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「孤独のグルメ」「花のズボラ飯」~食べ物を扱うために・・・~

 「読書の秋」やら「スポーツの秋」などいろいろあるでしょうけど、筆者はやっぱり「食欲の秋」でしかない。食材としてさまざまな味覚が出そろう秋という季節。地上波ではNHKの「きょうの料理」が55周年だとか、フジテレビでは16年ぶりに「アイアンシェフ」(料理の鉄人)が復活して、初回の視聴率が結構良かっただの話も飛び交う中、深夜枠では2つの漫画原作のドラマが人気を博している。かたや前シリーズから定評のある作品の第2シーズンで、もう一方は同じ原作者にもかかわらず、あまり良い評判を聞かない作品だ。今回は「孤独のグルメ」と「花のズボラ飯」の2作品を取り上げて、食べ物を扱う作品についてちょっと考えてみたい。
花のズボラ飯花のズボラ飯
(2010/12/20)
久住 昌之、水沢 悦子 他

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孤独のグルメ 【新装版】孤独のグルメ 【新装版】
(2008/04/22)
久住 昌之

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<食を扱うTVの文化>
 筆者は食べ物全般が好きである。それゆえに「食」に対する興味が強いから、マンガでもエッセイでもTV番組でも食を扱った番組は優先的に見てしまうほうだ。TVで扱う食の番組にはおおまかに分けて以下に示す4種類あると考えられる。

1.食べるものを作る番組
2.食べることができる場所を紹介する番組
3.食を扱ったバラエティ番組
4.食を扱ったドラマ(アニメ含む)

 「1」はいわゆる「料理番組」だ。NHKの「きょうの料理」、日テレの「キューピー3分クッキング」、TBSの「チューボーですよ!」、テレビ東京の「男子ごはん」、札幌テレビの「どさんこクッキング」などが好例だ。いずれも料理家が自分のレシピで料理を紹介する番組だ。食のバラエティの先駆けである「世界の料理ショー」にしたって、この範疇に含まれる。また朝の情報番組の1コーナーとして料理を紹介するコーナーがあり、これもここに含まれる。
 「2」はいわゆる情報番組や旅番組に多い。街を紹介するテレビ東京の「アド街ック天国」や土曜日昼に日テレやTBSで放送されている情報番組、テレ朝の「旅サラダ」なんかもこの手合いだ。またテレ朝「お試しかっ!」の「帰れま10」などもこれに類する。
 「3」はかなり範囲が広いのだが、食を扱いながら作り方を紹介するでもなく、店を紹介するでもなく、食の知識や食べることそのものをバラエティ番組として扱うものだ。例えば16年前に人気を博し、この秋に復活した「アイアンシェフ」(「料理の鉄人」)やテレ東の「大食い選手権」、時折放送される「芸能人料理王」だとか人気バラエティ「SMAP×SMAP」の「ビストロスマップ」なんかもこの範疇だ。またNHKで絶賛放送中である「キッチンが行く!」やBS-TBS「吉田類の酒場放浪記」や北海道テレビ「おにぎりあたためますか」かつて人気を博した日テレ「どっちの料理ショー」などもそうだ。
 そして「4」は今回扱う作品である「孤独のグルメ」や「花のズボラ飯」、TBSの人気深夜番組「深夜食堂」、日テレ「おせん」やかつてフジで人気を博した「王様のレストラン」や古くはTBSで放送された「天皇の料理番」などもこれに類する。そうそう忘れてはいけないのはアニメで、この分野では先駆け的な「美味しんぼ」や「ミスター味っ子」「クッキングパパ」などもここに含まれる。

