「謎の彼女X」全話レビュー:13話「謎の彼女と彼氏」

<物語>
 帰宅した椿くんは、居間でうたた寝しているお姉さんを目撃する。そこでお姉さんはよだれを垂らして寝ていたのである。そんな姉の姿を見て、そのよだれを垂らした顔を見て、姉の彼氏は姉をかわいいと思うのか?とふと思う。
 商店街で買い物をする椿くんのお姉さんを、今度は卜部さんが見かける。卜部さんはお姉さんに声をかけたのをきっかけに、お姉さんは卜部さんをお茶に誘う。喫茶店でコーヒーを飲みながら、お姉さんは高校の頃の思い出話に花が咲く。彼女は卜部さんたちが通う高校の先輩だったのだ。そしてお姉さんの高校の頃の恋の思い出を聞く卜部さん。それはよだれにまつわるささやかで、ちょっと切ない恋の話だった。卜部さんは別れ際に改めてお姉さんに挨拶をしてお姉さんと別れる。
 翌日、亡くなったお母さんの墓参りに行く椿家のみなさん。お姉さんは椿くんの成長を見守ることを誓い、椿くんは卜部さんという彼女ができたことを報告した。翌月曜日の放課後、卜部さんは椿くんのお姉さんと喫茶店で会話したことを話す。桜餅、お母さんの話。自分の家の事情を卜部さんに話す椿くん。椿くんのお母さんは、椿くんが幼い頃に亡くなっており、お姉さんを母親代わりに育ったのだという。そんな椿くんを、卜部さんは今度日曜日に再びお墓参りに行こうと誘うのだった。
 日曜日、ちょっとしたデート気分で浮かれていた椿くんの目の前に現れたのは、まるでパーティーに出るようにめかし込んだ卜部さんだった。その行動の不思議さを思いながら、二人は椿くんのお母さんのお墓の前へ。卜部さんは今の得意料理である肉のベーコン巻きと桜餅、そして花を生けてお参りする。椿くんにお母さんの思い出を聞く卜部さんだが、椿くんは覚えていないという。そんな卜部さんは、椿くんの手をお墓の上に置かせて、よだれの交換を始める。すると、卜部さんの目から涙があふれてきた。その涙は、椿くんも覚えていない涙。お母さんが亡くなったときに流した椿くんの涙だった。卜部さんは言う、そんな悲しいことがあっても、椿くんはお姉さんやお父さんの優しさに囲まれてたくさんの笑顔の中で過ごしてきた。椿くんにとってそんな暖かな存在になりたいと。桜の花のつぼみが開きはじめ、もうすぐ春がやってくる。二人の時間はまだこれから・・・。

謎の彼女X 6(期間限定版)(Blu-ray Disc)謎の彼女X 6(期間限定版)(Blu-ray Disc)
(2012/11/21)
吉谷彩子、入野自由 他

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●演出:赤尾でこ 作画監督:をがわいちろう

●出典は原作3巻19話「謎のお姉さん」、2巻12話「謎の記憶」より。今回も細かい改変が多く、しかもアニメオリジナルあり。

●アバンは原作第3巻「謎のお姉さん」からの出典。渡辺歩監督は、コメンタリーでも何度も言及されていたとおり、この椿くんのお姉さんがお好みだそう。それはイベントのステージ上でもおっしゃっていたそうです。コメンタリーに寄れば、彼女は「陽だまり」のようだとか。

●冒頭2カット目で椿くんのお家の概観が見られる。原作でもそのディティールまでは判別できないので、かなり珍しいカットかも。けっこうでかいお家だ。この住宅の大きさから言って、椿家は先祖代々ここに住んでいたように思われる。けど、今椿家はお姉さんとお父さんと椿くんの3人だけで住んでいる。卜部さんが夏休みにお父さんの実家に帰省するのに対して、椿くんはここが実家なので、「田舎に帰る」という習慣がないのだろう。

●居間でうたた寝しているお姉さん。原作ではこたつでうたた寝している。原作がわりと手狭な4畳半ぐらいで生活感のある部屋であるのに対し、アニメではやけにこざっぱりした和室に絨毯を敷いている感じ。お姉さんの後ろに踏み台があったりして、かなりレトロ調な感じでまとめられている。座布団が3つしかないのは、家族分だからだろう。

●寝息を立ててうたた寝しているお姉さんの口には、またぞろつややかなよだれが。お姉さんが起き上がると、口に糸を引く感じがまたなまめかしい。原作にはないお姉さんのほつれ毛まで書き込まれている彼女のデザインは、渡辺監督のこだわりだろう。

