不足なく説明していたかどうかは疑問が残る。とはいえその巨大で実体のつかめない体躯が大暴れする。まあ「MOVIE大戦」は基本的にアクションとクロージングのみの構成であるから、これで1本の独立した作品とは言い難い。逆にこれがないとまったくしまらないのであるから、映画構成上はいかんともしがたい。だがライダーの新フォームを繰り出してコアを退治するだけに集中できることは映画構成上の妙であり、純粋に楽しいパートでもある。

 さて、ここで興味深いのは「コア」の「暗い闇を心の糧として戦う」という設定である。「仮面ライダー」という存在はそもそも悲しい存在である。自分の意志によらない死と再生。同族殺し。二度とは帰らない自分の体、そして傷。変身ベルトは自分が人間ではない証であり、戦う意思としての誇りの表れだ。平成ライダーにしたところで、着脱可能でいつでもライダーであることを止めることができる変身ベルトの存在は、唯一ライダーであるための証と戦う意思の現れである。だが同時に自信がライダーであると認めることはどういうことなのか? ライダーとしての力の行使は、多くの人々を助けるが、その行為の裏で死にゆく人がいることもまた事実なのだ。ライダーである彼らは、決して逃れることなどない悔恨が必ずつきまとう。「もっとはやく気が付いていれば、この人を救えたかもしれないのに」と。ライダーであることは、同時に彼らの目の前で普通に生活している人々の生と幸せを保証したいと願う存在であり、同時にそのすべてを満たせない存在でもある。ここに壮吉が仲間であるマツの心を理解してやれなかった「罪」を数える理由がある。仮面ライダーであることはその存在意義以上に、その目的を完全に果たしえないという原罪を持った存在なのだ。だから努力する。映司は自分の生活をかえりみることなく、金に苦しむ人々におしむことなくバイト代をばらまくのである。それは罪の意識からかどうかは分からない。ただ映司の持つやさしい性格は、ライダーとしての得難い資質であり、ライダーとして原罪(どうやら彼のこれまでの旅路にも原因はありそうだが)から救われたいという願いなのかもしれない。そう考えると、今回のMOVIE大戦にからむ2つの物語が、しっかりとした一つの筋立てとして見えてくる。「仮面ライダーコア」を倒すという構図は、そうした原罪と戦い続ける仮面ライダーの意志なのだ。

 今回のライダー映画は、私にとって平成ライダーが問いかけてきた「人間の欲望」というキーワードと、仮面ライダーが持つ原罪とそれゆえの悲しみについて問いかける、意義深い作品であったと思っている。とはいえエンターテイメントとして、より十分に楽しめる作品であったことは間違いがない。作品の物語の本質についてははぐらかしたので、せっかく本稿をお読みになって興味がわいたようであるのなら、ぜひとも劇場へ足を運んでいただきたい。その価値は十分にある1品である。

追記
 そろそろ「ゴセイジャー」がラストを迎えます。本ブログではほとんど扱っておりませんでしたので、最終回を迎えたあとできちんと書いて見送ってあげたいと思います。
 また「仮面ライダーOOO」について記事を書くのは、本稿が初めてであった。いままで避けていた理由は、本編中の敵「グリード」はまったく敵ではなく、鴻上の皆さんだからである。なぜここにきて「ライダー対人間」などというややこしい構図が登場しているのか、制作側の真意を測りかねています(インタビューとか読んでないので)。見た目よくできているし楽しい作品であるため、後ろでほの暗く見え隠れする「人間」という存在が気になってしかたありません。ま、いずれ記事にしますけど。

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去年のやつです。ディレクターズカットまで待ちます
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