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映画「聖☆おにいさん」~いい時代だなあ・・・~

 公開されてから1週間目ですが、行ってきました。さてネット上では結構な頻度で叩かれていたりして、事前情報がない身としては、普通に心配だったんです。いわく「宗教ネタが全カット」だとか。う~ん、「聖☆おにいさん」から宗教ネタを取ったら、ほのぼのしか残らないんですが、それは果たして「聖☆おにいさん」のアニメ映画としてどうなのよ?と思いながら見に行ってきたわけです。
 んで、結論から申し上げます。そういった心配はまったくありませんでした(笑)。普通に、いや普通以上に面白かったですよ。ただし、ネット上でそう言われてしまった事情もあるので、そこのところをちょっとだけお話してみようかと思います。

聖☆おにいさん(1) (モーニングKC)聖☆おにいさん(1) (モーニングKC)
(2008/01/23)
中村 光

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<作品概要ったって、ねえw>
 漫画「聖☆おにいさん」は2006年の講談社「モーニング・ツー」の1号から連載を開始、現在も絶賛連載中の人気漫画だ。「このマンガがすごい!」の2009年度版ではオトコマンガの1位を獲得、同年「手塚治虫文化賞」の短編賞を受賞している。原作者の中村光は高校1年生だった2001年に、月刊「ガンガンWING」にてデビュー。「中村工房」「荒川アンダーザブリッジ」などが人気の漫画家であり、作品数こそ少ないがギャグ漫画家として今後も期待される逸材だ。
 2004年から連載している「荒川アンダーザブリッジ」は、2010年にアニメ化、2011年に実写ドラマ化、そして2012年に実写映画として公開されており、こちらも評価が高いスラップスティックコメディだ。

 さて本題の「聖☆おにいさん」は、世紀末を超えて一段落した二人の聖人、イエスとブッダが下界、しかも日本の東京の立川市でバカンスを過ごすという物語。毎回それぞれが持つ宗教ネタを絡めながら、市井に住む人々との暖かな交流の中で、どうしたって際立ってしまう宗教や生活習慣などの異文化ギャップを見せつけながらも、おだやかでのんびりしたバカンスを楽しんでいるという内容だ。連載当初こそこの「異文化ギャップ」の面白さに、ひねりの効いたあぶない宗教ネタが絡まることで笑いを産んでいたが、回を追うごとに二人の聖人の弟子たちや両親たち、天界の神々などの登場キャラクターが増えていき、ちょっとした群像劇にもなる傾向が出てくると、次第にエグい宗教ネタが増えてくることになる。ネタ自体の鮮度はある意味でオールタイムであるから(笑)、手塚の「ブッダ」や旧約聖書がらみのネタを少しでも知っていれば、誰もが笑えるというその作りの上手さが魅力ではある。ま、その筋の方々が文句を言ってくる可能性を鑑みれば、それはギリギリと言わねばなるまいかw そのギリギリ感もまた本作の魅力ではある。

 映画版「聖☆おにいさん」は今年の5月11日から公開をスタート。筆者は三多摩地域に住んでいるので、もちろん聖地・立川にて観劇した。物語は原作の1巻から2巻冒頭のあたりをアニメ化している。桜の花咲く春の季節でスタートし、遊園地を楽しみ、暑い夏にはプールや夏祭りを楽しみ、ブッダは子供たちから戦いを挑まれたり。そして冬にはクリスマスや年末年始を楽しみ、二人の1年は楽しく巡っていく。天界からの仕送りで暮らしている二人だから贅沢はできないけれど、ネットで有名ブロガーになったり買い物で特売に並んだり、彼らの日常はおだやかに楽しく過ぎていく。そして桜舞い散るのを見ながらブッダは言うのだ、「いい時代だなあ」と。

 製作はA-1PICTURES。監督は高雄統子。「THE IDOLM@STER」のシリーズ演出を務めた方で、もともとは京都アニメーションで原画や絵コンテ、演出を務め、フリーに転身した人だとのこと。京アニ時代は「ハルヒ」や「けいおん!」シリーズなどを手がけている。本作が監督デビューとなる。キャラクターデザインは浅野直之。本作におけるキャラクターデザインは、あくまで原作の漫画の絵柄を再現しているように見えるが、頭から肩にかけての白い影の付け方を見ると、劇中でふと違和感を覚えるほどキャラクターが際立って見える。背景がきちんと作り込まれている一方で、白い影を持つやや淡い印象の色設定で描かれるキャラクターは、その存在感をかえって主張する。それはまるで劇場用アニメとして作っているのに、キャラクターがあまり主張しないおかげで、目にきつくなく、穏やかにゆっくりと見ていられる感じが好印象に写る。「アニメ映画 聖☆おにいさん公式ガイド」(講談社)によれば、作画作業の軽減のために色を飛ばしているのだとか。しかも淡い色調のカラーリングのおかげでイエスとブッダの表情の機微が、映像としてきちんと見えることにもなり、アニメーターが聖人たちの表情で遊んでくる余白を残しているらしい。実に巧みなキャラクター設計といえるだろう。アニメーションとしての動きは確かに派手さはないものの、細かい手や指の動きや何とも言えないユーモラスな人物たちの動きは、十分に職人芸といえるもので、A-1PICTURESのスタッフの有能さが伺える。前述の公式ガイドのインタビューによれば、特に男性的なゴツゴツとした聖人たちの指の動きは、浅野氏がもっとも気を遣った部分らしい。