●椿くんがよだれを指摘すると、お姉さんは照れたように顔を背けて口を拭く。この仕草だけでもこだわりようがわかるだろう。原作にもある「よだれ垂らしながら寝ている女の子ってカワイイと思いませんか?」という問いかけに「うん」と答えられる人はほとんどいないだろうけど、この「カワイイ」には、「自分だけに向けられた無防備さや安心感、依頼心」などが含まれているのだと思う。つまりその女の子の「素」である部分が魅力的に見えませんか?という問いかけだと思うのだ。

●設定上、お姉さんは椿くんの7歳年上。実はまだ24歳でしかない。後に登場するお姉さんの高校時代の絵柄から、当時から髪の毛はきっちりしていたようで、前髪はなくおでこはっきり出すタイプだ。近年、こうしたおでこを出す女性の髪型が流行したようだが、なぜ椿くんのお姉さんのおでこが若干古くさく見えるのか?と考えたとき、彼女が母親を亡くしたことで家族の生活を守ることを第一義に、ひたすら邁進してきた生活感が理由だろう。そしてこの生活感こそが、本作「ナゾカノ」の空気感でもある。

●このとき、よだれを垂らして寝息を立てているお姉さんを見て、わりとはっきりとカワイイと思った椿くん。ポイントがあくまで「よだれ」ではあるものの、そんなかわいさを見いだしたお姉さんが、見知らぬ彼氏によっていつか連れ去られることを想像して、少し胸の痛みを覚えたのではないだろうか。

●話の都合上でしかないのだが、卜部さんがいつもの椿くんとの帰り道で彼と別れた後、商店街に来たのは夕食の買い出しかなんかだろうか。どうやらこの商店街は椿くんの家と卜部さんのマンションの間にありそうだ。

●商店街で椿くんのお姉さんに声をかける卜部さん。普通は見るフリをしてやり過ごしそうなものだけど、卜部さんは興味本位か声をかけてしまう。学校では無愛想な女の子でも、初めての彼氏の家族には不義理はできないとでも思っているのかもしれない。律儀と言うよりは古風な子だと思う。

●「これからもよろしくお願いします」という卜部さんの言葉は、お姉さんには奇妙に思えたに違いない。前振りとして「いつもお世話になっている」とはいうものの。椿くん自身はお姉さんにも秘密にしている二人の関係だけど、きっとお姉さんにはこの時になんとなくうっすら気づいたんではないだろうか? だからこそお姉さんは好感を持った卜部さんを喫茶店に誘ったのだ。

●喫茶店の看板の下に街の名前が「猫○町」とあるのだが、この「○」の字が読めません。どなたか教えて!

●コーヒーを飲む卜部さんを、うれしそうな表情で眺めるお姉さん。一応卜部さんを喫茶店に誘った理由を、「制服」と「懐かしさ」と説明しているが。

●「弟が女の子と付き合っているなんて噂、聞いたことない?」という言葉に頬を赤らめる卜部さん。お姉さんやっぱりうっすら気づいていて、ここで卜部さんに誘いをかけている。つまり先の卜部さんを誘った理由の本音は、やっぱりこっちなのだ。

●もちろんこれの前振りとして「うたた寝で見た過去の記憶」がトリガーにはなっているとしても、「高校の頃の思い出」→「制服へのなつかしさ」→「弟と卜部さんの関係」といった連想ゲームが、お姉さんの頭をよぎったと思われる。

●お姉さんの思い出話。福圓美里さんの演技に要注目。若干お姉さんの時よりも若い声質にチェンジしている。この時は髪を両脇で結んでいたんですね。しかもおでこ。

●お姉さんの切ない想い出。それを「終わった恋」として卜部さんたちの「恋」との対比として説明しているサイトを見かけたが、この話をするお姉さんの表情は、言葉で言うほど残念感が乏しい。つまりお姉さんにとってこの「想い出」は、まだ継続中だと思っているのではないだろうか?対比としてはむしろ卜部さんたちの恋愛初期段階に対して、離れても時間が経っても風化しない想いという高次の段階へのステップの差だと思うのだ。そうでないと、お姉さんが何時までも嫁に行かない理由が椿くんたち家族だけでは、きちんと説明が付かない気がする。

●さりげに亡くなったお母さんの話をするお姉さん。これは椿くんとのお墓参りへの伏線になっていて、原作にはない台詞。コレに続く「桜餅」も原作における「花束」から変更になっている部分。実は生活感が見えてこない椿くんの情報を、卜部さんが知るというシークエンスで、卜部さんは椿くんについては本人以外の人から聞くことが圧倒的に多い。卜部さんとしてはいつも隣にいる椿くんの知らない側面を意識することで、それを埋めようとお墓参りに行くことにつながるという細かい演出だ。

