「ウルトラマンゼロ 超決戦!べリアル銀河帝国」~銀河連邦はるかに超えて~

 先日の「仮面ライダー」と一緒に見てきました。こちらも事前情報ばっちりで見に行ったので、どちらかといえば筋の確認をしにいった感じ。したがってライダー同様、こちらも物語の詳細を省いて、感じたことをつらつらと書いてみたいと思う。
 物語は別の宇宙で活動を再開したべリアルを倒すため、ウルトラの国を飛び立ったウルトラマンゼロの大冒険を描くアドベンチャームービーとなっている。前日談である前作「ウルトラ銀河伝説」で初登場した2人のウルトラマンである、ゼロとベリアルが再び戦う物語の必然とテンションは、疑う余地のないぐらい面白いものだ。しかも円谷が有するウルトラ以外のヒーローが、デザインをリニューアルしてウルトラマンと同じ土壌に立つのである。70年代から円谷ヒーローを見続けてきた古参のファンにとって、これほどの朗報はなかったろう。しかも4人の円谷ヒーローが力を合わせてベリアルを倒すというのである。だれがどう考えたって盛り上がる・・・・はずである、のだが。
 現在公開中の作品なので、どうこういうのはちょこっと反則ぎみではあるが、ちょいと気になったんで書いておこうと思う。

<ゼロはなぜ銀河を越えたのか?>
 ベリアルがどうやってこの銀河を越えたのか? その事情はおそらくスピンオフ作品に隠されているのかもしれない。だがいずれにしてもベリアルが何らかの事情でこの銀河を越えて、カイザーベリアルを名乗り、自分の軍団を組織したことだけは規定の事実である。そしてそれはいずれウルトラの国への復讐のための布石であったはずである。この物語はここが大きなポイントである。

 物語序盤でウルトラの国に手下を送り込むことで、ベリアルはつまりウルトラの国に宣戦布告し、同時にその注目を別の銀河に向けさせた。これをきっかけにしてウルトラの国で戦士が選出され、ゼロが別の銀河に旅立つことになった。それも父であるセブンからブレスレットを託される。これが「帰ってきたウルトラマン」に登場したベムスターの回のオマージュである。そこからは本作の一番のキモである「マルチバース」の理論で、別の宇宙へゼロは旅立つ。これまでウルトラ映画シリーズでは「多次元宇宙論」やら「平行世界」など、現時点の世界とは別の世界があることを提示する方法で映画を成立させている。「ウルトラマンガイア、ティガ、ダイナ」や「超ウルトラ8兄弟」などもこの手合である。だからその理由としての理論がどんなものであったとしても、別世界があるという事実は変わらない。問題はその見せ方であり、泡状に浮かぶ世界の泡の一つ一つが別々の宇宙であるという映像である。これまであやふやな説明のみで別世界が「ある」ことを受け入れてきたファンにとっては、きちんと説明がなされた映像として目に映る別世界の映像は、受け入れやすくわかりやすいものである。この点は大いに評価したい。SFっぽい説明により逃げる選択肢もあっただろうが、そこをあえて踏み込んだことは意義深い。SF映画の問題点は、原点で映像化不可能なものを説明で処理したために、わかりづらくなることで観客をおいてけぼりにすることである。それを正面から映像化したことは瞠目に値する。

 ただし、今回なぜゼロが別宇宙に旅立たねばならなかったのかを、もう一度考えてみたい。ゼロにとってベリアルが仇敵であることは間違いない。ベリアルにとっても打倒すべきはゼロであり、ゼロ=ウルトラの国という認識があるから、ベリアルはゼロに固執する。一方のゼロの方でもそんな思いは似たようなものだろう。物語的にはゼロが旅立つことは必然である。その一方で、ゼロはまだ未熟なウルトラ戦士なのである。いやベリアルとの前の戦いで免罪符になっているのではないかという話もないではないが、他のウルトラ戦士の多くが1年近い月日を要して地球で戦い続けたことこそ、ウルトラ戦士としての最大の修行だとすれば、彼にはそれがない。ウルトラ戦士が長い月日をかけて「ウルトラマン」としても「作品」としても月日の耐久性を身につけていないのである。
 事実、エメラル鉱石を前に集まった先輩ウルトラ戦士一同を前に、非常に慇懃無礼な口をきくゼロである。こいつは一度シメねばならんと思った付き添いのお父さんは多いことだろう。つまり今回の映画はゼロにとって、キャラクター的にも物語的にも試練を与えられたと言っていい。

