「謎の彼女X」全話レビュー:2話「謎の絆」

<物語>
 彼氏彼女としてつきあい始めた卜部さんと椿くん。だが恋人同士らしい進展はなく、よだれをなめる行為のみ。趣味を聞かれた卜部さんが披露した切り絵で、椿くんは初めて彼女のパンツハサミを目撃する。いつもの日課の代わりに卜部さんの食べたアメをなめた椿くんは、勢い余って卜部さん抱きついてしまうが、その行為は卜部さんの逆鱗に触れたようで、パンツハサミを発動されて・・・。椿くんは、ますます悩みの中。どうやったら卜部さんともっと恋人同士のようになれるのだろうか?
 上野くんからもらって映画のチケットで卜部さんをデートに誘う椿くん。けれど日曜日の予定を優先して、卜部さんはOKしてくれない。どうしても恋人同士のようになれないと落ち込む椿くんに、「よだれ」という絆があるという卜部さん。落ち込んだ椿くんをつれて廃ビルの向かう卜部さん。そこで目をつむった椿くんに、卜部さんは特別なよだれをなめさせるという。その特別の秘密とは? よだれによる絆を証明する卜部さん。でも椿くんにとっては、まだまだ「謎の彼女」のまま・・・

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吉谷彩子、入野自由 他

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●演出:所俊克 作画監督:磯野智

●出典は原作第1話「謎の絆」より。ただし原作0話でのパンツハサミ発動が組み込まれている。

●アバンでは椿くんたちのクラスの男子が集まって、クラスの女子に点数をつけるという不敬きわまりない遊び。とはいえ男女に限らず中学高校ぐらいの時には誰でもやった遊びだろう。卜部さんはランク外だったようだが、自分の秘密の彼女に1000点とは、つけすぎである。なお、原作にはないシーン。

●2話のOP映像は、どうやら間に合ってなかったようで、未完成品です。完成品は3話から。

●椿くんと上野くんが学内の清涼飲料水の自動販売機の前で会話しているシーン。このシーンも原作第1話「謎の絆」にはないものの、原作5話「謎のプール開き」以降頻出するシーンとなる。実はこの場所、卜部さんと丘さんにとっても重要な場所で、どうやら彼らが通っている「都立風見台高校」には、ここしか自販機がないようだ。男同士、あるいは女同士での会話の舞台に、よく選ばれている場所だ。

●自販機の横を通る女子たちの声のガヤ。よく聞くと福圓美里や広橋涼などの兼ね役の声が聞こえてくる。

●上野くんは二の腕をつまんで女性の胸と同じ柔らかさだと言っているが、筆者はその昔、時速60kmほどで走る車から出した手で空気をつかむ感覚が、よく似ているとの話を聞いたことがある。ま、いずれも童貞の都市伝説でしょうが・・・(笑)

●このシーンでの椿くんと上野くんの会話では、椿くんよりも上野くんが少しだけ進んでいることをほのめかしている。しかも椿くんに聞かれるままにアドバイスする上野くんは、意外と自信満々で応えている。これは上野くんの心境としては、丘さんとの交際によって椿くんよりも先に進んでいる優越感が出ているシーンではあるが、反面、上野くんがさらに丘さんとの仲を進展させたいという欲望もまたここであらわになっている。

●逆に椿くんにとっては相談相手としての上野くんにかなり信頼を置いているようにも見える。ここから中盤まで、椿くんと上野くんの会話→椿くんと卜部さんの放課後→椿くん玉砕を繰り返して展開する。

●椿くんの夢想する卜部さんの裸の色つやが、えらくいいのが気になるところ。卜部役・吉谷彩子の演技もかわいらしいのが、現実との強いコントラストになっている。

●夕方、放課後の帰り道の椿くんと卜部さん。原作では椿くんが直接的に「手をつないでいい?」と最初から聞くのに対し、アニメでは椿くんが伸ばした手を明らかに拒否している卜部さん。現実の女の子にこんなことで拒否られたら、イマドキの高校生男子は1週間は寝込んでしまうだろう。しかも卜部さんの目、明らかに怒っているし。

●「今、手をつなぐ必要はない」という説明をする卜部さん。町中でベタベタひっついているお若いカップルに確認してみたくなるほど、卜部さんにとっては「必然」が重要らしい。なんとなくそうしたいから、という理由を卜部さんが理解するまでには、まだちょっと時間がかかりそうだ。「恋」を感覚的ではなく理論的にとらえようとしている卜部さん。彼らの隣でネコだってじゃれあっているのにねえ。逆に日課となっている「よだれなめ」の重要性について、まだ理解していないのは椿くんだったりする。

