2011年1月期アニメ最終回~見たいものと見せたいもの~

 東北地方太平洋大震災の影響で、深夜アニメの最終回あたりの放送が一部混乱したが、それでも放送時間の変更程度で済んだのは幸いだった。被災された方々には大変申し訳ないのだが、テレビ局の英断にまずは感謝したい。
 今期のアニメの個々の感想に関しては以降の記事に譲るが、いろいろ見ていた割に不満の多い作品群だったと、まず所感を述べておく。私が見ていた作品が全体的にあいまいで、薄味だったせいもあるだろうけれど。とはいえ呑気に見ている分には気にならない作品と、そうもいっていられない作品とが混在している1月期であったと思った。やはりこのところ気になってきている、視聴者が見たいものと制作側が見せたいものとの乖離が、具体化してきているのではないかという感じがどうしても頭から離れそうにない。

<お兄ちゃんのことなんか好きじゃないんだからね> この作品がアニメ化されて世に出てくる背景として、こうしたライトなHを扱う作品が普通に受け入れられてきたここ数年の経緯がある。「B型H系」や「アマガミSS」、そしてHとはほど遠いが同じ枠組みとしては「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」なんて作品も類するものかもしれない。一方で「スクールデイズ」や「ヨスガノソラ」など、はっきりとエロゲベースの作品が地上波で放送されてきた事実は、この傾向を助長する。今期の「フリージング」や「聖痕のクエイサー」「プリンセスラバー」「百花繚乱サムライガールズ」など、戦闘ものに隠れてのエロ描写を湯気やら墨やらで隠ぺいするというものも含めれば、ライトなHという作風自体は、すでに新味はない。その意味では本作にははっきりとした面白みはなく、どちらかというと薄味の作品だったと思う。
 この作品で注目すべきは、登場するキャラクターがどこまでもアブノーマルなキャラクターライズがなされていることだろう。もっとも理解しがたいのは、主人公・高梨奈緒が兄である修輔をエロ方面に覚醒させた上で、いったいどうしたいのかがまったくわからない。実は前述の「俺の妹が・・・」の主人公兄妹の関係にも同じことがいえるのだが、兄妹の間にある感情やその方向性が見えないこの物語を、単なるエロギャグアニメ以上の評価がしようがない。兄妹物の最高傑作であるあだち充作「みゆき」と比較してみればはっきりする。兄・真人は恋人・鹿島みゆきと付き合いながらも、血のつながらない妹である若松みゆきのことも好きである。妹とはいえいざとなれば結婚もできる妹という絶妙な設定は、主人公・真人の気持ちは二人のみゆきの間で揺れ動きながら、求めているものはまったく同じなのだ。それをしてアンモラルということはいくらでもできるだろうが、そのアンモラルな部分をアンタッチャブルにして、この兄たちに何をさせたいのか? 「お兄ちゃんのことが・・・」にしても「俺の妹が・・・」にしても同じである。この部分が解消されない以上、これらの作品は、私の中で一向に「みゆき」を越えることはできないし、「ピンクのカーテン」の足元にも及ばない。

<Rio Rainbow Gate>
 現在のアニメスポンサーの主力の一つであるパチンコ屋さんが、自社CR機のキャラクターを使って作り上げたギャンブルアニメ。初めて見た印象は死んだような目のキャラクターたちが跋扈する、薄味のギャンブルアニメだったと思える。しかも東京MXにおける放送というあたりが、現職・石原都知事による東京ギャンブルシティ計画の一つではないかと勘繰りたくもなった。フタを開けてみれば、レインボーゲートを開くための権利を奪い合うギャンブルアニメだったのだが、付加されていたのは不要なほどのライトエロであった。しかも、展開上もっとも見せ場となるゲートバトルの見せ方に関しては、首をひねらざるをえない。もっと派手に、そしてライトエロでありながら主人公であるリオの強さがわかる演出が必要なのではないだろうか。肝心のゲートバトルが薄味であり、そのゲートバトルの意味するところが、結局幼馴染同士の戦いである点などの落とし所の小ささが、さらにそれを助長する。
 カジノが舞台であるから、いくらでもバニーガールが出てくる分にはなんの問題もないだろうが、あれだけの人数のキャラクターが、本当に必要だったのだろうか? 特にミントなどいくつかのエピソードにおいては完全にお味噌扱いであるし、アーニャはゲートバトルの司会担当とドジっ子新人ディーラーという役どころであるが、彼女の活躍が目覚ましいだけに、それ以外の女性陣の活躍は、最終回付近までお預けとなる。どうにも構成上の疑問点が多い。そして元のパチンコ台のキャラであるからどうしようもないのだが、そもそもリオのキャラクターデザインには精気を感じられない。
 なお、今期は井上麻理奈のプチブレイクであった。なんか私が見ていたどの作品にも出ていた気がする。