 ここで一つ引っ掛かるのが、ゼロの人間体であるランの存在である。「キャラクター的」な試練の意味で言えば、ゼロの人間体を出す必然性はまったく低い。いっそゼロの姿だけで押し込む方がいいのではないだろうか。ここでゼロがランの体を借りて、しかもその弟とのナオと一緒に旅う立つシーンを見れば、納得がいく。このシーンはまるで父親であるセブンがモロボシ・ダンとなったシーンを含む、ウルトラマンが地球にいるためのシーンに酷似する。そしてランとナオは、惑星エスメラルダから逃げのびていたエメラダ姫とともにジャンバードで旅立つ。それはナオたちがいた惑星アヌーの伝わる伝説「バラージの楯」を探し、その力を持ってベリアルの侵攻を阻もうとするのである。ここで別宇宙で起こる謎の事件の解明に来ていたゼロの使命が、バラージの楯探しに入れ替わるのである。ゼロは短気なのか短絡なのか、その場その場で場当たり的になることが多い。このあたりの思考の薄さは先輩譲りといってもいいかもだが、この際は少し考えなしに見えてしまうし、物語主導になりがちとなっている感じがする。

 セブンから与えられたブレスレットには力の制限が設けられており、その能力は3回しか発動できない。にもかかわらずゼロはもののみごとに景気よく使おうとする。ところがこの景気のいい使いっぷりは、同時に力強さにつながっており、同時に人間体からゼロへの変身のシーンに直結するから、ゼロというキャラクターを強く印象付ける。力を持つものが他人を守るために力を行使することに、何のためらいもないゼロというキャラクターは、真の意味でウルトラ戦士のニューエイジであると言える。そしてまたいくつかの星をめぐり、いくつかの冒険を経て、グレンファイヤー、ミラーナイトという宇宙の仲間に出会い、友誼を結ぶことになる。それは鏡の国での最後のクエストにおいて「バラージの楯」の秘密にたどり着きながらも、楯そのものは手に入れられなかったから、ゼロにとってはバラージ以上に重要な意味を持つ。楯よりもウルトラ一族とは異なる別宇宙の仲間と出会うことこそが、ゼロにとってはこの別宇宙の旅の最大の意味だったからだ。

<ゼロ=坂本龍馬?>
 そしてついに惑星エスメラルダを巨大な手の形をした要塞によって蹂躙されはじめるころ、ゼロは人間体のままベリアルの手の内に落ちてしまう。それを救いに来るのがこの宇宙で出会った仲間たちである。そして始まるベリアルとゼロの一騎打ち。その背景ではグレンファイヤーと炎の海賊たちや鏡の国の宇宙艦隊が合流し、ベリアル軍と激しい交戦状態となる。ナオが立ち上がってジャンバードはジャンボットとして参戦し、敵味方入り乱れての大乱戦となる。この時炎の海賊たちや他の星の宇宙軍が合流する姿を見ると、もう一つのゼロの旅の意味がわかってくる。ゼロはベリアルの侵攻に立ち向かうために、惑星国家の共同を促したのである。これをして去年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」の影響と見るのはうがち過ぎだろうか? つまりゼロは坂本龍馬となって、自分の身を持って戦う姿を示すことで、炎の海賊や他の惑星の軍隊を動かし、共同戦線をとらせたのである。しかも最終的には「ウルティメイトフォースゼロ」という、かつての「銀河連邦」を想起させるものを作り出して幕を閉じるのである。まさにゼロの活躍は、国や惑星や宇宙すらも越えて、力を合わせることの尊さを歌い始める。その姿を坂本龍馬に重ねてしまう。

 その一方でベリアルは自分たちの仲間をまったく信用しておらず、自分が強大な力を行使するにあたり、ダークゴーネやアイアロンの手を借りているにもかかわらず、彼らの力を全く無視している。ベリアルは巨大化しアークベリアルとなってゼロや艦隊を一掃し始める。その時ノアの奇跡が発動し、海賊や艦隊の人々、ゼロの仲間たちが光となってゼロに降り注ぎ、「ウルティメイトイージス」がゼロに装着される。そしてついにアークベリアルを消滅させるのである。最後にゼロがランの体から別れて旅立つところで物語は幕を閉じる。この時ランの記憶はゼロに助け出されたときのままになっており、まるで「ウルトラマン」の最終回のハヤタのような状態である。