 いずれのジャンルの食番組にも言えることだが、どの番組でもスタッフにフードコーディネイターがいたり、食の専門家がいたりして、食に対する敬虔さ、深い知識、こだわり、味を表現する手練手管がある。味も香りも伝わらないテレビジョンという媒体の視覚と聴覚だけを頼りに、精一杯視聴者にその食のすばらしさを伝えようとする。しかも取材となれば1日に数件や数食を食すこともあるだろうから、好きでなければ続けていられない。それでもその食を食べた時の、驚きや感動を伝えたいという熱い願いがそこにはある。それは下手な脚本の安っぽいドラマなどよりも圧倒的にドラマティックで劇的だ。しかも食べることは本来、どんな人間にも等しく訪れる瞬間であり、常に日常だ。となれば、自分が口に入れているものに興味がわかない人は決して少なくないのだろう。上記で示した食に関連する番組の多さを見れば、それは一目瞭然である。

<五郎さんの空腹>
 「孤独のグルメ」はかつて月刊誌に掲載されていた漫画で、久住昌之原作、谷口ジロー作画による作品だ(1994~96)。ドラマ版は2012年1月からテレビ東京で12話が放映され、第2シーズンがこの秋から放送開始した。この作品は個人で貿易商を営む独身男・井之頭五郎が仕事の合間にふらりと立ち寄った店で食べる食事を紹介する趣向のドラマだ。あくまでドラマであるの、食事の前段に商談などがあったり食事後にささやかなエピソードが続くのであるが、この作品の最大の特徴は五郎さんの食べる食事に関して知識的な話は一切なく、五郎さんがその食事を食べた心象風景としての内心の台詞がモノローグとして語られることだ。五郎さん役の松重豊氏が、ただひたすら食事を勧めていくのだが、時に楽しく、時においしそうに食べ物を頬張り、食に対する独自の美学を展開しながらも、視聴者すら食べた気にさせる演出で、大人気となっている作品なのだ。
 しかも五郎さんが食すものは高額なものなど一切なく、いわゆるB級グルメ的なものばかり。値段的にもそうだが内容的にも決して健康などには触れないから、美味しいものをひたすら味わいたいという思いがこのドラマを構成している。この作品の面白いところは、実際のお店に行くのだが、そのお店の店主なども役者が演じており、その役者が実際の店主にそっくりだったりするところだ。食べ物はおろかその店の店主にまで敬意が払われている。そういったところも好感度が高い。

<ハナちゃんの空腹>
 「花のズボラ飯」は2009年より秋田書店より発刊されている漫画雑誌に連載されている漫画。2012年版「このマンガがすごい!」の女性漫画部門で1位に輝いた作品だ。
 旦那さんの単身赴任で一人暮らしを強いられている駒沢花が、そのぐーたらでズボラな性格による散らかり放題の部屋の中で、手抜きの極みのような食事をとるのだが、その手抜き飯でもなんだかとてもおいしいレシピを紹介する作品だ。この作品の要諦は、一瞬作ることすらためらうようなレシピでありながら、(食材の好き嫌いの個人差はあるが)誰が見ても食欲をそそられるレシピを紹介すること、そして主役のハナちゃんがそのメニューを、なんだかとってもエロティックに食すシーンだ。食が生活に根付いており、性欲と食欲が同種の起源であることをどうしても想起せざるを得ない。キスもSEXもないくせに、どうしたってそれらのズボラメニューを食すハナちゃんの表情は、あきらかに恍惚の表情を見せるのだ。

