「オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー」~時間改変は迷惑です~

 すべりこみで先週末に見に行ってきました! 先週末でほぼ公開終了だということで、父と息子や母と息子などの3家族と私という、実にさびしい観客人数の中で見てきました。

 結論。これ、なんか泣けるんだわ・・・以上!

 ってわけにはいかないので、いろいろ感想を書いてみたいと思います。
 仮面ライダー生誕40周年記念作品ということで、もう片っ端から歴代ライダーを出しまくり、しかも現行作品であるオーズにライダー史上もっとも高い自由度を誇る電王をからめて、またもや架空の歴史によるショッカーの一大侵攻作戦を見せる中、その野望をくじくために立ち上がる全ライダーというシチュエーション。それは数年前に公開された「仮面ライダーディケイド」と何が違うの?とおっしゃる方もいるでしょうが、ディケイドがすべてのライダーを肯定する、それぞれのライダーの世界が存在するのに対して、本作では仮面ライダーの歴史そのものを肯定する、真っ向勝負の設定で展開します。見ていないかたには申し訳ないのですが、ネタばれ全開で書かせていただきます。DVD発売まで、待てない!

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渡部秀、三浦涼介 他

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映画の前作ですけど。

<物語のゆくえ>
 いつもならここで作品概要を説明するところであるが、今回は最新作であるから説明の必要はないだろう。
物語はオーズが戦う現代からスタートする。オーズはなぜか3体のイマジンと戦っていた。いつもとは異なる敵に苦戦しているうちに、NEW電王がデンライナーに乗って登場する。だが残った1体のイマジンが一人の少年ミツルの体に入り込み、タイムスリップしてしまう。電王はこれを追って1971年に飛ぶ。オーズとアンクもデンライナーに乗り込むが、時間改変を恐れたデンライナーの面々に監視されることになる。だが監視の目を逃れたアンクはメダルの集め放題をもくろんで、無謀な行動をとってしまう。その結果、事件を落着させたと思って現代に戻った映司とアンクが見たものは、ショッカーに支配されて荒廃した街と人々であった。それはアンクが過去に持ち込んだメダルによって誕生したショッカーグリードの力により1,2号ライダーが倒され、再改造されたショッカーの手先となっている世界だったのだ。アンクの持つメダルを巡って親と死に別れて暮らす少年たちと出会う映司とアンク。だが市井にまでおよんだショッカーの魔の手は、ついに少年や映司たちにのびる。オーズに変身してショッカーに立ち向かう映司。だがそこに現れたのは、再改造を受けた1,2号ライダーとショッカーグリードの猛攻であった。そしてショッカーはあらゆる悪の組織と手を結び、世界支配を完全なものとするために、再び侵攻を開始する。
 この事態を回避すべく、デンライナーの面々はミツルとナオキをつれて再び1971年に飛び、ショッカーの魔の手にメダルが渡るのを阻止する作戦をとる。メダルを通じて丁々発止の戦いを繰り広げるショッカーとデンライナー&オーズの面々。少年ライダー隊の少女の危機に現れたのは、仮面ライダー1号2号である。メダルの行方をおって、ショッカーの首領に肉薄しようとするライダーたち。だがメダルによって誕生したショッカーグリードの猛攻が、彼らを窮地に陥れる。だがライダーたちの勇気を目の当たりにしたミツルは、ナオキをデンライナーに残して、ティディとともに1971年の世界に残ってしまう。
 ショッカーグリードの誕生によってショッカーの世界支配の歴史を変えることができなかったデンライナーの面々は、人々の前で処刑されようとする映司たちを助けに現代に戻る。ナオキら少年たちは、ミツルらが残した遺産である少年仮面ライダー隊の制服を発見。その意志を受け継ぐかのように制服を着て、処刑場所に向かう。処刑されそうになる映司たち。だがそこに現れたナオキたちは、映司を助けようとする。そこに現れる再改造を受けた1号2号ライダー。だが彼らはショッカーを裏切った一人の科学者の協力で再改造を免れ、ショッカーに支配されているフリをして、時が来るのを待っていたのである。反撃の時、来る!ライダーが存在する世界にはV3以降のライダーも存在する。そこに結集する歴代の仮面ライダーたち。ショッカーに協力する組織の怪人たちを相手に、一歩も引かない戦いを繰り広げ、支配下にあった人々はライダーを鼓舞して立ち上がる。強敵ジェネラルシャドウを倒し、巨大なキングダークを倒し、そしてすべてのライダーの力は、謎の岩石大首領を倒すことに成功する。そして戦いの後に明らかになった真実。オーズのベルトを取り戻し、1,2号ライダーの再改造を阻んだ科学者とは、1971年の世界に残ったミツルの成長した姿であり、彼こそはナオキの父だったのである。生き別れていたナオキは父との再会をはたしたのである。最悪の時間改変ではあったが、その結果取り戻した時間は、最良の結果を生んだのである。

