その後の「ウルトラセブン」~その1・ガイド役としての復古~

 以前、「なぜウルトラセブンだけが作り続けられるのか?」という話を書いたことがある。あくまでもその論旨は「ウルトラセブン」が他のウルトラシリーズとは一線を画すような大きな魅力があってのことで、前作「ウルトラマン」が持つエンターテインメント性とは異なるシリアスな侵略SFとしての側面を有するがゆえに、地球人と対立項としての宇宙人ではなく、宇宙人としての地球人という立場を浮き彫りにしていった。その一方で、どこか人間の側に立脚したやさしく悲しい物語を紡ぎだす。一見かい離したように思える「SF性」と「人間の物語」が「ウルトラセブン」という作品の根幹をなしているのだ。その続編として制作された、いわゆる「平成セブン」と呼ばれる作品群は、1967年に放送された最初の「セブン」の後日談である。これより3回に分けて、「平成セブン」の足跡をたどってみたいと思う。それは思いのほか厳しい道程だった、とだけ今は書いておこう。


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<「平成セブン」の流れ>
 ウルトラセブンが復活の兆しを見せたのは1994年3月。日本テレビ系列で放送されたTVスペシャル「太陽エネルギー作戦」だ。それ以前でいえばNHKで1993年2月に2週にわたって放送されたドラマ「私が愛したウルトラセブン」があるし、1993年3月にはスーパーファミコン版のゲーム「ウルトラセブン」が発売されている。ちなみにこのゲームは「ゲームセンターCX」にて有野課長にクリアされていたりする。それはさておき、ウルトラセブンが復活する兆しとしては、さほど盛り上がっていたとは思えず、TVスペシャルの放送自体も、当時本放送を見ていた筆者でさえ、頭に疑問符が浮かぶ状況だった。とりあえずその後の流れを一覧表にしておこう。

1994年 3月   「太陽エネルギー作戦」(TV-SP)放送
1994年10月   「地球星人の大地」(TV-SP)放送
1998年6~8月  「誕生30周年3部作」リリース
1999年7~12月  「1999最終章6部作」リリース
2002年5~9月  「誕生35周年“EVOLUTION”5部作」リリース
2007年10~12月 「ULTRASEVEN X」放送

その後のセブンの足取りといえば、「ウルトラマンメビウス」(2006)のゲスト出演、劇場版「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」(2006)への出演、「ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY」(2008)での重要な役回りでの登場、「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」(2009)に登場したセブンの息子・ゼロの登場を機に、その後のゼロが活躍するシリーズにも続けて出演することになる。実に大活躍といえよう。2006年の「メビウス」以降、最初のセブンが地球を去って、レオを鍛え上げた後の時間の流れと、「平成セブン」という作品群の時間の流れは別に考えるべきなのかなあと思い、今回扱うのはあくまで「"EVOLUTION”5部作」までとします。

<TVスペシャル2本の思惑>
 「太陽エネルギー作戦」は当時の通産省とのタイアップで制作された作品で、関連のソーラーシステム振興協会が持っていた時間枠で放送された。読売広告社からの打診を受けて制作された本作は、振興協会によるクリーンなソーラーエネルギーの振興の目的と、セブンのエネルギー源である太陽エネルギーという接点がもたらした作品だともいえる。

 セブンが地球を去って27年後の地球では、地球温暖化が世界規模で問題になっていた。ウルトラ警備隊を退役したアンヌの義兄であるクスハラ博士の開発したハイパーソーラーシステム(HSS)は、太陽熱を効率的にエネルギーに変換するシステムで、かつての化石燃料に代わるエネルギーシステムとして注目を浴びていた。そんな中、ピット星人がふたたび地球へと襲来しHSSを破壊。高熱を発するエレキングに二酸化炭素を吐き出させて温暖化を促進させる作戦を開始する。隊長となったフルハシ率いるウルトラ警備隊が守りにつくが、思うように防げない。だがフルハシは宇宙のどこかで戦って力尽きていたウルトラセブンが警備隊の格納庫でかくまわれていたことを知る。エネルギーを失って動けなくなっていたセブンに、エレキングの攻撃が迫る中、アンヌの息子ダンの活躍によって太陽エネルギーを受けたセブンがついに復活する! そして修理が完了したHSSによって熱エネルギーを吸収されてしまい弱体化したエレキングを打倒し、セブンはピット星人の野望をくじことに成功した。