<酷評、その事情>
 さて先にも書いたが、本作は原作の1~2巻のエピソードを下敷きにして描かれている。もちろん映画中で展開されているネタの数々も、あくまでこの初期エピソードをモチーフにしているから、宗教ネタだってそれにならっているわけだ。その一方で本作をして「宗教ネタ全部カット」だとか「宗教ネタに触れないのであれば作らない方が良かった」などの否定語がネットには舞っているのである。んで、実際にご覧いただければ、そういった否定語は当てはまらないことはすぐにおわかりいただけるはずだ。確かに宗教ネタはそれほど多くないが、原作にあるネタを大胆なほどにカットしているわけでもない。多少の取捨選択はあるにせよ、少なくても「宗教ネタ全カット」などは誹謗中傷といって差し支えないほどの意見と言うべきではないだろうか。ではなぜこうした誹謗中傷まがいの誤解が生じてしまったのか? それは本作の演出意図と観客が楽しみにしていた何かとの誤差でしかない。

 宗教ネタというのは、原作では確かに衆目を集める人気の要素ではあり、それ自体が物語の面白さを担っていることは間違いが無い。特に連載中の作品を見る限り、弟子たちや聖人たちの天界の関係者による悲喜こもごもを見れば、それが大変ギリギリ感をかもしながらも本作の面白さを担う主要素であることは明白だ。ところがアニメ化されたこの作品の核は、なんといっても聖人二人がゆったりおだやかに暮らすバカンスそのものを見せるところにある。その白眉となるのは劇中夏から秋のシーンの連続にある。小学生たちからの襲撃をたびたび受けるブッダの闘争と、子供たちとブッダとの友誼、そしてふと聖人たちがいなくなった立川の街に流れる寂寥感だ。そしてイエスとブッダが戻ってきたことにより、寂しさを抱えていた街の人々が再び活気を取り戻す瞬間こそが、本作のドラマの盛り上がりとなっている。

 原作はネタを重ねることにより物語を紡いでいるが、ある一定の時間の経過が必要となる作品の場合、ドラマという核が必要になる。かつて本ブログでも扱った「がんばれタブチくん」などのように、ひたすらネタを重ねていくタイプの映画もあるにはあるが、それをやるためにはネタの数や圧縮、見せ方などに熟達した技術や演出が必要となる。東京ムービー新社という老舗のスタジオだからできる、熟練の技の集大成が「タブチくん」なのだ。そして本作が映画的にドラマティックであろうとするならば、危ない宗教ネタをガッチガチに詰め込んで、熟練の技で編集するよりも、核となるドラマを設定するほうが圧倒的に映画としてカタルシスを得やすい。公式ガイドの監督および脚本家のインタビューにおいても、そうした地元の人々との交流やほのぼのとバカンスを楽しんでいる二人に着目していることを、共通認識として述べている部分がある。そういう演出意図によって本作が作られているのであれば、宗教ネタが後退し、日常やほのぼのが前面に出てくるのは自然の成り行きである。ましてや原作序盤のエピソードを使用しているから、現行の連載に見られる宗教ネタの応酬や弟子や関係者によるネタの数々も出てこない。それを本作に求めてしまうのは、現行の連載を見るファンの目線からは、「宗教ネタ全カット」とも思えるかも知れないけれど、それは本作の演出意図と異なるのだ。今の原作が好きであるならば、そんな勘違いも致し方なしなのかもしれないが。

<「いい時代だなあ・・・」という台詞>
 本作の美点を上げれば、それはイエスを演じた森山未來とブッダを演じた星野源の二人の声の演技を外すことができない。先んじて単行本の付録として作られたOVAを見ていたのであるが、この二人の台詞センスはじつに素晴らしいの一語に尽きる。現在発行されている雑誌や映画のパンフレット、本作の公式ガイドブックにも彼らのインタビューは数多く残されているので、ぜひとも手にとって欲しい。また劇場でもらえる小冊子にも、アフレコ収録時のエピソードが掲載されているが、それぞれがそれぞれの思い入れを持って演じているのが如実にわかるし、役者・森山未來の力量も推し量れるその演技は、実在とされる人物イエスの声を当てるに際して、かなりの演技プランを持ってアフレコに参加したことが伺える。そしてまたアニメファン代表とでも言うべき星野源のブッダの演技には、我々の日常の延長にある情景が、声からにじみ出るようでもある。確かに声優としての技量は決して高くない二人だが、それ以上にイエスとブッダという二人の、本作における聖人としての声は、このちょっと間の抜けた声がマッチする。その演技はやはり映画冒頭の「いい時代だなあ」という台詞に凝縮されていると思えるのだ。

 聖人が語る「いい時代だなあ」という台詞のなんと重いことか。そんなことに思いをはせてみれば、彼らがどれほどの時代を生き、そして聖人として苦悩してきたかに対するささやかな安らぎを、このバカンスに求めているかがわかろうというものだ。この「いい時代」と聖人二人が言ってくれる日本の立川のこの街が、本当に素晴らしいと思えたなら、この作品はそれだけで大成功なんじゃないかと思える。少なくても筆者にとっては、聖人が「いい時代」と言ってくれる同じ時代に生きていることを、ほんの少しだけ幸せだと誇らしく思えるのだ。そして実はそんなにいい時代じゃないことも知っているから、せめて長いこと苦労してきた聖人二人には、あの街でゆっくり過ごして欲しいと、心から願っている。その意味では、我々人間はもう彼ら聖人にすがって生きてちゃいけないんだろうなって。

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波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
43歳になりました 
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戦隊シリーズをこよなく
愛する、男オタ。
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アニメは副菜。
後期必殺を好み、
スタートレックは
ピカード艦長が大好物。
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