「謎の彼女X」全話レビュー:7話「謎の流行風邪」

<物語>
 時は9月末日。体育の授業で陸上部の矢島さんと接戦だった卜部さんは体育祭のクラス対抗リレーでアンカーに選ばれる。陸上部に入らないかと矢島さんに誘われる卜部さんだが、放課後の椿くんとの時間を優先して誘いを断る卜部さんだった。
 翌日、髪も乾かさずにベッドで寝てしまう椿くんは、風邪を引いて学校を休んでしまう。お昼に食事を一緒に取る卜部さんと丘さん。卜部さんは丘さんから先週風邪で学校を休んだ上野くんとのことを話す。その日の放課後、私服に着替えた卜部さんは椿くんの部屋にくる。いつもの日課をやるために来た卜部さん。いつもの日課のつもりで卜部さんのよだれをなめた椿くんは、急に真夏のイメージが脳裏に浮かび、体調を回復させる。それは丘さんから聞いた上野くんとのエピソードを聞いて、卜部さんが試したある方法のせいだった。
 翌日の体育祭にも参加できるようになった椿くん。卜部さんは丘さんに事の顛末を話す。そしてやってきたクラス対抗リレーで、卜部さんは大活躍する。それも椿くんの声援で1位に! 体育祭の放課後、いつものように帰ろうとした椿くんは、自分の下駄箱の名札がなくなっていることに気がつく。帰り道、卜部さんに陸上部に入ることを進める椿くん。けれど卜部さんのよだれをなめた途端、顔がにやけてくる椿くん。その理由は椿くん専用となった「卜部さんの足」のせい。そして椿くんは初めて卜部さんに対する独占欲が芽生えることになるのだけど。二人の秘密の放課後は、まだまだ続く。

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吉谷彩子、広橋涼 他

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●演出:吉井弘幸 作画監督:吉井弘幸

●出典は原作第17話「謎の体育祭」+第10話「謎の特効薬」より。17話の中に10話のエピソードが埋め込まれている感じの構成。

●アバンの卜部さんの走り。よく見ていると陸上部の矢島さんにくらべてクラウチングを取るタイミングは若干遅いぐらい。二人で並んで立つと卜部さんは明らかに矢島さんよりも背が低い。単純に体格差だけみても不利な卜部さんが矢島さんと同じほどのタイムをたたき出したのであるから、丘さんの驚きはもっともである。

●しかも卜部さんはゴールに入るときに「うっ」と行っており、ゴール際まで全力を出し切っているように見える。矢島さんの方がやや余裕のある感じ。とはいえ矢島さんだって手を抜いていたわけではないだろう。流していたせいか、ゴール近くで止まっている卜部さんに話しかけるのに歩み寄ってくるのは、陸上部らしくちゃんとゴールしてから流していたせいだ。ハイタッチした卜部さんと矢島さん。目は見えないが卜部さんは浮かない表情をしている。

●放課後二人だけの帰り道。卜部さんよりも背の高い椿くんだけど、横から二人が歩いているところをみると、卜部さんよりもややせっかちに歩いて肩を揺らしている椿くんに思い当たる。平均的な高校生男子なら、当たり前のように腰の位置は卜部さんよりも高いはずだ。当然足の長さや歩幅だって卜部さんよりも椿くんの方が長いはずだ。だけど椿くんのほうがややこまめに足を運んでいる事実を考えれば、これはもう完全に椿くんは卜部さんの歩幅に合わせるように歩いているとしか思えない。逆に卜部さんはやや歩幅を大きめにゆっくり歩いているように見えるから、互いの歩幅を感じながら、調節しながら歩いている微笑ましい状況ということになる。

●横顔の、それも口元だけだけど、卜部さんが椿くんに足の速いことを褒められて喜んでいるようにも見える。しかし卜部さんがどれだけ隠し事をしないからといって、「陸上部に誘われた」という話までしなくってもよかったのにね。これがエピソードの一つのきっかけを作っている。卜部さんとしては何気なく話した程度のことだろうが、椿くんは心おだやかではいられないわけで。

●さも当然のように「椿くんと一緒に帰れなくなるから」と誘いを断った卜部さん。椿くんの喜びは言うまでもないが、こうまではっきりと「あなたのために」って口にされること、なかなか実生活ではないんじゃないだろうか。「~ために」なんて言葉は、相手をしかるときとかお節介を焼くときに使われる言葉で、正直あまりいい印象がない。そんな言葉も卜部さんは良い方に使えてしまう。だからこそこの言葉が余計に真実みを持ってくる。そりゃ椿くんでなくてもれしいがな。

●椿くんは卜部さんの身体能力の高さを「運動神経よすぎ」と表しているが、別の回で自宅の写真を切り刻んで、自分のコンディションを確認している卜部さんの映像を見ていると、卜部さんの身体能力の高さは生来のもの以上に、長年の繰り返しによって培われてきた鍛錬の賜物という感じが強い。