 どうやら「太陽エネルギー作戦」が好評だったらしく、同年10月にふたたび「地球星人の大地」という作品が放送される。内容は以下の通りだ。

 環境生態学のトネザキ博士は、ごみの排出によって地球の汚染がとまらないことに日々頭を悩ませていた。そんな折とある場所で地震が頻発し、謎の恐竜が暴れまわる。だがその場所にはメトロン星人によって「エコポリス」が建造されていた。地球人類が出したごみを使って、完全リサイクルの町並みのみごとなシステムに魅入られるトネザキであったが、メトロン星人の真意を知って愕然とする。メトロンの作戦とは、地球浄化作戦と称するオゾン層の破壊によって人類抹殺を目論んでいたのだ。前作以後のセブンがどうなったのか? 往時の風来坊の格好をしたモロボシ・ダンは、メトロン星人との宇宙での戦いを通じて地球侵攻の意図を知り、ひそかに調査を重ねていたのである。トネザキを助け出したダンはセブンへと変身し、再びメトロンと対決する。

前回が「ソーラーエネルギー」がテーマであったが、2作目は「エコロジー」が話題の中心にある。通産省のタイアップである。テーマ的にはいたしかたなしか。とはいえ見終わった読後感が、高度なSF的に心揺るがされる「ウルトラセブン」という作品的には、こうしたテーマも触っておいていいのではないだろうか、という感慨がわく。「太陽エネルギー作戦」が単調な侵略作戦を、人間の作り上げたシステムによってセブンを復活させて撃退するというあたりは、どこか「セブン暗殺計画」で磔から救い出されたセブンを想い出させる一方で、人知れず宇宙のどこかで地球人のために戦い続けていたセブンを想い、涙するフルハシの姿が、人類とセブンの絆を強く感じさせることになる。これがこのまま1999最終章6部作へとつながるのである。つまりこの「太陽エネルギー作戦」は、68年のセブンで積み上げた地球人類とセブンの絆を承り、次の展開へと昇華させる準備段階に位置する作品だと言える。一方で「地球星人の大地」では相変わらず地球人が心の奥底にある願いや想いを顕在化させることによって地球侵略を企む知的宇宙人の犯罪を見る思いだ。「ウルトラマンレオ」に登場する等身大の宇宙人が、やたらめったら通り魔的に人間を襲っていたことと比較すれば、セブンに登場した宇宙人の知的さが光ることを思いださせてくれる。そう、このTVスペシャル2本は、旧TVシリーズを知らない人にとっては「ウルトラセブンってこんな作品なんだ」ということを知ってもらおうとしている作品として、ガイド的な役割をもっている側面もある。そして知っている人にはその復活を喜んでほしいと願っている作品なのだろう。

 また制作側に踏み込めば、本作がビデオ撮影で制作されたことが大きい。1994年という年回りを円谷作品の歴史にあてはめたとき、前年の1993年には同じビデオ撮影作品である「電光超人グリッドマン」がある。また本作をまたいで1996年3月には「ウルトラマンゼアス」という劇場用作品が登場し、劇中で使用されているフィルムの質感にCGの映像を埋め込むためのならしが始まっている。そして同年9月に「ウルトラマンティガ」が放送を開始している。平成セブンのTVスペシャルは、1980年に制作・放送された「ウルトラマン80」以来、14年ぶりのTVで放映された新規のウルトラ作品だったことになる。つまり「ティガ」に至る道程として本作を位置づけることもできるわけだ。ビデオ撮影ということで、特撮部分の合成にも難があったためか、セブンと星人や怪獣の格闘シーン以外のミニチュアや特撮プロップの制作も少なく、ウルトラホークの発進シークエンスもないことは残念な限りで、そのぶんだけ「ウルトラセブンらしさ」は後退したものの、ドラマで勝負することを制作当初から狙っていて作られている作品であるから、重苦しいほどのドラマが中心となるその後のビデオ作品の萌芽であることは疑いえない。
今回はTVスペシャルについて書いてきたので、次回以降はオリジナルビデオ作品として制作された「平成セブン」のシリーズを追っていきたい。どうかお付き合いいただけますよう。


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