 ドラマ版はこの秋から放送を開始したTBSの深夜ドラマであるが、これがなんとも珍妙な作品としてできあがった。番組の主軸はやはりハナちゃんを演じる女優・倉科カナさんによる食事シーンだ。しかもどう考えてもレシピ上の問題となる見た目の悪さや粗雑なくせにハイカロリーなメニューを食べるハナちゃんの姿で、深夜のテロになりそうな予感がしていたにもかかわらず、その周辺にはあきらかに余分なものがごてごてくっつけすぎている。
 まず物語の導入となるCGによる粗末なアニメ。声をお笑いの「東京03」が勤めており、それを見ていると短い時間にちゃんとコメディとなりおおせてはいるものの、はたしてこのアニメがこの作品に必要なのだろうか?と疑問を感じるものだ。内容が本編に絡むでもなく、前振りになっているわけでもない。また劇中に登場する「素晴らしき哉、ズボラ主婦の世界」というタイトルが入り、アンジャッシュ・児嶋一哉さんとNEWSの加藤シゲアキさんが解説風にハナの行動を実況するコーナーがある。これが何のためにあるコーナーなのかがまた解らない。しかも加藤さんがなんと滑舌悪く、しかつめらしい演技をしているが、いっそもっとふざけられたら、児嶋さんのフォローも面白く聞こえてくる可能性もあるのに、そんな演出すらできていない。しかも番組終了後には、加藤さんを前面に出して、ズボラ飯メニューを作って食べているコーナーまであり、下手すればいっそハナちゃんよりも出番が目立つほどだ。しかもこのメニューが最後に来て目立つから、本編のメニューすら記憶に残らない。完全に番組内で全てのコーナーの要素がぶつかり合っているだけなのだ。

<食を扱う意味と意義>
 ドラマ「花のズボラ飯」はこうした問題点が散見される作品だ。唯一褒められるべき点は、主演の倉科カナさんの美味しそうな演技、いや艶技と、エンディングだけだろう。TBS(MBS)はすでに「深夜食堂」で成功を収めているにも関わらず、これはあまりにも残念で仕方がない。その原因を考えるに、本作のスタッフが、「花のズボラ飯」という作品の中心であるはずの「ズボラ飯」そのものに、まったく力点を置いていないことが挙げられる。つまり「食」の力強さを信じていないのだ。
 例を挙げて説明してみよう。先に指摘したように完成作品はいくつかの要素で成り立っているが、その要素がいずれも作品に必要とは思えない。東京03やアンジャッシュ児嶋氏、NEWSの加藤氏など、これらはいずれもただの客寄せパンダでしかない。しかも番組終盤のコーナーは、NEWS加藤氏の独壇場であり、これはもうジャニーズファンの女性視聴者を当て込んだとしか思えない。ということは、ハナちゃんの食事自体で本編を持たすことが出来ないとスタッフが思い込んでいるから、他の要素で客寄せして視聴者を稼ごうとしているかに見える。つまり作り手はこの作品の主軸であるはずの「食事シーン」に魅力を感じておらず、他の要素で作品を持たそうという下心が透けて見えるのだ。しかもその食事シーンですら、ハナちゃんの頬をCGで赤く色をつけてみたり、湯気を足してみたりとやり方が姑息にしか見えない。また食事シーンが繰り広げられている部屋の照明が暗いこともあり、食事や食事シーンを魅力的に見せることすら怠っている。以上の理由から、本作の制作陣は「食」の力強さに気づいていないか、信じていないのだと思われる。そんな食の作品を、どうして視聴者が見たいのか?