●お姉さんの去り際の「じゃあ、明のことよろしくね」の言葉から、お姉さんは卜部さんの好きな人や椿くんが隠している彼女の存在を明らかに確認したと思っていいのではないか。後の「覚えておくわ」がそれを物語る。それを知ってやいのやいの言わないお姉さんは、デキた人だと思う。

●ダメ押しの卜部さんの台詞。対比としては最初に商店街で会ったときにも同じ自己紹介をしているが、あの時よりもうわずった声の演技になっている。つまり隠しているとはいえ、「椿くんの彼女である私」をよりよくお姉さんに印象づけたいというささやかな願いがこの演技に込められている。別れた後の「ほっ」というため息も、緊張のなせる技だ。

●ここからお墓参り。第2巻12話「謎の記憶」のパートとなる。てきぱきと支持出しするお姉さん。原作では「テキパキ」と文字で書かれているが、アニメにするとこうなるのだ。あ、椿くんのお父さん、初登場。なかなか登場しないお父さんですが、実は現在(2012.12月)発売中の掲載誌では、クリスマスのエピソードでも登場します。

●先に椿家の住宅の大きさから、先祖代々住んでいると書いたが、椿家の墓を見ていると割とありがちな丘陵の霊園にある集合墓だ。先祖代々ならお寺などに併設されている墓地に先祖代々の墓があっても良さそうなモノだが。ちがうのかな?

●お墓参りを済ませて、サクラのつぼみが開きかけの木の下を歩く椿家のみなさま。お父さんがこの回で初出ですが、あごのラインがしっかりと角張ったデザインになっており、椿くんとお姉さんの顔の輪郭はどうやらお母さんに似たようだ。

●お姉さんによる椿くんが大人になるまで結婚しない宣言。でもこれは関西の大学に行ったあの彼(原作では有間くん)を待ちわびている口実なのでは?と疑ってみる。これはけなげだ。

●アイキャッチは、とーってもかわいい、よそ行きのピンクの服を着た卜部さんの、極上の笑顔だ。はい、もうなにもいりませんw コメンタリーでは、なぜか吉谷さんの得意料理の話。さてなんでしょ?(秘密)

●ここの帰り道は、原作の2つのエピソードの複合となっており、とってもコンパクトにまとまっている。花束→桜餅の変更もさりげなくここに再挿入されて、伏線を回収しているシークエンスだ。

●椿くんによるお母さんの話。こういう時、普通に両親とともに健全に暮らしている人間にとっては、結構な現実に直面させられる瞬間で、もうそれだけで引け目を感じてしまう。でも卜部さんにとっては椿くんの「寂しいって気はないんだよ」の言葉に引っかかっているみたい。

●椿くんに日曜日の予定を聞く卜部さん。しかも椿くんの口に指をつっこんだままだ。これってかなり異常な絵なはずなんだけど、慣れたな、もうw でもどうして卜部さんが椿くんのお母さんのお墓参りにいこうと言い出したのか?

●出かける直前の椿くん。お姉さんに気遣いの言葉を投げる。これは原作にはないシーン。とはいえ投げかけた椿くん本人も、すぐにそうなるとは思っていないはず。ここはあくまでそんな気遣いができるように成長した椿くんの姿ってことで。コメンタリーではキングレコード池田さんが「気を遣っても届かない感じが椿家っぽい」といっている。

●ここで昨日の帰り道の続くシーンを倒置法的にここに挿入。椿くんが思い出した約束の日時を確認すると同時に、このあとに登場するおしゃれした卜部さんのギャップへの前準備なのだ。

●卜部さんを待つ椿くんが腕時計を見る。と、青いデジタルの腕時計。これ、前回の次回予告でも登場しますが、色が違う。

●そして満を持しての卜部さん、おしゃれヴァージョンの登場! 白よりもややアイボリーっぽいワンピースに、ピンクというよりサーモンピンクなカーディガン。胸元には淡いピンク色のバラのコサージュか。腰の辺りで大きく結んだリボン(でいいのか?)がかわいらしい。ちなみにパッケージ絵には、ワンピースの裾が3段になっており、細かな細工が施されているが、アニメでは簡略化されている。興味深いのはヒールのある靴ではなくてかかとの低い暗い赤のパンプスだ。卜部さんのおしゃれに関しては、あまり背伸びをしないタイプだということがわかる。でもお墓参りに行くなら、喪服的な衣装の方が・・・・。