●体育祭のリレーの練習を昼休みにしてもらってがんばる卜部さん。放課後を椿くんと過ごすために、昼の丘さんとの食事や昼寝の時間を犠牲にして励んでいるというわけだ。つまり卜部さんの中の優先順位がきちんと椿くんにある一方で、引き受けた責任を果たしたいという責任感の強さもまた備えている。卜部さんは本当にできたお嬢さんである。

●「それってエッチね」という丘さんが卜部さんの太ももを触る手つきこそ、エッチだろう(原作では卜部さんに手をはたかれている)。丘さん曰く「椿くんは卜部さんの足を独り占め」とのことだが、ま、足だけじゃないんですけどね。丘さんが言いたいのは、別に足の話をしたいのではなくて、卜部さんの足は本人が思っている以上に他人にとって価値があるものなのに、卜部さんはその価値を認めていないということが言いたいのだろう。言い回しがエッチなのよ、丘さんは。

●原作だと、卜部さんの真意を確かめるために丘さんは卜部さんのよだれをなめる攻防があるのだが、それはまるごとオミットされてBパートに移されており、丘さんの察しの良さが際立つ演出になっている。

●リレーの練習をする卜部さんたちを教室の窓から眺めながら、微妙な表情をする椿くん。きっとこの時に考えたことを、椿くんは後に口に出して卜部さんから反論されるわけだけど。このシーンは原作にはないシーン。

●このあたりで、コメンタリーの方では入野自由さんと渡辺歩監督とが、夕焼けのシーンや椿くんの夢の中のシーンでかかる音楽の効果について語り合っており、渡辺監督が気を遣って作り上げた話が聞ける。そういえばこの回では椿くんの夢の中の映像が出てこない話になっている。原作では話が進むにつれてその描写はほとんどなくなっていくのだが、アニメではこれがキービジュアルの一つとなっているにも関わらず、このあたりから出番の減っていくシチュエーションとなっている。

●椿くんのお姉さんが、実は高校時代の制服をいまだに着てみているという話。体型が変化しないってのも驚きだが、福圓美里の演技のかわいらしさは異常とだけ言っておこう。そもそもは原作8巻57話のオチとなっているエピソードをここに持ってきているわけだが、原作57話のメインとなるキスの話は、アニメの二人にはまだ早いだろう。

●お姉さんがちゃんと髪を乾かして寝るようにいったのに。親代わりの姉の言うことも、あとになってから効いてくるってことなのか。案の定、椿くんは風邪を引く。ここから原作10話の話に突入する。

●翌日のお昼の卜部さんと丘さん。丘さんは学校行事を心から楽しめるタイプの人のように、エンターテインメントは純粋に楽しめる女の子だ。最新9巻の62話の最後にも「なんたって文化祭は、楽しくないと・・・!」と言って、卜部さんを自主製作映画に出演させるために暗躍するのである。

●このあたりで渡辺監督に「よだれ」の扱いについて聞いているコメンタリー。監督によれば「よだれ」の扱いで会議などをしたことはなかったようで、さりとてできるだけ「おいしそう」に見せたいという狙いがあったようだ。できあがりをみればそのフェティシズムは相当なものであるのだが、いやらしく見せるよりもできるだけ「濃厚に見せたい」、「ちょっとだけ抵抗感のある映像にしたい」という想いがあってできあがっているそうだ。

●今回のベーコン巻きは、なぜかエビフライ。エビフライを揚げたあとにベーコンを巻くと、ベーコンは非加熱になる。逆にエビとベーコンを同時に揚げたら衣でベーコンが見えなくなるので、画面のようにはならないはず。ってことはこのベーコンは生だということになる。卜部さんと丘さんが生食用のベーコンを常食している話は、7巻49,50話「謎の肉食女子(前後編)」に登場するエピソードだ。

●相変わらずカマをかけるような話し方をする丘さん。アニメではチャイムをきっかけに話を途中で止めるのだが、原作ではものすごく不自然に缶コーヒーを飲んでタイミングをずらしている。この娘、なんでこんなに策士なんだろう?

●卜部さんが椿くんのお見舞いに来るシーン。シチュエーション自体は原作通りなんだけど、ちょっとずつディティールが変更になっているので、原作をお持ちの方は是非とも見比べて見てほしい。椿くんのお姉ちゃんの「ごゆっくり~!」は明らかにからかい気味の余計な一言だが、何をか察している雰囲気が出ている。また初めて卜部さんが椿くんの家に来た話を回想するシーンも映像として挿入されている。

●丘さんの話を元に卜部さんは椿くんの家にお見舞いに来たのだが、卜部さんのよだれをなめた椿くんの症状改善は、卜部さんにも驚きだったらしい。口をポカーンと開けて呆けているようにもみえるほど。まさに「卜部殺菌」。

