「ゴーバスターズvsゴーカイジャー THE MOVIE」~2大戦隊、承認と絆~

 1月末から2月に劇場公開された作品が3月末にパッケージとして発売開始された。筆者は劇場公開時に見られなかったので、DVDにて鑑賞したので、早速感想を上げてみようかと。なお、個人的な感慨を先に申し述べれば、本作は珍しくどちらの作品も大好きな作品だっただけに、先輩戦隊であるゴーカイジャーが若干割を食っているのは仕方が無いこととしても、がっぷり四つに組んでの絡み方は、「スーパーヒーロー大戦」のようなひどい絡み方に比べれば、はるかに納得のいく出来で、「戦隊vsシリーズ」もここまで物語の質を上げることができたのだなあと、シリーズを最初からソフトを購入して見てきた筆者にとってうれしい出来でありました。
特命戦隊ゴーバスターズVS海賊戦隊ゴーカイジャー THE MOVIE コレクターズパック [DVD]特命戦隊ゴーバスターズVS海賊戦隊ゴーカイジャー THE MOVIE コレクターズパック [DVD]
(2013/03/21)
鈴木勝大、馬場良馬 他

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<物語>
 ある日、漆黒のゴーカイガレオンが地球に到来してエネトロンを強奪し始める。ガレオンにはザンギャックの残党である司令官バッカス・ギルとワレドナイヤー、彼らと手を組んだエンター、そしてザンギャックの指揮下に入ったゴーカイジャーの面々が乗り込んでいた。エネトロンを守るために出動したゴーバスターズと戦端を開くゴーカイジャー。別行動をしていたと思われたゴーカイシルバー・伊狩鎧は、ゴーカイジャーにレンジャーキーを手渡したことで、戦闘はさらに熾烈を極める。かつては地球を守るために戦ったゴーカイジャーがなぜ? だがそこに現れたエンターの手には、すでに4つの幻のレンジャーキーがある。と、突然地響きが起こり、戦場となった地面から5つめの赤い幻のレンジャーキーが姿を現し、エンターの手に握られた。だが5本そろったレンジャーキーは、まるで共鳴でも起こすかのように発動しはじめ、ゴーカイジャーの面々とヨーコ、J、ゴリサキを別の時代に吹き飛ばしてしまう。

時空を超えられないゴーバスターズの面々。偶然拿捕したナビイの口から語られた「幻のレンジャーキー」の秘密とは、5本そろえることにより、宇宙で最も強大な力を手に入れることができるというもの。その時ゴーバスターズの面々の前に現れたのは、江戸時代に飛ばされたヨーコからの書状をたずさえた先代シンケンレッド・志葉薫だった。仲間を取り戻し、幻のレンジャーキーを確保するために、ゴーバスターズは残された豪獣ドリルのシステムを解析して時空を超える。様々な時代に散ったゴーカイジャーはそれぞれが幻のレンジャーキーを見つけるもののバッカス・ギルたちの邪魔立てに会い、レンジャーキーは強奪されてしまう。一人マーベラスと再会したヒロムは、マーベラスたちがザンギャックに荷担した理由を知る。地球を去った後、ザンギャクの本星でマーベラスたちは敗北し、ガレオンすら破壊されてしまったというのだ。最後の反撃の機会を、幻のレンジャーキーに託し、マーベラスたちはザンギャックに投降したというのである。協力を申し出るヒロムに対し、「ザンギャックは俺たちの敵だ」と言ってそれを拒むマーベラスだった。
残り1本のレンジャーキーを確保するため、江戸時代にいるヨーコや鎧たちを救助しに向かうヒロムとマーベラス。だがそこにエンターがメガゾードととともに現れ、幻のレンジャーキーを手に入れるために攻撃を仕掛けてくる。江戸の街が紅蓮の炎につつまれる中、巨大ロボット同士がぶつかり合う。だがエネトロンの不足によって現代への帰還を余儀なくされるゴーバスターズ。だが帰還のタイミングに受けたエンターの攻撃により、バディロイド3体が大きく破損してしまう。どうにかボディの修復は完了したものの、彼らの記憶はついに失われてしまった。悲しみにくれるゴーバスターズ一同。だがそんな彼らを待っていたのは、5本の幻のレンジャーキーを使って時空の歪みを作り上げようとし始めたザンギャックとエンターたちだった。ゴーバスターズは哀しみを超えて闘いに挑む。ゴーカイジャーもそれに続く。2大戦隊は時空の歪みを元に戻し、地球を救うことができるのか?

<承認の物語>
 そもそもこの「戦隊VSシリーズ」というのは、現行シリーズの戦隊に対して、先輩戦隊が登場し、時に敵になり、時に味方となって巨大な敵に立ち向かうという趣向の作品群だ。敵も大体が現行と先輩戦隊の敵(それも血縁とか再生とか)がなぜか協力して登場する。こういう作品を作るとなれば、やはりテーマ的には「協力」とか「協調」などが選ばれがちだ。そしてもう一つ戦隊シリーズにとって大事なテーマが潜んでいる。それが「承認」というテーマだ。先輩戦隊が後輩戦隊を承認する、それは地球の平和を守って戦った先輩戦隊が、後輩戦隊にその座を譲ることであり、地球を守る使命に足るかどうかを判断する場でもある。物語の序盤に2大戦隊がいがみ合うシーンが頻出するのは、この「承認」がなされてない故だし、先輩戦隊を差し置いて後輩戦隊ががんばりを見せるほど、最終的に先輩は後輩を認めることとなり、そこから「協力」「協調」が前面に出てくることになる。

