スーパー戦隊シリーズにおけるいくつかの数式

 スーパー戦隊シリーズを見ていると安心する。だいたいにしてお酒の席で、「こどもの頃、よく見ていた戦隊シリーズ」の話をすると、だいたいどのあたりの作品を見ていたかで、年齢がばれるし、タイトルがわからなくても、正直いってどれでも似たり寄ったりだ。最近めっきり歳をとったので、気に入らない作品や、興味がわかない作品は、ほとんど見ないままDVDーRだけが増えていくことになる。そうするといよいよもって「何かに似ている」だとか、「5人の見分けがつかない」だとかいう、寂しい話になることもあるが、全く見ないという年はない。おかげでこの年に至るもいまだに視聴を続けている。またこの年齢になると、お子さんをもつ親が見出すことがあり、酒の席でも、よく話を振られる。しかし全年齢に対応している戦隊シリーズは、やはりすごいとしかいえない。

 さて、われわれ特撮ファン、ひいては戦隊ファンは、「どれもこれも似たり寄ったり」とか言われると、「よく見ろよ!」と言いたくなるのをグッとこらえて、「それでも毎年いろいろ試行錯誤を繰り返して・・・」などと、切ない反論を試みる。確かに毎年ことなるモチーフや、核となるストーリーライン、キャラクターの掘り下げなど、各作品できちんと特徴が存在するのであるが、一般のかたには、正直どうでもいいことなのだ。では毎年、なにが一緒なのかを、あえて考えてみてもいいのではないだろうか? 逆に言えば、「戦隊シリーズ」のお約束の部分を、もう一度見直してみるのも、面白いかも知れない。

1.戦隊シリーズの力関係

 戦隊シリーズには、厳密とは言えないほどのお約束が、結構いっぱいある。もっとも基本的なのは、「戦隊ヒーローは3人ないしは5人で構成される」というものだ。これは一人では決して敵に勝てないが、3人あるいは5人(以下、めんどくさいので、「5人」で統一します)の力を合わせることで、強大な敵をやっつけることが出来るという、日本人好みの「協力と協調」を唱っているのである。ちなみにこれを数式化してみると、以下のようになる。

 「一人のヒーロー」<「敵怪人」<「5人のヒーロー」

 これの前提となってるのが、ヒーロー各人は、戦闘員が何人来ても、負けることはない、ということだ。数式化すると以下のようになる(xには整数が入る)。

 「x敵戦闘員」<「一人のヒーロー」


 これに敵組織の幹部を考慮する。通常幹部は、5人の戦士のうち、一人を目の敵にすることが多いのであるが、結局5人の協力攻撃に、膝を屈する場面がある。これを数式化すると、以下のようになる。

 「一人のヒーロー」=or<「敵幹部」<「5人のヒーロー」

つまり以上の式を組み合わせると、きちんとした力関係が明確になる。

「x戦闘員」<「1*ヒーロー」<「1*敵怪人」<or=「1*敵幹部」<「5*ヒーロー」

この式を見ると、意外にも強固な数式であり、通常のストーリーラインであれば、こどもが怪人の出した毒で苦しもうが、幼稚園バスが襲われようが、この式を崩すような状態はない。これが年50話続けられれば、どんなこどもでもあきるに違いない。
 そこで制作陣は考えた。この数式を崩すような敵怪人を創造することで、ストーリーにメリハリをつけることができないか。
 シリーズ第6作「大戦隊ゴーグルファイブ」までは、上記の関係式だけで話を繋いできたと言える。それが初めて展開するのは、シリーズ第7作「科学戦隊ダイナマン」である。「ダイナマン」の敵・ジャシンカ帝国は、「シンカ獣」を使って作戦を遂行してきたが、度重なる作戦失敗に業を煮やしたカー将軍の手により、34話において、機械とシンカ獣を融合する技術が開発される。その「メカシンカ獣」第1号・ミサイルザリガニは、案の定ダイナマンを圧倒する。この状態を式で表すと、