<ヒーローの地続き感>
 本作を見ていて思うのは、それにしても「電王」のデンライナーという設定は、自由度が高いということだ。デンライナーの行く先、戻る先、誰を乗せるか、誰を下すか。その一つ一つのすべてが物語を紡ぎ、展開を促し、騒動を巻き起こすのである。はっきりと申し上げれば、電王の設定はあまりにも自由度が高すぎるゆえ、その帰結をすべて握っていると言っていい。
 以前の作品である「仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー」では、ライダー自身が時空を超えてディケイドと共闘する。これはライダーが世界中で戦っているという設定とは異なる一方、ディケイドという存在が、それぞれのライダー世界を越えさせる能力を有するという説得力を持たせる設定になっている。だが本作におけるライダー集合のシーンは、ライダーが世界中に散らばって戦っている同時性があり、仲間のピンチに駆けつける熱さがそこにある。それだけに、おまけ的な感じで終盤に登場するキカイダー兄弟、イナズマン、ズバットの登場にも、映画「ゴレンジャー対ジャッカー」同様の説得力がある。どちらがいいかと問われれば、好悪の問題で後者が好きと言うしかないのだけど。ましてや終盤の戦いの舞台である、ショッピングモールの中央広場のような場所は、「仮面ライダーストロンガー」放送終了直後にテレビで放映されたテレビスペシャルにおける、仮面ライダーショーに駆けつける本物のライダーたちに酷似している。そう、懐かしいのだ。
また仮面ライダー1号2号の千両役者ぶりには、実に目を見張るものがある。登場当初はオーズの敵として登場しておきながら、後半は打って変って味方として登場する。そこの理屈付けは先述の通りであるのだが、ここで使われている「再改造」という言葉の重みを感じてほしい。

 かつて2号ライダーの登場に関しては、1号ライダーがヨーロッパのショッカーの計画を追うために日本を離れ、2号に日本の守りを託したという説明がなされているが、2号ライダーの誕生の経緯については、今もって謎が多い。その部分を埋めたのは村枝賢一氏による漫画「新仮面ライダーSPIRITS」にてその詳細が描かれているし、オフィシャルな設定としては、脳改造前に2号ライダーが1号ライダーに助け出されたことになっている。そして再び1号ライダーが日本の守りにつくに当たっては、南米ショッカー討伐のために2号ライダーは旅立つことになる。このとき、1号ライダーの体は以前と異なり、体側には白い2本のライン、そしてメタリックグリーンの仮面が特徴的になる。この変化については、1号ライダーがヨーロッパでの特訓によって変化したものという説明(この根底には初期編における立花藤兵衛によるライダーの能力測定時の、「訓練によってさらに伸びる可能性がある」という台詞を反映している)と、1号ライダーがショッカーをだまくらかして再改造を受け、再び脳改造手術直前に逃げ出したという話がある。これを知っているロートルとしては、「再改造」という単語に対する思い入れは、平成ライダーのみしか知らない若い方とはまったく異なる感慨を覚えるのである。