 かつて自分たちが地球を守ることに意を砕かなかったにもゴーカイジャーは、ザンギャックと戦って宇宙最大のお宝を探すという目的と地球を守ることが一致したために、35番目の戦隊として、TVシリーズの中で承認された。今回の「ゴーバスVSゴーカイ」の面白い点の一つは、かつて先輩戦隊に承認されたゴーカイメンバーが、改めて先輩戦隊としてゴーバスターズを値踏みしている点だ。策とはいえゴーバスターズと敵対するゴーカイジャー。マーベラスはヒロムに対して2005年の世界でにこやかに恐竜やのカレーを進める一方で、ヒロムたちが差し延べる手を払いのける。ザンギャックの本星に殴り込みをかけたにも関わらず、ザンギャックの新しい司令官となったバッカス・ギル(”馬鹿すぎる“とギリシャ神話の酒の神バッカスのダブルミーニングの旨さ!)の猛攻によって一敗地にまみれるゴーカイジャー。ザンギャックの地球再侵攻は、あくまで「幻のレンジャーキー」を手に入れるためだし、バッカス・ギルにとって地球の命運などどうでもよさげに見える。だがマーベラスたちにとっては、ザンギャックが三度地球に侵攻すること自体、一度は35番目の戦隊として地球を守った矜持があるから、その心中穏やかではなかっただろう。バッカス・ギルにとっても地球侵攻は自分が縁戚であるアクドス・ギルを見返してやりたいという、チンケな自己満足のためでしかない。そんな敵にかしずいてまで反逆の機会を伺ってきたゴーカイメンバーに思いをはせてみるに、ザンギャック本星から地球までの旅は、どれほど心苦しい旅だっただろうか。例え「海賊」の汚名を名乗っていたとはいえ、かつての敵の仲間となってまでゴーバスターズと敵対してみせた彼らは、自分たちこそが「戦隊」を名乗ることをどれだけ悔やんだことだろう。ヒロムの助け船を払いのけた事情は、おそらくそんな複雑な心中があったにちがいない。
 ところが現代での1戦目、2005年での2戦目、そして事情を理解した上での江戸時代での3戦目を経過して、マーベラスたちの中でも心境が変化していった。それは仲間のために必死になっている姿を見せるゴーバスターズの面々の姿を見て、バディロイドの記憶を失ってでも地球を救うために、涙を振り払って闘いに挑む姿を見て、ザンギャックを三度地球に到来させてしまったことへの悔恨と、それでも反撃の機会を伺っている自分たちを重ねて見ていたように感じるのだ。その思いが最終戦でのマーベラスに「地球を守るのはあいつらだ。だから俺たちはお前たちを倒す」という台詞を言わたのではないか。それは間違いなくマーベラスが36番目の戦隊としてゴーバスターズを認めた瞬間だったのだ。

<信頼の絆、現行作品として>
黒いゴーカイガレオンからの攻撃を阻止するために、ガレオンに突入したマーベラスとヒロム。ガレオンの中での会話を見れば、「信頼」という言葉が二人の間で交わされる。この「信頼」という言葉は、「特命戦隊ゴーバスターズ」の主要テーマである「絆」と同義であり、本作の後半の重要エピソードとなるゴーバスターズとバディロイドの絆に直結することになる。一度は破損したワクチンプログラムによってかつての記憶を無くしたバディロイ。あまりにも決まり切った音声を繰り返すバディロイドの姿に一同は絶句し、いつもはおだやかなリュウジですら声を荒げて陣マサトに掴みかかる。最も身近で自分たちを支えてくれた存在を失ったも同然の出来事だったに違いない。その哀しみは家族を亜空間から助けられないと知った時となんら変わらない。そんな状況下でも、ゴーバスターズはバディロイドへの信頼を失わない。それがわかるシーンが3つある。一つは最終決戦直前でゴーカイジャーの出撃に同行しようとするヒロムたちのシーン。2つめは巨大ロボ戦に移行する直前に黒木司令官とヒロムの会話、そして3つめはヒロムたちの思いが通じてバディロイドが復活し、ゴーバスターオーが戦線復帰するシーンである。この3つのシーンと、マーベラスがヒロムたちと信頼という絆で戦い続けるシーンが挿入されることにより、現行作品の「絆・信頼」というテーマに直結することで、物語は完結するのである。その意味においては、本作は「海賊戦隊ゴーカイジャー」という作品の後日談でありながら、「特命戦隊ゴーバスターズ」という作品世界の延長線上にある物語ということになる。かつてのvsシリーズでは現行戦隊の番外編にあたる印象が強い性格の作品が多く、作り手側も「お祭りムービー」的な作りを意識していたように見受けられるが、本作は「ゴーバスターズ」という本編のテーマに沿う形で「ゴーカイジャー」の後日談が上手い形で取り込まれている感触がある。それは筆者がかつて大好きだった「メガレンジャーvsカーレンジャー」と似たような感触なのだ。

そうはいっても小ネタにも事欠かないのが本作のいいところ。ジェラシットは劇場版における前作「ゴーカイジャーvsギャバン」で魔空刑務所から脱走して江戸時代にいたりするし、バスコは投げキッスしながら倒れていったり。EDのダンスも見所が多い。ちなみにDVDにはノンクレジット版が収録されており、映像の隅々まで見ることができる。黒木司令官がマーベラスの上着を嬉しそうに着てみたり、陣とハカセ、リュウジとジョーのやりとり、カレーを食べるマーベラスとヒロムなど、本編中のオフショットのような映像がまた楽しい。ちなみにダンスシーンだと、ゴーバスチームの時代劇ファッションの妙が楽しめる。次回作の戦隊が顔出し出演するのも意義深く、どうやら劇場公開も公開期間が短いながらも継続の様子だ。今後も楽しませてくれるシリーズなだけに、来年も心待ちにしたい。
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テーマ : 特命戦隊ゴーバスターズ
ジャンル : テレビ・ラジオ

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波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
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アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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