●自販機前の上野くんのアドバイスを挟んで、ついに卜部さんのパンツハサミが初めて発動する。原作漫画におけるパンツハサミとの最大の違いは、風のまとわりつく卜部さん自身が切り刻む対象を目の前にして大きく回転している点だ。漫画ではハサミや風の動線などで表現されている卜部さんのパンツハサミであるが、アニメだとさらに動きが必要になり、過剰なまでに演出されている。しかも古典的とも思えるドラムの連打の音楽が入っており、どこかちょっと古めかしい演出ではあるが、音といい演出といい納得しやすい映像表現に仕上がっている。しかもパンツの白が輝かしい。

●「椿の花の切り絵、を作ってみました」明らかに「句読点」を意識した台詞回しが特徴的な卜部さん。「棒」と読んでも差し支えないレベルではあるが、ぶっきらぼうな卜部さんには効果的な台詞まわしだ。

●微妙な差異ですが、「椿くんになら見られてもかまわないわよ」の台詞は、原作では「椿くんになら見られてもかまわないよ」となっている。脚本レベルかアフレコ現場レベルかはわかりかねるが、このニュアンスの違いで卜部さんの女の子らしさが表現できているアニメ版だ。

●お姉さんの手伝いをしながら卜部さんを思い出す椿くん。このシーンも原作にはない。原作ではお姉さんのお手伝いをしているようなシーンもあるにはある。椿くんは料理以外の家事はできそうな感じ。「ハサミ」を登場させるために、お姉さんにハサミを持たせて牛乳の空きパックを解体させている。筆者は結婚してからやるようになりました。

●ベッドで卜部さんのパンツハサミ(主にパンツ)を思い出す椿くん。このタイミングでの夢のシーンもまた原作にはない、追加されたシーンだ。

●三度自販機前の二人の会話。上野くんは椿くんに彼女ができたかと疑っているシーンであるが、先頃発売された9巻に付属するOVAでも、上野くんは椿くんと卜部さんの仲を知らないという設定になっている。しかもあまり問い詰めない上野くんは、相手を知らないだけで、椿くんに彼女が出来たことは悟っている様子。上野くんにとっては椿くんよりも少し先に行っている気がしていたので、逆に焦ってくるわけで、これが丘さんへのアプローチの契機となる。

●ところが当の椿くんは、そんな上野くんを見て、彼女なんかいないと断定している。このあたりの細かい差異こそ、今の彼女と順調に進みつつある上野くんと一向に進展しなさそうな椿くんの差なんだけど。

●ここで椿くんは卜部さんとの出会いのシーンを回想することになる。果たしてあのファーストコンタクトはうまくいっていたのかどうか? しかもパンツハサミの回想に邪魔されて、考えがまとまらない様子。

●空を見ていたと思ったら、青空を移す水たまりだった・・・というつなぎのシーン。こういう場面転換の美しさも、本作の地味な魅力だ。先に出てきたバスケットゴールにボールが入ってすぐに空が夕焼けに染まるなんて、ドラマティックに演出されている。

●帰り道で豪快にアメを口に放り込む卜部さん。こんなことをしていると、うっかりアメを落とします。あくまでアニメ的な表現って事で。

●いつもよりも早いタイミングでの卜部さんとの別れに、椿くんは少し動揺しているのか、卜部さんが差し出したアメを断ったことすら気にしている。椿くん、イイヒト認定。ちなみにこの台詞は漫画にはない追加されたもの。

●自分がなめたアメを椿くんの口に放り込む卜部さん。そっけない表情をしていた彼女が、「甘い?」と聞くときだけ少し微笑むのである。これは反則やろw そりゃ椿くんでなくても抱きつきたくなるわ! んで、やっぱり拒否られてパンツハサミ2度目の発動となるわけで。まあいわゆるツンデレなんでしょうけどね。でも突然の椿くんの行動にびっくりしてしまったというのも、卜部さんの本音の部分なんだろう。卜部さん、怒ってますねえ。よく聞くと「う~っ!」って声が聞こえます。不自然にある段ボール箱が刻まれたが、漫画では街路樹が人型に刻まれている。

●Bパート開始のアイキャッチでは、ちょっと珍しい卜部さんの昼食風景。三角パックの牛乳に何かが挟まれたパンを口にしている。食べ物からすると学校の昼食のようだが、この頃の卜部さんはまだ昼休みは食事をせずに寝ていた頃だったような?

●例によって学校の自販機の前で会話する二人。自販機の中の飲料のパッケージ絵に注目。ドキンちゃんもどきや戸川(あるいはチケットの魔法少女)がいたりする。椿くんが買うのはいつも「ドキンちゃんコーラ」のようだ。

●ここで上野くんから映画のチケットをもらう椿くん。原作にはこのシークエンスはない。このシーンでより重要なのは、上野くん自身はすでにこの映画を丘さんと見に行っており、それとなく椿くんに対してごまかしていることだ。ここで上野くんの心情を察するに、この件でそれとなく友達である椿くんには察してほしいのだが、椿くん自身は自分の恋の行方に夢中になっていて、上野くんの想いに気づかないところだろう。なお、チケットの絵柄は原作のまんまトレースされている。