「5*ヒーロー」<「1*敵怪人」

となる。ダイナマンたちは、新怪人を倒す手だてを模索しながら、特訓を繰り返し、およそ3話かけて新必殺技「ニュースーパーダイナマイト」を編みだし勝利する。つまり元の式の状態に戻ったことになる。上記の式と元の式を行ったり来たりすることで、ストーリーに幅を持たせることに成功したのだ。

 ダイナマンや、次作「超電子バイオマン」では、特訓によるパワーアップが行われてきたのだが、近年では、この式の形態を取り戻す方法論に、「新装備の追加」や「6人目のヒーローの追加」などが絡むことが多い。つまり、

 「5*ヒーロー」<「1*敵怪人」<「6人目のヒーロー」
→「1*敵怪人」<「6*ヒーロー」

 6人目が登場する回では、6人目の華を持たせる意味もあり、6人目のヒーローが、5人では倒せなかった敵怪人を、一方的に蹴散らすシーンが散見される。6人目の戦士の登場が定着したシリーズ第16作「恐竜戦隊ジュウレンジャー」のドラゴンレンジャー・ブライ以降、17作「五星戦隊ダイレンジャー」のキバレンジャーや、21作「電磁戦隊メガレンジャー」に登場したメガシルバーなどは、激しい戦闘の後、一撃で強敵を葬り去っている。
 ところがそれもつかの間、いつのまにか6人目の特殊性も薄れていき、6人束になってかかっていって、やっと倒せる敵怪人が登場するなど、敵側のてこ入れも、寸断無く行われることになる。まことにもって軍備増強とは、「血を吐きながら続ける、悲しいマラソン」である。

2.巨大ロボットについて

 スーパー戦隊のもう一つの持ち味は、巨大ロボットによる戦闘だ。これは「スパイダーマン」の巨大ロボット・レオパルドンの売り上げ好調をもとに、東映側がてこ入れした結果だ。その登場は、シリーズ3作「バトルフィーバーJ」から、バトルフィーバーロボの登場となる。設定としては、敵怪人が5人のヒーローに倒されたときに、様々な非科学的な事情を持ち出して、巨大化して暴れるのを阻止するために必要とされたのである。ところが初期のシリーズにおいて、このロボットの強いこと強いこと。シリーズ4作「電子戦隊デンジマン」のデンジロボなど、傷1つついた様子もなく、バカの1つ覚えのような「電子満月切り」で、敵巨大怪人に完全に勝利している。これを数式化すると、以下のようになる。

「5*ヒーロー」<「巨大化怪人」<<「ヒーローロボ」

ヒーローロボのあまりに完勝っぷりに、「<<」とさせてもらった。
 ところがこの数式にも、やがて終わりが来る。シリーズ10作「超新星フラッシュマン」での出来事だ。15話で登場した改造生命体は、外宇宙から持ち込んだ強力な宇宙生物の遺伝子を組み込んで誕生した。この改造生命体に苦戦し、フラッシュマンの愛機・フラッシュキングは、一敗地にまみれることになる。しかしこの苦境を乗り切るのも、やはりロボットの力で押し切ってしまう。フラッシュ星からもちかえり、地球のいずこかで眠りについていた「フラッシュタイタン」が蘇り、逆転勝利することになる。以降、2号ロボはおもちゃ会社の思惑通りに浸透し、その登場はシリーズのイベント編と位置づけられることで、視聴率的にも、マーチャンダイジング的にも地歩を固めることになる。これを数式化すると以下のようになる。

「巨大怪人」<「ヒーローロボット」<「強力巨大怪人」<「2代目ロボ」

また2号ロボが1号ロボと合体することにより、強力巨大怪人を倒す場合もある。その先駆けはシリーズ12作「超獣戦隊ライブマン」である。1号ロボ・ライブロボに、2号ロボ・ライブボクサーが合体し、スーパーライブロボが誕生した。つまり、