 ミツルやナオキという少年たちの名前、そして少年仮面ライダー隊という設定も同様であるが、なによりミツルとナオキの人間関係や、そこに流れている時間を思うと、なんだか不思議と泣けてくる。彼らは孤児として出会いながら、実は父と子という関係であり、ショッカー支配下の現代に戻ったミツルが、タイムボックスを使ってナオキの想いを託されるエピソードや、ナオキが過ごした時を良い思い出として大事にしているが故に、タイムパラドックスを元に戻さないというはからいなどを見ていると、タイムパラドックスとしてのSF性よりも、より人間よりに作られている物語に感動を禁じえない。

<原因と結果>
 しかしここでふと気がつくのは、デンライナーによる過去改変や修正によって特定の人間は恩恵を受けることはあっても、世界中の人間が恩恵を受けるわけではない。ではデンライナーの守る時間の運行とは何なのだろう?

 この物語ではメダルとナオキという2回の時間改変が行われているにも関わらず、その結果としてもたらされた歴史は、友人であったミツルを育てるという記憶、そして過去の少女との結婚生活という記憶がなにものにも代えがたい価値があるものとしてナオキの記憶に刻まれたのである。だが一方でショッカー支配下の世界は、多くの人々を苦しめている。再びナオキの救出がなったとして、ショッカーの支配は無かったとすれば、より多くの人々の最大の幸福を得ることがかなうはずなのだ。だがショッカーの支配による不幸よりも、デンライナーはナオキの記憶を優先した。そしてデンライナーにとってはこれこそが正しい歴史という認識となる。とすれば、デンライナーによる歴史への介入は、すでに織り込み済みの既定の事実であったということになる。どのような事態にもあわてたりしない泰然自若とした車掌さんの物腰は、たしかにそうしたあらゆる事態を想定して受け入れる度量を示していると言えるのだが、あの車掌さんは、本当はどこまで理解していての行動なのだろうか?

 いずれにしてもデンライナーの行動は、時間の運行をつかさどると言いつつも、これから先に起こる原因と結果の責任をすべて負うべき存在なのである。だとすれば、デンライナーの守るべき「時間軸」とはどういう歴史なのだろうか? このままモモタロスやキンタロスなどを乗せておいたら、どんどん歴史は彼らのうっかりした介入のままに改変されていく。モモやキンらがどんなに望まなくても、時間の改変は行われる。その改変はデンライナーがつかさどる時間の運行の許す範囲なのだろうか?

 さらに話を進めてみると、オーズのメダルの能力にも問題ありはしないだろうか? オーズの中でのメダルとは、グリードと呼ばれる怪人の体を形成する物質であり、同時にそれは人間や生物が持つ欲望が形を変えている物体である。メダル自体には能力はなく、受け取るグリードや鴻上研究所の中では、仮面ライダーバースの能力に使われるセルメダルや、グリードの核になるコアメダルの2種類が存在し、そのどちらもメダルが能力を持つのは、グリードやバースが持つ時に限られる。
 ところが本作におけるメダルは、まるでショッカーの世界支配という欲望に呼応する形で能力を発現させている。セルメダルはグリードにより人間の欲望を解放することができるのだが、1971年の世界では福本清三さん演じるブラック将軍(「なんか有名らしいおじさん」とか書いているブログがあったが、時代劇の世界では有名な方である。日本人なら彼を誇りに思うべきだ!)によってショッカー首領にもたらされたメダルは、ショッカーグリードを生み出すきっかけとなる。ここで考えられるのは、ショッカーの首領=グリードであったという仮説である。ところがショッカーの支配理念が、世界中の人間の管理だとしたら、人間の欲望により能力を発現させるグリードにとっては、まったく意味のない世界になりはしないだろうか? オーズにおけるグリードが、人間の支配よりも自分の体を構成していたコアメダルの争奪戦に始終していることを考えれば、人間の支配よりも自分の体を再構成を優先し、世界や人間の支配などはたやすいと考えているとすれば、ショッカー首領=グリードは考えにくい。ショッカー首領は宇宙から飛来した宇宙人であったという考え方もあるのだが、それならグリードのメダルの能力を発生させることに固執するはずがない。こうなると指摘すべきはメダルの設定のいい加減さとなってしまう。ここでメダル=欲望を充足させるアイテムという話が出てくるが、それは「オーズ」の話の時に考えることにしようっと。

