2012年4月アニメ最終回特集

 今期にいたってやっと深夜アニメを録り漏らすことなく見ることができて、個人的にうれしく思っています。今期は漫画原作あり、ラノベ原作あり、オリジナルありの中で、原作漫画付きがずいぶんと印象に強く残ったシーズンだった気もします。今期見ていたのは以下の通り。

めだかボックス
這いよれニャル子さん
ルパン三世~峰不二子という女~
あっちこっち
さんかれあ
夏色キセキ
謎の彼女X
黄昏乙女×アムネジア

ええと、例によって他にも「アクエリオンEVOL」や「エウレカセブンAO」とかも見てましたんですが、録画だけしてまだ見終わっていません。また「非公認戦隊アキバレンジャー」はいずれ別記事で。

「めだかボックス」
 最終回後の状況を見る限り、第二期が決まったようでまずはめでたいと言っておこうか。筆者にとってはこの作品が漫画原作のアニメでありながら、どこまで原作の「西尾維新」らしさがあるかという部分が問題だった。結論から言えば主人公・黒神めだかや生徒会の面々から敵対する雲仙はじめとする風紀委員の連中に至るまで、意外なほど「西尾維新」だったといえる。制作のGAINAXらしさは、作画の中抜き具合の緩急などに出ており、先行作である「ダンタリアンの書架」などにもあった作画と同程度である。だが本作は西尾維新らしいキャラ立ちが著しい。生徒会の面々を中核とし、登場した部活の面々や学園長の孫娘など、めんどくさくって名前をいちいち覚えていられない面々まで、水泳大会などで拾っていくあたりの構成がまた、続けて見ているものにとっては心地いい。
 本作を見ていると、人間の「善」とは際限が無い。同時に「悪」にも果てが無い。めだかの「善」なる行いとその範疇には、ある意味で究極であり、あまりにも幅が広い。それをめだかという人間の強さと懐の広さと言えば聞こえがいい。つまり各話や雲仙にいたるまで、めだかの「善」を最大限肯定するために配置されているといえる。ここでめだかと対立するのは「絶対悪」ではない。そもそもめだかの前に人間として存在する以上、「絶対悪」などいるはずがない。なのに雲仙を1クールの「悪」とした事情は、めだかに対する対立軸でしかないのだが、めだかの「善」が幅の広い一本道であるのと同様に、人間が行う「悪」もまた幅広い一本道としてめだかの道と交差する可能性がある。そのときめだかは再びあの乱心モードで戦いに挑むだろう。西尾維新の挑む「善」とは「悪」とはなんなのか? その答えの一端が本作や2期に現れることを期待してもいいかもしれない。しかも本作は原作単行本の3巻程度までしかアニメ化されていない。むしろここからが本番といったところで第2期へとは、構成もまた妙だといえる。つまり原作の持ち味は全くアニメに出ていない。なんとな~くスカスカな印象があると思った人は、第2期に十分期待してもいいのではないだろうか。

「這いよれニャル子さん」
 「ウー、ニャー」ってなわけで、今期のスマッシュヒットだったのが本作だ。主題歌だけでアニメロサマーライブに出演するらしいですが、みんなでウー、ニャーするんでしょうなあ(かの名曲「ジンギスカン」のパロディなんですが・・・)。阿澄佳奈演じるハイテンションでウザくてかわいい美少女宇宙人・ニャルラトホテプ(通称ニャル子さん)が巻き起こすクトルゥコメディだ。そもそもフラッシュアニメから企画がスタートし、ずいぶんと準備期間を経てアニメ化されたそうで。ニャル子さんが矢継ぎ早に繰り出すアニメ・特撮ネタや冷静な真尋によるクトルゥつっこみ、果ては真尋の母親やクー子のゲームネタの数々など、クロスオーバーでサブカルネタに親しんでいる我々にとって、さらりと流れるように紡がれるネタの数々は、笑いどころであるばかりでなく鈍い痛覚にも似た快楽だろう。1クールやったって第2期があったって、たぶんこの作品の場合は確固たるスタンスだろうから、いつでも楽しめる作品に仕上がっていると思う。なんでも声優の好物などがさらりと描かれていたり、アイキャッチに入る一言は完全にアドリブで、毎回音響監督から声優への無茶ぶりだったりと、なかなかに楽しそうな現場だったそうな(リスアニTV6/29より)。クトルゥネタに関しては、ここ数年の擬人化の影響で、クトルゥ神話の垣根も下がりきっている。たぶん小中千昭氏あたりは、自分が切り開いたジャンルの影響を計り知ってうなだれているかもしれないが、こういう楽しみ方の内には本家クトルゥ神話へのリスペクトがあると信じてほしいところである。
 個人的には阿澄佳奈もいいのだが真尋役の喜多村英梨の男の子役の良さを取り上げたい。また地味に久川綾と国府田マリ子の「ママレードボーイ」つながりが、個人的には懐かしかった。

