「海賊戦隊ゴーカイジャー」~その1・コスプレ戦隊と戦隊のテーマ~

 こんなことになるんじゃないかと思っていた。すでに「仮面ライダーディケイド」がそれまでの平成ライダーを包括するという内容であり、それをゲームとして展開したのを見ていて、いつか戦隊も同じ展開になるんじゃないかと、誰しもが思っていたことだろう。はっきり申し上げる。それはまさしく「不安」だった。「ディケイド」が作品の出来不出来以上に、受け入れられなかった人々の批評を考えれば、それはどう考えたって「不安」以外の何物でもなかっただろう。

だが、

しかし・・・

 戦隊のファンは狂喜した。1話を見て、その「不安」は「期待」にすり替わったのである。だが同時に、「戦隊を包括する」ことは「戦隊のテーゼを見つめ直す」ということだったことに豪快に気付かされるのである。戦隊シリーズ35作品目である「海賊戦隊ゴーカイジャー」はこうして始まった。この楽しくて、戦隊史上意義深い作品を、本ブログでも追いかけていきたい。

<作品概要>

「地球の平和と人々の笑顔を守り続けてきた34のスーパー戦隊。宇宙帝国ザンギャックとの戦いで失われたその力を受け継いだのは、とんでもないヤツらだった」

 という関智一氏のナレーションで始まる「海賊戦隊ゴーカイジャー」は、2011年2月より放送を開始した絶賛放映中の作品である。
 地球は宇宙帝国ザンギャックの宇宙艦隊の総攻撃を受けていた。ザンギャックの前線部隊の前に立ちはだかったのは、34のスーパー戦隊である。初代の戦隊であるゴレンジャーのリーダー・アカレンジャーの号令のもと、すべてのスーパー戦隊は力の限り戦った。この戦いを「レジェンド大戦」という。自らの命を賭しての戦いは地球に未来をもたらしたが、同時にスーパー戦隊は戦う力を失い伝説となった。そして物語は始まる。地球にあるとされる「宇宙最大の宝」を目当てに、宇宙海賊船ゴーカイガレオンを駆って地球圏に到達したキャプテン・マーベラスと4人の若者たち。そして時を同じくして再び地球に侵攻してきた宇宙帝国ザンギャックの大艦隊。激しくぶつかり合う両者。それは彼らが帝国から追われている、「海賊戦隊ゴーカイジャー」を名乗る宇宙海賊だからだ。だが彼らの目的はあくまで地球に眠る宝である。彼らは地球での宝探しの中で、敵対するザンギャックと戦いを繰り広げる。そしてその戦いは、レジェンド大戦で失われた34のスーパー戦隊の大いなる力を受け継いでいくことでもあった。地球狭しと暴れまわるゴーカイジャーの活躍は、今始まったばかりなのだ!

 それにしても1話の冒頭に登場した34のスーパー戦隊総登場の圧巻なことよ。ネット上でもおおいに話題になったその映像は、人数の多さだけで考えても「ディケイド」の比ではない。気になるのはブラックコンドルやドラゴンレンジャー・ブライがどうして登場しているのかってことだが、まあ些細な話かねえ。またバトルシーンも忍者モチーフを集めてみたり、車モチーフを一緒に見せてみたりと、実に気が効いている。大部隊や大艦隊を見てもひるむこともなく立ち向かうスーパー戦隊の皆さんの雄姿には頭が下がるばかりだが、なぜ自分たちが持つ素晴らしいロボットや航空戦力を使わずに、その身を削って体当たりなんてことをするのかが、まったくもって理解しがたい。だがそれゆえにレジェンド大戦と呼ばれる理由がここにあるわけだ。

<コスプレ戦隊>
 宇宙最大のお宝とやらを探しに地球にやってきたマーベラスたち5人だが、昼飯(スナック・サファリの特製カレー)を邪魔された帰り道で、ザンギャックの侵攻を一度は見逃そうとする5人である。この時アイムの言葉から、彼らがザンギャックに侵略されたある惑星出身であることが伺える。また1話のOPナレーションは、それ以降のナレーションと異なっており、

「冒険とロマンを求めて宇宙の大海原を行く若者たちがいた。宇宙帝国ザンギャックに反旗を翻し、海賊の汚名を誇りとして名乗る豪快な奴等。その名は!」

となっている。つまり彼らはそもそも海賊ではなく、ザンギャックに対抗するために「海賊」を便宜的に名乗っているにすぎないのである。なんにせよ彼ら5人の出自はほぼ不明であり、その風貌や口調からキャラクター付けされているにすぎない5人である。彼らの過去については徐々に明らかになっていくだろう。だがこうした背景に縛られない自由度の高さは実に面白い。また「地球を守る」という使命からすら逃れているという点はさらに自由度が増している。結局はザンギャックの非道に対しての正当すぎる「怒り」が、海賊の流儀として彼らを戦いに駆り出している。「派手に行くぜ」というマーベラスの台詞も、そうした「海賊の流儀」を示していると言っていい。ましてや「海賊」である。創作の自由度の高さは折り紙つきといっていい。今はこれが裏目に出なければいいなあと思うばかりだ。