●椿くんの家を出るときには、すでに驚きの表情を見せずに、いつもの平静に戻っている卜部さん。帰宅後に独り言のように確認をしている所を見る限り、卜部さんにとってもよだれによる「絆」の効果をまだすべて把握しきっていないようにも見える。確信的な時もあればまだわからない事もある。相手との距離感を図りながら互いの理解を深めていく。よだれの絆の真実そのものは、まさに二人の恋愛模様とリンクしているのかもしれない。

●コートの下に着た卜部さんの水着。アニメ版5話「謎のファーストデイト」の時に見せた黒のビキニとも違う白い縁取りのある赤のビキニだ。女の子って、いったい何着水着を持っているのだろう?高校生男子なんか、学校指定の水着以外なんか高校3年間で1枚ぐらいのものなのだが。しかし卜部さんの水着がスクール水着以外は全部ビキニタイプなのは、なんの理由があるのだろう?

●アイキャッチは走り終わった後の脱力した感じの卜部さん。スポットライトが上から当たっているせいか、なんだか真っ白に燃え尽きた「あしたのジョー」っぽくも見える。

●さて開巻から丘さんの回想から入りますが、丘さんの主観なのかどうか解らないのだが、丘さんが上野くんと一緒にいるときに、卜部さんと一緒にいるときのようなはしゃいだ感じがせず、どこかクールな話し方をするのは、どうしてなんだろうか? 策士・丘さんとしては、他人と接しているときのはしゃいで元気な感じのキャラとは別に、ややクールダウンした静かな女の子を演出することによって、上野くんとの関係に「二人だけの特別な感じ」を演醸し出しているということではないだろうか?

●ここでも丘さんはビキニ。やはり高校生女子ってスクール水着から解放されたがっているのだろうか? ベッドに入っているからといって上野くんに馬乗りになる丘さんは、上野くんにとって相当破壊的な眺めだったに違いない。丘さんの本作一番の素敵な画だ。それはそうと二人とも、そんな話をまわりに人がいる状態でするのはどうかと思うのだが。

●卜部さんと丘さんのよだれの攻防であるが、原作では3巻17話「謎の体育祭」でやっており、2巻10話「謎の特効薬」にある後日談のシーンではやっていない。この攻防自体は故意に入れ替えられているのだ。1話単位として見れば、前半にうっかり丘さんになめられてしまうシーンがあって、2度目の攻防が際立つ結果となる。構成としてわかりやすい。

●本作はキャストの人数が少ない方の作品だ。それだけに「ガヤ」がとても大変だったと入野さんはコメンタリーでいっている。とはいえ吉谷さんはとても楽しかったと語っている。

●体育祭でのリレーの時間。走る作画というのは、本当に難しい。どんな作品でもいいので、日本のアニメを数本並べてキャラクターが走っているシーンを見比べてみてほしい。リミテッドアニメとして走るシーンを書こうと思えば、繰り返しになる作画をローテーションで回してしまいそうだが、これだとアングルが固定されていないと不自然になるため、上手く走っているようには見えない。足にしても腕にしても、人間はテンポ良く動かしているように見えて、そうではない。それぞれが独立したパーツが独自に動くことによって「走る」という動作を構成しているだけなのだ。それゆえに通常のリミテッドの場合、上半身や下半身だけをクローズアップして描いて走るシーンとする場合が多い。本作のように走る人間の全身を作画することはなかなかに面倒くさい作業なのである。

●さてクラスの男子の声に、つい嫉妬をおぼえる椿くんだが、そんな小さな事も卜部さんのがんばりがかき消してしまうほどの活躍を見せる。割り込んでくる丘さんもいいタイミングだ。そして椿くんの声援で、卜部さんの口からよだれがほとばしる(原作にはないシーン)。そして加速した卜部さんのラストスパートで完全勝利だ!

●放課後の帰り道。「口を開けて」という卜部さんの言葉に、もうなんの戸惑いもないんですね椿くん。

●急に卜部さんに陸上部に入れと進める椿くん。それを余計なお節介だと拒否する卜部さんのその理由が、やっぱり椿くんにはうれしくて。しかも名札を自分の太ももに貼り付けて。きっと体育祭でクラスのみんなに囲まれていた時に、椿くんが見せた微妙な表情で、卜部さんは悟ったんだろうか。「わたしはあなたのもの」、そんな言葉をあの卜部さんの表情でささやかれたら、男は誰だってクラッときます。

●卜部さんが椿くんの下駄箱のシールを貼っているのは、足というよりも臀部に近いのだが、スカートをまくりあげての卜部さんのこのポーズは、なんともエッチである。最後の最後で卜部さんの行動によって椿くんはじめ視聴者が驚かされてエンドとなる、オーソドックスな物語構成。でもこのフェッティッシュな卜部さんのポーズは最上級だ。つくづくこの作品が椿くんの視点で構成されており、視聴者は椿くんの驚きを同時体験するという構成に、いまさらながら舌を巻く思いだ。

●次回予告。こうなるともう、丘さんに百合疑惑が・・・。

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