<イベントを消化してこそヒーロー>
 その映像作りのほとんどは合成用のグリーンバックを背景に撮影されている。特に前回はロケもなかったから、今回は九州や山口(露骨にカルスト地形の秋吉台が出てきたときは、地質屋として吹いたわw)でロケを行ったようであるが、それとて合成素材であるからほとんどの映像にCGが使われている。こうした映像に関して言えば、「仮面ライダーオーズ&W」のように実景でのアクションとは異なり、どうしても映像的にのっぺりとした印象である。なんというかCGに見慣れたせいもあり、いまさらCGで作りこまれた映像にのめりこめない自分を発見することになる。もはやこの手の映像では満足できなくなっているのだ。そういう意味では地球が舞台にならないウルトラマンシリーズは、今後どうしても同じような映像となる可能性があり、少し先行き不安ではある。

 それはそうと、序盤のバトルシーンでの父セブンとの共闘や、ベリアルがウルトラの国に送り込んだ先兵とウルトラ戦士たちの戦いなど、本作はイベント的な要素で作られている。ましてや前述のようにかつてのウルトラシリーズを彷彿とさせるシーンも満載である。そう考えると、本作はまるで1年のエピソードを、たった2時間程度の作品の中におさめきったともいえる。つまり「ウルトラマンゼロ」というキャラクターを作り上げるために、かつてのウルトラシリーズのオイシイ部分をオマージュに仕立て上げ、それをイベントとして盛り込んでゼロにこなさせることで、ゼロは初めてテレビシリーズで主役を張ったウルトラマンたちと同様のウルトラ戦士に成長したのである。前作が「メビウス」や「大怪獣バトル」からの引き継ぎであると同時にゼロの紹介編だとすれば、本作はゼロというキャラクターを完成させたエピソードだと考えればいい。そしてまた「ウルティメイトフォースゼロ」という銀河や宇宙を越えた新しい設定を登場させたことで、今後の展開が俄然楽しみになってきた。あなたがかつて子供だったころに愛した「ファイヤーマン」や「ジャンボーグA」(「ミラーマン」は「REFLEX」があるしね)が、なんらかの形で復活する可能性を示しているのである。それだけでも十分楽しいではないか。ウルトラシリーズ45周年のお祭りは、まだまだ2011年も続くらしい。新たに登場した彼らの活躍を、心待ちにしたいと思う。

追記
 さて、本編終了後、ライダー映画同様に次回作の制作も発表された。なにせウルトラシリーズ45周年ってことで、円谷はやる気まんまんのようだ。話に聞くと前作の興業収入が案外と悪かったらしく、今回もあまり大きな収入は見込めなさそうとのこと。円谷としてはここで1発当てたいところだろう。だがウルトラマンの魅力は、あくまでウルトラマン側だけだろうか? 誰も見ちゃくれないと思いつつ、いっそのこと「マイティジャック」を2時間ほどで作り直して、3本ほどのシリーズ化したら案外いけるんじゃないだろうか?円谷の持つミニチュア特撮の粋と、CGとの合成で見せる敵組織とのメカ戦やスパイ合戦などはどうだろうか? 少なくてもウルトラ戦士に拘泥することは、ウルトラシリーズ自身の首を絞めることになりかねない。ウルトラはそれほど無限なキャラクターではなくなっている。とすれば、円谷は新しい物語を紡ぐ企業努力が必要ではないか。
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コメント

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No title

【ゼロ=坂本龍馬】というのを読んで、「なるほど!」と思いました。やはり時代はこういったキャラというか、ヒーローを望んでいるのかも知れませんね。
しかし、ウルトラマンには地球に来て欲しいところです。…この映画で阿蘇山が出てきたのには私も吹きましたがw

確かに円谷プロはウルトラだけで無く多数のヒーローを抱えてますから、そちらのリメイクやキャラクターを活かした展開に持っていくべきなのかも知れませんね。しかし、「バンダイは円谷にウルトラ以外創らせないつもりだ」等という噂もありまして、実際のところは難しいのかも知れません…。
とは言え、巨大ヒーローの代名詞でもあるウルトラマン、なんとか頑張って欲しいものですよね。

No title

飛翔掘削さま
 試験中にコメントありがとうございます。少しは休憩できたでしょうか?

 結局3人のヒーローがいなければ、ゼロを補強することができないと、円谷は踏んだんでしょうね。セブンの息子だけでも十分なキャラ付けだと思えるのですが、それほど1年のシリーズというのは重みがあるという証拠だと思います。

 とはいえ、飛翔掘削さんのお話の通りだとすれば、本作がバンダイの指示をひるがえすきっかけになればいいなと思います。

 残りの試験も、がんばってくださいね!
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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