マンガの時間(2013.09.25)

 先ごろ発売された「モンスターハンター4」に熱中するあまり、ブログの更新がおそろかになっている。しかも少々仕事のほうがにわかに忙しくなり、ブログの更新に割く時間が減じているだけならまだしも、作品自体もまともに見れていない。見ないと書けないのであるが、書くこと以上にブログを書く「視点」に面白さを感じる作品が、なかなか思いつけないでいる。こういう状況下でもマンガは読んでいるので、こんな時にはマンガのお話をしてみたい。また今回はマンガではない作品もご紹介します。

「ふたりの恋愛書架」(ヤマザキコレ著 芳文社刊)
 本作はもっと早くご紹介したかった本だった。前回ネタに詰まった時に書いたマンガの時間のときにうっかり忘れており、紹介が遅れてしまったことが悔やまれる。
夏の日の古本市で出会った20代の女性・カナコと中学三年の男子・秋生。仕事で家を空けがちな両親のせいで、寂しさを本で紛わしていた秋生は、自宅近くの古本屋でカナコと再会する。そのカナコもたった一人で父親の残した古本屋を切り盛りしていた。古本屋を商う本好きのカナコは、ふと出会った寂しさをかこつ少年・秋生に興味を持ち始める。その寂しさはおそらく同種のものと感じたカナコは、いきおい余って秋生に結婚を申し込む。そこから始まる二人の微妙な関係から、なんとなくカナコの暮らす古本屋で同棲を始める二人。本が二人を結びつけ、その本が取り持つ縁が、秋生に出会いをもたらしていく。両親への想いを抱きながらも、甘えることができないでいる秋生を、そっとつつみこむカナコの優しさの正体は? カナコが抱える悲しみとは? そんな疑問を紐解きながら、二人は少しずつ距離を近づけていって・・・というお話だ。
なんとなくだが、最近「図書館」や「本」を話題にした作品が多いように思う。剛力さんの出演したドラマの原作となるミステリーや、「ダンタリアンの書架」や「文学少女シリーズ」もそう。大枠でいえば「図書館戦争」や「GOSICK」なんかもそうなるか。この手の作品は「本」や「本のある風景」という場所に対しての思い入れがないと作品自体が成立しない。その点でいえば本作はその思い入れ度合いが著しく低く、むしろ物語部分に重点がある。だが「本」がカナコと秋生の歳の差カップルをつなげてることは確かだし、秋生の得意技能である「本の丸暗記と暗唱」が、両親が家にいない寂しさからの技術だと見抜いたカナコ自身もまた同じ寂しさを持っていることを、秋生にだけは隠さない。出会い自体があまりにもせつない二人であり、そのつながりがちょとだけ後ろめたいのだ。そう「本」って実はちょっとだけ後ろめたいのかもしれない。いや決して本が好きであることを否定したいのではなくて、目的を持たずに本に埋没するタイプの人って、本を理由にしてちょっとだけ後ろめたいんじゃないかって。そんな共通した想いがあるから、「本」を扱うこれらの作品群って、少しだけ後ろ暗い感じなのかなって。
さて、物語のオチはカナコさんと彼女の父親の邂逅の物語。彼女の寂しさの正体は、母親の死と父親の現実逃避にあり、カナコはそれに振り回されて育った家庭の事情だったのであるが、その二人の邂逅に秋生は一枚かんでいる。そしてその後の二人がどうなったのかは・・・・ぜひともご購入して確認いただきたい。ささやかな年の差カップルのささやかな恋愛は、小さな幸せの和を生んでいく。ところどころ挿入されるカナコに導かれるままにカナコと触れあっていく秋生の姿がなんとも微笑ましい。そして年下の彼氏に甘えるカナコのかわいらしさもまた、この作品の大きな魅力である。


ふたりの恋愛書架 (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)ふたりの恋愛書架 (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)
(2013/02/12)
ヤマザキ コレ