「1号ロボ」<「強力巨大怪人」<<「1号ロボ」+「2号ロボ」

このパターンは多くの亜種を生む。例えば、シリーズ13作「高速戦隊ターボレンジャー」では、ヒーロー達の基地が変形し、1号+2号ロボが合体することで、巨大ロボになったり、16作「ジュウレンジャー」のように、2号ロボの合体バリエーションにより、複数の形態になったり、あるいはそのすべてが合体し、「究極大獣神」となる。また一方的にロボットの数だけ増やしていった(総勢11体)、シリーズ19作「超力戦隊オーレンジャー」などもある。ここまでやると、おもちゃ屋さんの都合が聞こえてきそうな気がするが、まあおいておこう。こうなると、よもや敵に負けるはずなどないと思いたいところだ。しかし先の「オーレンジャー」は、あろうことか、最終シークエンスで、一度機械帝国バラノイアに、地球を完全掌握されてしまっているのだ。情けないにもほどがある。

3.最終回あたりのお話について

 さて戦隊シリーズのストーリーラインを見ていると、不思議に敵組織が自滅している場合が、散見されることに気づく。「デンジマン」や「サンバルカン」は、終盤に登場した第3勢力の存在が、敵組織の足を引っ張り、内部崩壊をまねていている。またシリーズ9作「電撃戦隊チェンジマン」や20作「激走戦隊カーレンジャー」では、敵組織の幹部達が次々に離反し、ヒーロー側に寝返ることで、組織自体は崩壊する。こうなると、以下のような式を提唱する必要が出てくる。

 「敵組織」=「ヒーローの組織(結束)」
→「敵組織」ー「第三勢力」<「ヒーローの組織(結束)」
→「敵組織」ー「敵幹部」<「ヒーロー組織」+「敵幹部」

だがその一方で、真っ正面から敵組織壊滅を目的に、最終回まで完走している戦隊もある。たとえばシリーズ1作「秘密戦隊ゴレンジャー」や2作「ジャッカー電撃隊」など、初期の戦隊はこのカテゴリーとなるし、23作「ゴーゴーファイブ」や「メガレンジャー」などもそうだ。このあたりの最終回付近の始末の付け方は、各作品ごとに異なる部分だろう。「ジュウレンジャー」のように、倒すべき相手が、最期で改心し、封印されるだけという場合もある。18作「忍者戦隊カクレンジャー」も、これに該当する。それに、最終回において、敵の存在が空気となる場合もある。「ダイレンジャー」は倒したと思ったら泥人形で、結局戦いは堂々巡りで繰り返されたり、24作「未来戦隊タイムレンジャー」では、組織自体は崩壊したものの、20世紀の時代の崩壊を防ぐために戦い続けたりしており、ストーリーのどんでん返しをねらって、いくつもの仕掛けが用意されている。このあたりは脚本家やスタッフによるのだろうが、先の数式で定型化できない戦隊の部分が、ここにあると言っていい。

 以上のように、スーパー戦隊シリーズと一口に言っても、これだけの共通項があり、同時にこれだけの違いも発見できたわけだ。これこそがシリーズの魅力である。それに多作品だからこそ、その人にあった戦隊が取捨選択できるというのも、戦隊シリーズの自由度でもある。そしシリーズすべてに込められているのは、「正義の心」と「協調」である。どれだけ正義を行使しようとしても、独りよがりではなにも形にならない。誰かと協力してこそ、より大きな悪を退治できる。いささか教条的ではあるが、こういった誰も教えてくれないことは、戦隊シリーズが、ちゃんと教えてくれているのである。大人になって口に出して説明するのが恥ずかしいことを、ヒーローの姿を借りて教えてくれるこのシリーズには、まだまだ未来を感じることが出来る。現行の「侍戦隊シンケンジャー」を楽しみながら、まだ見ぬ新たなシリーズに、今後も期待したい。
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テーマ : 特撮
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「戦隊モノ」

俺の友人に、やたらと特撮を「戦隊モノ」と呼ぶ奴が居るのですよ。 彼曰く、ゴジラもガメラもウルトラマンも仮面ライダーもレスキューファイ...

コメント

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No title

あの、フラッシュキングが破壊されるのは17話ではなく、15話ですが。

No title

なお様
 ご指摘ありがとうございました。修正しました。
 大変申し訳ありません、急ぎDVDのパッケージで確認いたしました。
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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