<GOSICK>
 まだ終わっていない作品なので、ここで扱うのもどうかと思うが、とりあえず中間評としてお読みください。期待値が高かった作品ではあるが、キャラクターのかわいらしさは大いに認めるものの、残念ながら物語の上で大変重要な事件と事件解決までの道のりが、あまりにも平坦に見えてしまっているのが大いに残念であった作品。いや平均値としては大変出来がよいのはわかっているのだが、事件解決部分において事件現場に赴かない少女の頭の中で事件が解決してしまっては、現場の緊張感や臨場感が大幅に欠けてしまう。それゆえに平均値以上の面白さが期待できない作りになってしまった。またヴィクトリカ自身が少女であるゆえ、事件現場で事が起こっても彼女自身が事態を動かすことができない。そのためにかたわらに少年が控えているのだが、彼とて傍観者でしかない。小説として読むような面白さとはわけがちがう。
 物語が進むにつれ、主人公たちがなぜ現在のような境遇に甘んじているのかについては、徐々に明らかになっているようだが、彼女たちの過去自体が事件の匂いがするように作られていては、外の世界で起こっている事件が、幼稚に見えてしまうだろうか。だとしたらあまりにもバランスを欠いている。なによりも少女ヴィクトリカの身の回りにある不都合な真実こそが物語の大きなキーになっているようなら、この限りではないのだが。
 それにしても金髪の幼女の声を、悠木碧を当てること自体、あまりにも新味がないと思ってしまうのは私だけだろうか。

<フリージング>
 本作の原作がそうであるが、なんでも世の中には戦う女性が主人公ばかりの漫画雑誌があるそうである。戦う女性自体に疑問を持っているわけではないのだが、そんな話ばかりの雑誌というのも奇妙な感じがするものだ。
 こちらも微エロ作品であるのだが、それ以上に物語が殺伐とし過ぎているのが楽しみ以上に心に引っかかる作品であった。後述の「IS」もそうだが、女性に守られている男性という世界や、女性のみが戦いに赴かねばならない世界のなかで特殊な能力を持つ男性という存在が、どうにも異常な気がするのである。特に「フリージング」に関しては、戦う相手が「エヴァンゲリオン」の使徒のようなやつらが問答無用に責め立てて、少女たちを取り込んでは人間と敵対させるというのはあまりにもむごたらしい。このエピソードが絶大な力を持っている下級生をいびる上級生という、ミニマムにむごい話の続きであるのだから、どうかしていると言わざるを得ない。
 パンドラシステムやらリミッターの役割など、設定自体にも無理がある。しかもその設定が人間一人の力から端を発しており、その能力を科学の力で再現しようとしているあたり、科学のむごたらしさを露呈させる。またそのカップリングのシステムを考えれば、ゼネティックスという組織自体は、学校を装った婚活組合のようなもので、女性の側の処女性を完全に奪うそのシステム自体、DTオタクへの嫌がらせにしか見えない。そういう意味では小うるさいオタクへのカウンターの意味合いが強く、そうした部分が鼻につく作品でもあった。
そうはいってもカズヤとの夜を心待ちにして服選びに恥じらうサテライザー先輩のうぶでかわいらしいことよ。男性諸氏の興味はそこに落ち着くとすれば、どうやってもこうした小仕掛けから逃れられそうにない。所詮は悲しい男オタク(41)である。「君の届け2nd」の後の時間で視聴すると、サテライザー先輩にものすごい違和感を覚えたのも、今ではいい思い出である。