「あっちこっち」
 個人的には今期もっともリピート率の高かった1本。「いお」と「つみき」を中心とする高校生たちの日常を描いたコメディ(ややラブ少なめ)。本作のコメディ要素に関してはトラブルメーカーの「まよい」がいるだけであるが、有り体にいえばこのまよい一人で物語の半分は持っていってしまっている。この明確な役割分担が実にわかりやすくて心地よい。本作に出てくる男性陣は異常なほどできがよく、女の子に優しいわ、料理はできるわ、ノリもよい。男性陣に嫌われる要素はみじんもないし、女性陣はいわんをや。実は本作にも多くのパロディが埋め込まれているが、特に探すことなどなしにナチュラルに見ることができる。こうした会話が今の高校生の日常だとは言わないが、こっちよりの皆さんにとってはもしかしたら日常かもしれないレベルかも。
 それにしても本作の「つみき」のツンデレぶりはかわいい。卑怯なまでに「ネコ化」するシーンや「ふみゅ~」などもわかりやすいかわいらしさだ。特にEDの曲がまたつみきの本音を歌っているのもいい。「いお」のほうもわかっているのかフリなのか。周りから見ればカップリング上は完全にできあがっているにもかかわらず、本人たちだけがわかってないという徹底ぶり。普通なら悶絶するところであるが、それすらそこそこで気持ちがいい。
 本作の主題歌は、「ニャル子さん」が無ければ「にゃっほい!」が流行っていてもおかしくなかったと思うほど出来がいい。また文字と矢印による幕間による場面転換も気が利いている。なにより何も考えなくてもいいほのぼのした雰囲気は、本当にほっとする。高いテンションのシーンがあっても緩急がはっきりしており、必ずほっとできるシーンがあることがわかりきって見ている分には、安心してみていられるいいコンテンツだといえる。ま、あまり人気は無かったようですが。そろそろ芳文社の4コマブームも終焉か?

「夏色キセキ」
 サンライズとミュージックレインはじめ音楽業界の結託が産み出した作品。スフィアの4人をフューチャーリングしてキャスティングされたこと自体は、4人自身の芸達者ぶりが作品を支えている事実からもわかるとおり、作品のベースにキャスティング前提でありながらも作品が成立することを示していると思える。だからといってこの作品がよい作品だったかは別の話だが。とはいえ「夏休み」「奇跡」「転校」「部活」「アイドル」「夢」など、ありったけのキーワードをごちゃっと混ぜ合わせた1クールのエピソードは、十分魅力的だったと思う。こういってはなんだが、キャラクター名を一つも覚えていられなくても、この物語を覚えている人は多くいることだろう。いっそ夏休みの夕方の時間枠で再放送したっていいし、できれば中学生ぐらいの子たちに見てほしい作品だ。最後の願い、「4人がいつまでも友達でいられますように」は、4人がいつまでも「スフィア」でいられますようにと聞こえなくもない。声優ユニットで解散せずに活動しているグループなんてほぼ無いのであるし、これだけ4人がそれぞれ売れていれば、スケジュール管理が大変なことだろう。彼女たちはすでに新人ではなく中堅の域に入ろうとしている。そう考えると、キャスティングでの配慮がなければ、1つのアニメで4人がそろうことなど今後は絶対ないだろう事を考えると、本作の貴重さや特殊性を、あくまで声優サイドで語られてしまうのは残念かもしれない。なんというかこの作品を見ていて,思わず戸松遥を心からしかりたいと思ったのは私だけでしょうか?

