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「謎の円盤UFO」~あこがれの海外特撮は苦味とうま味~

 右のプロフィールにも書いているが、筆者は「スタートレック ネクストジェネレーション」の大ファンである。だが一方でスピンオフ作品である「ディープスペースナイン」はちょっと苦手だったりする。テレビ放映できちんと見ていなかったせいもあるのだが、スタートレックなのに旅をしない点に疑問を感じているからだ。いや、見たら面白いのはわかってるのよね。本当は発売されているソフトを買えれば、コロっと意見が変わりそうな気がします。
 スタートレックに限らず、海外SFというのは意外に敷居が高い。「サンダーバード」などは案外と見られることも多いが、ソフトがレンタルで出回っていないこともあり、なかなか視聴の機会が少ないからだろう。サンダーバードのように数年に1回の割合でブームが巡ってくる作品ならよいのだが、地上波での再放送がない作品は、いかんともしがたい。だからリアルタイムで見ている年長者がうらやましいし、ねたましい。
60年代から70年代に放送された海外SFにはとんと疎い。それでも再放送されていた「バイオニックジェミー」や「600万ドルの男」、「チャーリーズエンジェル」などはなんとか楽しんでいた。80年代になると日本のドラマと同レベルで「特攻野郎Aチーム」、「超音速攻撃ヘリ エアウルフ」、「ナイトライダー」などをリアルタイムで見たし、「冒険野郎マクガイバー」や「新スパイ大作戦」なども、深夜枠で放送されていたものを楽しんだ。
 そんな中で、70年代に子供だった筆者にとっては、「サンダーバード」などの海外特撮はやはりちょっと特別だった。ジェリー・アンダーソンが制作した一連のスーパーマリオネーションと呼ばれる作品群は、「サンダーバード」以外にも「キャプテンスカーレット」や「海底大戦争スティングレイ」などが知られているが、再放送が繰り返された「サンダーバード」と「キャプテンスカーレット」の知名度が飛びぬけている。今回ご紹介する「謎の円盤UFO」という作品も、日本ではなかなか再放送されていない作品のひとつであったので、私にはどうしても見たくてしようがなかった作品の一つである。

<概要と物語>
 本作は前述の通りイギリスにて制作・放送された作品。日本では1970~1971年に日本テレビ系列で放送された。全26話。Wikiによれば本作が日本で放送された時間枠の裏では、「8時だよ!全員集合」が放送されていたそうだ。なるほど日本での知名度が低い理由もこれでうなずける。「8時だよ!全員集合」が如何におばけ番組であったかということについては、いまさらここで語るまでもないでしょう。ちなみに2003年にDVD-BOXが発売されているが、筆者が視聴したのは1970年に日本で放送されたときにカットされた部分を補った、「デジタルリマスター版」とされているものを視聴した。
 舞台は1980年代のイギリス。地球は謎の円盤(劇中「UFO」と呼称)の襲来を受けていた。地球防衛秘密組織「SHADO」(シャドー)は、ロンドンの郊外のとある映画会社に偽装し、日夜UFOと戦い続けていた。シャドーの最高司令官であるストライカー指揮のもと、潜水艦スカイダイバーや月面基地、UFO迎撃機インターセプターによってUFO襲来を阻止しようと日夜努力している。だがUFOを駆る宇宙人たちは、シャドーの誇る最新鋭の装備を持ってしても地球に侵入してくる。宇宙人の正体とは? そして宇宙人の地球侵略の目的とは? シャドーとUFOの戦いはいつ果てるともなく続く・・・。

 「サンダーバード」にしても「キャプテンスカーレット」にしても、いわく「スーパーマリオネーション」と呼ばれる上から糸で操るタイプの人形を使ってドラマ部分を撮影する手法を使っていたアンダーソン作品である。それが持ち味であったから、後年「地球防衛軍テラホークス」を見た時には、現代のセンスでリニューアルされた人形で、アンダーソン作品特有の緻密なメカニック描写のSFが楽しめることがうれしかった。だが本作はその伝統的手法をかなぐり捨てて、人間を使ってドラマ部分を撮影する手法を選んでいる。つい日本語吹き替えに騙されがちであるが、彼ら演者の演技に関しては非常に硬質なイメージがある。主要キャストの数人を除けば、役者の熟練度はそれほどでもなかったのではないだろうか。もっともそれまで人形にすら表情をつけていたスタジオのやることである。もちろん演出意図であるという可能性も捨てられない。とはいえ、この硬質な演技は、結果的にシャドーという組織の人類を護るという使命が持つ緊張感を如実に表現していたといえる。