<IS(インフィニット・ストラトス)>
 今期、「君に届け2nd」を除けばもっとも楽しんだ作品はこれであった。前述の「フリージング」同様に女性主体の戦闘ものであるが、それ以上に主人公イチカのハーレムものであり、同時に「IS」という特殊な戦闘システムによる「プロテクトヒーローもの」という側面があることに気づいた人がどれだけいただろうか。このハーレムものとしての筋立て自体になんら新味はないものの、彼女たちが登場してくるたびに持ち出してくる「IS」というメカニックには、実に多彩な楽しみ方がある。人間にヨロイを着せて最高の戦闘機械にするISというシステムは、「戦闘機」であり「戦車」であり「防衛システム」であり「剣」であり「銃」である。限られた数のコアを使って、各国が新世代のISの製造にしのぎを削っているという世界設定は、枕詞のように語られるイチカやホウキの姉たちのエピソードや、それにまつわる某国の陰謀など、つなぎ合わせたらきりがない程の世界への想像力が掻き立てられる。何より魅力的なISのスペックを聞いているだけでも、お好きな人には心動かされることだろう。設定好きにはよだれ物である。
 ISの設定やその戦闘シーンは、近年「マクロスF」に匹敵するほどのクオリティを見せながら、日常描写は実にたんぱくである。キャラクター自体のデザインも「生徒会役員共」と似たり寄ったりで、しかもメインヒロインが同じ日笠陽子ときては、思い出さないほうがどうかしてる。とはいえゆかなに花澤香菜と人気の声優を起用していることは、本作に対する力の入れようも理解できる。事実戦闘シーンだけなら今期のナンバーワンのメカ戦だとおもう(あ、スパロボ忘れてた!)。イチカが最終的になぜ戦うのかという理由を探したり、ISの存在意義を確認したりするシーンがあるが、それも付け足しに過ぎなかった。そもそもイチカとはそんなことを口に出して確認しなくてもいいキャラであるはずなのだが、作り手が自分たちの扱っているキャラクターを扱いかねている気すらした。その上で設定を消化するためだけに物語の奥行きだけでストーリーがおざなりになっていることもあり、気楽に楽しく見ていた作品だっただけに、残念で仕方がない作品だった。

<魔法少女まどかマギカ>
 本作に関しえてはまだ終了していない作品ではあるのだが、状況からしてこれ以降の物語がどうなっていくかは、ある程度推して知るべしだろう。
 この作品に関しては、これまで私たちが親しんできた「魔法少女もの」というジャンルを考えさせる作品となっている。いやそんなことは別に考えなくても、本作が鬱展開の作品であることは、いまさら指摘するまでもない。だがそれまで「魔法少女もの」の「魔法」と「少女」の間には、「魔法使いサリー」以降、当たり前のように感じてきたはずの親和性が、本作にはまったく感じられない。本作の「魔法」と「少女」のあいだにあるものは力と等価交換される人の命であり、魔法の力と引き換えにする少女たちの命そのものというシビアな設定である。そして大きな力にはそれを行使する責任が伴うという、アメコミヒーローにも似た重圧なのである。これを魔法少女に持ち込んだことで、「魔法少女もの」というジャンルは極限に達してしまったような気がする。
 これまでも魔法少女である主人公がエッジに立たされてしまう作品は確かにある。「魔女っ子メグちゃん」や「リミットちゃん」などは、力がある故にエッジに立たされて苦境に陥ってしまう主人公という図式が成立する物語であったが、力の行使と当人の命という、ハガレンのごとき等価交換がキャラクターを苦しめるという物語は、実に珍しい。
 だがこうした極限に達してしまった理由は、作り手の疑問から発しながら、同時にそれは受け手である視聴者側の疑問でもあるわけだ。この作品に流れるいやな雰囲気は、まるでゴジラの次回作はこうしたらいいんじゃないかと言っておきながら、その通りに作ったアメリカ版ゴジラを見て失望させられた気分と同じ感触なのである。つまり受け手側の見たいと思うものを、コードやモラルを無視してでも作ってみたところ、無残な結論が導き出されてしまったという残念感、それが「まどかマギカ」という作品の真実ではないだろうか。ことここにいたり、見たいものと見せたいものの確執は、現実となって突き付けられたといっていい。そろそろ本気になってみんなで考えるべき時に来ているような気がする。