●椿くんの驚きに、なぜか花束とお供え物で説明する卜部さん。完全にロスト・コミュニケーションであるw このとき椿くんが、一言でも卜部さんの服装を褒めていたら、また違う展開になっていたかも知れず、この際はそれがちょっと残念だ。

●ちなみに原作では花束しかもっておらず、トートバッグはないのだが、桜餅とお供え物の伏線を回収するために、バッグを登場させている。このトートバッグがまたシンプル極まりない。

●ここで卜部さんの手料理である「肉のベーコン巻き」。これも原作にはない。どうやら牛肉を細長く切って味付けしたものをしその葉とベーコンで巻いて炒めたようだ。丘さんに教えてもらって作ったとのことだが、肉がかぶっていることにどうして気づかないのだろうか?w ま、お肉=豪華といった発想だろうし、最後までベーコン巻きで押してくる丘さん。あ、この回、丘さんと上野くん、出てないんだ。つまりこういう手段で丘さんとの関係性をほのめかしている。ちなみにコメンタリーでは、吉谷さんがアスパラのベーコン巻きを何度か作っていたというエピソードが。ベーコン巻きのバリエーションを考えたのは脚本の赤尾でこさんらしいが、渡辺監督によればこの肉のベーコン巻きはベーコン巻きシリーズの最終進化形とのこと。くどいってw

●卜部さんの独白。いつになくかわいらしい発言だし、吉谷彩子嬢の演技も口を横に開いた明るい発声になっている。桜餅も肉のベーコン巻きも、このかわいらしい服装も、彼氏のお母さんに気に入られたいという女の子としての当たり前の感情。お姉さんの次に亡くなったお母さんに会いに行く。卜部さんは自分が椿家に嫁に行くことまで考えているわけではないだろうが、彼氏彼女になるということの背景に、家族にも受け入れてもらい、祝福してもらいたいという願いがあった。それが今回の卜部さんの思考だろう。古風な感じがするのは、近年では当人同士で結婚が成立してしまい、家族をないがしろにする傾向が強いためか。それが悪いとは言わないけどね。

●椿くん曰く「卜部がそんなことを考えているなんて、なんか以外」。ま、そりゃそうだろうね。容姿云々ではなく、可愛く見られたい、椿くんの可愛い彼女と見られたいっていうのは、男の子ではあまり考えの及ばないところかも。日本の儀礼的な婚姻の風習としての家族という概念があっても、「嫁に行く」とか「名字が変わる」とかそういう部分には、あまり思考が追いつかないのは、男の子なら当然かもしれない。

●卜部さんが改めて椿くんのお母さんの話を聞いている。その思い出がないという椿くんに、お墓のできた時期を聞く。このあとでよだれの交換に入るのだが、この時点で卜部さんは、お墓に刻まれた椿くんの当時の記録を呼び起こすためによだれの交換を行うと考えて良さそうだ。長い時間を経てそこに存在するものから、特定の記憶を呼び覚ますよだれの絆。ちょっと付喪神っぽい。こういう思考は植芝先生のデビュー作「ディスコミュニケーション」や「夢使い」にも登場する思考。

●ここのよだれの交換は、椿くんの指が卜部さんの唇に触れ、なおかつ卜部さんの口の中について表現するシーンがあり、これまでのよだれシーンの集大成と言っていい。それだけに演出面も力が入っており、そのトリップ感を演出するために、精一杯の作画と音楽で盛り上げている。特に唇をこえて指を入れるときの感触が伝わってきそうな柔らかさの表現は筆舌に尽くしがたい。椿の花が咲く瞬間も見事だ。このよだれ交換のシーンは、マンガ「ディスコミュニケーション」における血の交換の儀式によく似ている。けっして友情のバロムクロスなどと言ってはいけない。

●コメンタリーによれば、このよだれ交換シーンに関してはスタッフ一同で相当もめたらしいことが明かされている。いくつかあったプランでは、もっと壮大なヴィジョンが見えるものもあったそうで。

●なぜか涙を流す卜部さん。実は、原作では同時によだれを交換せずに、先に卜部さんが椿くんのよだれを舐めることで卜部さんが涙を流すという段取りとなっており、これはアニメオリジナル。ここからの卜部さんの独白は、かなり聞き応えがある演技だ。すこし涙声になっているのは、椿くんが記憶の奥底に閉じ込めた母親を失った悲しみに触れたためだし、そこから今の椿くんが形成された暖かな家族の愛情に触れたせいでもある。しかも涙声なのにどこか優しくうれしげな言葉のニュアンスが、ちゃんと伝わってくる。女優・吉谷彩子の渾身の演技と言っていい。コメンタリーに寄ればこの時のアフレコで吉谷さんは、音響監督・三間雅文氏の指示で「自分の感じでやっていい」といわれたとのこと。これはつまり第1回からの彼女の演技からずっと演じ続けた集大成として、三間さんが吉谷さんに寄せていた信頼の証だろうし、彼女は完璧にそれに応えた結果なのだ。