<魅力的なメカニック群、そしてキャラクター>
 それにしても、なんと魅力的なシャドーのメカニックだろうか。こちらのHPでは、これらメカニックの写真やキャラクターの画像、物語の詳細などが確認できるので、ぜひご参照いただきたい(http://www.yk.rim.or.jp/~makoto96/ufo.html)。

 UFO発見の報告がSID(シド)と呼ばれるコンピューター衛星から発せられる。それを受けた月面基地ムーンベースからの指令の元、3機のインターセプターが発信する。インターセプターは翼もなく、船首に大型の核ミサイルを積んでいる、完全な攻撃型宇宙船であり、ランディングギアが離発着に加速を必要としない宇宙船であることを示している。だからこそUFOの襲撃にいち早く対応できるのである。また地球上の護りは、潜水艦スカイダイバーにまかされており、地球上の海のあるところどこへでも移動する。そして船首にドッキングしているスカイワンという攻撃機がドッキングアウトすることで、大気圏内に侵入するUFOを撃墜するのである。また地上探査は複数台のシャドーモービルが担当する。多彩な兵装を駆使して、湖などに隠れているUFOをおびき出しては破壊する。地球とムーンベースの往来にはルナキャリアが使用される。大気圏内をギリギリまで上昇し、ルナ宇宙艇を切り離して大気圏を離脱させるという手法をとっている。この合体切り離しの特撮もまた極めて精巧にできている。またストライカー司令官らが地上で乗っている車も、2011年の今の目で見ても近未来的である。彼らのもつ最新鋭のメカニックとは、そうした現実の地平の色を残す兵器でありながら、どこか近未来を予測させる期待感をあおるデザインをしている。なにより、見ているこちらをワクワクさせてくれるのである。

 対するUFOであるが、別段これといって多くのメカニックが登場するわけでもない。透明で丸まった横に広い円錐状のパーツに、銀のベルト状の回転部分があるUFOが主に登場する。とはいえこのUFOの動きは多彩であり、地球に戻ってきた宇宙船に隠れたり、編隊を組んでムーンベースを攻撃したり、湖に隠れて飛び出してはシャドーモービルに攻撃を仕掛けたりと、実にもうやりたい放題である。しかもこれだけやりたい放題のくせに、その行動原理や侵略目的がまったく不明というのが、実にミステリアスなのである。それだけに(ぶっちゃければ)こんなちゃちなUFOにすら魅力が感じられるのである。

 そんなUFOに対するシャドーのメンバーも魅力的である。最高司令官ストレイカーは沈着冷静な司令官であるが、このドラマの特性上プライベートをも仕事に差し出してしまう。仕事上のこととはいえ妻に浮気を疑われて離婚してしまったり(22話)、離れて暮らしていた息子も死なせてしまう(25話)など、ストレイカーにとっては悲劇的な結末を迎えるドラマも多い。それだけにストレイカーのUFOに対する怒りは大きい。声を演じる広川太一郎氏はすでに故人であるのが切ないが、本作では一般に知られる広川氏のアドリブ入れまくりの愉快な演技とは異なる、硬質で二枚目の演技を見せてくれる。
 そんな彼の副官を務めるのはフォスター大佐にフリーマン大佐である。ストレイカーとフリーマンの会話を聞く限り、シャドー創設以前より既知であり、長く信頼を置いている間柄であることが伺える。ストレイカー相手にも歯に衣着せぬ物言い、仕事中にも女性隊員を食事に誘うウイットを持ちあわせる大人の男として描かれている。声を演じている小林昭二氏は「ウルトラマン」のムラマツキャプや「仮面ライダー」で立花藤兵衛を演じた方である。まじめで実直を絵にかいたような氏が、本作では打って変ってちょっと色目を使う中年オヤジを演じているのは、少し意外な感じもする。
 また若き副官フォスターであるが、彼も彼でストレイカーとはまた異なった意味で実に苦労人である。宇宙人に操られてストレイカーを暗殺してみたり(6話)、猫に偽装した宇宙人に操られていたインターセプターの搭乗者に殴られてみたり(8話)、上層部から死刑命令が出されてみたり(23話)と、実にひどい扱いである。もっとも彼は3人の中で一番若いから、UFOの登場する現場には駆けつけるし、宇宙人との接触の機会も多い。それゆえにどうしてもひどい目に会いやすいことは疑い得ない。演じる羽佐間道夫氏はいまや報道バラエティのナレーションなどで耳にする機会が多い。彼の軽妙洒脱なおしゃべりの特徴も本作では封印され、硬質な演技をハードSFに添えている。