「さんかれあ」
ゾンビにしか反応できない降谷くんと、父親に縛られた生活から逃れたいと願う少女・「れあ」の物語。「れあ」がゾンビになってからはその奇妙な日常と降谷を思う幼なじみの蘭子の想い(蘭子ファンが増えたそうで、さもありなん)を交えながら、降谷が父親と対峙してれあとのかりそめの生活を承認してもらうまでを描いている。つまり誰が見たって原作漫画でもこれからっていうときにあっさりと終わってしまったのである。これで2期があればたぶん2期は十分楽しめるだろうが、この1クールだけではせっかくの種まきも刈り取らずに終わってしまう印象だ。
ツイッターでも展開の遅さを指摘した人がいたものだが、降谷の妹やれあの両親のエピソードに1話まるまる費やしてしまうあたり、丁寧にもほどがあるといった感じ。ただし、この遅い展開もまたこの作品を丁寧に作られている証だと筆者は思っている。とりあえず1クールで最終回を迎えはしたが、最終回でのれあと蘭子の会話、降谷家での食卓のシーンなどで種もまかれているのに、びっくりするほどあっさりと終わってしまったので少々コケてしまった。まあ、折りを見て第2期があることだろう。これだけエピソードを大事にアニメ化された例も少なかろう。たぶん原作者も満足している事だろう。それはメディアミックスとしては幸せな話だろうが、どこぞのアニメで語られた「メディアミックスのためのメディアミックス云々」が跋扈する今の業界では、実に真摯な例だろう。その意味でも記憶にとどめたい作品だ。それにしても「れあ」を演じる内田真礼がかわいい。あ、あと降谷の妹役の井口裕香がなんだかズルい。

「黄昏乙女×アムネジア」
 記憶喪失の美少女幽霊・庚夕子、どういうわけか彼女が見える新谷貞一。むっちゃくちゃな増改築の果てに暗部を作り出してしまった高校を舞台に、学校にまつわる怪奇な事件に遭遇した二人が解決したり、人間の暗部に切り込んでいく物語・・・なんだけど、夕子さんと貞一君のイチャラブぶりがまた見ていてなんとも微笑ましい作品でもあった。本作は漫画原作ではむしろ怪奇現象の実態を解決していく二人に焦点があたっていて、見ていると結構しんどい物語も多いのだが、アニメではややイチャラブのほうに比重がさばかれて再構成されているため、画面の暗さ以上に軽さを醸し出すことになる。中盤以降に登場する夕子さんの裏である「影・夕子」の存在がピックアップされていき、夕子さんの存在理由と記憶にたどり着きそうになるのだが、それはあくまで話のきっかけであり、どうでもいい話。
 さて先述のように本作の画面は著しく暗いのだが、それ以上に抜けるような大空や夕焼けの透明感のある背景には、1幅の絵のように見入ってしまうほど美麗だ。まるで透明水彩で描かれたような透明感のある背景は、本作の最大の武器である一方、画面を覆う暗さの表現は、きちんと描かれたキャラや背景にデジタル上で影を足していく方法で作られた画面だ。作画部分を覆い隠してしまうほどの「黒」の表現は、作品のおどろおどろしさを体現していると言っていい。
 本作では怪奇現象も学校の階段も、すべては人間の暗部によって産み出された必然だといっている。それはある一面の真実だろうし、それを逆手にとっての夕子さんのギャグなどは見ているぶんには楽しいのだが、問題は夕子さん自身のあずかり知らぬところで発生した怪奇現象だ。人間とはどうひっくり返っても聖者にはなれない。なら夕子さんの無邪気で天真爛漫なそぶりや、貞一を一途に慕う想いは、「影」に押しつけた醜い感情を作り出す。それはもう人間が幾星霜繰り返してきたことだって、バカでもわかる。それにしてもこの美少女幽霊は、どれだけ寂しくつらい想いを経て貞一と出会ったのだろう。人間は幽霊になったって魔法少女になったって、まっとうにはなれないのかもしれない。