 さて、いろいろ突っ込みはしたものの、筆者にとっては昔懐かしい用語や設定に心熱くする瞬間の多い作品であり、それがゆえに目頭が熱くなることが多い作品であった。何にせよ、東映はいつまで「電王」でライダーシリーズを引っ張るつもりだろうか? 声優さんの起用でいくらでも続けられるという点は、電王シリーズの最大の利点であり、NEW電王の登場により、テレビシリーズの出演者にも依存しない作品となった。この自由度の高さは、いつなんどきでも平成ライダーシリーズに登場できるということで、なんら縛りになるものではない。問題は役者の加齢のみである。だがディケイドによる「ライダー世界」という設定による時空間を渡る力というのも捨てがたい。東映が手に入れた電王とディケイドの能力は、これからも平成ライダーシリーズに、大きく関与することは間違いない。だがどんな時も原因はモモタロスたちの巻き起こす騒動である。細かい話を知らなくても「だいたいわかった」といって済ますことができるのかもしれない。とすれば、あまり肩肘張らずに楽しめばいのかもしれないなあと思う、今日この頃である。

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井上正大、村井良大 他

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オールライダーとしては、比較要素が多い作品です。
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テーマ : 特撮・SF・ファンタジー映画
ジャンル : 映画

コメント

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No title

再改造の話や海外に行った本郷や一文字の詳しい話が仮面ライダースナックのカードに書いてあったと思いますが、私は幼い頃、ビデオで観ていた時に父親が説明してくれました。

「色が変わったのは特訓したか、ショッカーに再改造手術されたんだ」

幼いながらに「どっちだよ!?」と突っ込んだものですが、後年仮面ライダースナックのカードを見て「どっちもかよ!」と再び突っ込んでしまいました(笑)。
多分、こういう幼少期を過ごしたから今こんな風になってしまっているんでしょうね…(苦笑)。
それだけにこの1号&2号の物語は、私にとっても懐かしく、目頭が熱くなる作品でした。

突っ込みどころは満載ですが、(少なくとも観ている間は)それを気にさせない勢いのある良い作品であったと、そう思います。

…私もこの作品の感想等をが書かれたブログを色々と見て廻りましたが、福本清三さんについてあまり言及されていないのが残念でした。やはり、現在に於いては特撮を観る層と時代劇を観る層は被らないんでしょうかね?
『OOO』の夏映画では、なんと松平健演じる暴れん坊将軍が出てくるとか。これを機に時代劇に入ってくれる人が増えれば良いのですが…。

No title

飛翔掘削さま

 コメントありがとうございます。

 いいお父さんだ~っ!(泣)

 その説明が子供にできるだけでも、あなたのお父さんはえらい!
 「東映ヒーローMAX」の記事に、切通理作さんの文章で本作評があり、冒頭部で「仮面ライダーってショッカーで一番強い怪人のこと」っていうくだりについて触れています。この記事もまた熱い。ぜひ読んでみてください。

 「福本清三さん」に関しては、私もひとかどの時代劇ファンとしては、もうちっと知られてほしいです。次回のオーズの映画は、ある意味で楽しみにしていますが、やるならやるで、とことん「暴れん坊将軍」のサイドにもこだわっていただき、め組のみなさん、しかも北島三郎御大を担ぎ出すぐらいはやってほしいところです。

 「暴れん坊将軍」のSPでは、ハレーすい星をネタにしたことがありました。こういう無茶は「必殺」だけのオハコではないので、東映のコラボも十分楽しんでいいと思います。
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
Twitter再開しました!

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