●帰り道のいつものシーン。卜部さんにデートを断られた椿くんの、拗ねてうずくまった姿は、なんというかかわいらしくも切ない。椿くんの言う「恋人同士らしいこと」というのは、椿くんにとって卜部さんとの「恋人同士である証明」なんだろう。それを「行動」として実感したい椿くんに対し、卜部さんは「よだれによる絆」を主張する。それは「行動」ではなくもっとより具体的な「つながり」なのだけれど、その重要性が理解できないおこちゃまな椿くんには、卜部さんによる説明がほしいだろう。以降の卜部さんの行動がそれを示す。

●卜部さんが入っていったのは、小さな鳥居のある神社の奥の廃アパート。原作にはこの神社を通るシークエンスはない。これも植芝漫画のファンならば、この廃アパートに、かつての「ディスコミュニケーション」に登場する松笛くんの自宅を想起させるシーンだろう。松笛くんの部屋が1F部分にあるようだし、地下には戸川さんを監禁した部屋があったりする。ところで転校してきたばかりのはずの卜部さんが、どうしてこの廃アパートを知っていたのだろうか? 卜部さんの胸元がちょっとセクシーだったり。

●廃アパートの一室で、特別なよだれを椿くんになめさせる卜部さんのシーン。カナブンにたかるアリを見せることで、時間経過を表現するあたりが心憎い演出だ。よだれをなめさせようとする卜部さんの頬がすでに赤くなっている。

●このシーン、実は以前から疑問に思っていたことがある。椿くんがどれだけ目をつぶろうとも、卜部さんが衣服を脱ぐときの衣擦れの音が聞こえないわけはないと思うのだ。いやまて、椿くんはそれをわかってて目をつぶっていたのか? でも卜部さんから椿くんに伝わった「ドキドキ」の意味が、それでは事前に察知されていれば、あの会話にはならないような気がする。何度繰り返し見直しても、本編に衣擦れの音は入っていない。

●アニメでは卜部さんの裸はシルエットのみで黒く塗りつぶされており、はっきりとしないが、原作ではまっぱです(笑)。しかしエロくはないんだなあ。なんというかもっと清楚な裸婦画を見ている感じ。足下にたたまずに広げられている衣服が、いっそ清々しい。これがまるで脱ぎ捨てられているように描かれていたら、それはもっと破廉恥な絵になっていたに違いない。

●卜部さんのパンツハサミ発動シーン。切られたのはアバンで登場したクラス女子のランキングのノートであるが、原作ではパチンコの立て看板だった。今回のパンツハサミ発動シーンでは、ストロボ撮影のように、卜部さんの残像が残りつつ位置を変えながらノートを切りつける様子を表現。この時、原作にはない卜部さんの声がもれてくるのがちょっとなまめかしい。

●切り刻まれたノートは人間が手をつないでいる。コメンタリーでは、卜部役・吉谷彩子が、これをして12話に登場する椿くんの夢の中の餅つきシーンにつながっていると主張していたが、そうかな?(笑)

●その日の夜に見た椿くんの過激な夢の情景。それは卜部さんとのベッドイン。卜部さんの頭の人形だが、原作ではあやしげな甲冑人形で、どうも「アイアン・メイデン」あるいは「ジャンヌ・ダルク」を想起させる人形だったのだが、アニメではなぜか「市松人形」に変わっている。原作では卜部さんの処女性を人形に託した形なのだと思うのだが、アニメでは市松人形がこれを担っている。けど、市松人形ってそんなイメージあるのかな?

●椿くんの後ろにある水道の蛇口。この「水」のイメージはそのまま二人の「よだれ」であり、つまりは「絆」を示している。またビルの屋上のベッドの端っこにある水道は、そのままベッド自体を女性の胎内を模していて、あの水道の水は羊水とすれば、つまりあのベッド自体は母体回帰を示している。とすれば、椿くんがもとめるSEX像とは、失われた母へのあこがれなんじゃないだろうか? その母の胎内で行われる彼女とのSEXこそ、椿くんの言う「過激」の本当の意味なんじゃないだろうか。

●よだれで椿くんの夢の内容までわかってしまう卜部さんとの絆。最後の卜部さんの「ひ・み・つ」がなんともかわいらしいのだが、そのときの卜部さんの後ろ姿をアニメで見られたことの僥倖をもまた指摘しておきたい。なおコメンタリーによれば、収録現場ではしばらく「ひ・み・つ」が流行したそうである。

●次回予告。卜部さんが切り刻める12.67cmとは、通常のハサミが開く幅だそうで、脚本家さんが独自に自宅のハサミで調べた数字だそうな(コメンタリーより)。もっとも他のスタッフは納得いかなかったようですが(笑)

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アニメ『謎の彼女X』第2話「謎の絆」

さて今回は第2話のレビュー。 1話で合わなくて観なくなった方も多い様ですが、つまり2話も観ようと思った人は既に何かに毒されてしまったという事ですよねw 第2話「謎の絆」(原作:

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波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

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アニメは副菜。
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スタートレックは
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