追記
 ここでも喜多村英梨、がんばってました。ほれてまうやろー

「ルパン三世 不二子という女」
 今期ある意味で一番期待していた作品であり、個人的には一番がっかりした作品かもしれない。
 作品自体はいい。アナクロ調の黒い画面構成に昭和の香り漂う絵柄。原作マンガを意識したようなキャラデザイン、性別すら錯綜させる果敢な挑戦、そしてつやのある声優たちの声。特に不二子役の沢城みゆきの演技いやさ艶技にもおそれいった。もちろん物語だって1話完結と思いきや、13話1クールで1本の物語となっていたことに7話以降で気づくことになる。そしてすべての謎を抱えたまま、最終回になだれ込む構成に手慣れた手腕を感じる。ただし、これは比較対象として現行のTV―SPがあってのこと。SPを1回見るよりはこれを5回見た方が面白いだろうが、残念ながら正のカタルシスは受けづらいかも。またこの物語の位置づけも、前日譚でも後日談でもなく、完全なアナザーストーリーだとすれば受け入れやすいか。
 そして最大の問題は、「ルパン三世」の物語としては意欲作であることは十分認めるにやぶさかではないが、なぜ「峰不二子」にスポットを当ててしまったのか?だ。以前にも書いたとおり「峰不二子」にはこれという「個」がない。原作に出てくる女性はすべからく「峰不二子」である。最終回の2話構成を見る限り、「個」を持たない「峰不二子」は黒幕の作り出した個性を持たない存在として描かれている。それは間違いなく原作の「峰不二子」に意味を見いだした事になるのだが、それゆえに本作の不二子は本質的な魅力を失ってしまった。利にさとく自分の美貌すら武器の一つであると豪語してはばからないくせに、どこか一線で貞操観念だけはしっかりと守り通すかわいらしさ。女性があこがれる女性としてのエッセンスであるセックスシンボルである「峰不二子」では断じてない。「個」を持たないことこそが「峰不二子」の個性であるにもかかわらず、その「個」に意味を持たせてしまった。それが本作の最大の疑問点である。それは沢城みゆきのインタビューにも現れており、彼女自身「峰不二子」を演じているという感覚は無かったそうである。期待される人物像としての「峰不二子」はこの作品のどこにもない。だが本来「峰不二子」とはどこにもいないのだ。本来キャラがないものを無理矢理キャラ立てしたこと、その不協和音は不二子がルパン一家となる前の五右衛門や次元と出会う2,3話のあたりを境に噴出する。そしてその意味づけを取り繕うように不二子の過去をエサのように蒔きだしてしまう。それすらも最終回でなかったことにしてしまうわけだ。これでは「不二子という女」の「不二子」の部分が完全に空洞化する。この空虚感は本作のアニメとしての充実感とうらはらに、作品の根底に流れているから、鼻の聞く人ならすぐにきな臭く思うはずだ。
 そして本作が「ルパン三世」の物語であることもまた、この作品の不幸だろう。「ルパン」だというだけでハードルが高くなる。ここはそのハードルを果敢にもクリアしようとした制作陣の気持ちだけは汲んでおきたい。なお、本作の音楽は作家・菊地秀行氏の弟である菊地成孔氏の手によるもの。これだけは聞き物である。できればサントラとして単独で聞きたいものだ。

「謎の彼女X」
 最後に取り上げるのは、筆者が個人的に最も期待していた作品であり、今期最も楽しんだ作品だ。「よだれ」による絆でつながっている椿くんと卜部さんの恋愛事情。少しずつ大人の階段上っていく二人の些細でちょっとおかしな日常が本作の主題だ。
 しかし本作がこれほどまでにアニメに向いていたとは思わなかった。「よだれ」の部分の変態性で一般の人には受け入れがたいかなと思っていたが、そのフェティシズムよりも描かれている二人の恋愛模様のささやかさが、多くの人に受け入れられたようで。原作漫画を愛読していた人々にとってはうれしい誤算だったかもしれません。なお原作漫画のエピソードを順に描いているように見えて、エピソードの入れ替えが結構激しく、再構成の手腕がさえていることを感じさせます。実は1話ごとに原作のエピソードの構成を比較してみたいと思っており、いずれDVD単位で記事を書いてみたいと思っています。久しぶりに「コードギアス」のように、1話ごとの記事にしてみようかと準備を進めようと思っていた矢先、店頭に本作のDVDがなくって・・・・。先が思いやられますが、なんとかやってみたいと思いますので、お好きな方はお待ちいただければ幸いです。
 そして何より卜部美琴役を演じた吉谷彩子が歌う、OPとEDの楽曲のすばらしさ!これをどうして発売してくれないのかと、本当にスタチャに火をつけたろかと思いました。
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ローガン渡久地さま

 いつもおいでいただき、ありがとうございます。コメント頂戴して本当にうれしく思います。

 今年は1月期から順調に見ており、なんだか気がつけば去年を超える本数を見ていて、自分でも怖いぐらいです。それでも、今後何らかの形でご覧になった作品があれば、またいつでもお越しください。ローガンさんと同じものを見て、私がどんなことを考えたのか? もしもそれがローガンさんにとって何かの刺激になれば、こんなにうれしいことはありません。できたらローガンさんのご感想も、お聞かせくださったらうれしく思います。
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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