<君に届け2nd>
 文句なく、堂々とした大団円で終了。1シーン1シーンにも丁寧な作りが感じられるし、その動きの緩急のタイミングが、いちいちこちらの気持ちに沿っていて気持ちがいい。くるみの出番も必要最小限ではあったがきわめて効果的であった。若干の文句を許してもらえれば、あやね&ちずのあまりスポットが当たらなかった事と、あやねとピン先生にもいまいちスポットが当たらなかった事か。それにしても爽子ちゃんからの風早くんへの告白の回の盛り上がりはものすごかった。そりゃ事前に漫画で知ってはいても、盛り上がらざるを得なかった。気になるのは第1シーズンが2クールに対して第2シーズンが1クールってのが、バランスを欠いている気がする。それにしてもきょう日これほど能登麻美子の声を聞ける僥倖を噛みしめることができる作品は、これと「フリージング」だけであったが、内容は正反対であったから微妙に違和感を覚えた。

 その他、「放浪息子」「フラクタル」「夢喰いメリー」を見ていましたが、これら作品に関しては、すべてを見終わってから改めてまとめて取り上げます。
 っと、ここまで書いておいてなんですが、「青田買い」の時と同じ内容の記事になっている作品もあります。ってことは、最初の印象から変わらなかった作品が多かったってことではないでしょうか。それは作り手が初志貫徹できたこともあるだろう。だとすれば、やはり作り手の趣味趣向が、私のようなロートルとはかけ離れてしまっているのだろうか。ちと寂しいが・・・。
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コメント

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No title

1月期開始アニメは地域格差の影響もあり『魔法少女まどか☆マギカ』しか観れませんでした(泣)!観たかった作品はDVDレンタルまで待ちます…。
もっとネット配信作品を増やして欲しいと思うのですが、やはり難しいんでしょうか…。

4月期開始アニメは結構観れそうなんですがね。そもそも数が多いですし。
アニメの数が多かったら何となく明るい気分になるのは何故なんでしょうかね(笑)?

No title

飛翔掘削さま

 コメントありがとうございます。
 地域格差に関しては、なんというかもう、申し上げる言葉もありません。
 私も四国・高知県に大学院含めて6年間おりましたが、民放2局しかないんで、まったく見られませんでした。

 さて今期ですが、本文にも書きましたが、少しセーブしていこうかなと思ったのですが、視聴予約だけですでに6作品ほどありました(笑)。ネット配信に関して言えば、それはもう作り手の好意に頼るほかはなく、それはまたネット流出を促すので、なかなかどうかと。

 結局、新しい作品を見られる喜びは、なにものにも変えがたい喜びだなと、4月の新緑が目に眩しいわけで。

No title

「まどかマギカ」、一挙に最終話まで放映されましたね。
キツい終わりでした…。

No title

うめさん
 こちらも最終回だけは見ましたが・・・・・・しんどいねえ。
ただ、鬱展開というだけでなく、アニメ史に残る作品だと思えるかどうか、私にとってはそれが気になります。

装甲騎兵

 一人の少女と、一人の少女が、

 銀河の闇を星となって流れた。

 一瞬のその光の中に、人々が見たものは

 愛、 戦い、 運命(さだめ)

 いま、全てが終わり、駆け抜ける悲しみ

 いま、全ての始まり

 きらめきの中に望みが生まれる


 次回、魔法少女まどか☆マギカ

 最終回 「 流星 」 

 遙かな時に、全てをかけて



 (ナレーション・銀河万丈)

 ニコ動より。違和感無く合ってるから困る。

うめさん
 これを読んで私にどうしろと?(苦笑)
 続きは今度我が家へ来たときにね。
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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