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「むすんでひらいて」(水瀬マユ マックガーデン刊)
 以前ご紹介したオムニバス形式で彩られる複数の恋愛物語が、気がつかないうちに結末を迎えた。物語の始まりであった男性恐怖症の少女が、あるきっかけから父親と邂逅を果たして、自分に告白してきた男の子への想いに答えるというラスト自体もいいのだが、それ以上にこの作品に登場する総勢約10名の男女の想いが、まあおおむね納得できる形で成就されたことは、まことにもってめでたい。いやべつにイヤミでもなんでもなくて、それぞれは1対1の恋愛模様ではあるが、その複雑に交錯した関係性はすこしずつほぐれていく感じがいい。筆者個人としては明智と理央、西野と夏の2ペアの物語が複雑だっただけに、この2つの恋の物語が落着したシーンでは本当にホッとさせられた。まあ言ってしまえば明智が立場をはっきりしてしまえばもっと話が短くなるとは思うのだが、そこはそれマンガだしね。
 このマンガの何がいいって、やっぱ共感だろうか。もちろん自分が高校のころに朝木さんのような女の子なんていなかったけどさ。それでもこんなささやかな恋の物語はいくらでもあったんだろうなって。巻き込まれてめんどくさいのはいらないけれど、単純でストレートでささやかな物語はいくらあってもいいじゃない。それを傍らから眺めている感じ。このマンガにはその一つ一つの小さな物語をおだやかに眺めている感じだ。しかも目で見て耳で聞いて、咀嚼するように物語を読んでいると、楽しいというよりもその物語から温かな熱量を感じられる気がするのだ。その熱量は決して読む人を不快にさせない。むしろその熱量が心をほっこりさせてくれるのだ。まあ出歯がめという言葉と大差ないような気もするけれど、まあ自分の身の回りにはすでになくなったことを、マンガで充足させるなんてよくある話で。


むすんでひらいて 7 (BLADE COMICS EDEN)むすんでひらいて 7 (BLADE COMICS EDEN)
(2013/02/14)
水瀬 マユ

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「ウルトラマンが泣いている 円谷プロの失敗」(円谷英明著 講談社現代新書)
 えー、これだけはマンガじゃないんですがね。買ってからずいぶんたっちゃって、いまさらのように読んだんですが、なんていうかまあ、とりあえず読んでよかったよ(泣)
 会社には中核組織だけが存在しており、専門家をその都度雇い入れて、必要に応じて人を出し入れしていくというやり方は、一見経営としては合理的であるように感じるが、出来上がった作品からにじみ出てくるカラーからは、本来持っていた円谷らしさが失われていく。たとえばかつての第二次怪獣ブームのさなかで作られた作品群が、かつての大ヒット作である「ウルトラシリーズ」からの引きつきの中で作られてきた一方で、その後の平成のウルトラ作品群がいちいち仕切りなおしている感じがするのは、こうした会社自体の問題がきっちり反映していることがよくわかる。
 円谷一族が、かつての繁盛で放蕩の限りを尽くしたとか、TBSとの不仲とか、「ウルトラ六兄弟対怪獣軍団」の版権問題とか、まああげたらきりがないし、「円谷」と名のつく映像会社などが乱立していたころの裏事情を考えれば、あまりにも幸せな話がなさすぎて、どうにも読んでいて居心地が悪く困ってしまう本だった。ウワサのほとんどはこの本の内容によってそれがおおむね正しい話だと裏付けられたわけだが、ただし1点だけ気をつけなければいけないのは、この本が作者・円谷英明氏のサイドから見た話だという点だ。あくまでも英明氏サイドからの証言である以上の価値はなく、これがすべて真実かといえば、一つの真実にある様々な事情の一端であることは確かではあっても、これですべてではない。しかも円谷プロから一族が締め出された結果、英明氏はまったく別の仕事に就いており、この本を恨みつらみで書いているだけではないのはわかるのだが、本編に収録されている恨み節や後悔の言葉は数多い。とはいえ現実に円谷プロは存続し、今でも作品が作り続けられている。資産を食いつぶすだけではなく、新しい展開を紡ぎだそうとしている現・円谷プロの体制を、この本を題材に何人も否定することはできないだろう。いやむしろ、ここから浮き彫りにされているのは、キャラクター版権商売で資産を増やせたはずの円谷プロが、その版権商売をおもちゃ会社に譲渡してしまったがゆえに、枷をはめられている状態の異常さだろう。もっともおもちゃ会社が悪いのではなく、依存してしまった円谷プロがいけないのだが、イメージとしておもちゃ会社が損をしていると感じるのは筆者だけか。


ウルトラマンが泣いている――円谷プロの失敗 (講談社現代新書)ウルトラマンが泣いている――円谷プロの失敗 (講談社現代新書)
(2013/06/18)
円谷 英明

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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

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波のまにまに☆

Author:波のまにまに☆
東京都出身
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