 その自由度の高さは戦闘シーンにも顕著に表れる。1話をはじめ各話で展開されるゴーカイジャーのアクションは、実に豪快で気持ちがいい。相手に対してひるむことなく、胸を張って登場し、臆することなく撃ち、切り刻んでいく。また剣に熟達するもの、銃が特異なものというキャラクターが付加されており、1丁1刀ずつ持っている銃と剣をそれぞれが受け渡して、2丁拳銃や二刀流になるというアクションも毎回挿入されている。特にワイヤーで剣を操るイエロー・ルカの剣劇は、CGアクションらしい無茶っぷりであり、見ていて実に愉快だ。そしてまた彼らの必殺技が、力を剣や銃に込めて5人で放つ手法の、オーソドックスな技であるのだが、その放ち方にそれぞれのキャラクターが如実に表れているのが興味深い。「とうぅりゃあ~」とでも聞こえてきそうなレッド・マーベラスの豪快なアクションは、胸がすく思いだ。

 そしてなんといっても毎回登場する過去戦隊にチェンジして戦うシーンは心躍る。これまで三十数年間戦隊を見続けてきた人間には、なんとも言えない感慨がある。1話のゴレンジャーのゴレンジャー・ハリケーン「ゴミ清掃車」なんて、おもわずキョトンである。この落差が気持ちいい。次のシンケンジャーやマジレンジャーなどもそれぞれの力を見せてくれている。変身のキーアイテムはベルトのバックル部分に現れる「レンジャー・キー」である。これを変身アイテムである「モバイレーツ」に入れて回すことでチェンジする。この時、常にピンクは女性体だから問題ないが、イエローは男性だったり女性だったりしている。過去の戦隊ではブルーが女性であることもあった。だがゴーカイジャーがチェンジする時には、ゴーカイジャーの性別に合わせて元の戦隊のスーツが男性用や女性用にマイナーチェンジしているのである。ふと気付かせる心憎い設定である。気にしだしたらきりがないところを、実にさらりと処理しているのが、手練手管の東映の仕事といわんばかりである。

 さて、このレンジャーキーがどういう経緯でマーベラスの手に入ったか? それは2話の回想シーンで明らかになる。だがこの経緯が実に怪しい。マーベラスはザンギャックに追い詰められている。そこへ登場する謎の戦士。それは知っている人は知っている、あの赤い戦士である(声もあの人)。しかもその手に持つ武器はゴーカイジャーの剣。赤い戦士の頭上には地味にナビィが羽ばたいている。そして赤い戦士はマーベラスに向かって言う。「お前との旅はここまでだ。俺の分まで生きろ。そして宇宙最大の宝を必ず手に入れろ、いいな!」そう言って赤い戦士はマーベラスに、レンジャーキーの入った宝箱を渡すのである。赤い戦士は敵陣の中に突っ込んでいく。この時叫ぶマーベラスの口の動きは、明らかに赤い戦士の名前を読んでいる(笑)。こうしてマーベラスの手にレンジャーキーが渡ったらしい。ここから類推するに、彼らの母国である惑星を守っていた赤い戦士。彼と一緒に旅をしていたマーベラスは、母国が侵略された時に他の4人を伴って惑星を脱出してきた。そして事あるごとにザンギャックに敵対行動をしていたのではないか? こうした過去もいずれ明かされることになるだろう。楽しみなことである。
 さらに興味深いことは、戦う気持ちがあればレンジャーキーは相手を選ばないようなのだ。地球を守ろうとした少年は、見事にシンケンレッドに変身したが、力及ばず敵怪人に吹き飛ばされている。正義にために戦う気持ちがレンジャーキーを作動させるということだとすれば、これもまた興味深い。

<戦隊としてのテーマを見つめ直す>
 2話の少年がマーベラスに言い放つ、「この星を守る価値を、海賊なら自分で見つけろ」という言葉が、マーベラスの行動動機になったようだ。そしてそれはまた「戦隊の大いなる力」に直結しているようだ。3話でマジレンジャーの力を手に入れて、グリーン・ハカセが「勇気」を手に入れるというくだりは、教条的にすぎるかもしれないが戦隊のテーマを端的に示しているといっていい。5話ではデカレンジャーのドギーが主に登場し、結果的にデカレンジャーの力を手に入れている。そこにある互いを信じる気持がドギーを目覚めさせ、マーベラスを認めたからこそ、デカレンジャーの力が発動したのである。つまりレンジャーキーで戦うこと自体は、戦隊の力を半分も使いこなせていないことであり、戦隊の力の発露はあくまでロボットの形態で行われている。こうして戦隊それぞれが持っていたモチーフを再利用する形で、戦隊作品群が持っている本質的なテーマを見せていくというやり方なのである。それは作品の数だけあるし、34作継続してきた戦隊シリーズだからなせる業だろう。しかし、ゴーカイオーがロシアの置物的な箱構造になっているのは、デザイン上の不安材料であったが、そこに元の戦隊ロボのモチーフを埋め込んで、力の発動とするとは、恐れ入った。東映スタッフのアイデアは知の泉か?

 4話や6話のエピソードのようにジョーやルカにスポットを当てて、キャラクターを作り込む物語も上手く挿入され、彼らのキャラクター、それぞれの絆や過去を見せる一方で、過去の戦隊のテーマを再度取り込むように見せていくドラマは、今後の展開を大いに期待させる。3,5話に登場した過去の戦隊からのゲスト出演も、今後も期待していいはずだ。長く見てきた人ならその人なりに、そうでない人にも楽しめる。現時点ではまだ6話までの放送だが、毎週日曜日が楽しみになってきたのはいうまでもない。今後の展開を心待ちにしたい作品である。

海賊戦隊ゴーカイジャー主題歌(初回限定盤)海賊戦隊ゴーカイジャー主題歌(初回限定盤)
(2011/03/02)
Project.R、松原剛志 他

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テーマ : 特撮・SF・ファンタジー映画
ジャンル : 映画

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プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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