●「私も将来、あなたにとってそんな存在になりたいわ」。これも原作にはない台詞。前回の次回予告でも赤尾でこ氏による卜部の台詞「私、椿くんの最初で最後の彼女になれたらいいなと思うわ」は、形を変えてこうした形で帰結した。原作では3巻19話のラストにおいて椿くんのお姉さんを指して「将来 あんなお姉さんがほしいなーっなんて思っちゃった!」という台詞があり、二人の将来を予感させる台詞が登場する。本編でのこの台詞は、二人の将来を指し示す遠いヴィジョンとしての台詞であり、原作での台詞と次回予告の伏線が見事に回収された素晴らしい台詞だろう。でもこれって、卜部さんからのプロポーズだともいえる。

●卜部さんの台詞からEDに突入。今回は2番の歌詞を使用。つぼみが開きかけた桜の木の下で、お墓の前によだれを舐め合うという不謹慎さについて語らう二人。先の台詞が二人にとって遠い未来の予言した言葉なら、「あたしたちはこれから先、もっと不謹慎なことすることになるんだから」という台詞は、より近い未来を予言した言葉だろう。対句と言っていい台詞だ。先の台詞がぼんやりとしたヴィジョンなら、こちらはもっと現実的なヴィジョンということだろう。でもそれはつきあい始めた二人にはまだ先のお話。シビアな話に似合わないほどのかわいい笑顔の卜部さんがマルッ!

●原作では家族でのお墓参りのエンドにある椿くんのモノローグを、最後に持ってくる。演出的にも先の伏線がきちんと回収され、1話のラストにもかぶせてくる。これでちゃんとオチが付いたというところ。実に巧みだ。

●花と蜜で始まり、花と蜜で終わる。これが何を意味するかは、語るまでもない。こういう回帰する気持ちよさが、1クールアニメのお楽しみである。これにてTVアニメ版「謎の彼女X」、オシマイです。

●エンドカードは、植芝先生の手によるイラスト。アニメ本編は植芝先生大喝采の出来で終了となりました。

○まとめ
 今年の当ブログでは自分の趣味丸出しで「謎の彼女X」という作品をクローズアップしてみました。以前「コードギアス 反逆のルルーシュ」を取り上げたときと同様のスタイルで、例によってほとんどコメントすらいただけず(笑)、完全に皆様おいてけぼりの企画でしたが、やってる本人としては原作も大好きだし、アニメ化によってさらにこの作品が好きになりました。アニメを見ていて強く感じたことは、漫画原作のアニメ化によって、原作が損なわれる印象のアニメ化はずいぶん見てきたつもりだけれど、むしろアニメ化による相乗効果が期待できるという例として、本作は実に希有な例であったと思うことです。原作の改編によって複数のエピソードを過不足なく見せていく手腕、台詞の変更による誘導、しかも改変部分がまったく原典を損なうことなく、イメージを膨らませていると感じられたこと、マンガでは気づきにくいちょっとしたニュアンスの演出やキャラの動きによって、気持ちよく補完されていく感覚は、なかなか味わえない種類の快感だったと思うのです。本文執筆にあわせてテレビ放映版とパッケージ版を比較しながら見ていくうちに、何度見ても演出や改変部分の趣旨などがいろいろとわかってくる、味わい深い作品であると感じました。そしてまた、その趣旨がぶれずにあるからこそ、声優陣の演技がそれに見事に答えていることも、如実にわかることになります。まったくの無経験ながら主役の卜部美琴を演じた吉谷彩子嬢には、主題歌なども含めてサプライズもあったし、下手とか上手いとか言う以前に「卜部さんの声」という認知を押し進める決定打は、まさに彼女の声と演技あったればこそでしょう。絵の力、演出の説得力、声の演技。これら3つの要素は、アニメを見る楽しみそのものといっても過言ではないと思っています。それを実感させてくれた本作に、心から感謝。


DVD付き 謎の彼女X(9)限定版 (アフタヌーンKC)DVD付き 謎の彼女X(9)限定版 (アフタヌーンKC)
(2012/08/23)
植芝 理一

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ODAもいずれ取り上げます。
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テーマ : アニメ
ジャンル : アニメ・コミック

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プロフィール

波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
妻一人

戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
特撮は主食、
アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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