 他にもムーンベースにいるエリス中尉は、本作のキービジュアルの一つを形成している。きらめく紫色のショートボブ、眉の形にカットされた前髪、淡い青を基調としたアイシャドー、銀とグレーを基調としたコスモルックは、エリス中尉以外のムーンベースの女性職員も同じ衣装髪型であるのだが、他の女性隊員の名前が伝わっていないという理由だけで、エリス中尉のみが際立っている。もっともエリス中尉が劇中で時折見せる地上での普通の衣装や髪形を見る限り、実にチャーミングな女性であるから、そのコントラストも魅力となって伝わっている可能性も否定できない。こういった基本的なメカニックやキャラクターの設定は、本作の「うま味」の部分である。撮影に合わせて作られた多くのミニチュアも、大規模に組まれたシャドーの本部のセットも見ごたえがあるし、見るものに近未来を予測させるに十分な情報量にあふれていて、見ているだけでの楽しいのである。そしてこれこそが本作の楽しみであることは間違いない。

<最後の敵は人間?>
 そしてなんといっても本作の最大の魅力は、メカニックと人が織りなす重厚なSFドラマの部分である。
1話ではUFOで襲来する宇宙人の目的はわからないが、拿捕された宇宙人の体を調べたところ、人間の臓器が使われていることが判明する。しかもその体すら人間のものを借りており、臓器類は別の人間のものを人工的につなげるようにして、気密され緑の液体の入った宇宙服の中に押し込められ、宇宙人に操られる。つまり宇宙人たちは侵略目的の惑星の住人の体をパーツごとに使用して、自分たちの先兵として仕立て上げているというおぞましさなのだ。劇中では宇宙人は老いた自らの体を、人類のパーツと交換することで生き延びようとしているらしいことが示されているが、それが真の目的かどうかまでははっきりしない。しかもUFOの構成素材は地球の外気に触れると一定時間で崩壊する素材でできているらしく、地球に襲来すると海や湖の中に逃げ込むことが多いのである。なぜそんな危険を冒してまで地球にやってくるのだろうか?
 1話では行方不明となっていたスカイダイバーの乗員の妹の臓器が使われていたことが発覚し、ストライカーはそれを直接本人に話すシーンで締めくくられる。また宇宙人は超能力や念波などを利用して人間を催眠状態にし、遠隔操作で人間を操ることでシャドーに襲いかかることもある。6話や8話はその代表的な物語である。そうした宇宙人側からシャドーへの圧力は次第に増していき、シャドーのコンピューター技師を人間ロボット化してストライカーを始末しようとする15話や、人間爆弾としてシャドー本部に送り込まれる女性の悲劇を描いた16話などのエピソードが登場するのである。そのラストはシャドーという組織は生き残っても、宇宙人に操られた人間が救われる保証はどこにもない。したがって悲劇的な結末を迎えるしかないのである。
 その一方で私を唸らせたのは、シャドーといえどそれを構成・維持するためには国家機関の審査が必要であり、上部機関が存在するため一度ならずストライカーが上層部の人間と対立することである。ストライカーはシャドーの最高司令官という立場ではあるが、一歩外に出れば切ない中間管理職であった事実は、なんとも不思議で切ない感覚である。その対立のためにみすみす敵を取り逃してしまったり、設備増強がストライカー自身の私服を肥やしていると勘違いされたたりする社会派ドラマも生んでいる(4,5話)。またUFOの攻撃によりストライカー自身の命が危険にさらされることも度々で、新鋭潜水艦であるスカイダイバーですら、海中の棺桶になりそうになる話すら存在する(7話)。こういう海洋SFっぽい物語も忘れずに盛り込むあたり、アンダーソン作品の抜け目のなさが伺える。