 ドラマではないが16年ぶりに復活した「料理の鉄人(アイアンシェフ)」は、2人の料理人が特定の食材を使って料理対決をする。その根本的な構造は実にシンプルだ。しかし料理人がどうやってその食材を調理していくか、その調理の過程でどのような駆け引きが見られるか、一つの料理ができあがるためにどのようなテクニックを駆使していくかなど、見所も魅力も多い。しかも出場する料理人の登場には物語性があり、番組が続いていく間に様々な因縁や関係性が組み込まれていく。番組そのものが料理バラエティでありながら、ドラマさながらにドラマティックに作られていく。それでもその中心にあるのは「食」という共通項で堅く結びついている。
 同じことが「大食い選手権」シリーズにも言える。かつてのチャンピオンが引退し、新人が登場するが、経験者の強さは大きな壁となって新人の前に立ちはだかる。そしてその経験が彼(彼女)たちをさらに強くし、やがてチャンピオンに輝く。やっていることはただの「大食い」だ。たけど「食」とその周辺に配置されている「人間」があるからこそ、このドラマが光る。食と人間の当たり前の関係性を信じているからこそ、この無謀で無茶な企画が愛されている。
 上記2つの例を挙げたが、この二つに共通しているドラマティックさには、ドラマ「花のズボラ飯」は遠く及ばない。制作者は原作を読んで細かな描写を点描することも、イメージを膨らますこともできず、ただ隙間を埋める小手先の技術に走っているとしか思えない。しかも時間の大半を客寄せパンダに費やし無駄に浪費している。そのためにハナちゃんの食事が完全におろそかになっているとしか思えないのである。
 原作マンガ「花のズボラ飯」の素晴らしいところは、一見して誰もが敬遠しそうなメニューが、料理とは思えないメニューの数々が、さも美味しそうに見え、試してみたいと思わせる喚起があることだ。そしてまたこんなメニューなら私にでも思いつく!というエモーションを起こし、アレンジメニューが誰でも思いつける可能性が広がる、間口の広さである。そこの要諦をまるっきり無視してドラマを作っても、面白いはずがないではないか。食を扱うことに対する「喚起と歓喜」。これこそがこうした番組が「食」を扱う意味と意義であるとおもうのだ。彼らは「食」の魅力も、「食」の無限の可能性もまるっきり信じていないのである。そんなスタッフの作るドラマが面白くなるはずがない。

 「世界の料理ショー」のDVD―BOXに収録されているクラハム・カーのインタビューにおいて、彼は油分(溶かしバターなど)を多用した食事によって体調に異変をきたし、病に伏したという。そこで改善された彼のメニューが、彼の今の指針となっているそうだ。「食育」や「食糧自給率の低下」などが叫ばれる昨今、「食」を扱うことで自分たちがしている食事を見直すことが、きっと誰にもあるだろう。人が病に冒されたとき、最初に改善すべきは食事である。それほど人間の生活と食は密接な関係にある。「食」に真摯に向き合い、「食」の力を信じることでしか、「食」の番組は扱う意味も意義も見いだすことはできない。いや、単に美味しそうに演出されない食の番組になぞ、視聴者の時間は有り余っているわけがない。ドラマ「花のズボラ飯」のスタッフには、相応の努力と奮起を期待したい。

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うわ、こんなのあるのか!知らんかった!
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テーマ : ドラマ
ジャンル : テレビ・ラジオ

コメント

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No title

「ドラマ版!そういうのもあるのか」
と思って観はじめた『孤独のグルメ』のドラマ版ですが、アレを深夜に流すというのは残酷です!最早テロの領域ですよ!観ていると腹が減ってきて仕方がありません!しかも2ndシーズンまでやるなんて!スタッフは残虐非道です!

……原作の空気を余すとこなく実写ドラマにしているのが良いです。


『花のズボラ飯』(こちらのドラマ版は観ていませんが……)の魅力のひとつは、「自分でも作りたい!」となる事ではありますが、しかし実際に作ってみると「ズボラ飯」なのにやたらと手間暇がかかるものが多いという事に気付かされ……。
でも、美味しかったです。


……この記事を読んでこうやってコメントを打っていると、さっき食べたばかりなのに、なんだかまたお腹が空いてきました(笑)。

No title

飛翔掘削さま

 コメントありがとうございます。

 DVDで改めてみていると、「焼き肉」とか「ナポリタン」とかの回は、ほんとにもうテロでして、これをリアルタイムで見ていたら、これはもう辛抱たまらんだろうなと。

 裁判傍聴芸人の阿曽山大噴火さんは、毎回この番組を見てはその回の名言をツイートしてらっしゃいますが、同時に後日そのお店にも行くそうです。

「ズボラ飯」が意外に手間がかかる事情は、作り始めつつ食べつつ、食事内容が展開していくので、最終的なモノを作ろうとするとその展開分だけ時間がかかるからでしょうね。でも塩分が高いモノが多いので、高血圧のわたしには無理です(笑)

 そうですか、おなかへりましたか。どうぞ遠慮なく食べてくださいね。深夜だろうと・・・・
プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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