 では一般人はこの宇宙での熾烈な戦いを知らないのだろうか? 宇宙人は先兵を作るのにあまりえり好みしない(できるだけ優秀な人間の肉体を使用する)ようで、一般人ですら自分たちの手先として使う。だが単なるUFOや宇宙人との接触だけであれば、シャドーの技術力や薬物の力を借りて記憶の改ざんをするのである。つまりUFOの襲来そのものが機密事項であり、世界に対して巧妙に隠ぺいされているのだ。こうした記憶の改ざんが思わぬ不幸を呼びこんだりする場合もある(14話)。だがシャドーはそこまで関知しない。不思議な感触のまま物語は幕を閉じることもあるのだ。

 前述の通り、宇宙人の目的・目標がはっきりしない。だが宇宙人は確かな手練手管で地球侵略を進めている。しかもそのやり方がえげつない。地球人を先兵として使う卑怯なやり方なのである。いかなスクラムをがっちりと組んでいるシャドーといえど、場合によっては内部分裂してしまうかもしれない。宇宙人はたとえ組織の中といえど、仲違いさせるための種を植えることなど造作もなくやってのけるのである。そんな緊張感を持って物語は進行する。そうなると誰しもが疑心暗鬼に陥ることだろう。宇宙人は人の心の弱さに付け込んで侵略するのである。そう、最終的な疑心暗鬼のもとは、同じ人間の中に敵が潜んでいるかもしれないという、漠然とした不安の中に潜んでいるのだ。結局人間の敵は人間なのではないか? 精巧で見る者を圧倒する特撮も、重厚なSFドラマも、この重たいテーマに捧げられているのかもしれない。そんな皮肉の利いた「苦味」こそが、派手に見える本作の隠し味となっている。旨味と苦味。このバランスの妙味こそが本作の味と言える。

 本作は日本での放送以後、日本の特撮やSFに与えた影響の大きさが伺える作品でもある。SF設定やメカニックの位置づけ、シャドーという組織や音楽に至るまで、現在までに放送され、私たちが目にしてきた多くの空想科学作品の中に、巧みに取り入れられている。ここでいちいち紹介するのは野暮なので控えようと思うが、一時期のガイナックス作品には多大な影響を及ぼしていると言っていい。このようにあまり多くの人々の目に触れなかった地味な作品が、参照元になっていることは案外と多い。そんな見方で本作を楽しむこともできるだろう。だが本作の本質にある、どこか暗く深い人間不信の種は、翻って互いを信じあうことこそが侵略を防ぐ最後の手段だと主張しているようにも感じられるのである。1話完結方式の物語は、決して正の感動だけで終わる物語ばかりではないが、見る者の心に奥深く根付いてしまうような、圧倒的な力強さを感じるSFドラマである。現在では簡単に視聴がかなう環境ではないかもしれないが(私はスーパードラマTVにて視聴しました!)、特撮ファンやSFアニメファンならば、機会があったらぜひ挑戦していただきたい作品である。


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コメント

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ありがとうございます、無事です!

ローガンさま

お気づかいいただき、ありがとうございます。

東京の奥地に暮らしておりまして、とりあえず大した被害は受けませんでした。

都内に勤めている家内は勤務先で1泊、我が家では大量のDVDが崩れたため、部屋の中が騒然としており、一時的に部屋に入れないこともありましたが、2時間ほどで復旧し、現在は復旧作業の後遺症で筋肉痛です。

他のブロガーさんも大丈夫だろうかとは思いますが、今は状況を見守るしかない様子。

皆さん、ご無事だといいのですが。まだ予断を許さない状況です。ローガンさんもお気をつけて。

No title

お疲れ様です。停電から復帰する際は大電流が流れてブレーカーが飛んだり思わぬ故障の原因になるので、コードは必要な物以外はコンセントから抜いておいた方が安全だそうです。

No title

エムズロードさま

 ありがとうございます。どうやら大規模な停電にはならない見込みですが、福島ではひどい状況が続いており、予断をゆるしません。電源の件は、注意しておきます。
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
Twitter再開しました!

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